連載FastGrow Conference 2021

DeNAのOBOGは、なぜ本気でDeNAキャリアを推す?
“無茶振りカルチャー”をミラティブ、シン、YOUTRUSTの起業家3人が楽しく振り返る

登壇者
赤川 隼一
  • 株式会社ミラティブ 代表取締役 

2006年、株式会社ディー・エヌ・エーに入社。「Yahoo!モバゲー」等の立ち上げ後、新卒出身者として初の執行役員に就任し、海外事業の統括やゲーム開発に携わる。2018年2月、「わかりあう願いをつなごう」をミッションに株式会社エモモ(現 ミラティブ)を創業し、日本最大のスマートフォンゲーム配信サービス「Mirrativ」を運営中。

大見 周平
  • 株式会社Chompy 代表取締役 

東大法学部を卒業後、2012年4月にDeNA新卒入社。入社後2年間は韓国ゲーム事業に従事し、1年弱のソウルオフィス赴任を挟みつつ、現地マーケティングチームの立ち上げ・新規ゲーム開発を担当。2014年4月から新規事業部署に異動となり、自動車領域・個人間カーシェアへの投資決定を推進し、Anyca(エニカ)の事業責任者を務める。2017年9月、子会社の株式会社DeNAトラベル代表取締役社長に就任。2018年5月、DeNAトラベルの売却を実施。2019年5月にDeNAを退職し、2019年6月に Syn, Inc. を創業。

岩崎 由夏

大阪大学理学部卒業後、2012年株式会社ディー・エヌ・エーに新卒入社。新卒、中途の採用を担当。2016年子会社ペロリに出向し経営企画を担当。2017年株式会社YOUTRUSTを設立。

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数々の起業家を輩出してきたことで有名な「ディー・エヌ・エー(以下、DeNA)」。まさに「人材輩出コミュニティ」と言っても過言ではないだろう。アカツキの塩田元規氏やビビッドガーデンの秋元里奈氏もまた、同社が輩出した起業家である。

彼ら彼女らにその秘密を改めて聞いてみたいと考えたFastGrowは2021年1月、FastGrow Conference 2021にて、セッション「人材輩出コミュニティとは、何か?【人材輩出企業DeNAのOB/OG起業家が明かす】」を企画。ミラティブ代表取締役の赤川隼一氏、『Chompy』を展開するシン代表取締役の大見周平氏、YOUTRUST代表取締役の岩崎由夏氏の3名を招いた。

OBOGだからこそ分かる、DeNAとは一体どんな会社なのか?なぜ起業家を輩出するコミュニティが生まているのか?3名がハイテンションで語った本音をほぼ書き起こしでお届けする。ここから、人材輩出企業の秘密を改めて読み解きたい。

  • TEXT BY HARUKA FUJIKAWA
  • EDIT BY YUTA TANAKA
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DeNAは、忖度が大嫌いです

──今回はDeNA出身の起業家の皆さんにお集まりいただいております。直前まで打ち合わせをしていたんですが、その場でもとても盛り上がっていて。正直、お話がどこに向かっていくのか分からず不安な部分もありますが……(笑)。まずは自己紹介をお願いします。

赤川僕はDeNAに2006年入社で、12年いたことになります。なのでDeNAのカルチャーに色濃く影響を受けていると思います。どうやらDeNAはこのカンファレンスにスポンサーとして入っているらしいのですが、この会社はとにかく忖度が大嫌いなので、僕らも忖度はせず、当時感じていたままを話していきたいなと思っております(笑)。開示事項として、ミラティブはDeNAから出資を受けていません。

あと、DeNAでは会議に参加したら何か必ず発言しようね、というのが強く推奨されていました。今日ご参加いただいてる皆様におかれましては、ぜひガヤでもツッコミでも何でもいいので、コメント等で参加いただけると、DeNAのセッションっぽくなるんじゃないかなと思ってます。よろしくお願いします。

株式会社ミラティブ 代表取締役 赤川隼一氏(登壇時の様子)

