歴戦の猛者に学べ──CxO目指す20代が今、飛び込むべき大人ベンチャー/スタートアップ5選

急成長ベンチャー/スタートアップといえば、どんな組織をイメージするだろう?

血気盛んな若手で組成されたチームを想像するだろうか。それとも、歴戦の猛者が率いる堅牢なチームを想像するだろうか──。

未開拓の新市場であれば、情報感度が高く素早くキャッチアップしていける若手が有利かもしれない。一方で、CxOを顧客対象とする事業であったり、レガシーな産業を大きくゲームチェンジしていく際はどうだろう。該当領域への知見が深く、ステークホルダーの巻き込みもドラスティックにこなせる玄人の力こそが求められる。

今回は、後者の“大人な”要素を加味して急成長する企業にフォーカス。熟練の猛者たちと切磋琢磨できる環境だからこそ得られる大きな学び、また描けるキャリアパスがあるとFastGrowは考える。さらに言えば、歴戦の猛者が次のチャレンジの場に選んだということは、それだけの魅力が事業・組織にあるとも考えられる。

そうした環境こそ、20代でCxOを目指す読者が今すぐに身を置くべき企業と言えるかもしれない。ぜひ、貴殿のキャリアパスとして参考にしてもらいたい。

  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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熟練の猛者に学び、縦横無尽にキャリアを描け──
エッグフォワード

BtoBの企業変革コンサルティング会社としてスタートしたエッグフォワード。現在ではBtoCのプラットフォーム事業や、スタートアップ支援のインキュベーション事業も行っているベンチャーだ。

創業から約10年が経つ今、事業も複数立ち上がり、その数は10にも上る。そんな同社に続々とジョインする3名の“大人ベンチャーパーソン”たちを紹介しよう。

まずはエッグフォワードが2022年に本格化させた出資×コンサル事業『GOLDEN EGG』の責任者に就任した三村 泰弘氏。同氏はスタートアップ支援・インキュベーション事業において、これまで日米アジアで250社以上の投資経験を持つ、正真正銘のベンチャーパーソンだ。イギリスでMBAを修めた後、国内VC大手JAFCO、米ユニコーン企業Delphix、デジタルガレージと国内外で活躍してきた。

次は経営陣から2名の紹介。エッグフォワードのCIOを務める山本 大策氏と、企業変革支援事業部で統括執行役員を担う田村 学氏だ。

山本氏はみずほ情報総研、リクルートメディアコミュニケーションズを経て、2012年に株式会社レレレを設立。時間を売買できるサービス『タイムチケット』と言えばピンとくる読者もいるだろう。そんな同氏は2016年に全事業を譲渡し、2020年からエッグフォワードに参画。現在は元起業家としての経験を活かし、ノーコードモバイルアプリ作成サービス『AppVanilla』などの新規サービスを開発・運営している。

対する山本氏は戦略コンサルティングファーム出身。企業の事業戦略立案、ミッション・ビジョンの策定、組織変革支援等の多様な経営テーマのコンサルティングに携わってきた。エッグフォワード参画後は、コンサルティングやトレーニングを通じて、顧客企業の経営者や人事領域の責任者の方々と向き合っている。(二人の同社への参画理由などはコチラ

いかがだろう?現在まだ40名ほどの組織だが、元VC・元起業家・元戦略コンサルタントと、まさしく歴戦の猛者たちが集結している点が印象的。

この組織規模において、これだけのタレントが揃った環境だ。アンテナを高く張る若手読者なら是非とも手を伸ばしたくなるのではなかろうか。実際に20代のメンバーも少なくなく、大きな刺激と学びを得て成長しているという(その実態はまた別の記事で取り上げたい)。

更に、若手読者に向けてという意味では、エッグフォワードにおけるキャリアパスの多様性についても触れておきたい。例えば、同社にはBtoBのコンサルタントとしてジョインした若手メンバーが、その後自身の希望を持ってBtoCの事業開発に異動。そこでプロダクト開発に興味を持ち、今ではエンジニアに転じたという事例もあるそうだ。

熟練の大人ベンチャーパーソンに囲まれながら、自らの自由意志に沿ってキャリアを自由に描けるエッグフォワード。これ以上ない“贅沢な”環境だと感じてしまうのは、FastGrowだけだろうか?

