“無自覚なハイスキル”はこう育つ──医療業界の革命児・CUC、若手のキャリアパスにみる事業家人材、育成の要諦

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インタビュイー
小田 風馬
  • ソフィアメディ株式会社 訪問看護事業本部 

2018年4月新卒入社。立教大学経営学部経営学科卒業。CUCのインターンで医療機関へのメディア営業、老健・回復期病院の医事経営管理業務を経験。入社半年後にグループ会社のソフィアメディ(株)に転籍。西東京、名古屋の新規事業所の開拓に1年半従事し、広報部署へ異動。全社の社外コミュニケーショPJのリーダーを務める。2021年10月に北陸エリアプロデューサーに就任し、現在に至る。

金川 和弓

2019年4月新卒入社。関西学院大学文学部総合心理学科卒業。入社1年目で運営本部在宅事業部にて、支援先訪問診療クリニックに配属。約1年半、埼玉と千葉の在宅医療の現場でメディカルサポーターとして医師の診療を支援する。2020年10月に事業開発室に異動し、新規事業である在宅治験事業の立ち上げメンバーとしてアサインされ、現在に至る。

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医療業界にあふれる多種多様な課題を解決に導くため、次々と事業を展開している株式会社シーユーシー(以下、CUC)。

連載1記事目では、事業開発室長・広田 幸生氏が登壇。CUCが取り組む医療業界という市場の大きさ、そしてそこに対し“事業開発"をキーワードに事業を展開していく同社の立ち位置をきいた。続く連載2記事目は、医療業界において志を同じくするファストドクター・代表取締役の水野 敬志氏との対談。コロナ禍における共同プロジェクトを題材に、民間企業が行政と共創して医療業界を変えていく様を紹介した。

そして今回、連載最終回となる3記事目では、CUCが事業創造をすすめる上で重要視する、“医療現場での経験”にスポットライトを当てていく。同社の若手社員らによる実体験エピソードを通じ、 医療業界のリアル、そしてCUCで事業を推進するとはどういうことなのかを掴んでいきたい。

お相手の1人目は、新卒入社4年目の小田 風馬氏。 CUC入社後、さまざまな現場経験を積み、現在はグループ会社であるソフィアメディで管理職を務める。そして2人目は、新卒入社3年目で創薬領域での新規事業立ち上げに携わる、金川 和弓氏だ。とりわけ若手の読者、なかでも現場経験にハードルを感じる者にとってこそ学びのある回となるだろう。

  • TEXT BY WAKANA UOKA
  • EDIT BY TAKUYA OHAMA
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課題に向き合っているからこそ、
スキルを意識する機会などない

いきなりだが、医療に限らずどの業界においても「まずは現場で」と第一線に飛び込むことに対し、躊躇する読者も多いはず。「自分はマーケティングを極めたいんだ」「市場調査の一環として現場視察するのは良いが、そこにコミットするのは…」という具合に──。そんな現場にどうしても携わる必要があるのなら、「メリットとなりうるもの、具体的に得られるスキルや知見を明示してほしい」。そんな想いを抱くのではないだろうか。

こうした背景に対し、今現在も医療現場でプロジェクトを牽引する小田氏と、複数の医療現場を経て新規事業の立ち上げに携わる金川氏は、何を思うのだろう。果たして、「明確なスキルを得た」というものを持ち合わせているのだろうか。その答えは、否だ。いや、正確に言うと、“自覚していない"とする方が正しい。

金川氏身についたスキルですか、難しいですね。現場で働くCUCの社員は、社内の人間よりも現場の医療従事者の方と関わる機会の方が断然多い。そもそも現場にはCUCの社員が何人もいるわけではありませんし、それこそ能力や経験値を比較する同世代の社員もいません。日々、現場や事業に向き合っているため、“スキルというものを意識する機会がそもそもない”というのが正直なところでしょうか。

株式会社シーユーシー 在宅治験プロジェクト 金川 和弓氏

小田氏私も、“身に付いたスキルは何か”と聞かれてピンとくるものはありません。今、私が働いているソフィアメディでは、国内80事業所で訪問看護ステーションを展開しており、今後はより全国に普及させていきたいと考えています。そんな事業推進において、周囲を巻き込んでいく力、プロジェクトを推進していくリーダーシップは備わってきているのかもしれませんね。