大見(視聴者が)今、何人か減りましたね。

岩崎こわい(笑)。

赤川こういう話をしてほしいと投げてもらえれば、極力応えたいという気持ちでいます。

自己紹介をすると、2006年に入社して、営業・マーケティング・サービス企画をやった後、『Yahoo!モバゲー』という事業を責任者として立ち上げて、その後は海外展開でDeNA Seoulの立ち上げとグローバル展開の責任者をやっていました。当時のグローバル展開はうまくいかせられなかったので、会社にも申し訳ないし、僕としても人生の大きな失敗体験として残ってます。

その上で、次はグローバルで優位性を持てる、かつ大きな事業をしようとゼロから始めたのが『Mirrativ(ミラティブ)』というサービスです。2018年にありがたいことに事業をDeNAから買い取らせていただいて、今は日本最大のゲーム配信アプリとしてDeNAから離れ、スタートアップとして頑張っています。

DeNAには12年いて、新卒出身、執行役員で、経営会議も出ていたので、当時の会社のことはよく知っているつもりです。

ミラティブはゲーム配信・ライブストリーミングの会社で、「わかりあう願いをつなごう」という強いミッションのもと経営しています。今、分断の時代だと言われているなか、人と人の願いをつなぐものとして、ゲームや趣味のパワーを信じています。すべての行動や発信には人の願いが詰まっていますが、しかしそれはなかなか届かず、いまだに孤独や自殺といった問題は残っています。人と人が分かりあう難しさは現代のテクノロジーでも解決されていません。そういった社会課題を解決するためにミラティブをやっています。今日は短い時間ですが、よろしくお願いします。

株式会社シン 代表取締役 大見周平氏(登壇時の様子)

大見大見と申します。入社した時から赤川さんと絡みがあり、付き合いは長いです。僕と岩崎は2012年に新卒入社。最初の2年間、「モバゲーを海外に持っていくぞ」と、知る人ぞ知る『Daum Mobage(ダウムモバゲー)』という韓国でのプロジェクトをやって、僕も赤字だけ作って退職したタイプです。なので会社には感謝しかありません。2年間通しで韓国オフィスに行ったり、新規ゲームタイトルを作ったり。その後、本業の国内ゲーム事業ではなく、新規事業とか、子会社の代表とか新しいプロジェクトをしてきました。

丸7年勤めて、一昨年(2019年)の夏頃に退職。『Chompy(チョンピー)』というプロダクトを今立ち上げてるところです。今は割と狭いエリアのフードデリバリーサービスを提供しています。最近、結婚して子供が生まれるなかで、僕自身も日常の食生活が乱れていたという背景もあって、そこの課題解決がしたいと思い、今立ち上げてます。このセッション後、『Chompy』を使っていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

株式会社YOUTRUS 代表取締役 岩崎由夏氏(登壇時の様子)

岩崎初めましての方も多いと思いますが、岩崎と申します。Twitterが好きです(岩崎氏のTwitterアカウントはこちら)。大見さんと同時期に入社をしたので仲がいい方だと思っています。しかし大見さんのように子会社の社長とか、赤川さんのように最年少執行役員とか、華々しい経歴は私にはなくて。めちゃくちゃ泥臭く、一兵卒として、現場で採用をやっていた人間です。

その後『MERY』をやっていた子会社のペロリに出向し、中川綾太郎さんという、ものすごく面白い起業家と出会いました。それをきっかけに、2017年12月28日、YOUTRUST(ユートラスト)を設立。2018年にサービスをリリースしています。

ざっくり言うと、嵐が大好きです。休止してしまったのと直近ショックのニュースがあったので、赤川さんからイジられたんですが。

赤川DeNAの話をするという中で、先に嵐の話が始まってしまいました。

岩崎嵐のほうが、国民的人気度は上なんで。

あとは0歳の息子がおります。個人の目標は令和の「働く女性のロールモデル」になること。信頼される方が報われる転職市場にするために、キャリアSNSの『YOUTRUST』というサービスを作っているので、ぜひ30秒で登録してみてください。

