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INTERVIEW
河瀬 航大 小林 奨
17-12-06-Wed

国内スマートロックの第一人者フォトシンス河瀬、さらなる“発明”を予告
「未来を思い浮かべて未来を作る」

TEXT BY MISA HARADA@HEW
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#1
元SMS海外支社長が挑む! 海外不動産取引の超巨大市場を開拓するグローバルスタートアップBEYOND BORDERS
株式会社BEYOND BORDERS マレーシア支社長 玉邑 憲一 株式会社BEYOND BORDERS 代表取締役 遠藤 忠義
#2
200兆円とも言われる 「B to B受発注市場」を変革するスタートアップユニラボ
株式会社ユニラボ CEO and FOUNDER 栗山 規夫
#3
教育業界に変革を。 グリー、アドウェイズ、リブセンスなど、インターネット業界で数々のビッグサービスを生み出してきたメンバーが集まる EdTechベンチャースタディプラス
スタディプラス株式会社 営業部部長 長内 尊司 スタディプラス株式会社 For School事業部部長 宮坂 直
#4
「unisizeをECのインフラへ」 ファッションECの購入不安を解消するメイキップの野望
株式会社メイキップ 代表取締役CEO 柄本 真吾 株式会社メイキップ 取締役CFO 山本 晃央
#5
「テクノロジーで投資銀行業界に創造的破壊を」 15歳で起業した起業家が知る、投資銀行の闇
TIGALA株式会社 CEO 正田 圭 TIGALA株式会社 副社長/CFO 湯瀬 幾磨
#6
「データで医療界にイノベーションを」 医師・マッキンゼー出身者が集う情報医療(MICIN)・原が描く医療の未来図
株式会社情報医療 CEO,医師 原 聖吾 株式会社情報医療 COO 草間 亮一
#7
「物流の未来を、動かす」 社会問題にもなる巨大市場を変革するネットエイジ・マフィア オープンロジ伊藤
株式会社オープンロジ 代表取締役CEO 伊藤 秀嗣
#8
個人間送金は日本で浸透するのか? 無料送金アプリKyashが描く“価値交換”の未来
株式会社Kyash Founder & CEO 鷹取 真一 株式会社Kyash VP of Strategy 清水 一浩
#9
野性感あふれるビジネスマンへ。 Pro-D-useが考える“Made By Someoneの時代”の生き残り方
株式会社Pro-D-use 代表取締役 小笠原 亮太 株式会社Pro-D-use 取締役副社長 岡島 光太郎
#10
子ども写真を リーズナブル、ユーザーファーストに CELEBABYが変える親子の思い出アルバム
株式会社RETAIL INNOVATION 代表取締役 永田 和樹 株式会社RETAIL INNOVATION 取締役 谷野 祐規
#11
国内スマートロックの第一人者フォトシンス河瀬、さらなる“発明”を予告 「未来を思い浮かべて未来を作る」
株式会社フォトシンス 代表取締役社長 河瀬 航大 株式会社フォトシンス 共同創業者 小林 奨
#12
世界のイノベーションを加速させる、 多彩なキャリアのプロフェッショナル集団アスタミューゼ
アスタミューゼ株式会社 事業開発部部長 嶋﨑 真太郎 アスタミューゼ株式会社 開発・インフラ部部長 並河 祐貴 アスタミューゼ株式会社 テクノロジーインテリジェンス部リーダー 酒井 康博
#13
MAKERS UNIVERSITY卒業起業家! 日本の観光産業拡張を目指す“結.JAPAN”
株式会社結.JAPAN CEO / Co-Founder 中山 雅久理 株式会社結.JAPAN 共同創業者 府川 勇介
#14
「皆が挑戦する世界は正しい」 Tryfunds丹野が掲げる挑戦し続ける経営
株式会社Tryfunds 代表取締役社長CEO 丹野 裕介 株式会社Tryfunds 取締役CFO 白髪 亮太
#15
徒歩5分以内の見つからないをなくす? tritrueの超ズボラ社長が目指す検索の新しいカタチ
株式会社tritrue 代表取締役 寺田 真介 株式会社tritrue マーケティングゼネラルマネージャー 原嶋 宏明