ソフィアメディ株式会社 訪問看護事業本部 小田 風馬氏

金川氏そうした観点でいうと、私もCUCでの医療現場や事業立ち上げを通じて、事業を推進する際の“最初から最後まで”を一通り経験し、その全体感をつかむことができました。

思い返すと、新規事業を立ち上げる際の事業設計、関係各社を巻き込む調整業務、具体的にプロジェクトを推進するための契約や見積もり交渉、そして納品後の請求フローにいたるまで、ビジネスにおけるあらゆる工程を経験できています。

具体のファンクションスキルとして「これを身に付けられた」と断言はしなかった両氏。しかし、二人の率直な感想を聞いていると、新卒入社3〜4年目ですでに事業創造を独力で行えるといった様子も垣間見えた。

そんな、“無自覚なハイスキル"を持った小田氏と金川氏。 CUCに入社してから現在に至るまで、彼らは一体どこで何を経験してきたというのだろうか──。

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「視点を合わせよ」。
患者様を見る医療従事者と、事業を見る事業家

小田氏と金川氏が属する CUCは、医療業界に身を置く企業。しかし、二人は学生時代から医療を学んできた人間ではない。2019年に新卒でCUCに入社した金川氏は、小学生時代から大学時代まで本格的に卓球に取り組み、高校にはスポーツ推薦で入学。医療の領域とはまったく関係のない道を歩んできた。

そんな金川氏がCUCに出会ったのは、友人からの紹介。その友人とは外資系のコンサルティングファームやベンチャーキャピタル、スタートアップに注目していた人物で、「面白そうな会社がある」と金川氏に伝えてくれたのがきっかけだったという。

金川氏友人からCUCの話を聞いた時、大きく3つの魅力を感じました。1つ目は、“取り組むマーケット”の魅力です。民間企業にも関わらず、医療の本丸、すなわち医療現場の中核に関わっているという稀有な事業形態に注目しました。

2つ目は、組織・事業フェーズの魅力です。2019年の入社当時、CUCは設立4年目でメンバーは140名ほど。エムスリー・グループという強力な連携先を持ちつつ、ハイスピードで組織も事業も成長しているという点に興味を抱きました。

そして3つ目は、他業界で実績を挙げてきたプロフェッショナルな経歴の持ち主たちが、そこでの経験を持って医療業界を変えにきている点です。「創業間もないベンチャー企業にこれだけの人材が集まるのか」と、業界変革に対する本気度の高さを感じると共に、自分もそこに加わりたいと強く心を惹かれました。

一方の小田氏は、2018年の新卒。大学の専攻は経営学部と、こちらも医療には深く関わりはない。ただ、小田氏は認知症の祖父の介護を通じて、学生時代より介護領域への関心を高めていたという。

小田氏 学生時代に福祉用具、介護機器の営業会社を立ち上げたことがあり、CUCとの出会いは、そこで出会った方とCUCの方が知り合いだったことから始まりました。

また、もともと経営学部で学んだ観点から、少子高齢化により日本のあらゆる市場が鈍化していくことも知っていました。なので、「医療や介護関係に携わりたい」という気持ちはありながらも、当時は「今の自分には多くの人を動かしてこの業界を変えていくには力不足だ」という思い込みがあり、ベンチャー企業であるCUCに踏み出す勇気が持てなかったんです。

ですので、「まずは育成環境も整っている大企業で自分のスキルをじっくりと磨こう」と考えていました。そんなことから、当初はCUCへ入社しようという意識はなかったです。しかし、なぜか月1、2回あるCUCのインターン飲み会にだけは参加するという、おかしなポジションを確立していました(笑)。

その会に参加するなかで、CUCの社員やそこで働くインターン生の熱い想いや志の高さ、また素早く大きな打ち手を実行できる会社としてのアセットの豊富さに惹かれていきました。