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入社後数年は、必死に背伸び

──皆さんありがとうございました。すでにコメントや質問も来ているので適宜拾っていければと思います。一応トークアジェンダを置いてますが、脱線する前提で進めます。一つ目のテーマは「今だから語れる当時の話」。3名の関係性が分からない人もいるので、在籍当時のエピソードを聞きたいです。一番年上の赤川さんを挙げさせていただいて、大見さんと岩崎さんお話しいただけますか。

赤川大見さんとは、一緒に働く中で濃い時間を過ごしました。

大見濃かったですね。良い話から入ると、先ほどの『ダウムモバゲー』の話ですが、「ダウム」は韓国で言う「Yahoo!」のようなメディアで、当時「日本から海外にモバゲーを持ってくぞ」と、韓国に日本のプロダクトベースで持っていこうとしていたんです。社長と守安さん(現代表取締役社長兼CEO 守安功氏)直下でゴリゴリやるプロジェクトでした。赤川さん、提携の話をしていたのは何年目のときでしたか?

赤川新卒5〜6年目ですかね。

大見某巨大サービスとも話したりしてましたね。その会社は今とても大きくなっているんですが、「某巨大サービスかダウムか」という話を、当時は赤川さんがボール持っていて。

僕はインターンだったんですが、「いろいろ調べたいから、ちょっと手伝ってよ」と赤川さんに言われて。南場さん(現代表取締役会長 南場智子氏)がよく言う「打席に立った回数だけ強くなるんだ」をまさに現場で体現しているような人でした。ピリピリしていましたが、とにかく強い人、すごい人という第一印象でしたね。

赤川『ダウムモバゲー』はモバゲーの韓国版です。僕は日本で『Yahoo!モバゲー』を作っていて、韓国に持っていけないかと思っていたんです。PCのポータルサイトの課題を深く把握していたので、交渉は上手くいきました。スピードでいうと人生で一番のレベルだったんです。4~5日の滞在で、韓国2位のポータルサイトとディールを決めて帰ってきました。

良い話にまとまって、そのときは最高だったんですが、その後、うまくいかなかったという、失敗の歴史でもあります。片方にとって最高の条件で案件を決めることは、必ずしも提携が最もうまくいく着地ではない、という学びでした。そういうのも、前線に立たせてもらったからこそ経験できた。逆に言うと、そういうヒリヒリした経験を、入社5〜6年目でさせてもらったというのはありがたいことですよね。

岩崎大見さんは、マッキンゼーの内定蹴って、DeNAに入ってますからね。その意思決定は、本当にいい意味でアホだなと思います。

私は、赤川さんは「漠然と怖い人なのかな」としか思っていませんでした。今でこそこのように喋らせてもらってますが、最年少執行役員というイメージが強くて。私たちの6代上なんですが、「20代の中では圧倒的に強い」といった印象でした。もう「DeNA of DeNA」といえば赤川さんという感じだったので、採用担当としても「面接頼むの怖い」と思ってました。

赤川すいません、本当に懺悔します。

岩崎どうしよう、この後絞められるかも(笑)。

大見新卒のエースといえば、赤川さんという感じはありましたね。

岩崎そういう意味で言うと大見さんも、私たち同期の中では「マッキンゼーを蹴って来たやつが居るぞ」とざわついていました。当時からエース扱いでしたよ、本当に。

大見僕自身、うざい人間だったという自覚があるんで、懺悔したいです。

赤川当時の大見さんは22歳っぽくなかったですね。すぐフレームワーク出してくるし。だから「マッキンゼーの内定を断って来た感」があった。けれど、どんどん現場の空気を吸って変わっていった。大見さんの素直さや柔軟性は感じていました。

今日のテーマに絡めて言うと、DeNAは世間ではロジカルな人が多い印象があると思うけど、実際にはどちらかというと、熱いエモさ、エモーションの会社の側面が強い。そこは意外と知られてない気がします。

大見意外と言われますよね。

赤川僕の黒歴史っぽく語られましたけど、実際のところ当時は、27〜28歳で普通に企業の中でキャリアを歩んできた人でしかありませんから、大した知識や経験はありません。だからこそ当時の僕は相当背伸びしていたと思っています。

