連載リクルートマフィアのDNAを受け継ぐ、10名の起業家たち

スタートアップ界隈を牛耳る“リクルート・マフィア”。平成を代表する10名の起業家たち(後編)

アメリカのスタートアップシーンでは、イーロン・マスク、ピーター・ティール、リード・ホフマンなど、PayPal出身の大物起業家が、“Paypalマフィア”と呼ばれ注目されている。日本にも、PayPal同様に「人材輩出企業」として知られる企業がある──リクルートだ。

彼らは、1960年の創業時から「起業家精神」「圧倒的な当事者意識」「個の可能性に期待し合う場」といった企業理念を一貫して掲げてきた。「人材に投資する」という強い育成方針のもと、卒業生たちは一体どのような経験を積み上げてきたのだろうか?

本記事では、特に直近10年間で目覚ましい活躍を遂げている10名を取り上げ、リクルート在籍時の経験を中心に紹介している。前編では、2009年以降に創業した企業を扱った。後編では、2014年以降に創業し、わずかこの4年で急成長を遂げた企業を扱っていきたい。

  • TEXT BY NATSUKO KAJIKAWA
  • EDIT BY MASAKI KOIKE
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須藤憲司(株式会社Kaizen Platform 代表取締役)

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1980年生まれ。2003年に早稲田大学を卒業後、株式会社リクルートに入社。

マーケティング部門や新規事業開発部門、アドオプティマイゼーション推進室を経て、グループ事業会社である株式会社リクルートマーケティングパートナーズ執行役員に就任。

その後、2013年にKaizen Platform, Inc.を米国で創業し、現職に至る。

須藤氏はリクルートに約10年間在籍。入社後は全雑誌(約120ブランド)のマーケティングを担当した。

各誌の初速売上をモニタリングするために、一都六県の本屋を1日で約50店舗訪ね続ける日々だったという。

その後、リクルートの分社化を経験し、株式会社リクルートマーケティングパートナーズにおいては、執行役員として最新アドテクノロジーの導入をリードした。米国シリコンバレーのパートナーと渉外を重ねるうちに「自身の考えるITサービスが世界に通用するか挑戦したい」と考えるようになり、起業を決意したという。

株式会社Kaizen Platform

株式会社Kaizen Platform

ミッションは「世界をKAIZENする」。インターネットマーケティングの知見を活かした、クライアントのWebサイトや動画広告の改善を実施。300社以上もの事例をベースにした提案や、クラウド上の専門チームが一気通貫で改善に伴走することが特長。

具体的なサービスとしては、ウェブサイトのUI・UXに関する継続的な改善を実現するプラットフォーム「Kaizen Platform」、集客改善の観点で動画広告の最適化を行う「Kaizen Ad」がある。

出典:リクルートで学んだ「数字から事業を創る」意味100億円を投資してリクルートが得たアドテクノロジー活用のノウハウと落とし穴KAIZEN platform Inc. 須藤憲司 世界に通用するWEB改善サービスを提供経営危機を乗り越えたKaizen Platformの現在地、そして叶えたい夢前職リクルートでの後悔が生んだ ”Kaizen Platform”誕生秘話

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松本洋介(株式会社リブ 代表取締役)

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2003年、明治大学卒業後、株式会社リクルートに入社。2007年、トレンダーズ株式会社へ入社。最高執行責任者(COO)、取締役、営業取締役を歴任し、トレンダーズの上場を実現させる。2014年、株式会社LiBを創業。代表取締役に就任し、現在に至る。

松本氏は、就職活動の際に「ビジネスモデルを盗みたい企業」という観点で、リクルートを選んで入社。フリーペーパー市場が活況だった入社当時、メディア『タウンワーク』『ホットペッパー』の営業を担当し、全国MVPを何度も受賞。当時の新事業であった『エルーカ』の創刊にも携わり、成功体験を重ねた。

4年目以降は新規事業開発の部署に異動し、20代~30代の女性をターゲットとしたファッション通販サイトを担当。この原体験から「購買意欲が高く、施策を打てば響くように反響がある」女性向けのビジネスの面白さに惹き込まれたそうだ。

