エンプラ開拓は「仕組み化+個の努力」──2年で大手数十社の導入を得るCloudbaseレベニューチームに学ぶ、スタートアップのエンプラ攻略術

Sponsored
インタビュイー
小川 竜馬

京都大学卒業後、モルガン・スタンレーの投資銀行部門に入社。TMTカバレッジチームにて、グローバルIPOやM&A案件に従事。2022年3月よりCloudbaseにジョイン。営業・資金調達をはじめとし、プロダクト開発以外の業務を広く担当。

井川 皓貴

一橋大学卒業後、株式会社IHIや株式会社スマートキャンパス、株式会社HERPなど4社に勤務し、法人営業や新規事業の立ち上げ、執行役員COOとして経営全般に関わるなど幅広い経験を持つ。2023年3月よりCloudbaseにジョイン。現在はレベニューチームで主にセールスを担当。

関連タグ

SaaSモデルのスタートアップであれば、その多くが目指したいと考えるエンタープライズ市場。

ビジネスサイドやセールス観点から見れば最も困難とも言える挑戦の一つである。なぜなら、複雑な組織構造をもつ大企業では承認プロセスに時間を要し、さらに数多くのステークホルダーとの調整力も必要だからだ。

契約が成立すれば大幅な事業成長が見込まれる一方で、その難度は高い。そのため、スタートアップにおいてはまずアプローチしやすいSMB市場の攻略から始めるのが一般的だ。

しかし、そうしたセオリーをものともせず、2022年にサービスリリース後、わずか数ヶ月でスズキ、エイベックス、出光興産といった名だたる大企業を相手にサービスを拡大させているスタートアップがいる。

その名はCloudbase。パブリッククラウド×セキュリティ領域において急成長を遂げており、直近では2024年3月にシリーズAで総額12.5億円の資金調達を発表。その勢いはますます加速するばかりだ。

しかし、驚くべきことに、同社のレベニューチームはたったの5人という少数精鋭である。一体、どのようにして大企業を相手に事業を拡大させてきたのだろうか──。

今回はその謎を解き明かすために、ビジネスサイド、レベニューチームを管掌するCOO小川氏と、エンタープライズセールスの井川氏に話を訊いた。

  • TEXT BY YUKO YAMADA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • PHOTO BY TAKUYA OHAMA
SECTION
/

顧客第一号・スズキとの出会いを生んだ、LinkedInのメッセージ

顧客との接点をつくるために「やれることは、全てやり切る」という姿勢で臨むCOOの小川氏。Cloudbaseが初めて契約を結んだ自動車メーカー、スズキとの商談の背景から、当時セールスを担当していた小川氏の熱心で粘り強い姿勢が伝わってくる。

小川私たちは2022年3月にベータ版『Cloudbase』を発表していますが、このプロダクトが“完成する前”から、LinkedInを通じて「セキュリティ」や「DX」に関連のある方たちほぼ全員に向けてコンタクトを取っていました。

「Cloudbaseはパブリッククラウドのセキュリティ事業を計画しています。貴社の事業に役立つ情報をご提供できるかと思いますので、一度お話のお時間をください」と。アプローチした数は数百人、いや数千人にも及んでいたと思います。

結果、ありがたいことに多くの企業から「OK」の反応を頂きまして、こうした取り組みから弊社のお客様第一号であるスズキ様との商談に繫がったんです。

小川スズキ様のような大企業が無名のスタートアップと契約するというのは並大抵のことではありません。

ですので、もしここで契約をいただくことができれば、Cloudbaseは一気に躍進できると確信していました。だからこそ、「何があっても絶対にご発注いただくぞ」と強い気持ちでフォローアップを続けていきました。こうした甲斐もあり、スズキ様との契約が成立した時は言葉では表せない感動や喜びがありましたね。

CloudbaseのCOO小川氏はそう力強く語った。彼は外資系投資銀行のモルガン・スタンレー出身であり、代表の岩佐氏とは大学時代の同級生。2022年3月にCloudbaseの1人目の社員として参画している。

小川氏は、エンタープライズ市場の開拓には確固たる正解がないとした上で、「あらゆる接点を継続的に探索し、リレーションをどう築いていくかがカギ」だと話す。なぜなら、ある事業部にアプローチして断られたとしても、別の事業部の人物が実はキーパーソンであり、そこから商談に進むケースも珍しくないからだ。