今でも覚えているのは、初めて経営会議に出たときです。IFRSという会計の議論をしてましたが、全く分からなかったんですよね。B/Sもろくに読めない、P/Lも本質的な理解などまるでできていない状態。背伸びして必死に裏側で調べて、何とかついていってました。それは僕にとって黒歴史だけど、成長環境でもあった。とにかく全力で吸収しないとついていけない状況が、常にあったので。

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成長していることが人生の幸福

大見新卒でも大きめなボール投げられて、みんなギリギリのところで生き延びてる感じでした。

岩崎私、毎日泣いていましたよ。

大見毎日は大変ですね。

赤川岩崎さんは、本当に泣いていたイメージがあります。

岩崎本当にしんどかったけど、すごい楽しかったです。

赤川そんな岩崎さんは楽屋で、「今の業界は当時のDeNAほど本気ではないのでは」という警鐘を鳴らしていましたけど、どうですか。

岩崎ちょっとやめてください(笑)。

大見確かに、DeNAの熱量はすごかったですね。

赤川成長環境コミュニティの議論で言うと、僕は「自分Do or 自分Die環境」と呼んでいました。いわゆる「自分がやる or 自分が責任をとる」というような環境が人間を成長させますが、振り返るといつもそんな環境でした。起業した人は、その状態にあるからこそ、急速に成長できるのだと思います。

岩崎最近、「成長は何かの手段ではなくて、成長しているということ自体が人生の幸福である」という話を本で読みました。そこにしっくりきたんですよ。当時、目標があるタイプの人間ではなかったんですが、毎日成長実感はあったんですよね。昨日より自分がマシになっている気がして、自信もつく。本当に辛いけど頑張っていたら、いい成果も出ます。ストレスは悪いものだけじゃなく、良いものもあって「本当に成功した!嬉しい!」といった、良いストレスで生きてる!という実感がありましたね。

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DeNAにいたからこその、三者三様の創業ストーリー

岩崎私たちの思い出話よりも、視聴者の身になることを話した方がいいですね。そろそろいただいてる質問の話をしましょう。

赤川さすがの管理力です。

岩崎「DeNAというメガベンチャーで働いている時に、どのようなマインドの変化があって、起業に至ったのか知りたいです」と来ていますね。

赤川ありがとうございます。じゃあ、順に話しましょう。

岩崎赤川さんのMBOの背景を聞きたいです。

赤川僕は起業したくて起業したとか、独立したくて独立したというわけではないです。会社の状況も含めたときに、「どうすれば、Mirrativというこの事業が最も伸びるのか?」という観点を一番に考えていました。当時、Mirrativを会社の最重要事業にすることはありえなかったので、南場さん守安さんは真摯に向き合ってくれて、お互いにとってベストな着地になりました。少なくとも事業とユーザーにとっては、独立が一番いい方法だったというのがシンプルな理由です。つまり僕は結果的に起業したんです。そういう意味では、何もないところから意思決定をした人は、尊敬します。

岩崎大見さんの起業はどういう経緯だったんですか。

大見Anycaにいた時、ネットを通じて個人がつながっていくエネルギー、リアルな場の楽しさを、事業として深ぼりたくなってしまって。会社で求められる規模や成長スピードなどがある中で、自分が作りたいものとの歪みが起きるメカニズム、瞬間などを自分の事業以外でも見てきていて。

そこのリスク含めて、「社内で新規事業としてやりたいです」と、両代表にぶつけました。その中で、赤川さんのようにプロダクトを持ってたわけではないので、まずは社内でやるのか、社外で起業してやるかを考えました。結果、南場さんとの会話で「社外がいいかもね」となり、起業しました。なので、今は出資もしていただいてます。

赤川南場さんも日々、変化していて刺激を受けます。

大見昔だったら「ああ?」と、理解を示してくれない感じで言われるような文脈の話ですが、かなり応援してくれています。

赤川岩崎さんはどうですか。僕は岩崎さんが起業するイメージは持っていなかったので当時驚きました。

岩崎私は一切、起業願望がないプロ会社員でした。なので今でも「自分が社長なのか?」と思うときはあります。その中で一番大きな要因は、転職市場への課題を感じたことです。莫大な量の課題があり、それをなんとかしたかったというのが初期からのモチベーションですね。