株式会社リブ

株式会社リブ

『「生きる」をもっとポジティブに。』をビジョンに掲げ、女性を対象とした多様な働き方のプラットフォーム事業と、ライフキャリア支援事業を運営する。

過去到達年収が400万以上であるキャリア志向の女性を対象とした、日本初の会員制転職サービス「LiBzCAREER」や、転職エージェント「LiBzPARTNERS」などを展開中。

また、2016年からは「Forbes JAPAN」と協働し、日本最大規模の女性アワード「JAPAN WOMEN AWARD」を実施。意欲ある女性が働きやすい環境づくりを積極的に行っている企業と、自ら道を切り拓き活躍している女性を表彰するなど、キャリア女性の働く価値観・企業の女性活用を共に再定義するための挑戦を続けている。

出典:彩りのある経験が、人生を生きやすくする―考え方を限定せず何でも興味を持とう―、女性の挑戦機会を増やし、日本の課題を解決する!Wantedly 株式会社リブForbes JAPAN WOMEN AWARD

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大島礼頌(株式会社インフラトップ 代表取締役)

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1991年生まれ。大学時代からインターンや一般財団法人創立を経験した後、株式会社サイバーエージェント・ベンチャーズにアソシエイトとして参加。その経験から株式会社インフラトップを設立し、プログラミング教育事業を展開。

その後、2015年に新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、『タウンワーク』『フロム・エー ナビ』をはじめとする媒体のデジタルマーケティング業務に従事。半年後には、インフラトップに復帰し、現職に至る。

株式会社インフラトップ

株式会社インフラトップ

「学びと仕事を通してプログラミングで人生を最高の物語にする」という理念を掲げ、未経験から3ヶ月でエンジニア・Webデザイナーを育成する「WebCampPro」、1ヶ月でWebスキルを習得する「WebCamp」、在宅でお仕事をしたい主婦・ママ限定Webデザインスクール「WebCampWoman」、就活生向け採用直結型プログラム「コラボキャンプ」 、転職サポートの「WebCampCareer」の5つの事業を運営。

計3,000名以上の卒業生を輩出中。2016年10月に有料職業紹介の資格を習得し、スキル習得後のキャリア支援まで一貫して行っている。

出典:「挑戦をスタンダードに」プログラミングスクールWebCamp代表大島氏にインタビュー株式会社インフラトップ 結果にコミットするプログラミングブートキャンプ事業で人の人生を変える!学歴や年齢などにとらわれない、新しい生き方を可能にする「学び」を提供

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加藤史子(WAmazing株式会社 代表取締役)

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慶応義塾大学環境情報学部(SFC)卒業後、1998年に株式会社リクルート入社。主に「じゃらんnet」「ホットペッパーグルメ」など、ネットの新規事業開発を担当した。

その後、観光による地域活性を行う「じゃらんリサーチセンター」に異動。執筆・講演・研究活動を行ったほか、国・県の観光関連有識者委員を歴任。2016年にWAmazing株式会社を創業し、現職に至る。

リクルートに在籍中の18年間は、ライフスタイル領域の事業に従事。じゃらんnetの立ち上げ時には、当時のメディア業界ではまだ主流でなかった「口コミ機能」を先駆けて採用。

「広告主である宿泊施設にとって、不都合な口コミを掲載された場合、広告出稿量が下がるのではないか?」との社内の反発もあったなか、マーケットで支持される商品を目指してユーザビリティを徹底的に追求した。

また、若者にスキー場へ誘致するプロジェクト「雪マジ!19」の立ち上げも担当。20年間低迷し続けているスキーリゾート市場をV字回復させるビジョンを掲げ、「19歳の若者を対象に、全国のゲレンデでリフト券を無料にする」という施策を行った。