そんなこんなで、最終的にはCUC代表の濵口に「ウチに来るよね?」と背中を押されたこともあり、インターンから入社したという流れです。飲み会が出会いの始まりという、企業と繋がる順序が普通とは逆だったんですよ(笑)。

それぞれ個性が感じられるエピソードを持って、CUCに入社。その後、期待を胸に入社して、ギャップを感じることはなかったのだろうか。小田氏は「“医療の負を変える”と掲げながらも、思ったより簡単には変わらない。それほどまでに医療業界の変革とは困難なのかと思った」と率直な感想を述べる。

小田氏 CUCは、ベンチャー企業としての格好よさと、泥臭い過酷さが入り混じった環境だと感じています。

実際にCUCに入り変革を担っているメンバーを見ると、医療現場を変えることで生じる摩擦や変化にぶち当たり、苦しそうな場面を見ることもありました。ある種、それだけ業界に改善の伸び代がつまっているとも言えるのかもしれません。

しかし、それは私にとってネガティブなものではなく、モチベーションにすらなっています。なぜなら、「それだけこの医療という業界を変えることは簡単ではない」と思いつつ、それと同時に「その変革を起こせる可能性を秘めているのは、CUC以外にはない」と思うからです。

金川氏 私もいざCUCに入社してみると、医療という業界のなかで事業を推進することの難しさを痛感しました。これは入社して直ぐというよりは、実際に1年半のあいだ、医療の現場に入ってみたからこそ、体感として分かってきた感じです。

その難しさというのは、医療従事者の方々との関わり方です。お互い、より良い医療を提供していくという思想を共有しながらも、“目の前の患者様のケア”というミクロの視点と、“日本の医療環境のアップデート”というマクロの視点、どちらにどれだけの比重を置いて動いているのかといった点でどうしても違いが生じてしまうんです。

例えば、我々は「より早く、より広く、70%の完成度でも、医療が行き届いていない全国の患者様にサービスを届けたい」、そんな意識を強く持っています。ですが、医師や看護師といった医療従事者の方々は、必ずしも我々と同じくらい強くそう感じているとは限らないんです。むしろ、“今、目の前で病に苦しむ患者様を笑顔にすること"の方が優先度が高いということもあり得るんですね。

ですので、そんな医療の世界で事業を推進するには、医療従事者の方々とチームとしての結束を強め、同じ目標に向かって進んでいくことが必要不可欠。我々の都合だけで判断、推進することはできないんです。このように、前提の価値観が異なるステークホルダーを巻き込みながら、事業を創り、進めていく医療業界およびCUCは、決してラクな環境ではないなと感じています。しかし、小田が言うように、そんな環境だからこそ「挑戦したい、変えていきたい」と思うんです。

二人の熱い想いは医療業界のギャップなどものともせず、むしろ、この領域で事業を推進するモチベーションをより加速させているようにも思える。そんな彼らをそこまで惹きつける医療業界とは、一体どんなところなのだろう。CUC入社後に二人がまもなく配属された医療現場でのエピソードを通じ、疑似体験していこうではないか。

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浴びる洗礼。「勝手な物差しで、医療業界を測るな」

小田氏は、CUCへの入社を決めてからすぐにインターンとして現場に入ることになる。はじめは1ヵ月ほど介護施設に入り、事務的な支援や施設で働く新卒採用支援、介護従事者の業務効率性を向上させるツールの作成に携わった。

社員として正式に入社した後は、病院の外来受付や内部の事務処理などを行う医事課へと配属される。そこで半年間の現場経験を積んだのち、グループ会社であるソフィアメディへ転籍。西東京、名古屋の新規事業所の開拓に1年半従事する。さらにその後は広報企画系へと渡り、現在はソフィアメディで北陸エリアのマネージャーに着任と、短期間で目まぐるしくその活躍の場を広げている。