私たちのセッションのお題に「大前研一は言った」から始まって、「自分を変えたい人は一緒にいる人を変えろ!」という一説がありますが、それは自然と行われていたなと思いました。

ペロリに出向した際、中川綾太郎さんの秘書のようなことをやっていたんですが、毎日、綾太郎さんの部屋をおせっかいで掃除していました。彼は身の回りのことが出来なさすぎるので、勝手にカバーしていたんです。それを通じて思ったのは、怒られるかもしれないですが、「え!こんな人でも起業できるんだ」ということ(笑)。

大見実際にペロリからは、起業する人やスタートアップに行く人が多いね。

岩崎かなり多いです。そして、私は起業家の友達が増えましたね。綾太郎さん経由でいろんな方にお会いして。投資家界隈の方ともコミュニケーションすることが増えました。その中で「これだけみんなやっているならば、私でもできるのではないか」と思ったんです。最後に背中を押されたのはそこだと思います。

赤川社内もですが、「社外の目を適切にもらえる環境があるか」というのは重要ですよね。執行役員になってよかったのは、経営者のカンファレンスなど、社外のイベントに会社を代表して出られるようになったんです。そこでの交流を通じて、経営者や投資家なども、自分たちと同じ人間であることに気がつきました。

創業者の川田さん(DeNA共同創業者・エンジェル投資家の川田尚吾氏)が言っていた、「健全な嫉妬」という単語、僕はとても好きです。シリコンバレーの根底にあるような雰囲気はとても大事だと思います。少なくともDeNAは、社内で健全に嫉妬しあって切磋琢磨する環境もありましたし、社外も同様ですね。

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成長したのは「全力コミット」のおかげ

大見良い話になってきましたね。次の質問にいきましょう。

──次の質問は「DeNAが世の中から良い意味でずれているところ」。悪い意味でも構いません。事業家が育つコミュニティとしての要素も考慮しながら、何かエピソードをお願いします。

岩崎「全力コミット」はとても良い単語だなと思っています。DeNAには世間でいうバリューのような『DeNA Quality』という5カ条があるんです。その中に「全力コミット」という単語が入っていて、「全力を出し尽くすのは当然です」と書いてあるわけです。

DeNAの人たちは普段から全力なので、「手を抜く」は選択肢にないわけですよ。しかし世に出てみたら、手を抜く会社員が結構沢山いました。何かのためにセーブしているのかなと思いつつ、もったいないなとも思っています。自分の会社では全力コミットは当たり前にしたいと思ってます。

──「全力コミット」は確かに大事だと思いますが、強要する形のようにみえる心配はないのでしょうか?皆さんの会社では、どのようにバランスをとっていますか。

岩崎脳みそがぐちゃぐちゃになるくらい考え尽くしたものは、アウトプットに思考の片鱗が見えると思っています。「岩崎に喋らないといけないから、20分でつくりました」というものと、毎日、歯ブラシしながらも考えたものは全く違うと思っていて。前者のようなものを見たときには「これって、これ以外ないんだっけ?」という話はしてしまいますね。「たくさん考えた上で、これであるならばやろう。まだ考えられる余地があり、全力ではなかったと思うのならばやり直そう」という声をかけています。

大見岩崎さんのところは、共同創業者も山田というDeNA同期のエンジニア(取締役の山田昌弘氏)なので、根底でカルチャーが強いのかもしれないですね。

岩崎そうかもしれないです。しかし精神はDeNAですが、コミュニケーションはYOUTRUSTです。当時の私とは、コミュニケーションの取り方が全く違いますね。

赤川当時、行動指針を明文化しているベンチャーはまだ少なかった。僕はこの『DeNA Quality』という経典ができた時、まさに社内の真ん中にいました。

背景を少し話すと、2007年頃、急速に人数が増えて南場さんが最終面接を全員とはできなくなって、採用基準が揃わなくなった時期があったんです。それで2000年代後半、会社が苦しんだ時期があるんですね。その時に「これを持ってない人は絶対に採用しない」という『DeNA Quality』ができて、それが今も続いています。「行動指針策定が流行っているから、つくりました」ではなくて、経験を元にして生まれたものだからこそ、定着してるのだと思います。