当初、多くのスキー場に猛反対を受けたものの、最終的に90ヵ所以上の賛同を得て、現在は190以上のゲレンデが参加している。

こうした原経験から、加藤氏は「観光産業を通じた地方創生」をライフワークにすることとを決意し、起業に至ったそうだ。

WAmazing株式会社

WAmazing株式会社

「日本中を楽しみ尽くす、Amazingな人生に」というコンセプトを掲げ、訪日外国人を対象としたサービス 「WAmazing(ワメイジング)」を提供している。

具体的には、まずアプリをダウンロードしたユーザーに対し、日本全国18箇所の空港で無料SIMカードを配布。その無料SIMを挿入したスマートフォン上では、タクシーや観光ツアーの予約、決済をワンストップで行うことができる仕組みだ。

現在は、訪日外国人の約4分の1となる台湾・香港の訪日観光客をターゲットと定め、2020年で500万人が利用するプラットフォームとなることを目指している。

出典:【起業家インタビュー】WAmazing加藤史子「決断する時に考えるのは、挑戦なのか無謀なのか」WAmazing 訪日客に無料SIM

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中山紗彩(SHE株式会社 代表取締役社長)

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1991年生まれ。早稲田大学在学中から、20代女性向けの事業開発・マーケティングコンサルティング事業を立ち上げ。2014年に株式会社リクルートキャリアへ新卒入社し、ネットビジネス推進室にて買収案件のグロースを担当する。その後、株式会社div取締役を経て、2017年4月にSHE株式会社を創業。現職に至る。

元々、大学時代から20代女性向けの事業開発・マーケティングに関するコンサルティング事業立ち上げていた中山氏。

その仕事を将来的に続継するか否かを悩んだ結果、まずはチームで事業を立ち上げる経験を積むために、リクルートキャリアに新卒で入社。

わずか1ヵ月後に、社内の新規事業立案制度「New RING」で、教育機関の先生と保護者のための連絡サービス「うさぎノート」を起案。

事業化のチャンスを掴み、リリースから約1年後には、数百の教育機関・数万人のユーザーが利用する事業へと成長させた。その後、グループ会社に事業売却が決まったところで、中山氏は「入社当初の目的達成ができた」「事業が回る仕組みづくりを築けた」と悟り、次のキャリアを歩むことを決断したという。

SHE株式会社

SHE株式会社

「ひとりひとりが自分にしかない価値を発揮し、熱狂して生きる世の中を作る」という理念を掲げ、ミレニアル世代の女性を対象としたキャリア支援事業を提供中。

主要事業であるスキルアップスクール「SHElikes」は、2017年10月に事業開始から1年間で4,000人以上の受講生を輩出している。

2018年には株式会社ポーラ・ホールディングスから約2億円を調達した。今後は、企業向け研修事業や女性起業家育成に注力する予定だ。

出典:ゼロからの企業広報!数値化できない会社の魅力を「ストーリー」で伝える理由とは?新卒入社1カ月で起案した事業企画が新規事業化。その後25歳で取締役就任。自分の人生のテーマを実現することに一直線の女性役員。

特に後編に取り上げた起業家には、クライアントやカスタマーに寄り添ったオンラインサービス事業を展開するケースが多く見られた。

それもそのはずで、リクルートが展開するビジネスは、かつての情報誌を中心とした事業だけでなく、情報技術を駆使しデータに基づいたソリューション提案を行う事業にまで広がっている。このことが、出身起業家の事業内容に対して、如実に影響を与えているのではないだろうか。

事業の「IT化」が加速するなかで、そのナレッジを受け継いだ人材は、どのような事業を興し、スタートアップ業界に新たな風を吹かせるのだろうか?

出典:カニバリを恐れず、リクルート変身中 峰岸社長

こちらの記事は2018年12月21日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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1992年生、早稲田文学部卒。事業会社で新卒採用に従事する傍ら、フリーランスのライター・編集者としても活動中。執筆業を通じて「誰もが自分らしい生き方・働き方を肯定できる」機会を創出したい。日本語フェチ。

編集

小池 真幸

編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

連載リクルートマフィアのDNAを受け継ぐ、10名の起業家たち

2記事 | 最終更新 2018.12.21

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