連載HACKの瞬間

「成長したいなら、最大のリスクを取り、常にヒリヒリしていろ!」──東大法学部からDeNAのエリート『Chompy』大見氏は、なぜレッドオーシャンのフードデリバリー領域で起業したのか(連載:HACKの瞬間 第4回)

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インタビュイー
諸戸 友

1980年生まれ。2003年に新卒でリクルートの代理店に入社、2007年にベンチャー企業に特化した採用コンサルティングを行う株式会社アイ・パッションの創業メンバーとして参画、1,000人以上の起業家との出会いを経て、2012年クルーズ株式会社に入社。執行役員に就任し、社長室、広報、ブランディング、新卒採用などを担当。クルーズが時価総額1兆円企業を目指すため、経営人材100人のグループ入りを狙った「永久進化構想」の実現を牽引している。 現在は「永久進化構想」実現のため、若手の有望起業家、起業家予備軍の発掘・リレーション構築の傍ら、最高広報責任者CBOとしてグループのPR/IRも担当する。

大見 周平
  • 株式会社Chompy 代表取締役 

東大法学部を卒業後、2012年4月にDeNA新卒入社。入社後2年間は韓国ゲーム事業に従事し、1年弱のソウルオフィス赴任を挟みつつ、現地マーケティングチームの立ち上げ・新規ゲーム開発を担当。2014年4月から新規事業部署に異動となり、自動車領域・個人間カーシェアへの投資決定を推進し、Anyca(エニカ)の事業責任者を務める。2017年9月、子会社の株式会社DeNAトラベル代表取締役社長に就任。2018年5月、DeNAトラベルの売却を実施。2019年5月にDeNAを退職し、2019年6月に Syn, Inc. を創業。

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人生の岐路に直面した時、もっとも安全な方を選びたいのは人の性に思える。

しかし中には、今回の対談ゲスト・株式会社Chompy代表の大見周平氏のように「取れる中で最大のリスクを取るようにしてきた」人もいる。彼は、官僚や法曹の道へ進むのが当たり前という東大法学部を卒業しながら、国内ベンチャーのディー・エヌ・エー(以下DeNA)へ就職。その後、子会社であるDeNAトラベルの代表取締役社長を退任し、Uber Eatsや出前館など競合ひしめくフードデリバリーの領域で起業している。

なぜ大見氏はそのような選択の仕方をして来たのか。どのような人生を歩んで起業するに至ったのか。

第1回の株式会社タイミー・小川氏に始まり、若手起業家のHACK(突き抜けた)の瞬間に焦点を当てて行ってきた本対談シリーズも今回で4回目。今回もクルーズ執行役員の諸戸友氏がゲストの起業への道のりを深掘りする。

  • TEXT BY RYOYA KUDAKA
  • PHOTO BY RYO SUGANO
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南場智子氏とDeNAとの出会いで人生を大きく方針転換

親族のほとんどが大学卒で、周囲も医者や弁護士を目指す人が多い環境で育った大見氏。東大法学部を卒業するまでは自らの意志で自身の歩む道を選択している感覚なく決まったレールの上を歩いているような感覚があったという。実際、彼の通った高校では生徒の約6割が東京大学へと進学していく。

そんな大見氏が自らレールから外れた道を選択したのは、就職のタイミングだった。周りには法曹界や官僚を志望する同級生が多い中、ベンチャー企業であるDeNAへ就職することを選択したのである。諸戸氏は、なぜ彼があえてそのようなリスクが高いとも言える選択肢を取ったのかが気になっていた。

諸戸なんか大見さんとはいつも飲みの席でご一緒することが多かったので、こういうかしこまった感じは新鮮ですね。

大見そうですよね、最近はそもそも飲み会もなかなかできなかったのでお久しぶりですよね。

諸戸前回お会いしたのはもう1年以上前のことですけど、僕は忘れていませんからね。Chompyバッグもらうっていう約束(笑)。

大見そういえば、ありましたね(笑)。わかりました、ちょうど今日諸戸さんの誕生日ですもんね。帰りに一つ持って帰ってください!

諸戸やったー!(*実際に帰りに一つ頂いたそうです)

ところで、前々から気になっていたんですけど、どうして東大法学部卒からベンチャーへ就職して起業して…。いったい小中高時代にはどんな環境で育って、どんな将来像を描いていたんです?