小川エンタープライズの市場開拓において、「何をすれば良いのか?」「どんな仕組みがあれば成功するのか?」という問いを頂く機会が多いのですが、簡単に答えられるほど単純ではないんです。

もちろん、大企業とのビジネスではロジカルな思考や「メールはすぐに返信する」などの迅速な対応は価値あるものです。しかし、それだけでは足りません。直接的な商談に繫がらなくても、お客様を理解するために同じ時間を過ごすことや、業界の交流会やイベントなどで積極的に人脈を広げることも大事です。

私たちはそのためにチームメンバーそれぞれの強みを活かしつつ、あらゆる手段を駆使して全力を尽くしています。まさに「総合格闘技」のようなものですね。

他にも、小川氏はエンタープライズの市場に挑むべく、ネットワーキングに注力してきた。それを物語っているのが、とあるアクセラレータープログラムに参加した際のことだ。

他の多くの起業家、経営者たちがピッチの準備に追われる中、彼はひたすらエンタープライズ領域に影響を持つ人物や投資家たちに声をかけ続けた──。

小川「どうか、私たちとエンタープライズ企業をお繋ぎいただけないでしょうか」と直接お願いして回っていました。今思うとかなり熱苦しかったかもしれませんが(笑)。

多くのスタートアップは、コネクションをつくることが大事だとわかっていても、「まだ自分たちはアプローチできる立場にいない」と躊躇してしまい、実行できていないのではと思います。その中で、私たちはためらうことなくアプローチを続けていったからこそ、私たちの事業を理解し、応援してくださる方たちに出会えたのだと思っています。

特に印象的だったのが、とある権威ある調査機関の方と親しくなり、その方が日本を代表する大企業の経営陣にCloudbaseを推薦してくれたことです。自分たちでは直接アプローチできない相手だからこそ、その影響力の大きさには驚きましたね。

続いて、前職ではHRテック企業のHERPでセールスマネージャーを務めたのち、2023年3月にCloudbaseにジョインした井川氏は次のように述べる。

井川「やれることは、全てやり切る」ためには、コミット力が何よりも重要だと感じています。それはお客様に対してだけでなく自社内においても同じです。

私は当初、セールスとして入社しましたが、自分の業務で成果を出しつつ、今はBizDevの側面から、チーム全体のレバレッジを向上させることに意識して取り組んでいます。

もちろん、セールスにおいて「これがあれば売れる」という仕組みの構築も大事です。例えば、洗練されたセールススクリプトや、リード獲得から商談クロージングまでのロードマップなどですね。しかし、こうした仕組み以上に、一人ひとりが自身のロールから横断的に「染み出していく」ような働きかけが大事だと思っています。

小川同感です。現在、私たちはこれまでの経験から得た知見を体系化し、仕組み化に向けて取り組んでいます。

しかし、仕組みがあっても、それが直接成果に繫がるのは3割ほどだと思うんです。それ以上に、個人の努力や外部の要素の方が大きい。ですから、井川さんのように、ロールに関わらず自ら積極的に行動を起こせるかどうかが大事だと感じています。それは、私たちのバリュー「Unlock」にも通じることです。

提供:Cloudbase株式会社

小川Cloudbaseは、初期からエンタープライズ市場を対象にしているため、従来のSaaSのビジネスモデルの常識が必ずしも当てはまるわけではない。だからこそ、メンバー一人ひとりがこれまでの業界のセオリーや慣習的なやり方を超え、新しいアプローチを生み出すことができるかどうかが大事だと捉えています。

SECTION
/

僅か5人のレベニューチームで、出光興産にエイベックス、TOPPANなどの大企業と取引

そんなCloudbaseのビジネスサイドを担当するレベニューチームは、COO小川氏を除いて、現在5人で構成されている。その内訳は、セールスが3人、マーケティングが1人、CSが1人という少数精鋭のチームだ。

対象とするエンタープライズ市場における顧客は、スズキや出光興産を筆頭に日本を代表する大企業たちが集う領域。ビジネスの規模を考えると、「たった5人のチームで対応しているのか」と驚く読者もいるはずだ。

それにしてもなぜ、Cloudbaseはこうした名だたる大企業との取引を実現させることができているのか。

小川それは、大企業が直面するセキュリティの課題をいち早く発掘して提示し、その課題を共に解決していく術を提案できているからです。

長年、日本は製造業の分野で世界をリードしてきました。しかし、2000年代以降、インターネットやソフトウェア開発がシリコンバレーを中心に発展する中、日本は既存の成功モデルから抜け出せず、他国に比べてテクノロジー活用が遅れてしまった背景があります。