大見僕もインターン生のとき、「雨が降っても自分のせい」という言葉をかけられていました。あらゆるミスを自責として解釈した方が、自分の成長につながるし、楽であるという意味です。強いメンタリティーが前提になった戦場が、経営レイヤーでは当たり前でした。そして上に近づけば近づくほど、そのメンタリティが濃くなっていくんです。「独特の戦い感」がありましたが、僕は若いときにそこに入り、成長しました。

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DeNAは新卒採用への思いが強い

──DeNA精神の延長で、ご質問もいただいてます。カルチャー、仕組み、KPI管理方法などで、ご自身の会社に取り入れてよかったものはありますか。

赤川「人が一番大事」という言葉は、DeNAに入社したタイミングから言われ続けています。よく覚えてるのは2006年、会社が150人ほどのときです。南場さんが「この前飛行機乗ったんだけどさ、添乗員の人が本当に感じがよくて、即スカウトした」と言ってたんです。

当時は意味が分からなかったのですが、そのぐらい必死で、常に優秀な人を追いかけていたということです。それこそSHOWROOM代表の前田裕二くんを口説く時、僕も一緒に口説いたんですが、地獄の果てまで追いかける勢いで、トップが追っかけ回していたんです。僕自身も会社をつくるときは、真似をして採用を最優先で取り組みました。

岩崎私も採用チームにいたのでよく分かります。特に南場さんの「新卒採用への思い」は強かったですね。私の会社もまだ15人ほどですが、その中で二人は新卒です。彼女たちは私よりも、YOUTRUST精神を持っていますよ。

大見僕たち新卒組はDeNAしか知らないから「これがDeNA!」というのは、正直分からないです。

岩崎息をするようにやっていたかもしれません。やはり、採用へのコミットは凄まじかったですね。人は採るときに妥協はしない。

「何月何日までに、何人取らないといけない」という目標があるので、途中で採れなかったら基準を下げたりすることが、採用の仕事ではありえます。しかしDeNAは絶対にそれをやらない。採れなかったら、採れるまでやる。そして役職採用もしません。中途の人も一兵卒入社です。実績を出した人が上がるシステムなので、納得感はありますよね。

大見執行役員クラスでは特に、強みが多様です。プロダクトに強い人、システムに強い人、BizDevに強い人、プロマネに強い人。強みが違う人が重なって、プロジェクトを成功に導き、事業を伸ばしてきました。世の中で、BizDev・セールス・プロダクトの全部綺麗にまわっている会社は多くないです。

システムサイドとBizDevサイドでは「BizDevの都合で話さないでください」などとよく喧嘩していましたね。役員陣、コアメンバーは、相互にリスペクトしつつも、基本は戦闘ポーズ。それでも「自分のポリシーを持って、向き合うぞ」という雰囲気は、とても良かったです。DeNAの採用は、今僕の会社の採用基準の参考になっていると思います。

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会社のカルチャーをつくるのは「人」

──三人が経験してきたカルチャーは、組織作りの要素として「再現性」はあるんでしょうか。ご参加いただいてる方で、スタートアップのCxOも多いです。今の話を聞いて、「じゃあうちもそうしよう」というのは上手くいくと思いますか。

赤川再現する必要はありません。会社の文化はその会社にいる人が醸し出すものです。特にスタートアップにおいては、初期の代表や経営陣であり、10人目くらいまでの人が醸し出す文化が形づくるものです。

強いて言うなら、言行不一致にならないことは大事ですね。自分たちが決めた文化、行動指針に対して「やると言ったらとことんやれるか」に尽きます。DeNAは「決めたら徹底する」力が強かったからこそ、文化も仕組みも浸透しました。経営会議で全然違う意見を表明していた人がいても、議論を尽くして会議で決定したものには、会議室を出た瞬間からどうすれば決めたことがうまくいくかだけを考えることが徹底されていました。