#16
目指す世界はデベロッパーの理想郷。 クラッシュ解析でエンジニアを沸かすソニー出身起業家
FROSK株式会社 代表取締役社長 中尾 憲一 FROSK株式会社 CMO兼事業推進部部長 吉井 文学
#17
「M&A業界に価格破壊を起こす」 ──「M&Aクラウド」がITの荒野を切り開く
株式会社M&Aクラウド 代表取締役COO 及川 厚博 株式会社M&Aクラウド チーフエンジニア 荒井 和平
#18
「“お金くらいのこと”でつまらない人生を送ってほしくない」 住宅ローン比較のWhatzMoneyがお金の問題をフラットにする
WhatzMoney株式会社 代表取締役 前田 一人 WhatzMoney株式会社 営業部営業推進責任者 才田 敦士
#19
「日本が好きだから、まずは世界を盛り上げる」 ──ベトナム発グローバルベンチャーICONIC安倉流“世界の捉え方”
株式会社アイコニックジャパン 代表取締役社長 安倉 宏明
#20
Tinderみたいにカジュアルに転職活動 リクルーティングアプリ「GLIT」を生んだCaratのハイペースな事業構想の理由は?
株式会社Carat 代表取締役社長 松本 直樹 株式会社Carat 取締役兼最高技術責任者 齋藤 陽介
#21
大手企業も注目するママ目線のクリエイティブ 「ママである前に、一流のクリエイターチームでありたい」
マムズラボ株式会社 代表取締役社長 佐藤 にの
#22
「歯科業界を変革する」 エス・エム・エスマフィア海田率いる グローマスの野望
株式会社グローマス 代表取締役社長 海田 大介 株式会社グローマス キャリア事業部エリアマネジャー 坂本 城也
#23
「価値の交換をシンプルに」 BASE鶴岡と藤川の異世代タッグが引き寄せる“便利な未来”
BASE株式会社 CEO 鶴岡 裕太 BASE株式会社 CTO 藤川 真一
#24
「夢追う人をサポートしたい」 完全食COMPを世界に広める最強の5人衆
株式会社コンプ 代表取締役CEO 鈴木 優太 株式会社コンプ マネージャー 荒井 宏之 株式会社コンプ 福田 千里 株式会社コンプ 田中 宏樹 株式会社コンプ CTO 萩野 貴拓
#25
ダズルが国内VR業界で「ちょっと未来」を創る ──新興市場でも“地に足付いた”ビジネスモデルの創り方
株式会社ダズル 取締役COO 出口 雅也 株式会社ダズル 採用・広報チーフ 川上 紗耶
#26
「ゲノムはいま90年代のインターネットと同じ」 AWAKENS高野、ゲノム事業を “今”始めるべき理由を語る
AWAKENS, Inc. CEO 高野 誠大 AWAKENS, Inc. CTO 沼倉 健介
#27
スキルのフリーマーケットは なぜ500円均一でローンチされ、 どうやって「ニワトリ卵問題」を越えたのか?
株式会社ココナラ 代表取締役 南 章行
#28
CtoBtoC!?が流通を最大化させる ──ジラフが“ものの売り買い”を変える
株式会社ジラフ 代表取締役社長 麻生 輝明 株式会社ジラフ CFO・管理統括部長 中井 基樹
#29
「不動産業界は“情報の非対称性”が著しい」 マンションマーケットが描く、 消費者の力を強くする業界変革手法
株式会社マンションマーケット 吉田 紘祐
#30
きっかけは“物乞い親子の死”。 アッション木下が “貧困撲滅”を目指す理由
株式会社アッション 代表取締役 木下 洋平
#31
自由な働き方を目指すからこそ、 まず自分たちが体現する。 18人の複業集団企業が見据える仕事と人生の未来
Spacelook株式会社 谷口  怜央 Spacelook株式会社 岩本  卓也
#32
コモディティ化した“車”を 最高のエンターテインメントに! MiddleFieldが目指す自動車業界の刷新
MiddleField株式会社 CEO 中山  翔太 MiddleField株式会社 COO 片岡  伶介
#33
“課題のユニークさ”こそ起業家の魂。 Cansell山下の常識を超える事業構想法
Cansell株式会社 代表取締役 山下 恭平
#34
建築×VRで急成長のDVERSE。 将来はコミュニケーションを変革する?
DVERSE Inc. CEO/Founder 沼倉 正吾 DVERSE Inc. CTO 高田 知典

