「挑戦者を支援する」とは、ここまでやることだ!──UPSIDERは「カードの会社」ではない?急成長を支える業務実態やカルチャーを3人の視点で徹底解剖

Sponsored
インタビュイー
杉山 貴洸

プロ選手を目指し15年サッカーに励み、スペイン留学も経験。大学在学中は個人でサイト制作等を行う。出身地である岐阜のWeb制作会社、大手B2BSaaS企業にてインターンとしてインサイドセールスやマーケティングを経験した後、2022年2月にUPSIDER初のインターンとして入社。カード事業のGrowth Partnerを担当した後、代表の水野と共にクレディセゾン様と共同運営する「支払い.com(https://shi-harai.com/)」の立ち上げに従事。Customer support、プロダクト開発、組織設計、アライアンス、マーケティングと幅広く担当。

近藤 万葉

高校時代より、インターンとしてCM/web広告の制作会社にてリサーチャー、シェアハウスのポータルサイトを運営する会社にてライター/インタビュアーを経験。その後、SNSの広告代理店にてInstagramの案件の進行に携わり、AnyMind Groupにインターンとして入社。新規事業の立ち上げに従事し、2021/4月より同社に新卒入社。子会社GROVEにて、インフルエンサーマーケティングの営業を担当した後、2022年1月にUPSIDERに転職。スタートアップチームのGrowth Partnerとして、新規ユーザーの開拓、既存ユーザーの課題解決に向けた提案をリード。

伊藤 一汰

大学1年生よりIoTプラットフォームを開発・提供するスタートアップにインターンとして参画。デジタルサイネージ広告配信システム、属性解析カメラ、POSデータを活用した、新しい小売販促についての事業検証、大手企業との実証実験を実施した後、2023年2月にUPSIDERにジョイン。杉山と共に支払い.com事業のグロースを担当。

関連タグ

急成長スタートアップとして注目度が高まるUPSIDER。経営陣の経歴や事業内容、そしてミッションに掲げる「世界的な金融プラットフォーム」からのイメージなどにより、経験豊富なメンバーが揃っている印象が強いだろう。確かに世間でよくみられる同社の発信からまず感じられるのは、そうした姿だ。

だが一方で、実はベテラン層に負けず劣らず、20代前半の若手メンバーも重要なポジションで躍動している。つまり、年齢や年次に関係なく、成果を出す者、あるいはそのための覚悟を持って動き続ける者たちが、同社の急成長の担い手となっているのだ。

前回の記事でインタビューしたのは、事業家としての経歴が申し分ない泉氏と森氏。一方、今回登場するのは、年齢を見れば20代前半という若手メンバー三人だ。いずれも実力で、事業の立ち上げやグロースにおける重要なポジションを得るに至っている。

その背景や、実際の意思決定の様子に、おそらく大きな刺激を覚えることだろう。そしてこの三人を筆頭に「全メンバーが立場や経験に関係なく、自らの手で急成長の要素を創っている」というUPSIDERの知られざる実態や、その基となっているミッションとカルチャーについて、この記事では紐解きたい。

  • TEXT BY REI ICHINOSE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
SECTION
/

目の前の収益につながらずとも、ミッション実現につながる取り組みは躊躇しない

近藤UPSIDERのカード事業は、挑戦する企業の“インフラ”になってきたと感じています。

「このままではビジネスカード利用額の支払いが難しくなるかもしれない」と、ユーザーさんが率直に話してくれるのは日常茶飯事。クレジットカード会社の窓口であれば、利用停止といった厳しい対応を覚悟するようなシーンもあるでしょう。

ですが私達は、「どうすれば良いか一緒に考えさせてください」と寄り添い、将来に向けて具体的な対策の相談に乗るのが当たり前。資金面だけではなく、精神的な支援も含めて提供することでユーザーさんのパートナーとして伴走していくことにしています。

創業者の宮城徹氏がこのnoteで語った<私たちは、「お客様とテーブルの同じ側に座る」姿勢を常に意識してきました>という考えをまさに体現しているような、このエピソード。今回のインタビューで特に印象深い一幕だ。

同社は「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」というミッションを掲げる。このミッションへの強いコミット度合いを感じさせるエピソードが、他のメンバーからも飛び出す。

伊藤最近、請求書後払いサービス『支払い.com』のメンバーが営業の電話をかけた際、「利用したいけれど、利用方法に不安があるから、現地に来て一緒に作業してほしい」と言われたことがありました。