大見仮に言行不一致がない前提で、DeNAのカルチャーを取り入れたいときは、バリューや行動指針をど真ん中で体現してた人を巻き込むべきです。カルチャーとは絶妙なバランスで成立しているし、人がつくってきたものには、文字には出てこない熱量があると思います。座学ベースで取り入れるのは、本当に難しい。どうしてもと言うのであれば、その熱源になったであろう、マフィアを巻き込む必要があると思います。

岩崎私も再現する必要はないと思います。時代に合わせた強い組織になることの方が大事なので、DeNAを真似しても意味がないです。ただフレームワークとして、何か真似できるものはあるとは思います。採用の話や、「全力でコミットは当たり前だよね」という雰囲気を出すことなど。私たちの会社もバリューはありますが、全くDeNAと違うものです。でもそれでいいんです。

赤川SNSを見ていると、周りが格好よく見えるというのと一緒で、企業カルチャーも「Googleかっこいい」「Netflixすごい」となりますよね。しかしGoogleの真似をしたらいいわけではない。外部の情報に影響されるよりも、「自分たちの事業やキャラクターをいかに滲み出した文化をつくるか?」を考えることを私も意識しています。

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起業したいなら起業に近い環境に身をおけ

──一番大事な質問を忘れていました。これから起業したい、経営者になりたい人へ向けて、良いコミュニティの見つけ方を教えてください。

岩崎起業家のそばにいるのが一番です。「灘高校の人が、みんな東大に行く」と同じだと思っています。起業家の友達が多いと、気がつくと自分も起業家になっていたりするんです。例えば、スタートアップに行く。起業家の近くで働けるポジションは、社会に転がっていると思います。副業で、起業家と働けるサービスあるし、面白い人と働ける「YOUTRUST」っていうサービスも出ているのでよろしくお願いします(笑)。

赤川経営者として必要な能力は自分で経営しないと蓄積できないことも多いです。やりたいことがあるのなら、早く行動した方がいいです。逆にやりたいことが分からない人は、やりたいことがある人の近くで貢献していくのがいいと思っています。その時のカギは、行動が自分の責任として跳ね返ってくる環境かなと思いますね。

大見僕は入社してから、新卒採用に関わらせてもらいました。2013〜14年の採用面談では「チャレンジしたいです」と言う方に対し、結果的に「何で起業しないの?」という話に行き着くことは多かったです。将来、起業したい人、ヒリヒリした環境で成長したい人は、自分で起業するか、起業に近い環境に身を置く。そこに飛び込むのが一番いい方法だと思います。社会に多様性も出てきていますので。

──それでは最後に、30秒ずつコメントをいただいて、終われればと思います。

岩崎もしこの中に、DeNAに入るか悩んでる方、あるいは就職活動をしている方がいらっしゃったら、本当におすすめします。私ももう一回人生あったとしても入ります。ちなみに、二番目にYOUTRUSTという会社がすごくいい環境だと思います。ぜひ弊社に興味あれば、中途、新卒全方位採用中なので、よろしくお願いします。

大見DeNAに育てられて、DeNAしか知らないですが、あの環境にあのタイミングで入れたというのは幸せでした。その中で得たものを今、社会に還元するべく、死ぬ気で頑張ってます。同じ熱量で働く人が、周りにいることはとても嬉しいですし、今後もそういう会社が増えていくと思います。

赤川難しい課題に直面しても乗り越えていけるのは、何から何までDeNAに教えてもらったおかげです。今日は、新卒世代以外の人もいると思います。大事なのは「自分のいる環境をどう正解にしていくか」です。南場さんに影響を受けて「人生はABテストできないから、自分の選んだ方を正解にするしかない」と言っていたことがありますが、「いかに自分のやってることを、一時の失敗も含めて、最終的に正解にしていけるか?」というのは、自分次第だと思います。

情報が多い時代だからこそ、本当にやりたいことを全力でやって、世の中を良くしていけるといいのではと思います。分断の時代なので、人と人をつなぐことに興味がある方は、ぜひミラティブへ。

こちらの記事は2021年05月07日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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1998年生まれ、広島県出身。早稲田大学文化構想学部在学中。HRのスタートアップで働きながら、inquireに所属している。興味分野は甘いものと雑誌と旅行。

編集

田中 佑太

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