小川事実、アメリカと比べると日本のセキュリティエンジニアの数は圧倒的に少ない。パブリッククラウドの活用自体は進んでいるものの、セキュリティ対策はまったくと言って良いほど追いついていないんです。(こちらについては1記事目の岩佐代表の記事でも解説されている)

もちろん市場には類似のサービスが出回っていますが、そのほとんどはプロのセキュリティエンジニア向けのもので、そうした人材がいない大企業においては相性が良くありません。ですので、『Cloudbase』はプロのエンジニアでなくともシンプルで使いやすいプロダクトとなっており、これだけの引き合いを頂けているのだと思っています。

Cloudbaseが大企業にアプローチする方法は、主に紹介とアウトバンドセールス。紹介の場合、役員クラスがカウンターパートとなるケースが多く、「Cloudbaseは勢いのあるスタートアップで、サービスの使い勝手も良さそうだ。まずは現場の課長クラスと話をして、反応が良ければPoCを進めていきましょう」という流れで進んでいく。

一方、アウトバウンドセールスの場合、企業の代表番号に直接電話をかけ、情報セキュリティや情報システムの担当者に繋いでもらう。そのため相手は必ずしもキーパーソンとは限らない。

担当者がサービスを理解し、導入の必要性を感じてもらえない場合は、話を進展させることは難しい。しかし、「担当者がまだサービスの価値を十分に理解していない場合は、セールスの腕の見せどころ」だと井川氏は語る。

井川私たちはお客様企業内のセキュリティ状況を明らかにした上で、どこに問題があり、何を優先して取り組むべきかを整理していくんです。すると「こんなリスクが自社にあったのか」と驚かれることも少なくありません。

また、お客様の中にはパブリッククラウドのセキュリティに対して誤った認識を持たれている方もいます。

例えば、クラウドサービスは提供側がサービス利用上で発生する全てのリスクを管理してくれると捉えがちですが、実際は「責任共有モデル*」が採用されており、利用する側とサービス提供側でセキュリティの責任範囲が分かれています。

そのため、今の状況だとお客様自身にどのようなリスクが生じてしまうのか、丁寧に解説していきながら、『Cloudbase』ではどのようなセキュリティ対策ができるのかをお伝えしていくんです。

*責任共有モデルとは、ユーザーとAWSどちらに責任の所在があるかを明確に分ける考え方のこと

とはいえ、大企業となると利害関係者が多いため、そう簡単には契約まで至らない。場合によっては半年以上を要する場合もある。情報システム担当者の同意だけでなく、クラウドセキュリティを活用する現場の技術者も含め、多くの支持を得る必要があるからだ。

さらに、社員数を数千人〜数万人抱える大企業であれば、1つのサービスを導入するだけでも数千万円〜数億円の金額が動く。その契約金額の大きさゆえ、役員や本部長クラスから「このスタートアップは本当に信頼できるのか?安全なのか?」という声が上がることも珍しくない。セールスのメンバーたちはこうした経営層の懸念を払拭するべく、根気強く時間をかけて信頼を獲得していくのだ。

井川導入に向けた最終的な意思決定は役員会などで行われるのですが、私たちは課長や部長クラスの方たちと連携しながら社内の合意形成に向けて調整を進めていきます。

ビジネスは企業間の取引ですが、その根柢には人と人との結びつきがあります。そのため、良好な関係を構築するためには、業務だけではなく、お客様の声を受け入れる素直さも大切です。また、一緒に食事をしながら楽しい時間を共有することで、お客様との距離を縮めていくことも大事だと考えています。

私たちのバリューである「With」にもあるように、お客様とどれだけ密に関われるかが問われますよね。

エンタープライズ市場での事業推進は一見すると華やかに見えるかもしれない。しかし、その裏には地道で泥臭い、ある種、非合理にも見えがちな努力の積み重ねがあるのだろう。

SECTION
/

エンタープライズのセキュリティ支援が、日本の再興に繋がる

2024年4月現在、『Cloudbase』の導入社数は数十社を超える。2022年3月にベータ版『Cloudbase』を発表した直後から大企業のオファーを受け、瞬く間にエンタープライズ市場での地位を確立しているのだ。