世界初の後付型スマートロック「Akerun(アケルン)」のアイデアは、
友人同士の飲み会で生まれたものだった──。

ちょっとした遊び心で始まったプロジェクトが、予想外の反響を受けて、
法人化から約半年後には総額4.5億円の資金調達を実現。

飛ぶ鳥を落とす勢いのIoTベンチャーだ。

河瀬 航大 (かわせ・こうだい)
株式会社フォトシンス 代表取締役社長
河瀬 航大 (かわせ・こうだい)
1988年、鹿児島生まれ。2011年、筑波大学理工学群卒業後、株式会社ガイアックスに入社。ソーシャルメディアを活用したマーケティングの最前線で、企業に企画・解析等のコンサルティングを行う。また2013年にはネット選挙の事業責任者として、多数のTV出演・講演活動を行う。「facebook 知りたいことがズバッとわかる本(翔泳社)」執筆。2014年、株式会社フォトシンスを創業、代表取締役社長に就任。スマートロックロボットAkerunを主軸としたIoT事業を手掛ける。経産省が所管するNEDO公認SUIプログラム第1号として、4.7億円を調達するなど、IoT先駆けベンチャー企業の経営を担う注目の若手起業家。筑波大学非常勤講師。
株式会社フォトシンス
代表取締役社長
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小林 奨 (こばやし・しょう)
株式会社フォトシンス 共同創業者
小林 奨 (こばやし・しょう)
株式会社フォトシンス
共同創業者
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事業を作る前に、まずは旗を上げ市場を作る

河瀬小さい頃から発明家になりたかったんです。

河瀬は、傍らに置いた「Akerun」に目をやり、そう語る。小さい頃から理科研究や工作が好きで、周りをあっと驚かすモノを作るのが大好きだった。

“何かを作りたい”、その情熱はいつしか事業への興味に移っていった。新卒でガイアックスを選んだのは、新規事業や起業への意欲が高いユニークなメンバーたちに惹かれたからだ。

入社3年目にして、ソーシャルメディアを活用したインターネット選挙運動の事業を担当。2013年、初めてネット選挙運動が解禁されたタイミングということで、河瀬は全キー局から取材を受けるほどの時の人となった。

代表取締役社長 河瀬 航大

河瀬実は選挙については当時全然詳しくなかったんですけどね(笑)。でも僕がネット選挙について発信していくと、『河瀬はソーシャルメディア専門家だけど、選挙についても話せるらしい』といろんなセミナーに呼ばれ始めて、自民党で講演をするくらいになったんです。

そうすると、いろんな政治家の先生からフィードバックがあって、政治の知識もどんどん入ってきた。そうしているうちに、ネット選挙が解禁される頃には、選挙にも詳しい河瀬が出来上がりました。その経験によって、とにかく“旗を上げる”ことの重要性に気づいたんです。

ネット選挙運動を通じて、河瀬は、“市場から作る”とはどういうことか、肌で感じることができた。

当時はまだネット選挙事業が盛り上がるかも不明な状況。その中で、自らネット選挙の長所・短所を外部発信してメディアに取り上げられることにより、自民党から大口発注を獲得したり、ガイアックスの株価が最大で50倍に膨らんだりといった目に見える結果につながっていった。

河瀬最初に事業から作り、自社サービスを宣伝したところで、メディアにとっては全然面白くないし、ネット選挙事業もここまで盛り上がってなかったかもしれない。まずこういう市場があるんだ!という旗を大きく掲げた上で、そこにフィットするように事業を生み出す、という感覚は非常に大事だなと。そこに気づけたのは、ガイアックスにいたからこそです。

アプリとモノが繋がる時代が来る

「Akerun」の発想は、ガイアックス時代、大学の友人たちとの飲み会で生まれた。「鍵をなくして困った」「冬場は寒いので、カバンから鍵を取り出すのが一層面倒だ」といった雑談の中から、「いつも持っているスマートフォンで鍵が開けば……」というアイデアが降りてきた。

飲み会には、パナソニックやソフトバンクの社員といったメンバーが混在。そこからさらに友人の友人も巻き込み、合計10人程度でプロトタイプをいとも簡単に完成させる。

一方、当然苦労もあった。ハードウェアの量産設計方法は、ソフトウェアの開発と違って、ノウハウがほとんどWeb上になく、町工場やアドバイザーの方々に相談し、なんとかAkerunを量産開発までこぎつけた。

プロトタイプ制作にも関わった創業メンバーの1人、小林は、もともとIoTに強い関心を抱いていた。

学生時代に起業し、シェアハウスのポータルサイトを運営していたが、プログラミングを勉強するために同サービスをクローズさせ、GMOグループに入社。1年で退社した後は、ANYTIMESの技術責任者をはじめとして、複数社のスタートアップ創業期における技術支援を行った。

そうして創業フェーズのスタートアップに携わるうち、自らも起業への意欲が再び沸いていることに気づく。そしてある日、海外市場の動向をチェックしていたとき、アプリとモノを繋げることの可能性に気づいた。

小林どんなにすごいアプリを作っても、もう世の中は驚かないってわかっていました。ただ、アプリと何かモノを実際に繋げたサービスは、シンプルなものでもめちゃくちゃ驚き感動してくれるんです。これは面白い、アプリとモノが繋がる時代が来るぞと思っていたときに、たまたまスタートアップのイベントで知り合ったのが河瀬でした。面白いアイデアがないか彼と話し合ったとき、一番ニーズがマッチしたのが鍵のIoT化だったんです。そこから数日後には、もうプロトタイプを作り始めていましたよ。

