「“採用=ゴール”って他責じゃない?」──エンプラSaaS界の彗星Cloudbaseに訊く、最短最速でミッション・バリューを実現する思考法

Sponsored
インタビュイー
岩佐 晃也

1996年生まれ。10歳からプログラミングをはじめ、特にセキュリティ関連に興味をもつ。学生時代からさまざまなサービスを開発し、京都大学工学部情報学科在籍時の2019年11月にLevetty(現・Cloudbase)を創業し、現職。

石原 陽

大学を卒業後、人材広告会社への勤務を経て起業。事業売却後はコンサルティングファームにて組織変革に関わるプロジェクトへ従事。その後、メガベンチャーを経て、株式会社カケハシでHR・営業・CS組織、社長室の立ち上げ・マネジメントを担う。2023年10月にCloudbaseへジョイン。コーポレートチームの責任者として、採用や組織開発などを行いながら、コーポレート全般の体制整備推進など幅広く奔走中。

成瀬 真

京都大学工学部情報学科を卒業後、メルカリに入社。通知基盤のマイクロサービスの開発、グループ共通のメール配信基盤の刷新などに従事。 2022年8月よりCloudbaseにジョイン。フルマルチクラウド(AWS,GCP,Azure)人材としてセキュリティスキャンの開発やお客様との伴走を行う。

関連タグ

たった一人の採用で組織が急成長することもあれば、その逆も然り──。

単に経歴だけで優秀だと判断し、自社のカルチャーに合わない人を採用してしまうと組織の崩壊を招くことがある。一方、カルチャーこそマッチしていても、採用候補者と明確に役割をすり合わせず採用してしまうと、期待していた活躍が見られないこともある。こうした経験を持つ経営者やHRも多いのではないだろうか。

これに対し、「採用は入り口に過ぎない」──と、入社後の活躍を見据えた緻密な採用戦略や組織づくりで急成長しているスタートアップの事例を紹介したい。クラウドセキュリティ領域で国内の大企業相手に躍進しているCloudbaseだ。

同社は2019年に京都大学のメンバーによる学生起業で始まった組織だが、現在はメガベンチャーや著名スタートアップで豊富な経験を積んだプロフェッショナル人材らが多数参画。2022年8月にはArena HoldingsやDNX Venturesなどからシードラウンドで資金調達を発表し、このフェーズで海外投資家が初めて参画した国内スタートアップとしても注目を集めた。その後も2024年3月にはシリーズAで総額12.5億円の資金調達を発表し、今や飛ぶ鳥を落とす勢いである。

このCloudbaseが取り組んでいる組織づくりの実態を見ることで、「事業成長に資する組織づくりとはこういうことか」「カルチャー浸透とはこういう状態を指すのか」と解像度を高め、自社の組織づくりに活かしてもらえたらと思う。

インタビュイーはCloudbaseの創業者とスタートアップ経験が豊富なコーポレート責任者、そして現場のエンジニアメンバーを束ねるEM(エンジニアリングマネージャー)の3名。

本稿が、カルチャー浸透に悩むスタートアップ経営者にとって参考になれれば幸いだ。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
SECTION
/

ミッション・バリューは掲げて終わりじゃない。
施策として運用してこそ価値を発揮する

壮大なミッション・ビジョンや、目を引くようなユニークなバリューを掲げるスタートアップは多い。しかし、ミッション・バリューを掲げた後、その理念やマインドをカルチャーとして浸透させ、具体の施策にまで落とし込むことができている企業はそう多くないのでは──。

メガベンチャーやスタートアップでHRの経験を積み、組織づくりに精通するCloudbaseのコーポレート責任者、石原氏はそう投げかける。

石原ミッション・バリューを掲げるのであれば、その理念や目標を達成するための「具体的な施策」にまで落とし込むことが重要です。綺麗なミッション・バリューを掲げるだけに止まっていては良い組織づくりや人材の採用はできません。

例えば採用活動において、多くのスタートアップは常に人手不足に悩み、目の前のタスクに追われているものです。ここで採用を急ぐあまり、ミッション・バリューに沿った人材像を明確にせず採用候補者の経歴だけをみて採用してしまったり、組織内の問題点や課題を正確にお伝えしないまま採用してしまうと、新たに入社したメンバーとの間で業務内容や組織環境に対する認識ズレを引き起こし、期待していた結果が出ないといった事態を招いてしまうことがあります。