この背景には、企業がDXを推進する過程で必要となるパブリッククラウド(AWSやGoogle Cloud、Azureなど)を活用する上で、セキュリティ対策が極めて重要なファクターとなっていることが挙げられる。

小川『Cloudbase』に価値を感じてくれた大企業のお客様からの反応は予想以上でした。

「1つの事業部だけでなく、全社レベルで使いたい」「あの企業が導入したいと言っているので紹介したい」とおっしゃっていただく機会がどんどん増えており、『Cloudbase』の活用の場が急速に拡大していることを実感しています。

例えば、ある企業では数ヶ月で開発したプロジェクトのセキュリティチェックに、従来は6ヶ月かかっていたところ、『Cloudbase』の導入でセキュリティチェックを4ヶ月短縮できたと伺いました。これは、変化が速い今の時代において大きな価値があると思っています。

また、『Cloudbase』の導入により、DevOps(開発と運用のプロセスを密接に連携させ、リリースサイクルをスムーズにさせるアプローチ)を実践していたある会社が、DevSecOps*へ移行し、それを社外に開示されている事例もあります。

これは、DevOpsの考え方にセキュリティ(Sec)を組み込んだものです。つまり、『Cloudbase』の導入により、開発初期の段階からセキュリティを担保しつつ、開発から運用までのサイクルをスピーディに進めることができるようになったというわけです。

*開発、運用、セキュリティを密に連携させ、従来のDevOpsによって開発後に実施していたセキュリティ対策を前倒しで実施することで、問題の早期検出による対応コストを削減できる取り組み

この話に関連することとして、Cloudbaseのミッションが挙げられる。同社が「日本企業が世界を変える時代をつくる。」というミッションを掲げていることは、これまでの取材の中でも幾度となく発信してきた。

提供:Cloudbase株式会社

Cloudbaseは企業のセキュリティを守ることが目的ではなく、セキュリティサービスを軸に日本企業のポテンシャルを引き出し、世界の舞台にもう一度、日本企業を押し上げていくことを目指している。

これは代表の岩佐氏の強い意志であり、プロダクトチームやレベニューチームも同じ想いを抱いている。現に、社内からは「自分たちの力で、世の中をぶち上げたい」──と、熱い声が飛び交うほど、同社のミッションは強固に根付いているのだ。

井川『Cloudbase』は、大企業におけるパブリッククラウドのセキュリティのあり方を根本から変える革命的なプロダクトです。

パブリッククラウドの市場は世界規模で拡大傾向にあり、2026年には世界で約91兆円、日本では4兆円を超える見込みで、この数字を見れば明らかなように、日本は世界に比べてまだまだ発展途上の段階です。

だからこそ多くの伸び代を残していますし、そこに対して日本でも指折りの優秀なエンジニアたちを集めて価値を提供しているCloudbaseは、ポテンシャルに満ちた企業だと思うんですよね。

日本の大企業に貢献しているという誇りを持ちつつ、市場と共に自分たちも成長しながら世の中にインパクトを与えていける。それがCloudbaseの魅力だと思っています。

SECTION
/

プロダクトの力だけで、エンプラ市場の攻略はできない

Cloudbaseのビジネスサイド、レベニューチームの取り組みが見えてきたところで、この巨大なエンタープライズ市場を相手に牽引する彼らについても詳しく見ていきたい。

前職HERPではセールスマネージャーとして、また前々職では執行役員COOとして活躍してきた井川氏は、なぜ今、Cloudbaseに身を置いているのだろうか。

井川100%、偶然でしたね。まさか自分が転職しようとは思っていませんでしたから。

実は、HERPにいた頃、よりエンタープライズの開拓に注力していきたいと考えていたタイミングで、SNSを通じて「リリース後、6ヶ月で大企業の導入を実現した秘訣を教えます」という『Meety(現Pitta)』の募集を見つけたんです。その時は「話を聞いてみるか」というノリで自分からryomaさん(小川氏)にメールを送りました。

まず、オンライン上で対面したryomaさんの第一印象は、とにかく「爽やか」。しかし、話していくうちに良い意味での「獣感」を感じて、ビジネスに対して鋭い嗅覚を持っているんだなという印象に変わっていきました。

