【ベンチャーキーパーソン名鑑】HR責任者編Vol.9:カサナレ 桑原 孝典氏
「あの会社の急成長は、なぜ実現できたのか?」その答えは、最前線で事業の課題と格闘し、成果を出し続けている「ベンチャーキーパーソン」の仕事術に隠されています。
本連載では、スタートアップやベンチャー企業が事業を伸ばす上で避けて通れない具体的な「業務の壁」を、彼ら/彼女たちがどう乗り越えてきたのかを徹底解剖。
日々の業務ですぐに役立つ実践的なノウハウ、困難な意思決定を支えた思考プロセス、そしてリアルな成功と失敗の事例、そこから得たノウハウを、ご本人たちの言葉で共有する。(掲載希望企業はこちらのフォームからご回答ください。)
彼ら/彼女たちの生きた経験は、あなた自身の課題解決のヒントとなり、スタートアップやベンチャーでの活躍、あるいはキャリアアップを加速させる具体的な「処方箋」となるはずだ。
カサナレ株式会社における「人事責任者」の魅力とは?
以下、話者は桑原さん
我々カサナレは、「任せられるAIを、社会の標準にする」ことを掲げ、生成AIソフトウェア「Kasanare」を大手企業向けに提供しているスタートアップ企業です。生成AIが一般化するなか、多くの企業では業務の“精度が9割で止まり、最後の1割が怖くて任せきれない”ことが最大の壁になっています。我々はこの壁を越え、誤答が許されない業務でもAIが任される状態を当たり前にすることを目指しています。
創業4期目ながら、金融機関をはじめとする大手企業での実装を通じて、「高い検索精度を実現するRAG基盤の構築・運用」を強みとして評価いただいています。Forbes JAPAN「AI 50」選出、日経クロストレンド掲載、MUFG STARTUP SUMMIT優勝など、手前味噌ながら、徐々に世の中にも認められつつあるスタートアップ企業でもあります。
カサナレが組織づくりで追求しているのは、「自律と挑戦」。フルリモートというユニークな環境下で、自ら規律を持ち、成果にコミットするプロフェッショナル・ギルドを作りたいと思っています。
当社の人事は、決して「守り」ではありません。能力に応じて積極的にポストを抜擢する「入学方式」を採用し、成長意欲の高い人ほど適正に評価される「攻め」のカルチャーを築いています。人事制度を通じて「頑張る人が馬鹿を見ない」世界を実現すること。そして、仲間たちが自らの想像を超えて成長していくドラマに立ち会えることが、私の誇りであり、日々の楽しみです。
人事責任者の処方箋
処方箋その1:「経営は人事である」という信念に基づく人事戦略の追求
仕事において最も根底にある価値観として「経営の本質は人事にこそある」と公言しています。これは、単なる管理業務としてではなく、事業成長や組織全体のバランスを考慮した、経営視点での人事戦略の重要性を意味しています。
同じ目的を持った人を集うこと、本来ユニークな存在である人をそれぞれ動機すること、そしてそのユニークな能力・価値観で構成される組織を健全に維持することなどなど、非常に複雑で難解なジグソーパズル、ルービックキューブ、レゴブロックを解いたり、創り上げたりする役割だと自負しています。
処方箋その2:挑戦と成長を促す「頑張る人を応援する」姿勢
自身のポリシーとして「頑張る人を応援する」という姿勢を大切にしています。これは、社員や地域の方々が持つ可能性を信じ、彼らが必死に努力する姿に刺激を受けながら、自身の経験を役立てたいという考えに繋がっています。
青臭いですが、人が一生懸命に何かに打ち込む姿を美徳と捉えています。人は元来、一生懸命であることに、生きている実感を持っていると信じています。人は皆、一生懸命さに憧れ、挑戦し、そして挫折し、妬む。一生懸命である人を応援や支援し、一生懸命である人を嘲笑うような風潮にはしない。自身が掲げる生き方の姿勢です。
処方箋その3:多様な働き方を実践する「パラレルキャリア」の追求
1社に雇用される働き方をやめ、複数の企業や自治体で役員や人事責任者、地域活性化を担う「パラレルキャリア」を自ら実践しています。これは「わがままに生きることを追求」しつつ、同時に複数の組織に関わることで「何倍も成長ができる」という価値観に基づいています。自然や地域創生といった自身の興味分野も仕事に取り入れています。
変化の激しい時代です。居心地の良いコンフォートな環境に依存せず、多種多様な交わりの中で、自分自身も変化や進化をしていく。パラレルキャリアに限った話ではありませんが、常に刺激やストレスを自分に課すことも、視野や視座を高める処方の在り方だと考えています。