「(スタートアップは)いろいろありますけど、一緒に頑張っていきましょう」という具合にふわっとした話だけで進めてしまっているスタートアップが実は少なくないのではと感じています。

Cloudbase株式会社 コーポレート責任者 石原氏

ではこうした事態を避けるべく、Cloudbaseはどのような施策にまでミッション・バリューを反映させているのだろうか。同社の採用プロセスを参考に紐解いてみる。

石原一例を挙げると、採用したいロールに合わせて選考を主導するメンバーが切り替わるといった体制を敷いています。

多くの企業ではHRがリクルーターの役割を担い、経営陣が最終面接で初めて登場するケースが多いと思います。しかし、Cloudbaseはそうではありません。CxOの採用であれば経営陣が、またエンジニアの採用であれば現場のマネジメント担当であるEMがリクルーターとなって選考プロセスを管掌しています。

その管掌範囲は採用エージェントとのやりとりにまで及び、「求める人物がいるのなら、その人物を最も必要としているメンバーが採用を主導する」という姿勢で全社一丸となって採用にコミットしています。

ですので私のようなHRはCloudbaseの採用活動においてはあくまでフォロー役。この辺りは他のスタートアップとは異なるポイントではないでしょうか。

SECTION
/

新メンバーが活躍するかしないかは、迎える企業側の責任だ

続いて、Cloudbaseの創業期に5番目の社員として参画し、現在はプロダクトチームのEMを担う成瀬氏は次のように話す。

成瀬弊社では採用候補者にオファーをする局面では、「組織の課題をドキュメント化」して採用候補者にお伝えしています。

以下は実際に採用候補者に向けて共有されるドキュメントの一例だ。

提供:Cloudbase株式会社

成瀬「私たちの現状の課題はこれです。既存のメンバーで課題Aの対処はできていますが、課題Bを補うことができる人材が足りていません。そこに対してあなたならこの課題Bを解決できると思っており、ぜひお願いしたいと考えています」という具合でコミュニケーションを取っています。

オファーを受ける側の立場になって考えてみると分かると思いますが、「あなたは優秀だからなんでもできますよね」と漠然とした期待を持たれると困りますよね。このドキュメント化の作成にはそれなりの労力が必要ですが、その手間を怠らずに採用候補者と認識を合わせることで、新たなメンバーは入社後迷うことなく自身が追うべき業務ミッションに向かって価値を発揮することができるんです。

Cloudbase株式会社 EM 成瀬氏

成瀬こうした期待値の調整に関しては経営陣やマネージャー、HRだけでなく、採用したメンバーがジョインするであろうチームメンバーも含めて全員で議論していきます。「この人が新たにジョインしてくれたら、私はこんなコラボレーションができそう」「この人にはこんな業務ミッションを与えられるのでは」といった具合にですね。

そのため、チームメンバーの知らないところで採用が進み、ある日突然新しいメンバーがやってきて、経営陣やHRから「あとはよろしく」と任されるということは一切ありません。私たちは既存のメンバーがその人とコラボレーションしていけるかどうかをチーム全員で確認し、認識を揃えた上で採用を決定しているんです。

こうした取り組みは経営陣やHRが提案して生まれたものではなく、メンバー自身から自然に生まれてきたものであり、それが今や組織全体のカルチャーになっている。

ここでは採用活動における施策の事例を伺ったが、なぜCloudbaseではここまでこだわりを見せるのか。この問いに対し、Cloudbase代表の岩佐氏は「新たなメンバーが活躍するまで支援することが迎える側の責任であるため」と答える。

Cloudbase株式会社 代表 岩佐氏

岩佐Cloudbaseにとって、採用はあくまでも「入口」です。

求めていた人を採用できたらミッションクリアなのではなく、その方が弊社で活躍できて初めて成功だと捉えています。そのため、新たなメンバーが入社後に活躍できるまで徹底的にフォローアップしていくカルチャーが弊社にはあるんです。

なぜそう考えるかというと、「Cloudbaseに来ていただく方たちの貴重な時間や人生を無駄にしたくない」という想いがあるからです。

採用するまでは力を入れて、いざ採用が決定したら「どれどれ。あとはお手並み拝見」とその人任せにしてしまうのではどこか他責な感じがしますし、自社を選んでくれた新たなメンバーのキャリアや人生を考えているとは思えないんです。