井川特に、事業拡大のためのレバレッジポイントを特定する力、そして事業を伸ばすためなら全力を尽くすスタンス、これらの姿勢がとても印象的でした。

それでいて、獣とはいえ決して一匹オオカミというタイプではありません。ryomaさんは現在、組織づくりや採用を担当していますが、人が好きで、新たに入社したメンバーに対してもどうすればスムーズに活躍できるかを常に考えています。こうした面倒見の良さもryomaさんの魅力だなと感じています。

小川嬉しいですね。私は当時、井川さんに会えてテンションが上がりましたよ。色んな人と話したいなと思い立ち、勢いで『Meety(現Pitta)』を始めたら、何人か興味を持ってくれた人の中に井川さんもいましてね。

実際に話してみると、「おぉ、すごい人が来たぞ」と。私は前のめりになって「一緒にご飯行きましょう!今すぐ!」とすぐに口説いていました(笑)。

当時を思い出しながら、小川氏は笑みを浮かべる。一体、井川氏のどんなところに魅力を感じたのだろうか。

小川井川さんは着飾ったコミュニケーションを取らずフラットに向き合ってくれる。そんな姿勢に惹かれました。話を過剰に盛ることなく、「これって、ぶっちゃけこうですよね」とありのままに会話することができるので、初対面から話しやすい雰囲気をつくることができるんです。また、彼自身のビジネスに対する捉え方や、「インパクトのあることをしたい」という想いにも共感しましたね。

獣感があるということなので言いますが、直感的に「仲間にすべきだ」と思ったんです。

私はピンとくるものがあれば逃さない、地獄の果てまで追いかけていくタイプなんです(笑)。これは先ほどお話しをした通り、私がセールス担当だった頃の手法と根源的には同じですね。「この人だ」「この会社だ」と思えば、最後まで諦めたくない。それがもしかしたら獣感と呼ばれる所以なのかもしれません。

そして2023年3月に井川氏はCloudbaseにジョイン。小川氏は、井川氏と共に仕事をする上で、常軌を逸したコミット力に驚かされたと言う。

小川井川さんはスポーツに例えると、試合中は本気でずっと走り続けているような人です。スタートアップをチームスポーツとして考えると、そのエネルギーはチームの強度を高めてくれるし、とても重要な要素だと感じています。

直近では、売上高1兆円を超える各業界を代表するお客様に対して、良い関係性を築きながらセールスを進めており、いくつもの成約に繋がっています。

また、バイタリティだけでなく彼は「戦略を練る」こともうまいんですよ。

物事をシニカルに捉え、目標を達成するためのプロセスを緻密に決めていける。そしてスタートアップでは欠かせないオーナーシップを常に持ち、事業を伸ばすためならセールス以外の仕事にも染み出していく。だからこそ高い成果を生み出せているんだと感じます。

小川氏が「何が何でも掴みにいくぞ」という攻めのアグレッシブさを持つタイプであるならば、井川氏は、戦略的な思考でオーナーシップを持ち「絶対にやり抜く」という堅実な強さを持つタイプである。

Cloudbaseの急成長はプロダクトの力だけでなく、彼らのような強いビジネスメンバーがいるからこそのものであることがわかるだろう。

SECTION
/

「既存価値の代替」ではなく「新たな価値の創出」に挑戦できる

今回の取材を通じて、Cloudbaseがスタートアップでありながら、DAY1からエンタープライズ市場に飛び込み、事業を拡大させてきた理由の一旦を掴めたことだろう。

しかし、Cloudbaseのポテンシャルの高さはそれだけではない。ここで、他の一般的なSaaSプロダクトとの違いをお披露目しよう。

多くの企業はプロダクト導入後、チャーン防止に注力しがちだ。しかし、なんとCloudbaseの場合は数千万円、数億円単位でのアップセルを狙えるダイナミックさがある。

どういうことか?

その答えは、一社の中でも事業部や部署ごとにそれぞれ『Cloudbase』を提案できるプロダクト特性にある。

例えば、経営管理や労務管理といったSaaSの場合、基本的には一社に一つある該当部署内で完結するものが多いはず。しかし、『Cloudbase』の場合は対象が広く、一組織においてもA事業部、B事業部、またA事業部の中のA-1部署、A-2部署といった具合に、複数展開が可能なモデルとなっているのだ。

そのため、最初にトライアルとして一部署、一事業部での導入で成果が出れば、高確率で隣の部署、他事業部、全社展開へと拡張していけるポテンシャルを秘めている。何という秀逸なモデルであろうか。