製品を作ろうとする中で、何件もの工場に依頼を断られた。しかし、こういった商品はとにかく早くリリースすることが大事。そのため工場から「2年くらいかかる」と言われたところを「3カ月で出したい」と伝えて怒られることもあった。

河瀬工場には戦後を知るご年配の方々が多く、海外にモノ作りの勢いで負けている今、モノづくりがわかっていなくとも『こんなものを作って世界を変えたい』という熱い思いを持っている若者というのは応援しがいがあったのではと、今振り返ると思います。若者にノウハウを教えれば、もう1度日本がモノづくり大国の座を奪還できるかもしれないと期待を込めて、最後はいろんな方が協力してくださいました。

6カ月をかけて無事製品が完成。そしてメディアに「Akerun」が取り上げられると、予想を超える反響が届いた。記事が出る前日に「念のため」と思い突貫で容易した1ページだけのWEBサイトに記載した問い合わせ用メールアドレスには、その日だけで100件以上の連絡が届いたのだ。

出資や業務提携を希望する声も届き、メンバーたちは“とんでもないことになった”という感覚に打ち震えていた。

「『Akerun』でコーヒー豆を挽いてみた」

介護業界や民泊、オフィス・一般家庭用とさまざまな用途の可能性を持つスマートロック。

「数億円規模の資金調達があったからこそ、2年もの間、スピーディに広告経由でのABテストを実現できた」と小林が語るとおり、現在ではWEB広告でのABテストの結果、オフィスでの導入ニーズが一番高いと判断。法人向けでの導入シェアを拡大していくことを目指している。

今後もスマートロックの需要の高まりが予想されるが、社員たちは、社名が「Akerun」ではなく、あくまで「フォトシンス」であることを忘れていない。

小林会社としてまだ始まったばかりなので、『Akerun』自体は最初のプロダクトくらいに思っていて、これからフォトシンスとしてガンガンいろんなものを作っていきたいんです。

共同創業者 小林 奨

もちろん、開発者として「面白さを世の中に」という姿勢も忘れていない。社内のエンジニアの1人は、「『Akerun』の機能を利用してコーヒー豆を挽いてみた」「『Akerun』でトースターをIoT化してみた」というブログを趣味として公開。

保守的な会社であれば「自社製品をオモチャにしている」と叱られてしまいそうだが、こんなチャレンジを笑って楽しむのがフォトシンスのカルチャーだ。

社内のちょっとした雑談の中から、エンジニア主導で、「もうできちゃいました」と「Akerun」と同期した勤怠管理システムが生まれたこともあった。

小林フォトシンスのエンジニアは、本当にモノを作るマインドが高いんです。会社全体として、好奇心と挑戦を同義で行っている社員が多いですね。うちの企業文化として“挑戦”というのは重要視しています。ただ単に作業が得意な人よりは、何かしら挑戦したいことがある人が加わってくれたらいいなと思っています。

“思い”と“巻き込み力”があれば人や資金はついてくる

そんな伸び伸びとした雰囲気の会社を率いる代表の河瀬は、小林いわく、「しっかり主張し、リーダーシップを発揮してくれる、リーダーとして頼れる存在」だ。

そんな河瀬が仕事で重視しているのは、“想い”と“巻き込み力”。先述の通り、まず旗を上げ、市場を作ることを大切にしているが、そのために最初から潤沢な資金は必須ではないと語る。

小林まず想いが先行しないといけません。周囲を巻き込む力があれば、たとえその時点で商品やサービスはなかったとしても、メディアも巻き込んでファンを作ることができる。フォトシンスも「Akerun」を発表してスマートロックの第一人者になったことで、4.5億円の資金調達が実現したんですから。

何かの第一人者になることは資金調達という意味でも重要なのだが、河瀬は何より、第一人者となること自体に喜びを感じている。

「初めて『Akerun」でドアを開けたときの身震いするような感動を今でも覚えています。「未来を創るってこういう感覚なのかな」と本気でワクワクしたと、少年のような眼差しで、しかし冷静に話してくれた。

河瀬未来を思い浮かべて未来を作っていく。それを世の中に提供する。お客さんも、この商品でこんな楽しい世界がやってくるというビジョンを共感して購入してくれているんです。フォトシンスは、そういう商品をどんどん作って、未来に感動を与えていくようなモノ作りをする会社でありたいんです。皆がワクワクするようなものを、これからも作っていくつもりですよ。

フォトシンスの企業理念は、ずばり「つながるモノづくりで、感動体験を未来に組み込む」。自分たちが今、未来を作り出しているという実感が同社のエネルギーとなっている。

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