その人のキャリアのためにも、そして自社のミッションを実現する事業成長のためにも、二人が挙げてくれたような取り組みはCloudbaseにとってとても大事なことであると考えています。

提供:Cloudbase株式会社

採用を軸にいくつかの施策事例をうかがってみたが、そこにはCloudbaseが重視するバリュー「With」が色濃く反映されている。この「With」とは、顧客やパートナー、投資家、メンバーなどすべてのステークホルダーに寄り添いながらミッション実現を目指していくというもの。

これを単なる飾りとして掲げるのではなく、その想いを具体の施策にまで落とし込むからこそ強固なカルチャー浸透が実現でき、結果として事業もポジティブに進んでいく。まさに目から鱗の取り組みと言えるだろう。

SECTION
/

起こりうる課題に対し未然に対策を打たないことは、「組織の怠慢」である

Cloudbaseがミッション・バリューを具体的な施策に落とし込んでいるのは何も採用プロセスだけではない。

スタートアップとして急成長し、大きなビジョンを実現していくためにはチーム力や組織力が不可欠。その過程で起こりがちな組織内の対立や崩壊のリスクに備え、同社は早い段階から「リスク予防」の施策にも力を入れている。

石原Cloudbaseは2024年2月にシリーズAラウンド(1st close)の資金調達を発表後、4月から過半数の社員を対象にマネジメントプログラムをスタートしています。その狙いは、マネジメントクオリティを平準化し、「同じものさし」を持って組織力を高めるためです。

例えば、マネジメントを担当するメンバー間でマネジメントの理解や認識が一致せず、各チームがバラバラに事業を進めた場合、「Aさんが管掌するチームは楽しく成果が出たけど、Bさんのチームはイマイチ」というように、マネジメントの力量により成果に差が生じてしまうことがあります。

これではどのチームに所属するか、誰の下で働くかで成果が変わるため、メンバーにとってはまるで「ガチャ」のようなもの。こうした状態は組織内の不満を引き起こす原因になりますよね。

石原また、タスクの多いベンチャー / スタートアップならではの課題として、ミドルマネジメント層に過剰に責任が集中し、結果としてチーム全体のパフォーマンスにもネガティブな影響が生じるケースも多々みられます。

Cloudbaseではこのような事態を避けるべく、マネジメントの基本となるビジネスマネジメント、ピープルマネジメントのナレッジを全社で共有し、個々のマネジメントスキルにバラツキが出ないように早期に対策を打っています。

こうしたリスクは事前の準備と対策でいくらでも対応可能であるため、「問題が起きるとわかっているのに打ち手を設けない」というのは「組織の怠慢」であるとさえ私は感じています。

もちろん単にマネジメント研修を受けるだけが事前の予防策ではない。先のプロダクトチーム取材でも紹介したが、同社はエンジニアが多く在籍するメガベンチャーなどで設置されるEM*ポジションを、エンジニアチーム僅か数名の時点で早期に自社内で配置している。

*開発メンバー一人ひとりの声を吸い上げ調整することで、チーム内のコミュニケーションのズレを事前に防ぎ、統制を図る役割を果たす。

その結果、EMが各メンバーの期待値を調整し、組織崩壊の危機を脱することができたという事例もある。その立役者こそ、Cloudbaseの経営陣以外で初めてEMとしてマネジメントロールを担ったこの成瀬氏なのだ。

成瀬2023年8月にEMのロールを担い始めた時から、常に先回りしてリスクを予防しようと努めてきました。

しかし、エンジニアチームはやらなければならない業務が山積みの状態。開発だけでなく商談に出向いたり、そのための資料づくりであったり採用活動も行わなければなりません。そのため、プロダクトチーム一人ひとりの期待値を明確にすることから整理していきました。

ここでは「あなたはどんな価値を発揮してくれるのか」といったすり合わせを行うのではなく、「あなたはどの領域に力を入れ、どのタスクを他のメンバーに委ねるか」を具体的に言語化していくんです。

このように「やるべきこと」「やらないこと」を明確に定めることでチーム内における連携をスムーズに進めることができる。これはリソースが限られるアーリーフェーズのスタートアップにおいては特に有効な取り組みであると感じています。