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確かなCxO陣の組成で、ユニコーン級のポテンシャルに拍車を──hacomono

ニューノーマル時代の非対面型店舗運営や店舗のオンライン化を実現する、オールインワンの基幹システム『hacomono』を提供するhacomono。

プロダクトリリースから3年目ですでに1,500店舗以上に導入と快進撃を続ける同社。その勢いは組織面にも現れており、2022年7月にCOOの平田 英己氏が同社の取締役に就任したことで話題となった。

平田氏はローランド・ベルガーにて、消費財を中心に戦略策定・企業再生などのプロジェクトに従事。その後ジョインした楽天では社長室に配属され、三木谷 浩史氏の直下でエンタテインメント事業の黒字化プロジェクトを推進した。同氏の参画は、事業の急拡大に伴う事業領域全般における経営体制・執行体制の強化を図るためとのことだ。今後は新経営体制のもとで、さらなる成長戦略と事業開発を加速させ、事業拡大・組織開発に取り組んでいくことが期待される。

さて、そんな同社に参画する歴戦の猛者だが、なにも平田氏に限った話ではない。

先の平田氏がジョインする3ヶ月前。2022年4月には、ブレインパッドで11年間に及びB2Bマーケティング・SalesOps職を担ってきた上村 篤嗣氏もhacomonoに参画している。現在はBizOpsマネジャーとして、クライアント経営者の構想をオペレーションに落とし込み、現場でPDCAを回す仕組みづくりを推進している。

そんな猛者がひしめくhacomonoだが、SaaSスタートアップへの投資家として名高い、ALL STAR SAAS FUNDからユニコーン入りを期待されていることは周知の通り。名実ともに体制が整ってきた今、若手がジョインするには格好の場だと言えるだろう。

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スピード、熱量。それだけで社会課題は動かせない──Rehab for JAPAN

介護領域のバーティカルSaaS『リハプラン』を展開するRehab for JAPAN(以下、Rehab)。2022年の年明けに久良木 遼氏をCTOに招聘した。

まず、こちらの記事でも取り上げている通り、同社は久良木氏の他にも経験豊富な“大人ベンチャーパーソン”を数多く迎えている。それもそのはず、同社が切り込む領域は日本でも指折りの社会課題が潜む介護業界。「介護を変え、老後を変え、世界を変える」といった壮大な社会課題に挑むには、若さ故のスピード感や高い熱量だけではどうにもならない壁やしがらみが多々存在するといっても良いだろう。

ラクス、リクルート、エス・エム・エス出身の“大人ベンチャーパーソン”らが集う(この3名の記事はこちら

特に、この課題先進国日本において、少子高齢化が及ぼす影響は甚大。ほんの5〜10年の流行りに乗る事業ではなく、20〜30年と中長期の視野を持って取り組んでいく必要がある領域だ。そんななか求められる人材とは、積み重ねた経験をもとに、落ち着きと冷静さを兼ね備えた意思決定や事業推進ができる人材。すなわち、ベテランの大人ベンチャーパーソンの存在ではないだろうか。

そしてそれは同社の経営陣にも当てはまる。かのリクルート『Hot Pepper Beauty』の年間売上を約200億円から約700億円まで伸ばし、営業組織も含めた事業組織を約2,000人まで拡大と、比類なき実績を持つ取締役副社長COOの池上 晋介氏。そして同じくリクルートで14年に渡り『SUUMO』、『Airレジ』など数十種のプロダクトでUXデザインを徹底的に磨いてきた執行役員CPOの若林 一寿氏の存在だ。彼らは決して介護領域に通じていた訳ではないが、リクルートで大きな成果を挙げた後、更なる刺激を求めRehabにジョインしている。

社会規模の課題解決に滅法強いリクルートにおいて、長年に渡り事業成長を牽引してきた両者。そんな彼らが、現在は僅か50名ほどのスタートアップ組織にいるというのだから、面白い。

こうした歴戦の猛者たちによって組まれる布陣を見ると、いかにRehabが高き壁に挑戦しようとしているのか、またどれほど本気で事業に向き合っているのかが伺えるだろう。

流行の波ではなく、社会変革という人生を懸けて挑むに値する、そんな巨大な潮流を乗りこなしたい若者にこそ、オススメしたい環境だ。

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メガベンチャー出身者が人知れず集う、“新規事業専門”企業──Relic