資金繰りという会社経営の重要な部分を支援させていただいているからこそ、動かずにはいられなくなり、そのメンバーは電話先の方がいる千葉まで行きました。

このような「遠くてもすぐに会いに行き直接相談に乗る」という判断は、UPSIDERでは当たり前。ファイナンスのサービスですから、こうしたきめ細かな対応こそ、ユーザーさんの不安をぬぐうために必要不可欠なんです。私自身も、千葉まで行く機会はありませんが、都内のユーザーさんのもとを多く訪ね、現場のペインを肌で感じ、より良い対応ができるようになろうとしています。

杉山『支払い.com』のユーザーさんは、農家の方、VTuber、建築業の方、コンビニオーナーなど、専門性を持ってビジネスはしているけど、金融やITが強みではない人たちがメインです。中には資金面で苦労した経験を持つ方も少なからずいて、不安を感じる部分があると利用自体を躊躇されてしまいます。なので私たちUPSIDERのメンバーがすべきなのは、「どうすればユーザーさんにより安心してサービスを利用していただけるか」と突き詰めて考えることに限ります。

アメリカのRobinhood(*1)や中国のAnt Financial(*2)をはじめ、BtoCのFintechでは、これまで利用するには一定以上の金融資産を所有している必要があり、あまねく万人には提供できていなかった良いサービスが誰でも受けられるようになりつつあります。その結果、経済的に豊かな方も含め全員が新しい便利なサービスを使えるようになってきています。

『支払い.com』では同じことをBtoBの世界で実現していきます。

現時点の『支払い.com』はチームで描いている夢の入り口ではありますが、ずっとサービスに携わってくださっている仲間たちやパートナーさんとのご縁をいただけていることに感謝しています。

*1……Robinhoodは、若年層を投資マーケットに呼び込むため、スマホでもわかりやすく楽しみながら証券取引ができるようなプロダクトを提供するFinTechスタートアップ

*2……Ant Financialはアリババグループの企業で、AliPayなどの決済サービス提供を担う

近藤私たちは、ユーザーさんにとってプラスになることなら何でも取り組んでいこうと、まずは考えます。私のもとにも最近、「エクイティファイナンスの支援ができないか?」という相談が来ました。今の事業内容に、そうした支援はありません。

UPSIDERの収益には繋がりませんが、ユーザーさんにとっての「新たな挑戦」や「不安の解消」に繋がることなのは間違いない。それなら、今の事業領域外になる業務でもなんとか対応できないかどうか考え、人脈をたどっていくつかのルートを紹介していきました。

宮城徹氏・水野智規氏率いる同社は2018年の創業以来、たった5年で利用社数2万5千社を突破(こちらのリリースを参照)。ここまでの展開スピードは、経営層だけでなし得るものではない。現場における一人ひとりの力強い動きによってなされたものだと言えよう。その代表格が、この三人なのだ。

近藤氏は法人カード事業『UPSIDER』を、杉山氏と伊藤氏は請求書カード払いサービス『支払い.com』を担当している

ミッションへの想いを、そしてユーザーへの想いを、インタビュー冒頭から自然と力強く語り続ける。この記事を通して、三人の実行力やストイックさという個々人の強みが印象に残るかもしれない。それこそが、UPSIDERの急成長をかたちづくる重要な要素だ。

そしてその背景には、年齢や年次に関係なくすべてのメンバーが新たな挑戦をし続けるカルチャーがある。

インタビュー中にも何度か触れられた「Be UPSIDER」と「"WE" PEOPLE」というカルチャーを頭の片隅に置き、詳細な事業推進の様子を見ていこう。

UPSIDER採用ページから引用

SECTION
/

セールスの新施策用予算や、創業者から引き継ぐ事業責任……。
急成長スタートアップで任される意思決定の厳しさ

大きな責任を背負い邁進するこの三人。“若さ”が気になる読者もいるかもしれないが、「社内を代表する実力があるから、責任や権限を渡された」というのが実態らしい。とは言っても、本当にそうなのだろうか?そんな疑問に答えるためにも、実際の意思決定シーンやその裏にある思考を紹介していこう。