人事責任者を学べるオススメコンテンツ
オススメその1:「経営は何をすべきか」
| 書籍情報 | |
|---|---|
| 著者 | ゲイリー・ハメル |
| 出版社 | ダイヤモンド社 |
| 出版日 | 2013/2/22 |
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絶え間ないイノベーションの必要性
ハメルは、製品やサービスの革新以上に、組織のあり方そのものを変える「マネジメント・イノベーション」の重要性を説いています。既存の階層構造や管理手法に固執することは、変化のスピードが速い現代において最大の経営リスクとなります。人事の観点では、「管理するための制度」から「挑戦を促すための制度」へとパラダイムシフトを起こし、社員全員が革新の担い手となれるような土壌を絶えず耕し続けることが、組織の生命線を維持するために不可欠であると説いています。
変化に対応する経営の本質
混沌とした現代において、経営の指針となるべきは「適応力」です。ハメルは、中央集権的な統制ではなく、現場の自律性を高めることでしか、激しい変化には対応できないと指摘しています。「経営は人事である」という信念の本質は、個々の社員が自ら判断し、動けるだけの権限と情熱をいかに配分できるかにあります。不確実な状況下でもブレない経営を実現するためには、画一的な人材管理を捨て、多様な個性が即興的に連携し合えるレジリエンス(しなやかな強さ)を持った組織文化を構築することが求められます。
未来を見据えた戦略的思考
ハメルの著作は、短期的な利益追求が招く「組織の衰退」に警鐘を鳴らし、常に未来の社会における組織の存在意義を問うています。戦略的思考とは、単なる競合分析ではなく、「5年後、10年後の社会に対してどのような価値を提供し、どのようなコミュニティでありたいか」という長期的なビジョンを逆算して今を設計することです。地方創生や社会課題の解決といった未来のテーマに対し、人事としていかに志の高いタレントを惹きつけ、彼らが長期的な視点で社会に貢献できる仕組み(サステナブルな働き方やキャリア開発)を作れるかが、真の競争優位を決定づけます。
オススメその2:「DAYS」
| 書籍情報 | |
|---|---|
| 著者 | 安田 剛士 |
| 出版社 | 講談社 |
| 出版日 | 2013/7/17 |
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組織の有限性と「今」を燃やす覚悟
高校3年間という限られた時間、さらに言えば「同じメンバーで戦えるのは、たった1年」という不可逆な有限性が、本作の熱量の根源にあります。 これはビジネスにおけるプロジェクトチームや、人材流動性が高まる現代のキャリア形成においても全く同じです。「永遠に続くチームはない」という事実を前提に置くからこそ、メンバーは今この瞬間に全力を注ぎ、互いに深い信頼関係を築こうとします。人事の視点では、この「期間の限定性」を共通認識とすることが、個人のコミットメントと組織の密度を劇的に高めるレバーとなることを、本作は示しています。
「一生懸命」という最強の組織変革スキル
主人公・柄本つくしが示す「一生懸命さ」は、単なる精神論ではなく、組織のスタンダード(基準)を塗り替える強力なマネジメント・スキルとして描かれています。スキルや経験が不足していても、目的のために脇目も振らず献身する姿は、周囲の「慣れ」や「妥協」を排除し、チーム全体のエンゲージメントを底上げします。「一生懸命であることが格好いい」という文化が醸成された組織は、心理的安全性が高く、困難な状況下でも折れない強さを持ちます。一人の純粋な熱源が、冷笑的な空気すら変えていくプロセスは、組織変革の本質を物語っています。
個性の共鳴:補完を超えた「高め合う」タレントマネジメント
本作に登場する選手たちは、誰一人として同じ強みを持ちません。風間の天才的な技術、水樹の圧倒的なフィジカル、君下の精密なキック、大柴の強烈なエゴ……。タレントマネジメントの要諦は、単に「弱点を補い合う」ことではなく、「強みと強みをぶつけ合い、次元の違う高みへと互いを引き上げる」ことにあります。個々のユニークな才能が認められ、その多様性がチームとしてまとまったとき、1+1が3にも10にもなるシナジーが生まれます。支え合うだけでなく、ライバルとして、そして戦友として「高め合う」関係性こそが、プロフェッショナルな集団が目指すべき究極の姿です。