成瀬 加えて、私自身はこうしたEMのロール以外にも就業規則や労務の設計、はたまたオフィスを移転した際にはその移転プロジェクトリーダーなども務めています。

これは「課題があるからやる」というよりも、単に「自分ならもっと良くできるのでは」という気持ちからですね。それが結果として周りの喜びとなるのであればこの上なく嬉しいですよね。

石原人生何周目の発言ですか…(笑)と思うほど成瀬はCloudbaseの中でも一際強いオーナーシップを持ち、組織全体のことを考えて「With」を実行してくれている頼もしいメンバーの一人ですよね。

スタートアップとして確度高く事業を成長させるためにはミッション・バリューを具体的な施策にまで落とし込むことが重要である。しかしそれだけでなく、成瀬氏のように個としての強いバリュー体現も、組織力を高める上で大きな影響を与えているのだと感じる。

SECTION
/

バリューの浸透なくしてミッション実現などあり得ない

岩佐今の成瀬の話がまさにそうでしたが、Cloudbaseのバリュー「With」は自分のためではなく他者のために考え行動することを重視しています。

その対象は目の前の顧客や投資家だけでなく、共に働くメンバーや、場合によってはその家族あるいは未来の誰かも含まれます。このように目の前の仲間や顧客の枠を超えた視点で考えることは思考の拡張にも繋がり、「この視点から物事を見るとこんな選択肢もあるのでは?」と事業上の意思決定にも活きることがあります。

特に、日本ではまだ市場が確立されていないクラウドセキュリティという不確実性の高い分野に挑む上では、この「With」による思考の柔軟性はとても大事にしたいと思っています。

岩佐また、もう1つのバリューである「Unlock」。こちらは先ほどの「With」の話にも繋がりますが、前提や常識を覆し思考を解放していくことを意味しています。

「昔の正解が今日の正解ではない」という考えで常に最適解を探してくことが事業にとってプラスの価値をもたらすと思っており、特にこれから組織が拡大して仕組みが整っていくと、無思考に「ルールで決まっているから」といった意思決定になりがちです。そこに対して常に「現状のルールを正解とせず、より効率的な手段はないか」と問い直す姿勢は大事にしていきたいですね。

Cloudbaseはこの2つのバリューを重視してきたからこそチームの連携を強化し、常に組織一丸となって挑戦を続けることができてきたのだと思っています。

石原そうですね。Cloudbaseに身を置く中で感じることは、やはり経営者が本気でミッション・バリューやカルチャーを心から信じて実現したいと思っているかどうかが大事なんだということです。

そのコアな部分なくして単に「ネーミングが良いから」「周りが良いと言うから」という理由で選んだミッション・バリューでは組織に浸透していきませんよね。

石原先に挙げた採用プロセスの件においてもそうで、自分たちのミッションを達成するための必要条件から分解した人材要件が明確でなければ、単に経歴が優れた人から採用するといった形になってしまう。

そこでもし新たなメンバーの価値観や行動が組織のカルチャーに合致していなければ、その人がチームの協調性を乱して組織のカルチャーを壊してしまうリスクすらあるわけです。

Cloudbaseでは経営者・岩佐の強い信念が組織に根ざしているため、その想いに共鳴したメンバーが集まり、メンバー自身も経営者が目指すミッション・バリューを実現したいと本気で考えている。組織としては未成熟な成長フェーズであるにもかかわらず、クラウドセキュリティの市場で大企業を相手に着実に事業を伸ばすことができているのはこのミッション・バリューの浸透にこそあると感じています。

Cloudbaseのミッションは、「日本企業が、世界を変える時代をつくる。」ことだ。

経営者である岩佐氏がこのミッションを誰よりも本気で考えており、その想いが組織のカルチャーはもちろんのこと、事業戦略にも反映されている。

提供:Cloudbase株式会社

例えば、一般的にBtoB SaaS事業を始めるスタートアップはまずSMB市場で実績を積もうと考えがちだ。しかし、Cloudbaseは常識に囚われず初めからエンタープライズ市場に挑み、日本発のクラウドセキュリティという新たな市場を切り拓いている。

事実、Cloudbaseは2022年3月にベータ版『Cloudbase』をリリース後、わずか数ヶ月でスズキ、エイベックス、出光興産といった日本を代表する大企業とのビジネスを実現させてきた。

岩佐私たちが描く壮大なミッションを実現するためには、個人の力ではたどり着けません。メンバーだけでなく、大企業を取り巻く多くのステークホルダーたちとの協力が不可欠です。