株式会社シーユーシー 事業概要図

なかでも、正式にCUCにジョインした一発目の配属が医事課での事務業務であるということに対し、小田氏は「複雑な心境だった」と苦笑いする。

小田入社した当時は、そのときのCUCで1番収益を上げていた病院保守のセールスや、病院経営のコンサルティング事業に携わりたいと思っていました。なので、そうした業務に直結する現場配属を希望していたんです。しかし、「まずは診療内の会計や保険を取り扱う医事課へ」といった配属打診がなされまして。正直「医事課…?専門分野すぎて、自分が期待していた仕事ではない…」という、焦りというか、戸惑いが生じたことを今でもハッキリと覚えています。しかも、その現場にはCUCの仲間もほぼいないという状況で。

ただ、結論から言うとその現場経験は非常にタメになりました。といいますか、まずこの医療業界に入ったらなるべく早いうちに現場を経験していた方がいいとすら思っています。当時と今とで言っていることが180度変わっていますね(笑)。

なぜなら、現場で医療活動に従事している方々の価値観や思考特性、想いを理解せずに、事業など興せないからです。“机上の空論”という言葉がありますが、現場を経験せずに「新規事業をやりたい」「事業開発したい」と考えるのは、文字通り的外れな取り組みになってしまうと思っています。

私自身、医事課で働くようになり、外来の受付業務や診療対応はもちろん、経営企画や厚生労働省向けのデータ作成など、多岐にわたる業務を経験してきました。そのなかで、表面的な業務タスクにおいては徐々に慣れていくのですが、現場で働く医療従事者の方々との“共通言語"を持つことには、とても苦戦したんです。

この“共通言語を持つ”というのは、単に医療現場における専門用語の理解を指すものだけではない。ここには、“現場の医療従事者たちがどんな想いで、なんのために働いているのかという背景を理解した上で、コミュニケーションが取れているのかどうか”も含まれている。

現場、及び医療業界に入った当初の小田氏は、「医療の専門外からきた自分こそが、医療の現場を変えるんだ」と息巻いていた。しかし、この“共通言語”を真の意味で掴んでいない同氏は、現場とのやりとりにおいてもどこか表層をなぞるだけに帰着。望む結果が出せずにいた。

小田これは後になって気づくのですが、金川も述べた通り、医療現場で働く方々は、「他者のために」、「目の前にいる患者様のためになっているか」を何より重視していたんです。世のビジネスパーソンが唱える“生産性”や、まして“利益”などといった概念は、二の次と言っていい。それくらい、患者様のことを真剣にみていたんです。

小田そうとも知らず、私は現場の方々に「この業務はこうしたらもっと最適化できると思うんです」「こんなアイディアを思いついたんで、試してみたい」などと提案する始末。結果、「それは私たちの仕事ではありません。あなたが自分ひとりでやってはいかがですか?」とお返しをいただきました。

そこからですね。医療現場の見方や仕事の取り組み方が変わったのは。「それまでいかに“独りよがり"な仕事をしていたんだろう」と、猛省しました。

「医療業界で働くとは何か?」「医療の現場を変えていくとは、どういうことか?」こうした問いに対する根本の解を見直すことができた小田氏。「すべては、患者様のため」──。ここに焦点がピタッと当てはまるようになってから、小田氏は医療従事者とのコミュニケーションの取り方が大きく変わったという。それは、あらゆるやりとりにおいて、“これらは患者様のためになっている”という手段と目的の接続をきちんと現場で説明するということ。そして、その上で、ステークホルダーたちの協力を仰ぐというものだ。

客観的に聞くだけだと、「なんだ、そんなことか」と感じる読者もいるかもしれない。しかし、それこそが机上の空論の始まり。現場にいた当事者ですらなかなか気付けなかったものを、そこに触れてすらもいない者がいったい何を理解し、何を変えられるというのだろうか。

こうして現場での気づきを得た同氏は、「自分なりの医療業界への貢献の“型”を見出すことができた」と笑顔をみせる。その後は先に述べた通り、グループ企業であるソフィアメディへと転籍し、新規開拓に貢献。続いて広報業務にも携わり、現在は北陸のエリアマネージャーとして再び“現場”を己がフィールドとしているのだ。

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医療業界の力学を掴み、現場のハブになる

一方、金川氏は現在に至るまで、1年半の間に2つの医療機関で現場を経験している。小田氏と同様に、彼も現場で得るべきものを得て、現在の事業推進に関わっている。そんな金川氏にも、当時の振り返りをしてもらった。