近藤セールスとして成果を出すための大きな予算を、どのような目的でどのように使うかを決めて実行するというような裁量があります。その中での一つの意思決定として最近、アウトバウンドによるリード獲得施策を新たに始めました。あらかじめ戦略が立てられたような経営レイヤーからのトップダウン施策ではありません。現場メンバーと議論を重ね、現場主導でスピーディーにスモールスタートさせたものです。

リード不足という課題が生まれたわけでもないんです。ありがたいことに、当社では今もインバウンドでのリード獲得が順調に推移しています。ですが「UPSIDERの提供価値をもっと大きく享受できる相手が、今のインバウンドでは獲得できないところにいるはず」だと思ったんです。

こうした「新たな挑戦」の意思決定を、日常的にしています。

この近藤氏の「大きな予算をセールスの成果のためにどう使うか」というエピソードが物語るように、同社では事業成長に直結する意思決定が、メンバーの日常業務に組み込まれているのである。

同社が掲げるカルチャーの一つに「Be UPSIDER」というフレーズがある。その説明は「お客様も私達も新たな価値・変化を創るチャレンジャー」と続く。この「新たな価値・変化を創る」ようなチャレンジにおいては、経験やスキルだけが重要なわけではない。それ以上に、ユーザーへの強い想いと卓越した実行力こそ求められる要素なのだ。

この要素を併せ持つ三人だからこそ、重要なポジションにアサインされている。

杉山「意思決定」をする場面が日常的に訪れるという感覚は、たしかにあります。

私の場合は、この『支払い.com』という事業の1人目のBizサイドとして事業立ち上げフェーズから様々な局面で意思決定に関わる機会がありました。これから優先度高く開発すべきなのはどういった機能なのか、ユーザーさんにどうしたら価値を早く届けられるのか、どのチームのどの課題に注力すべきなのか。こうした“正解のない問い”に向き合いながら前進しています。

調べられることは調べ尽くし、確からしい仮説を考え、意思決定したらその決断が最良だったと言えるように日々全力を尽くすようにしています。立ち上げ期を試行錯誤しながら進めた経験が、自分の働き方や考え方のベースになっている感覚はあります。また宮城が日々実践している「お客様とテーブルの同じ側に座る姿勢」を大事にして日々事業に向き合っています。

多くの方に育ててもらい、支えられている、すごく恵まれた環境にいます。

そしてもう一つ、同社で強く意識されているカルチャーである「"WE" PEOPLE」も感じられる。説明の一部を引用すれば、「自分本位にならず、『私たち』を主語に支え合います。周りを助け、素直に周りに頼れる」という内容だ。

杉山人に助けてもらうことで初めて大きなことを成し遂げられると思っているので、周りのメンバーに相談に乗ってもらうことが多くあります。オープンにお話しすると、周囲の方に相談したり、知見を借りたりしながら前に進めてきた意思決定がほとんどです。ですが、一度意思決定したらその選択を正解にできるように執念深く取り組み切ることは徹底しています。

当社には他社での経験が豊富なメンバーも多く在籍しています。決して「何でも手取り足取り教えてくれる」という組織ではありませんが、その一方で、「ユーザーさんのため」の具体的な相談には全員が親身になって応じてくれます。なので、私が進める意思決定の質も向上させられている感覚があります。

伊藤杉山を含めたメンバーとは『支払い.com』の戦略や施策について、ユーザーさんの視点を欠かさずに議論を行うことを意識しています。また、その中で生まれる仕事は、実際にやったことがないことも少なくなく、その領域に専門性のあるほかのメンバーへの相談も積極的に行っています。

最近ではこの事業におけるマーケティング戦略や予算の策定、そして実行フェーズまで一気通貫での意思決定を担っています。これは代表の水野が担っていた業務だったのですが、水野が経営者としてより価値を最大化できる部分にリソースを割り振っていけるように、自分が挑戦することを決めました。

ですがその意思決定をしたとき、マーケティングに用いられる基本的な言葉の理解すらおぼつかない状態でした(苦笑)。

細かな知識は足りずとも、事業を中長期的な視野で捉えて意思決定を進める。知見や情報は後で集めれば良い、そんな覚悟ある姿勢が見えてくる。

伊藤もちろん、事業成長に大きく関わる、マーケティングの戦略や実行の部分を自分一人の力で進めているわけではありません。

専門的な知見が少ないからこそ、杉山も言ったようにまずは自分で調べ尽くしつつ、社内のほかのメンバーや関係値のある代理店のみなさんから実践的な知見をお借りする一つ一つの機会を大事にしています。