特に、長い歴史を持つ名だたる大企業を動かすためにはその企業の伝統や慣習を深く理解することが重要です。時には大企業の経営層が抱くセキュリティに対する価値観から変えていく努力も必要です。

このような状況下でミッションを実現していくにはやはり「With」と「Unlock」で示したようなマインドが重要で、Cloudbaseにはこうした思想やスタンスがあるからこそ、エンタープライズ市場で事業を成長させていけるのだと思っています。

SECTION
/

バリューを打ち立てる前から滲み出ていた「Unlock」と「With」

Cloudbaseでは「With」と「Unlock」という2つのバリューがミッション実現に向けた原動力となっている。成瀬氏と石原氏が入社した当時、これらのバリューはまだ明確に言語化はされていなかったが、創業期から存在するこのカルチャーが2人の心を惹きつけた。

成瀬氏はもともと代表の岩佐氏と京都大学時代の同級生。大学院進学後に長期インターンをしていたメルカリに就職する。そのメルカリ時代に副業先で開発責任者を務めていた成瀬氏は運命的に『Cloudbase』を導入する機会に立ち会い、兼ねてよりプロダクトの高いポテンシャルに惹かれていた。

そこから副業としてCloudbaseに参画していくのだが、転職にまでは踏み切れずにいたという。そんな彼の気持ちを最後に動かしたのは、Cloudbaseの株主である、とある海外の投資家との会談だった。

成瀬ある時、COOの小川の働きかけによってバーの席で当該の投資家とお話をする機会がありまして。

彼は面会していた2時間の間、他のことに一切気を取られることなく私と小川の目を見ながらCloudbaseのマーケットについて熱く語ってくれました。正直、私はそれまでクラウドセキュリティのマーケットについてはよく理解できていなかったんですが、世界中のマーケットを見てきた彼が未成熟な国内スタートアップに対してこれほどまでに情熱を込めて語る様子には衝撃を受けました。

彼のお陰で「Cloudbaseって実はとんでもないポテンシャルを秘めているんじゃないか」と気づくことができ、まさに「Unlock」の精神で意を決して転職することができたんです。

岩佐そうそう。その翌週には成瀬がオフィスに遊びに来てくれて、開口一番「Cloudbaseに入社したら保険証はもらえるの?」と聞いてきたんだよね(笑)。そこで「もちろんあるよ」と答えたら、成瀬は「よかった…」と心から安堵してたよね(笑)。

成瀬そんなことも、ありました(笑)。

対する石原氏はCloudbase初のシニアメンバー。彼は新卒で上場企業に入社した後、すぐに独立してスイーツのECブランドを設立。6年後に事業を売却してコンサルメガベンチャーへ移る。そこから直近はスタートアップのHR事業に携わりCloudbaseへジョインした格好だ。

彼がCloudbaseに入社を決めた理由は3つ。1つ目は、パブリッククラウドという社会インフラを支える事業に魅力を感じたこと。2つ目は、組織全員が強いオーナーシップを持つチーム力にポテンシャルを感じたこと。3つ目は、同社がこれから組織拡大していくフェーズにおいて、直面するであろう課題に対し自身の経験則が生かせると感じたためだ。

石原Cloudbaseの一員になる際にあった出来事で、この会社のカルチャーの魅力を象徴するエピソードがあります。何かというと、私の入社を受け入れるべきか否か、文字通りメンバー全員が納得するまで真剣に議論を重ねてくれていたことです。

当時一通りの選考を終え、最後に岩佐から「ぜひうちのメンバーたちに会ってほしい」と言われオフィスに行くことになりました。普通はそこで経営陣か今後関わるコアなメンバーとだけ面会するケースが多いですが、この会社は違いました。

石原なんと当時のCloudbase全メンバー13人が私を出迎えてくれて、代わる代わる私のもとに来ては「初めまして。自分は◯◯という点に対してこう考えていますが、石原さんはどのように考えますか?」「入社したらぜひ一緒に◯◯の課題を解決していきたいです」とフラットに意見公開をしてくれたんです。まさに「With」ですよね。

と同時に、この若いメンバーたちがこれだけ採用や事業に対してオーナーシップを持っているのなら、この組織は確実に成長するだろうなとも感じました。

なぜなら、私のこれまでの経験上、事業をレバレッジさせるのは一人のスーパーマンではなくチームであると考えているからです。そして、あらゆる業務の実行を担うのは現場のメンバーであると。