さらに、Cloudbaseの顧客は各業界のリーディングカンパニー、いわゆるナショナルクライアントと呼ばれるような“ラージ”エンタープライズに特化していることから、その「一導入」が生み出すインパクトは他の比ではないことがわかるだろう。

そしてそんなCloudbaseのビジネスモデルについて、「ここで成果を残すことができれば、ビジネスパーソンとして大きく市場価値を高めることができる」と井川氏は述べる。

井川『Cloudbase』は、エンジニアサイドだけでなく、ビジネスサイドの人材にとっても、他のSaaSサービスとは一線を画すプロダクトだと感じています。

あくまで私個人の見解ですが、一般的なSaaSサービスは、アナログ作業をデジタル化することが主な目的となっている場合が少なくないように感じます。

もちろん、企業によってさまざまな課題がありますが、マクロな視点で見れば、今の時代は顧客側にも明確に「生産性向上」というニーズがありますよね。そのため、顧客の課題を深く掘り下げなくてもセールスとして一定の成果を上げることはできると思うんです。

井川一方で、『Cloudbase』はニーズが顕在化しておらず、何か既存のものを別の価値に置き換えるといったソリューションではありません。そのため、お客様の意識の中でニーズを顕在化させる必要があり、これこそが難度の高いチャレンジだと思っています。

あえて大別してみると、世の中のSaaSには「既存価値の代替」をになうものと、「新たな価値の創出」をになうものの二つがあるということか。

そして、Cloudbaseは間違いなく後者の役割を果たしており、黎明期のクラウドセキュリティ市場においてそのような価値の提供にコミットするということは、市場にとってだけでなく、自身のキャリアにおいても大きな挑戦となるということだろう。これは確かに「なるほど」と頷くばかりである。

小川付け加えると、Cloudbaseの現在のフェーズにも注目してもらいたいです。今後、事業組織の拡大をしていくにあたって、今と1年後では挑戦の環境が大きく変わるはず。

これから先、個人のキャリアにおいて「急成長真只中の事業や組織を牽引してきた」という経験は、間違いなく市場価値の向上に直結すると思いますね。

先の記事でも再三伝えてきた通り、Cloudbaseの事業や組織はまだまだ、まだまだ余白だらけ。その発展には明らかに人材が不足しており、新たなメンバーの加入が強く望まれている。そんなCloudbaseが求める人物像とは如何に──。

井川これから事業を拡大する上で、解決すべき論点は無限に出てくるはずです。そうした際、「自分はこれをやります」とオーナーシップを持ち、周りを巻き込んで推進していける方が良いですね。特にセールス観点で言えば、素直さややり遂げる意志のある方を求めています。

小川Cloudbaseは現在、経験豊かなメンバーも集まりつつあります。レベニューチームにおいても、元セールスマネージャーやマーケティングディレクターなど、マチュアで優秀な方たちが「Cloudbaseを大きく成長させるぞ」と意気込みを持って参画してくれています。そうしたスペシャリストとして事業を推進してくださる方は大歓迎です。

一方で、既に岩佐やプロダクトチームからも発信しているように、Cloudbaseはチームワークを大事にしているので、私たちがバリューとして大切にしている“unlock”や“with”といったカルチャーに共感し、一緒に肩を組んでチャレンジし続けられるような方と一緒に働きたいですね。

Cloudbaseは、「BtoBのビジネスモデルを目指すスタートアップなら、まずはSMB市場で実績を積んでからエンタープライズに挑むべきだ」という、従来のSaaSセオリーを覆し、あらゆる手段も厭わずひたすら努力を積み重ねてきた。その結果、日本の著名な大企業を相手にしながら、クラウドセキュリティという新たな市場を切り拓いた。

これはFastGrowの推測だが、こうした経緯も相まって、Cloudbaseには「Unlock」というバリューが掲げられているのかもしれない。固定観念にとらわれず、自らの意志で未来を切り開く。日本企業の再興という大きなイシューに挑むにはピッタリのフレーズだ。

その分、この環境で活躍していくためには「仕組み」や「既存の勝ち筋」に頼るのではなく、自ら考え、自らの力で勝ち馬を生み出すくらいのタフな気概が求められることだろう。そんな挑戦の機会に溢れたCloudbase。ぜひ、興味を持った者はコンタクトを取ってみてほしい。

こちらの記事は2024年04月12日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

執筆

山田 優子

写真

藤田 慎一郎

写真

大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。

新規会員登録/ログイン