その結果、最近では新しいマーケ施策についても一人で意思決定して進める場面を増やせています。たとえば「新しいキャンペーン施策をやってみようかな……」と思って社内で喋ってみたら、近藤がすぐに「カード事業のほうでやっていること、共有するよ!」と言ってくれたので、もうその瞬間やることを決めました。

近藤「それを参考にしてやってみます!」と、軽やかに決めていました(笑)。

杉山伊藤は、成果から逆算したマイルストーンや撤退基準を明確に定めるのが非常にうまく、いつも尊敬しています。しかもそのうえで、たとえ困難に直面してもやり抜く姿勢を貫いています。

伊藤こうした成功体験を積み重ねることで、『支払い.com』事業での今後のチャレンジを、より大きなものにしていけるのだと感じますね。

杉山そのおかげもあり、「Be UPSIDER」「"WE" PEOPLE」のカルチャーに沿った挑戦ができていますね。

SECTION
/

意思決定は「経営陣がするモノ」じゃない、「全メンバーが日常ですべきもの」

ここまではUPSIDERのカルチャーを切り口に、三人の挑戦に迫った。中でも特に印象的な「意思決定は日常」という部分について、ここからもう少し掘り下げたい。なぜならここに、「急速な成長スピード」というUPSIDERらしさがあふれていると言えるからだ。

杉山ユーザーさんの経営を支える金融事業ですから、ベースとして「システムエラーで止まることなく、セキュリティリスクもなく、円滑に動いている」という状態をまず維持しなければなりません。その上で、新たな価値・変化を創り、今の成長スピードをさらに速めていく必要があります。そんな環境の最前線で、難しい意思決定を迫られるシーンは必然的に多くなります。

たとえば『支払い.com』事業は立ち上げフェーズだったので、0の状態から理想の状態を定義して複数の検証やインサイドセールスやカスタマーサクセスなどのチーム立ち上げを行ってきました。

伊藤未知の業務に挑戦させてもらう機会が増えてきて、徐々に意思決定の原理原則を身体で理解できてきたという感覚もあります。

何よりも、「なぜ」と問い続け、精度の高い仮説を立てることが大切なのではないかと感じています。これを”息を吸うように”考えられるようになってきたら、もっと自信を持って意思決定できるような気がします。

杉山少し話は逸れますが、入社直後、近藤がユーザーさんや社内のメンバーへの連絡をものすごいスピードでしていることに衝撃を受けたことを覚えています。特に社内のSlackでは本当に1秒とかのレベルで返ってくるんです。

キャリアの初期に、仕事の基礎として1Pixelのスペース、1ptの文字サイズ、1助詞の表現、1秒の対応スピードへのこだわりを体感し、自分の中の基準として設定し、より良い事業推進に携われるようになった感触もあります。

近藤社内の連絡こそ、何よりも早く済ませたほうがいいと思っているんです。前職時代からかなり強く意識していました。自分の努力で改善できる(事業に関わる)変数であればできる限り早める、違う言い方をすれば、自分の対応が遅かったというだけでの機会損失は防げるものだから必ず防ぐ、そんな想いを持っています。

伊藤杉山の一つ一つの仕事に対する向き合い方を尊敬しています。細かなことですが、ユーザーさんへのメールでより良い表現を用いることができるように、他のメンバーの送付文面から「活用したいと感じた表現や文例」を収集しているんです。こういう地道な積み重ねを欠かさず続けていることは本当にすごいなと思います。

杉山そうですね。こうしたことの繰り返しが、組織全体のレベルを上げていくものなのではないかと感じています。

意思決定の質を高め続ける。そのために細かな改善も含めて実直に取り組む。そんな意識が、三人とも非常に強いようだ。まさに「日常」と言えよう。

では、それぞれ意思決定についてどのように学んできたのだろうか?UPSIDERにおける意思決定とはどのようなものなのだろうか?