大見相変わらず唐突ですね(笑)。僕は結構保守的な家庭で育ちましたよ。自分たちのように子供にもちゃんと良い大学へ通ってもらって、弁護士や医者、あるいはいわゆる大企業に就職させようみたいな。中高でも周りはほとんど東大へ行くことが決まっていて、みんな将来は医者か弁護士になる雰囲気でした。親族も同じような感じだったので、それが当たり前という世界観です。

それで僕も最初は弁護士を目指していましたし、就職活動をしていたときもコンサルのようなプロフェッショナルの仕事を中心に考えていました。ただ、たまたま父が南場さんと知り合いだったたようで「ちょうど年頃の息子がいて、よかったら相談に乗ってやってください」みたいな流れで南場さんとお会いすることになったんです。

諸戸なるほど。そういう経緯で。

大見全然覚えていませんが、当時は「P&Gに行きたい」と南場さんに話していた気がします。その時の南場さんは「そうなんだ」と言いつつ、「うちでインターン募集しているから参加してみない?」と提案してくださって。それがDeNAとの出会いです。

諸戸インターネット領域には元々興味があったの?

大見当時インターネットによって世の中の身近なところが変化して来ているのを感じていたところに『SHARE(シェア)』という本や『ソーシャルネットワーク』という映画との出会いによって、インターネットの可能性に対して感銘を受けました。

さらに、南場さんの鞄持ちとしてシリコンバレーに連れて行ってもらう経験もあって、そこで会った人やその場の空気感から直感的に自分が携わるならネット領域以外にないなと感じ、選択肢をインターネット系のスタートアップに絞ったんです。

諸戸そこからDeNAに絞ったきっかけはなんだったのでしょう。

大見熱量ですね。当時のDeNAは叩き上げのギラギラしたタイプから、元はコンサルでバリバリ働いていたようなタイプまで、様々な人がいたのですが、共通して熱量がものすごかった。インターンをしながら、役員クラスの方々と過ごす中でそれを肌で感じました。

優秀な人がいる環境はたくさんあるだろうけど、これだけのエネルギー量と気迫を持ち合わせている集団はDeNA以外にない。DeNAでの経験こそが一番自分を成長させられるに違いないと考えるようになり、インターンへの参加を決めました。

諸戸にしても同い年の時の僕なら怖くてレールに乗っかってしまいそうだな(笑)。怖くはなかった?

大見リスクは感じましたけど、そんなに深刻には考えていませんでした。むしろ、優秀でしかも熱量高い人ばかりの組織の中でしっかり自分なりの成果をを出せないと上がって行けない緊張感が良かった。取れるリスクの中で最大のものを取るというのが僕のポリシーというか、基本方針なんです。

「取れるリスクの中で最大のものを取る」

対談中、大見氏が繰り返し語ったのがこの言葉だった。大見氏が人生で実際に繰り返し検証してきた成長パターンでもある。今回のテーマと言って良いだろう。なぜそこまで自分に負荷をかける選択をして来たのだろうか。

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ヒリヒリする感覚がなくなったらキャリアの変更を考える

持つ物が多いほど、使ってきた時間が長いほど、それを手放すような選択には足踏みするものだ。東大法学部卒でベンチャー就職を選んだり、20代にして子会社の代表まで務めた後で独立し起業を選んだりするのは簡単ではないように思われる。

諸戸なぜあえてリスクを取るの?

大見人ってしんどい時ほど成長するものではないでしょうか。取れないリスクを取ると壊れますけど、取れるリスクの中で最大のものなら自分をすごく成長させてくれる。

諸戸確かにそうかもしれない。とはいえ、ただリスクがあるだけだとダメなわけですよね。そもそも何を基準にして物事の選択を?

大見直感的にシビれる感覚は大事にしています。ヒリヒリする感覚がなくなって来たら、そろそろキャリアを見直す時期かなと考えますね。

主観でいいので、自分の成長曲線が緩やかになっていると感じたり、見えている範囲が変わらなくなってきたぞと気づいたら環境を変える。やることを変える。ずっとそれを繰り返して来ました。

DeNAの面接時にも「30歳で海外を含め一人で事業を立ち上げられる人材になっていたい」と生意気にも話していて、そしたら入社半年でいきなり韓国にゲーム事業を輸出するミッションを与えられ、ソウルオフィスで現地マーケ部門の立ち上げを任されることになりました。

入社1年目の社員に任せるDeNA側も、僕自身にとってもリスクでしかないですよね。でも、シビれる選択だった。その後も何度か事業立ち上げを経験させてもらっていますが、常にそのシビれる感覚を大事に選択してきましたね。

諸戸それはすごい。大きなことを成し遂げたい、世界を変えたいといった野望があるんですか?