金川私は1つ目のクリニックに配属となった半年後、在宅医療を専門に行っているクリニックに異動となり、1年ほど働きました。そこでは在宅医療が地域によく根差しており、いろんな医療従事者の方々と交流することができました。

ここで経験できて良かったことは2つあります。まず1つ目は、いわゆる“ペイシェント・ジャーニー”を学べたこと。“ペイシェント・ジャーニー”とは、患者様が疾患や症状を認識し、そこから病院に行って治療するまでのプロセスを指します。

“医療機関に掛かる前段階の生活から、病気になり、症状がどう変化し、お亡くなりになるまでをどのように過ごしているのか”を、患者様、ご家族含めて見ていくのですが、この現場に立ち会えたことは大きかったです。そのなかで無力感を感じる経験もしましたが、「医療という領域で、患者様やご家族の幸せのために自分の力を注いでいこう」と覚悟を持つきっかけとなりました。

2つ目は、医療業界ならではの“力学”を掴めたことです。医療現場における重要な意思決定、例えば治療のための医学的判断が求められる際、最終的にオーナーシップを持つのは医師の方々です。そんな環境下で、自分がどのように医療従事者の方々と連携し、付加価値を出していくのか、初めはそこを掴むことが難しかったです。

小田氏が自身の課題をコミュニケーションで解決に導いていったように、金川氏もまた、この課題をコミュニケーションで乗り越えていったと語る。

金川これは「どの医療機関でも応用できるか」、「仕組み化できるか」と言われれば難しいと思いますが、私は医療の現場における“ハブ”になることを意識しました。

事実、医療現場において治療内容に関する意思決定を下すのは医師です。しかし、そんな医師でも、ひとりでは医療現場において患者様を救うことはできません。医事課が存在しなければ利益を得られませんし、看護師や介護士の協力がなければ、患者様に医療は提供できても、住み慣れた家で送る温かな療養生活は提供することができないんです。

そうした相互連携が重視される医療現場において、「私にもできること、私にしかできないことは何かな」と考えた結果、“医師や他の医療従事者の方々が知らない、行き届かない患者様の情報を密に共有する”ということを思いつきました。イメージで言うと、医師を始めとするすべての医療従事者の間に私が入り、各自から得た情報をつぶさに連携するという構図です。これによって医師を始めとした現場との関係構築が深まり、結果的に患者様に対しても手厚いサポートをご提供することができました。

具体的には、看護師さんから聞いた患者様の話を「『前に出してもらった皮膚の薬だと痒みが取れなくて、他の薬を試してみた方がよさそう』と言っていたみたいですよ」と医師に伝える、という風にですね。こうした疼痛・排便・皮膚症状は患者様にとって大きなペインとなるものの、疾患自体の症状ではないため、医師も見落としがちな領域なんです。そこに我々が目線を向けることで、患者様のより良い療養生活に貢献できると思っています。そしてさらに感動したのは、要介護者である患者様のケアプラン作成を担う、ケアマネージャーの方とのエピソードです。

金川その方と、とある患者様について密に情報共有していたのですが、そこからこのケアマネージャーさんが気を利かせてくださって。なんと、ふだん患者様にお弁当を届けるお弁当屋さんにも、「あの患者さんが薬をちゃんと飲んでるか、見守っていてくださいね」と連携してくださっていたんです。その時、「自分が共有させてもらった情報提供がきっかけになったのか、地域みんなで患者様を支える体制がつくれているな」と感じ、現場で働くからこそ得られるやりがいを感じました。こうした医療現場全体での信頼関係や連携体制の構築は、後の新規事業を行う上でも大きな事業推進力として活きていますね。

このように、両者とも現場で必死にもがきながら、事業を進める指針を見出してきた。特筆すべきは、こうした困難に直面し、気づきを得て現場の体制を構築していくフローを、“すべて自分ひとりで掴み、成し遂げてきている”という点だ。もちろん医療従事者らの協力ありきではあるが、これらのエピソードにCUCの上司や先輩、はたまた同期は出てこない。