だからこそ、私は机の上で理想論だけを語るのではなく、現場にいる方たちの生産性や機会を最大化させることにコミットしたいと思い、Cloudbaseに参画しました。もちろん市場ポテンシャルやプロダクトの魅力などもありますが、何よりこの組織が持つカルチャーにこそ可能性を感じた次第です。

SECTION
/

共に働く仲間とは、経営上の単なる「リソース」じゃない

今回はCloudbaseを題材に、ミッション・バリューを施策に落とし込む重要性について学んできた。その浸透が成されている同社はメンバー全員がオーナーシップを持って事業活動に取り組んでおり、必要に応じて業務以外のロールに染み出しながら各自が価値を発揮している。

そうした状況をみるに、読者の中には「理想的な組織の姿だ」と感じる者もいるかもしれない。そこで、現時点での完成度について尋ねてみると意外な言葉が返ってきた。

岩佐実現したい未来から逆算すると完成度はまだ10%ほどです。これから新しいメンバーが増えていくにつれまた新たな組織課題が生じてくると思いますし、全くもって現状に満足はしていません。

石原そうですね。今回は色々と熱く語ってきましたが、まだまだ伸びしろだらけです。

以前、イチロー選手がこうおっしゃっていました。「私の生涯の打率は3割6分。毎打席ホームランを打っていたら最高だけど、7割は打てていないんです」と。誰もがその功績を認めるイチロー選手ですら自身の挑戦に対し謙虚さを忘れていない。手前味噌ですが私はCloudbaseに対しても同様の姿勢を感じとっています。

私たちは「日本企業が、世界を変える時代をつくる。」という壮大なミッションを掲げていますが、「ではそれを明日実現できるのか?」と問われるとまだまだ難しい。掲げる理想が高いからこそ、私たちはこれからも奢ることなく挑戦を続けていきたいと思っています。

Cloudbaseが見据える先は日本を代表する組織。それは「ネクスト〇〇」という言葉で表現されうるものではなく、今までに存在しなかった新しい立ち位置を築くことである。そしてそのゴールに向けて目下、多くの仲間を募っている状況だ。

今回の取材を通じてCloudbaseの環境に興味を持った者はぜひ、その挑戦の一翼を担ってみてはいかがだろうか。

成瀬過去の私がそうだったように、今メガベンチャーで働いている方々の中にも「これは解決すべき課題なんじゃないか」「もっと良い方法があるんじゃないだろうか」と感じている人も多いと思います。

事実、Cloudbaseにはメガベンチャー出身のメンバーも多く、彼ら彼女らが前職で感じていた課題をCloudbaseという環境を活用して解決できないか日々試行錯誤しています。

Cloudbaseはまだ走り出したばかりであり、クラウドセキュリティという市場を日本で一からつくりにいっている最中です。こうした新たな価値を創造してみたいと考えている人にとってはやりがいある環境だと思います。

石原Cloudbaseが未成熟なスタートアップであるにも関わらずエンタープライズ市場で実績をあげることができているのは、ミッション・バリューが施策と共に浸透しており、メンバー全員が圧倒的なオーナーシップを持ち事業や組織づくりに取り組んでいるからです。

だからこそ、これから参画いただく方々においてもそこに乗っかろうとするのではなく、「自分が更にCloudbaseの価値を上げるんだ」という気概のある人に来てもらいたいですね。

岩佐私は常々、メンバーが自分の「好き」や「情熱」を発露できる環境を用意してあげたいと考えています。なぜなら、人は情熱を持って取り組める環境下でこそ最大限の力を発揮できるからです。

経営者の中には人をあくまで経営におけるいちリソースとして捉える方もいますが、私はそうは考えません。組織で働く一人ひとりにはそれぞれの人生があり、その先にはその人が大切にしている人たちがいます。だからこそ、関わった人たちみんなが笑顔で家に帰れるような、そんな環境づくりを行うことが経営者である私のミッションだと捉えています。

ぜひ、今回の記事を読んでCloudbaseに共感いただけた方は、自分なりの「with」や「unlock」を我々にぶつけに来てほしいと思います!

こちらの記事は2024年05月23日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

編集

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。

新規会員登録/ログイン