杉山前の話ですが、水野から初めて「意思決定のメモを作って」と言われたとき、その進め方を教わりました。具体的な要素として「意思決定したいこと」「選択肢」「意思決定基準」「決めた後のネクストアクション」を依頼されたんです。

スタートアップの世界でよく言われる「意思決定」の定義は、「正解がない問いに対しスタンスを決めて実行し、そのスタンスを正解にするためにコミットしていく」こと。別の言い方をすれば、「正解がある問いに対する判断は、意思決定とは言わない」のだ。

三人に限らず同社のメンバーが日常的に進めるのは、まさにこうした「正解のない問いを見つけ、スタンスを切って進める」という類のものだと言えそうだ。

ただし、あくまで経営者や事業責任者のレイヤーで使われることが多いのが、こうした「意思決定」だ。そんな中、UPSIDERではメンバークラスに至るまで一人ひとりが、ミッションに基づいて新たな挑戦を続ける必要がある。なぜなら、急速な事業成長が続いているからだ。先ほども伝えた通りユーザー企業は5年で2万5千社へと拡大、アクティブユーザー数(MAU)は10倍超の伸びも見せる。

エンジニア向け採用資料でも、急成長の速度が強調されている

だからこそ、意思決定が「経営層や一部のマネージャーによって行われる高貴なモノ」とならず、全メンバーの日常に広がっている。

伊藤入社して間もない頃は、自分でスタンスを切れず、最終的な意思決定を誰かに委ねてしまう傾向がありました。

その時に、「一汰君はどう思うの?まずはスタンスを切るようにしてみよう」と丁寧なフィードバックをもらいました。

それ以来、どんなに知見や情報が不足していたとしても、まずスタンスを切り、具体的な仮説を考えていくのを当たり前にできています。

杉山 「優秀な経営陣からトップダウンで指示が来る」という印象を持つ方もいるかもしれません。ですが、そのようなことはありません。

近藤本当に現場は大変だけど、それを楽しむメンバーが揃っているとも感じますね。

このように若手に対しても意思決定のスタンスをゆだねるような対応を取る経営陣は、水野氏だけではない。共同創業者の宮城氏、さらにはVPoEの泉氏、VPoPの森氏も同様に、前職で培った経験をもとにトップダウンで指示を送るわけでなく、年齢や年次に関係なく意思決定をゆだねているのだ。

なぜなら、事業やプロダクトは、今後も社会情勢に合わせて変化を続けていく。その上流にあたる経営戦略や事業戦略も当然、柔軟に変わる。

このような予測不可能な事業環境においては、経営陣であっても、この若手三人であっても、正解がある問いに向き合うシーンのほうが少ないはず。だから思い切った権限移譲が当たり前となっており、全メンバーがそんな状況を楽しんでいる。

近藤私は未上場スタートアップの非連続成長を多方面から支援するGrowthPartner(フィールドセールスとカスタマーサクセスを併せ持つような役割)です。繰り返しになりますが、ありがたいことに経営に直結する資金繰りや新施策など、私の理解が及ばないような様々なお話までユーザーさんからお聞かせいただけます。

それでも、先ほども話したように、エクイティファイナンスに関する支援をなんとか進めなければと考え、取り組みました。時には私の前職の経験を活かし、インフルエンサーマーケティングをどのように進めるのが良いかという相談をお受けすることもあります。

このように、私達はもっともっとユーザーさんのためにできることを熟考し、常に新たな価値を提供できる存在になっていくべきなんです。今の事業状況を言い訳にして、すべきことを狭めてしまうのは、本末転倒です。

一人ひとりのユーザーと、UPSIDERの未来。これらを高い次元でつなげ、必要だと感じることに実直に向き合う。そんな姿勢を示すのが当たり前という環境であるようだ。

近藤「どうやって意思決定を進めている?」と聞かれても困るほど、毎日自然に自ら意思決定して新たな動きをしていますね。

前提として、セールスの全体戦略や予算の使い方などの意思決定権が、現場のマネージャーだけでなくメンバークラスにまでゆだねられていることも、創業者の二人が強く意識していることなので、UPSIDERならではの特徴かもしれません。だから、まだ取り組むことができていなかった「アウトバウンドでリードを獲得すべき」という施策を、現場で主導して進められたんです。

カルチャーの情勢や権限移譲、あるいは組織構築といった様々な観点で、良質な意思決定が進む状態が生まれているのがUPSIDERであるとも言えそうだ。たしかにこの三人はいずれも、良い意思決定を進める力を持っているのだろう。しかしそれ以上に、UPSIDERという環境がそうさせているという部分も大いにあるわけだ。