ある種、ひとりでに学び、ひとりでに成長していく。二人の現場体験からは、そんな印象を感じた。もちろん、誰も彼もが、どの業界においても「とりあえず現場に出れば、彼らのように進化するのか」というと、そんなことはない。医療業界が持つ課題の深さ、重さや、CUCが掲げるミッション、ビジョン。そして同社が築く医療現場との連携体制。こうした前提条件が揃うなかに、事業家を志す人材が交ざることで、化学反応が起きるのかもしれない。答えは、自らの目で確かめられたし──。

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“三つ子の魂百まで”──現場経験こそが今の事業推進の礎

医療現場で味わった苦悩や、そこで掴んだ事業推進の勘所。そんな両氏のエピソードを聞き、読者もだいぶ医療業界に対する見方が変わってきたのではないだろうか。おそらく、現場経験を積むことの重要性は十二分に伝わったことかと思う。あとは、その経験がその後の事業活動にどう活きているのかといったところだろうか。そこに対するアンサーは、現在、創薬領域において新規事業開発に取り組む金川氏に聞いてみたい。

金川氏過去に積んだ現場経験は、今携わっている創薬の事業推進において間違いなく活きています。医療の領域には、治療の選択肢がほぼ存在しない病がたくさんあるんです。例えば、“希少疾患”と呼ばれる病気は今およそ7,000種類ほどあり、人口の約5%が罹患すると言われているのですが、これらの病気の95%は治療の選択肢がない状態なのです。

実際、これまで現場で働くなかで、自ら延命措置の選択を取らずに死を迎えるとする、“尊厳死宣言書”を用意しているALS(筋萎縮性側索硬化症)の患者様と関わったことがあったんです。この時は、「こんなに科学が発展していても、治療方法の無い病気がこんなにも身近にあるんだ」という事を肌で感じました。現在携わっている創薬事業で新たな薬をつくるということは、そうした病を抱える患者様を一人でも多く減らすことに繋がる可能性を秘めているんです。

そして、一緒に創薬開発に取り組んでいただく支援先の医師や事務長に事業の相談をする際、これまでの現場経験から感じた、“我々が関わる事で創薬の環境が良くなる可能性”を語れるのは、医師たちの心を動かす上で大きな力を持っていると感じています。

このCUCの“創薬”事業について、詳細は企業秘密ということで伏せさせてもらうが、金川氏は現在DCT (Decentralized Clinical Trial、分散型臨床試験)なるプロジェクトを推進している。これは、読者向けに分かりやすく表現すると、“治験環境のイノベーション”と言えるだろうか。従来だと医療機関内でしか実施できなかった治験という取り組みを、デジタル上や患者宅で執り行うことを可能にする試みだ。現在、この新規事業はエムスリーと連携してゼロから創り上げており、今後の展開が期待されるところである。

一方、現在は再び現場で活躍している小田氏。以前、広報企画系の仕事に携わっていた時には、現場経験が活きたことはあったのだろうか。先々、コーポレート側での業務を希望する若手にとっても注目したいポイントだ。

小田氏私は広報の中でも特に社外広報を担当していました。​そこでは訪問看護をご利用いただくお客様の新規獲得・リピートにつなげるための施策を考案したり、採用系の企画づくり、または海外のアワード(『8th Asia Pacific Eldercare Innovation Awards2020』。高齢者のエイジングに対し革新的で質の高いアプローチ、および高齢化社会の未来の形成に貢献した団体を評価するアワード。ソフィアメディは“INNOVATION OF THE YEAR – COMMUNITY CARE MODEL”部門での受賞)への企画・応募といった業務に取り組みました。

もともとこのポジションに就く前に現場経験があったおかげで、「医療職ではないけれど、この人は医療現場における問題の本質をわかっているんだな」と広報業務を通じて関わる方々に思っていただけたかと感じています。

繰り返しになりますが、医療業界における重要な意思決定は、医療機関の理事長や医師といった方々の判断のもと、取り決められることが多いです。こうした方々と連携して円滑な事業推進を行うには、やはり“医療における共通認識をいかに持ち合わせているか”が重要。決して理屈だけでは通らない世界なんです。そんな世界で「新しい価値を生み出したい」「その世界を変えたい」と思うならば、やはり現場経験こそが活きてきますよね。