オススメその3:「進化思考」
| 書籍情報 | |
|---|---|
| 著者 | 太刀川英輔 |
| 出版社 | 英治出版 |
| 出版日 | 2023/12/23 |
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多動的な並行キャリアによる「変異」の創出
本書では、進化の第一歩を「変異(偶然の挑戦・エラー)」と定義しています。人事の観点では、一人の人間が複数の組織やプロジェクトに携わるパラレルキャリアこそが、意図的な変異を生む最強の装置となります。一つの組織に留まらず、多動的に動くことで自分の中に多様な「思考の種」を植え付けること。その「エラー(異物感)」を恐れずに同時並行で試行錯誤する姿勢こそが、硬直化した組織に新しい風を吹き込み、個人の市場価値と組織の生存確率を同時に高める鍵となります。
越境と交わりが生む「組織の化学反応」
変革は、閉じた部屋の中ではなく「異なるもの同士が交差する場所」で起きます。本書が説く「関係」や「融合」のプロセスは、人事における越境学習やオープンイノベーションそのものです。異なる文化や価値観が交わり合うことで、単体では生まれ得なかった新しい形(進化)が立ち現れます。「経営は人事である」という言葉を「経営は交わりである」と捉え直し、組織の壁を溶かして外部と積極的に交流させること。この交わりから生まれる化学反応が、予期せぬブレイクスルーを引き起こす源泉となります。
多様性を生存戦略とする「進化型組織」への転換
ダーウィンの進化論の真髄は「強い者が生き残るのではなく、変化に適応した者が生き残る」ことにあります。そして、適応の原動力は「多様性」です。全員が同じ強みを持つ組織は、環境が変われば一気に全滅するリスクを孕んでいます。「誰一人として同じ強み・弱みはいない」というタレントマネジメントの本質を、単なる綺麗事ではなく、組織の「生存戦略」として位置づけること。多様な個性が支え合い、かつ高め合う生態系を構築することこそが、予測不能な未来において最強の「強さ」となります。
キーパーソン桑原氏から皆さんへのメッセージ
カサナレが提供するフィールドや挑戦機会は大きく2つあります。一つは前述の通り、「任せられるAIを、社会の標準にする」こと。生成AIが一般化・普及するなかで、怖くて任せきれない“という最大の壁をいかに越え、100%AIに任せられる状態を当たり前にすることを目指しています。
もう一つは、リモートワークを「挑戦のインフラ」にすること。かつてのスタートアップの美学は「寝袋とMacBook」「1日20時間働く」ことでした。けれど、その働き方は多くの人を排除してきました。家庭がある人、地方に住む人、体調に制約がある人──そうした人たちが挑戦できない構造を「努力不足」で済ませてきた社会は、本当に健全だったのでしょうか。我々カサナレは問い直していきます。「どう働くか」も、「どこで生きるか」も、もっと自分で選べるはずだと。
だからカサナレはリモートワークにこだわります。それは逃げるためではなく、誰もが挑戦できる土台をつくるため。制約に縛られず、人生の選択肢を広げられる働き方こそが、私たちが未来に残すべき「挑戦のインフラ」だと考えるからです。
そのため、カサナレでのリモートワークは、決して「楽なフルリモート」ではありません。成果と事実に誠実に向き合う、プロフェッショナルのための「挑戦のインフラ」です。私たちは「ジョブ型」「自律」「挑戦する文化」を掲げ、現状維持や停滞を互いに容認しない環境を徹底しています。そこにあるのは、年齢や社歴に関係なく、実力一つで高みを目指せるフェアなフィールドです。
「昨日の自分を超えたい」「ヒリヒリする環境で市場価値を高めたい」。そんな覚悟を持つあなたを、私たちは全力で肯定し、応援します。本気の挑戦ができる場所で、一緒に未来を創りませんか。
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こちらの記事は2026年01月14日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
連載ベンチャーキーパーソン名鑑
49記事 | 最終更新 2026.01.14おすすめの関連記事
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