SECTION
/

UPSIDERはこのように進化する!
三人が自然と抱く未来

そんな同社と言えば、すでに触れたように、ユーザー数の急拡大や大型の資金調達、事業家・経営層レイヤーのジョインなど、勢いを感じさせる状況が続く。そんな状況を俯瞰的に見ているのも、この三人の強みである。難しい意思決定の連続や、目の前のKPI達成に追われている中でも、多くの楽しさを感じているのだ。

伊藤私は事業進捗の数字を毎日確認して、事業の成長を感じられることが面白いですね。日々の行動が可視化され、さまざまな時間軸で答え合わせをしやすい環境なのは貴重なことだと思います。

杉山メンバーの増加に関しては、他のスタートアップでは感じなかったような多様性に刺激を受けます。年齢や年次だけでなく、金融経験が長い人や、IT経験が長い人、役割を広く担うジェネラリストもいれば、特定の領域にものすごく強いスペシャリストもいます。

組織拡大に伴ってこれまでの人生では関われなかったような方々とのご縁も増えていきそうで、今後がより一層楽しみです。

伊藤氏も杉山氏も決して受け身で「売り上げが増えた」「人が増えた」と感じているわけではない。「企業と事業の将来」を考える姿勢を基にして、次にやるべきことが何か、突き詰めて考えている。つまり「事業成長は、次の事業成長のための新たな投資につながる」という考えを自然に持ち、この状況を楽しんでいるのだ。

一方の近藤氏は、組織マネジメントへの想いを強調する。

近藤事業や組織の成長に伴って、私自身がマネージャーとして事業拡大に貢献できる状況になったのが、やりがいや楽しさを最も強く感じる部分ですね。

実は入社当時から「マネジメントを担いたい」と周囲には伝えていたんです。というのも、世間一般で言われている「プレイヤーとして価値を出し続けると、マネージャーになる」という慣習に、ずっと疑問を持っていたからです。プレイヤーとして価値を出せる人が、マネージャーとしても優秀であるとは限りませんよね。

もちろんUPSIDERではプレイングマネージャーなので、数字に現れる価値を出すことも意識しています。しかしそれ以上に「いかに多くの人を強く育成し、事業グロースにつなげていくか」をこれから重視しなければいけませんね。そういうマネージャーの存在こそが、企業をより大きく成長させていくために不可欠だと感じているからです。

近藤氏に対してはストイックという言葉を浮かべる読者が多いかもしれない。たしかに、難しいチャレンジが多い状況を楽しんでいるようにも見える。ではその裏側に何があると感じただろうか?

そこには、「ユーザーのためになる価値提供を広げたい」という純粋な想いがある。事業成長も組織成長も、「ユーザーのための活動」の結果でしかなく、さらに言えばミッション実現の手段でしかない。マネジメントへの挑戦も、自身の成長や市場価値向上ではなく、ミッション実現やユーザーへの価値提供のための手段として捉えているのだ。

こうして整理してみると、三人が共通して見据えるのはやはり、ミッション「挑戦者を支える世界的な金融プラットフォームを創る」なのだと感じられる。ユーザー企業にいる一人ひとりの挑戦を、より強く支援できるプラットフォームをいかにして実現するか。それを常に考えながら日々の業務に力強く取り組んでいるのがよくわかってきた。

SECTION
/

UPSIDERの未来の姿を創るのも、三人の夢と意志

年次に注目してしまうのは本質的ではないかもしれないが、それでもやはり、この若い三人が高い解像度でミッションやカルチャーを体現しているのは特筆に値することだろう。

そんな三人がこれからどのような未来をUPSIDERで描いていくのか。その答えもまた、ミッションの体現を強く感じるものだった。

近藤私たちのプロダクトは、従来の金融機関が出せない大きな額の与信枠を提供できます。この点でシンプルに、多くの経営者さんから直接、感謝の声をいただけるのが大きなやりがいです。

ですがそれ以上に、さまざまな夢や目標を胸に抱いているユーザーさんたちに寄り添い、未来に向けた具体的な相談や議論をするパートナーになっているのが、UPSIDERで働く中で社会的な意義を強く感じるところです。「他者を支えたい」という私個人が抱える想いにも合致していて、楽しさを感じながら取り組んでいます。