大見あんまり野望のようなものはないです。それなりに裕福に育ったので、飢餓感は少ないんですよね。代わりに、死ぬまでに次世代に何か残せたらという気持ちで取り組んでいます。それが動機として一番強い。あとは、失われた30年世代なので何か日本発で世界と渡り合いたいとも漠然と考えています。

諸戸他意はないんだけど、大見さんてあまりギラギラしていないのが面白いなと思うんですよね。日本でもトップクラスにクレバーな方でしょうし、経験値も高い。なのに親近感が湧くというか。

大見そうかもしれません(笑)。おそらく、生粋の起業家というわけではないんですよね。真面目でバランス型だと自覚しています。

親近感を抱かせる柔らかさと共にリスクに果敢に挑戦する大胆さがあり、また自分の力量を見極めた上で絶妙な選択肢を取るバランス感覚に優れる大見氏。シビれる感覚に従って生きて来た彼のHACKの瞬間(突き抜けた瞬間)とはいつなのだろう。

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DeNAで突き抜けたと思う瞬間は「1年目の韓国赴任」

新卒でDeNAに入社した大見氏は、先ほど触れたように社会人1年目にしてソウルオフィスで現地マーケ部門の立ち上げを任され、その後社会人4年目でカーシェアサービス・エニカの事業責任者、6年目にはDeNAトラベルの代表取締役社長を務めるに至っている。DeNAにいる間ほとんど常に事業を率いる立場にいた彼が突き抜けた瞬間はいつなのか。

諸戸DeNAの中で突き抜けたと思う瞬間はいつですか?

大見今思うと韓国の時ですかね。オフィス立ち上げからすぐの時期に事業もまだ軌道に乗っていなくて、現地の社員は増え続けていくばかり。そんな中、新卒から半年経っていないくらいの時でしたが、現地でマーケティング部門を立ち上げるのに尽力しました。

最初は1週間の出張の予定だったのに、だんだん伸びて結局9ヶ月くらいになっていました。付け焼き刃の英語で面接・採用もしていましたし、現地社長とマーケティングコストに関して大激論になったりもしました。

諸戸それが1年目なの!?

大見一緒に現地入りしてくれた先輩が上手くフォローしてくれたおかげでなんとか保っていたという感じですが、白髪が一気に増えましたよ(笑)。

諸戸それはそうだよね。僕の社会人1年目と言えば「名刺獲得して来い!それだけだ」と言われてたぐらいですからね。

大見あの時に色々と無理難題を突きつけられて、目の前のことを必死でやっていたらいつの間にか自分のできること増えていた。あの時が伸び幅はすごかったと思います。

取れる中で最大のリスクを取ることで、必死でやればギリギリやり切れるミッションが次々舞い込み、それを一生懸命こなすうちにできることが増えていた。これが大見氏の成長パターンなのだろう。彼は今も変わらず日々このサイクルを回し続けている。

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起業して自分の余白がまだまだあることに気が付いた

DeNAトラベルの株式譲渡後、大見氏はすぐさま会社を設立、2020年にはUber Eatsなど競合ひしめくフードデリバリーサービスの領域で「Chompy(チョンピー)」を正式にリリース、瞬く間に500店舗以上の飲食店と提携。6.5億円の資金調達にも成功している。

チョンピーはグループ注文機能などにより価格の安さを実現しており、そこにはプチ贅沢としてではなくコンビニ利用のような感覚でフードデリバリーを利用してもらいたいという大見氏独自の考えが現れている。

諸戸チョンピーのビジョンについて教えてください。

大見日常の食生活を豊かにすることです。日本は世界と比べても食の提供者側に情熱があって、量・質共に整っています。にも関わらず、調査してみると、夫婦共働きの家庭や単身世帯が増えた今、多くの人が満足のいく食生活が送れていない現状がありました。

そこで我々は、良い食をいかに安くテクノロジーで届けていくかを追求することにしました。まずは国内に良い食べものを行き渡らせて、次に海外へ進出するつもりです。南場さんにも起業するときにその話はしていて、おかげでお会いするたびに「で、いつ海外に出ていくの」とその話ばかり聞かれています(笑)。「小さくまとまんなよ」というメッセージとして受け止めています。

諸戸南場さんかっこいいなあ。チョンピーを始めてからは突き抜けたと感じますか?