コンサルティングファームとディー・エヌ・エー(DeNA)での経験を基に起業した北嶋 貴朗氏のRelic。新規事業の創出を、コンサルティングサービスのようなかたちで支援することで、「新規事業に携わるチャンスが、日本一多い企業」というブランディングで、企業としての魅力を高めてきた。

事業領域について「イノベーション・マネジメント」という言葉を用い、ひたすらに新規事業を科学する。近年は起業支援だけでなく、自社事業として多くの事業・プロダクトを創出し始めていることも、新たな強みとして認知されてきている。つまり、単なる「新規事業コンサル」とは明らかに一線を画す企業なのだ。

そうした背景から、メガベンチャー出身者を中心として多くの“大人”な事業家人材がジョインしている。

まず紹介したいのは、取締役インキュベーション事業本部長として活躍する大丸 徹也氏。慶應義塾大学卒業後、フューチャーアーキテクトからDeNAを経て、2016年にRelicへ。キャリアでは一貫して、大企業向けの支援を担当。以前のFastGrowの取材では、「ディー・エヌ・エーで新規事業リーダーを務めて、事業立ち上げのおもしろさや尊さ、そのやりがいを強く感じると同時に、リーダーシップを発揮しきれなかったという後悔を感じていた」と入社理由を語り、「事業のコンセプトデザインから、実際にサービスとして収益を生み出すところまで伴走できることがRelicの特徴であり、強み」だとその魅力を示す(こちらの記事から引用)。

また、執行役員CCO(Chief Creative Officer)サービスデザイン事業部長を務める黒木 裕貴氏は、サイバーエージェントとDeNAでWebサービスやアプリの開発を牽引したエンジニアだ。創業メンバーとして、新規事業支援だけでなく、自社サービスにおいてもUIの設計や開発を推進。企業成長に合わせ、役割を拡張し続けている。こちらのnoteで知見を披露しており、確認したい。

そしてシステムディベロップメント事業部の事業部長、河村 太樹氏も、新規事業経験が豊富なエンジニア出身マネージャーとして存在感を示している。新卒入社したユナイテッドでは3年間で100近いサービスのローンチに関わり、大半でリードエンジニアを務めたという。「より難易度の高い仕事に挑戦したい」という想いから2021年にジョインしたと、その理由を明かしている。プロジェクト横断でシステム改善を図るテクノロジープラットフォームを新設し、企業成長の裏側を力強く推進していく。

メガベンチャーで新規事業の立ち上げやグロースを経験した30代以上を指して「スタートアップ2週目人材」なる表現が使われることがある。まさにそうしたメンバーが当たり前のように揃い、新規事業を楽しんでいる。常に、事業について無邪気に意見を交わす。若手も、シニア層も、立場など関係ない。

それがRelicという、唯一無二の“新規事業専門”企業なのだ。

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質実剛健。CxOを相手にするなら必須の素養を纏え──DIGGLE

「経営の意思決定サイクルを速くする」というビジョンのもと、社内の情報流通の在り方を変え、予実管理でスピーディーな意思決定を支援するクラウドサービスを開発・提供するDIGGLE。

「経営者は、会社や事業のミッション・ビジョンにおいては想いを込めたメッセージを掲げますが、必ずしもその想いが会社全体に届いていなかったり、具体的なアクションプランに落としこめていないケースも多々あります。そういった想いやビジョンを経営管理に結びつける支援をすることが弊社のサービスです」と代表の山本氏は語る。

同氏は10年以上、外資系IT企業を軸に渡り歩いてきた人物。そこでセールスとして事業に取り組む中で感じたペインを元に、DIGGLEを創業した。

そんな山本氏の右腕を務めるのは、COOの荻原 隆一氏。彼は大和証券グループ本社の経営企画部にてグループ全般の経営に関する企画・立案・M&A等に従事。まさにDIGGLEが向き合うCFOや経営企画など、経営における意思決定の中枢を担う立場にいた人物だ。

こうした経営レイヤーの顧客を相手にするには、当然ながらハイレベルなプロフェッショナリズムが求められることは言わずもがな。故に、若手のうちから熟練のメンバーと共にこうした顧客と向き合う経験は、必ずや諸君のキャリアにプラスになることは間違いないだろう。

こちらの記事は2022年09月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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