これからもユーザーさん一人ひとりの挑戦を支え続けることで、「世界的な金融プラットフォーム」の姿に近づけていきたいですね。

杉山『支払い.com』事業のユーザーさんは専門性を持ってビジネスはしているけど、金融やITが強みではない人たちが多いです。そのため私たちが、誰でも簡単に、ほとんど意識することなく、ビジネスでのお金の流れを管理・理解することができる機能を作っていくことの意義は非常に大きいんです。

まずは今のユーザーさんたちが抱えている身近な課題を具体的に解決していきながら、それを基に事業を大きなものに進化させ、社会に大きなインパクトを残す仕事を進めているような状態を目指したいです。

伊藤法人カード事業は、ガバナンスを強化する機能の拡充などを背景に、上場企業のユーザーも増えてきていますが、やはりこれから大きくなるスタートアップがメインユーザーです。一方で『支払い.com』は、企業も個人事業主も含めてすべての挑戦者がお金の悩みから解放されるような事業でありたいと思っています。

より多くの挑戦が、私たちの事業によって加速される社会を創っていきたいんです。先日、沖縄のユーザーさんのもとを訪問して、面と向かって直接「本当に助かった、本当に救われた」と心から言っていただくことがありました。この様子を動画に撮って全社ミーティングでも共有して、その嬉しさがさらに倍増しました。

「こうした価値を積み重ねていこう、それがUPSIDERのすべきことだ」という想いを新たにしました。

3人が描くビジョンは自身だけでなく、UPSIDER・市場環境を広く捉えたものだ。さらに、それはUPSIDERのカルチャーに紐づいたビジョンでもある。カルチャーの浸透ぶりがこの解答からも窺える。

取材の最後に「みなさん本当に仲良さそうで楽しく話しますね」と取材班が感想を口にしたところ、三人とも笑いながら、UPSIDERの好きなところを語り合う一幕となった。

近藤もともと金融事業に興味があったわけでは全くありませんでしたが、GrowthPartnerとして経営者の支援を近い距離でできることには、非常に大きなやりがいを感じる毎日です。それに社内は、スタートアップでありながら年齢や経験値に多様性のある組織になっているのが好きですね。40~50代の経験豊富な先輩との議論で得られるものがとても多いです。

「堅そう」とか「上下関係が厳しそう」といったイメージを社外から持たれることもあるのですが、実は飲み会はもちろん、一緒にゲームセンターに遊びに行くこともあります(笑)。それくらいの距離感で学び合ったり刺激を受け合ったり。こんなに面白い環境はなかなかないと思います。

伊藤近藤も話していましたが、ユーザーさん一人ひとりから直接、夢の話を聞かせてもらえるところが好きです。また、社内メンバーとは日々真剣に切磋琢磨し合うからこそ、砕けたコミュニケーションも取れる間柄です。その関係が心地いいんです。

杉山私も似た話になりますが、夢や挑戦の話に多くの刺激を受けています。私は人との接点が近い現場が好きなんだと思います。UPSIDERのメンバーも、エネルギーの根源が現場の人の人生である方が多く、ワクワクさせられることが多いですね。

近藤ここからの事業拡大余地が非常に大きいのも、楽しみな部分の一つです。今、個人的に海外のスタートアップエコシステムの方々との人脈を増やしているところで、近い将来、何か事業で関わる機会を創出したいと考えているんです。

さすがにまだ具体的にはまったくそうした話は進んでいませんが……自分で強く意志を持ち、行動していれば、経営陣も含め興味を持って聞いてくれたり、具体的な相談が始まったりする環境なんです。遠からずそういった展開もあると思うので、楽しみです。

ミッションへの姿勢や、カルチャーの実践、そして事業の非連続成長につながる意思決定。こうした、事業家や経営者に求められる厳しい要素を全て兼ね備えている……とまでこの三人が自分たちで言い切るわけではないが、近い将来、間違いなく持ち合わせていく姿が目に浮かぶ。それはすなわち、UPSIDERの非連続成長がさらに進んでいく証明になると言えるかもしれない。

年齢や年次、あるいは経験などに関係なく得られるチャンスが、この先も多く生まれるのがUPSIDERなのだということも、想像できてきたのではないだろうか。「ベテランが多い」あるいは「とにかくロジカルな戦略と実行が試される」といったイメージを基に同社を捉えてしまうと、実態から大きくかけ離れた理解になってしまう。そんな想いを抱くような取材だった。

こちらの記事は2023年11月17日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

執筆

いちのせ れい

写真

藤田 慎一郎

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。

新規会員登録/ログイン