大見事業としてはまだまだです。しかし、かなり厳しい瞬間もあり、個としての成長角度でいうと今が一番高いのではないかと感じます。毎日ヒリヒリ。大企業にいるとなかなか感じませんけれど、スタートアップだとやはりお金周りのシビアさがあります。それから、幸いなことに優秀な方が集まってくれているので、僕が怒られることも度々あります(笑)。その度に、自分には成長余白がまだこんなあるのかと驚かされます。

ガラッと環境を変えたり、体を張って事業を作りに行くとこれだけ入ってくる情報や目線が変わって来るのかと改めて違う次元で気付かされました。

諸戸DeNA時代に子会社の代表をしていた時とも全然違う?

大見全然違いますね。自分が勤める側だと究極的には会社のせいにできてしまいますが、起業だと0~100まで全てが自分の責任なので重みが違います。

それで最近思うことなのですが、学生から起業して事業を軌道に乗せている方々って素晴らしいなと。僕は一応DeNA時代に色々経験してきた上で、起きるだろうことを認識しつつもかなりヒリヒリしながらやっているので、社会人経験のない学生が会社として成立させている方々には感服です。

諸戸たらればの話にはなりますが、学生起業ではなくDeNAを経てから起業してよかったと思いますか?

大見僕の時代では良かったのかなと思います。もし今新卒なら即起業でも良いと感じる側面も強いですね。人・お金・情報、あらゆるものの力学が大きい企業よりもスタートアップの方に有利になって来ているのではないでしょうか。起業しないにしても、スタートアップの優秀な経営陣と働くという就職の仕方の方も良いと思うし、若い子によくそうアドバイスしてしまいますね。

大手企業で数々の事業立ち上げを経験している大見氏であっても、起業はヒリヒリさせられることの連続なのだ。高い成長角度を望み、もし自分の「取れるリスク」の中に起業があると思うのなら、挑戦してみても良いかもしれない。

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取れるリスクの中で最大のものを取り続けろ!
すると成長は約束される

最後に諸戸氏は「過去の自分と同じようにいろんな選択肢で迷っていて起業も選択肢としてある子がいたらなんとアドバイスするか」を尋ねた。

大見「取れるリスクの中で最大のものを取ろう」とはキャリア相談をしてくれる若い世代の人たちに必ず言っています。

人それぞれ受け止められるリスクは全然違いますけど、少なくともその基本だけ押さえておけば個としての成長は必ず付いて来ます。取れないリスクを取ると潰れてしまうので、そこをどう自分で見定めて腹括って向き合うかだと伝えます。

今回のインターンシップでは、大見氏をはじめメンターを務める若手起業家たちによるドラフト形式でチームが選抜される。プログラム期間中は毎日参加者の事業アイデアに対し彼らがフィードバックをくれるという。大見氏はどんな学生チームをメンタリングしたいと考えているのだろうか。

大見「こういうことをやりたい」「こんな世界を作りたい」に対する直感的な軸とか独自の視点を持っている人と向き合うのは楽しいですね。世代が違うと見ているところも全然違うと思うので期待が膨らみます。派手でなくてもいいので、自分なりのブレない部分がある学生をお待ちしています。

諸戸ロジカルかつ大胆な大見さんとの出会いは学生にとって大きなインパクトになりそうです。とにかく説得力がすごそう(笑)。面白い学生を集めるのでぜひ楽しみしていてください!

シビれるような感覚に従い、ヒリヒリするような環境に身を置き、がむしゃらに取り組む。大見氏はこのようにして自分を強くしてきた。

11月にクルーズが開催する「ガチンコ事業開発インターン」は、学生に向け、採算を度外視ししてヒリヒリするような環境を用意している。直感的に痺れる感覚を抱いた学生はぜひ名乗りを上げてみてはいかがか。

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今回の対談記事で撮影協力をしてくださった企業紹介

株式会社ラブグラフ

写真:カメラマン 菅野亮氏

ビジョン

幸せな瞬間を、もっと世界に。

サービス

こちらの記事は2021年09月21日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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沖縄出身の大学生。21歳。個人・法人の専属ライターとして中期的に発信をサポートするパーソナルライター個人のnoteはこれまでに約7.5万ビュー。趣味は読書。

写真

菅野 亮

東京を拠点に、日本中を旅するフリーランスフォトグラファーです。
出張撮影ラブグラフにて、ウェディングフォトや家族写真のほか、企業様からの案件も撮影しています。丁寧な打ち合わせと明るい人柄で、魅力を引き出す撮影が得意です!

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