そんな小田氏は、現在ソフィアメディの新規エリアのエリア統括担当として、P/L責任も負う立場にある。日々数字とも向き合う中で、「デスクで数字だけを見ていては、自分のミッションを見失いがちになる時もある(笑)」と冗談まじりに語る。あわせて彼は「問題の核は現場にしかない」「大きいことをやりたければ現場を見よ」「現場を知るからこそ、できることがたくさん増える」とも語ってくれた。

こうして話を進めるうちに、金川氏ふくめ、今担っている事業の指針や土台となっているものは、その殆どが入社当初の現場体験からきていることに気づく。“三つ子の魂百まで”ではないが、医療業界でのキャリア開始時に、医療現場のリアルを肌で感じておくことは、その後の事業にどれだけ大きな影響を及ぼすことか。もはやここまでくると、“現場といえば、CUC”とすら言いたくなってくる。そんな二人の赤裸々なエピソードをたっぷり聞けたところで、そろそろ終幕が近づいてきた。

最後に、二人だからこそ分かるCUCの魅力。そして、今後の同社に必要な仲間について、見解をうかがっていこう。

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リソースとは後から用意するもの。
事業とは“あるべき姿”から逆算せよ

この連載の1本目で、事業開発室長の広田氏は、「CUCは手を挙げれば事業を任せてもらえるチャンスがある会社だ」と述べた。ハードルの高いプロジェクトを進める際にも、「リソースがないからできない…」と判断するのではなく、「実現するためにはどうすればいいのか」とあるべき論から逆算して考える。そうしたCUCのカルチャーや強みは、マネジメント層だけではなく、金川氏、小田氏のような若手にまで浸透していることがわかった。

そんな同社のカルチャーがわかる印象的なエピソードとして、金川氏はワクチン接種支援事業の立ち上げ時について振り返った。

金川氏まだ日本でワクチン接種が進んでいなかった2021年4月ごろ、代表の濱口とCUCの事業パートナーである元医学部教授である医師たちが集まるミーティングに突然呼ばれました。そこで、「国に提言書を書こう」という話になったんです。と同時に、私が中心になってその提言書を書く話になったものですから、正直どうしたものか先が見えませんでした(笑)。

話が大きすぎて「正直、無理じゃないか…?」と思いつつも、右往左往しながら必死に取り組みましたね。その医師からは「困ったら昼夜構わず連絡してきなさい」と言っていただき、チーム連携に強みがあるCUCらしさを感じました。

金川氏そこから、その提言書は国会議員や当時のワクチン担当大臣との対話を経て、ワクチン接種支援事業へと繋がっていきました。いち民間企業でありながら、社会的課題を解決し得るアセットと推進力を持ち、実現にまでこぎ着ける。この立ち上がりのスピードと生み出すインパクトの大きさこそがCUCの魅力ですよね。皆さんの医療に対する本気の想いを感じつつ、こうした社会を変える一連の流れのなかに、当時3年目の立場で身を置くことができたというのは貴重な経験でした。

そんなワクチン接種支援事業は、立ち上げ6ヶ月で100万人の接種を実現した。もちろんそこにはソフィアメディやエムスリーといった、グループ企業による連携技も見られた。このような連携を駆使し、社会にインパクトを与えることができるCUC。その魅力については十分に伝わったのではないだろうか。

そんな同社が属する医療業界、おびただしい数の課題が山積していることは周知の事実。CUCでは、今なお増え続ける医療課題に向けて、事業開発を軸に、共に解決を担える仲間を求めている。最後に、その道で先を走る小田氏と金川氏に、同社で活躍できる人材についての見解をうかがった。

金川氏やはり自ら主体的に働きかけられる、声を挙げられる人ですね。これは医療現場においても、社内においても一緒です。それぞれリソースが足りていないところもたくさんありますが、そのなかでも事業をグロースさせるために多くの打ち手を持っているのがCUCです。そうした環境において、「自分はこう思っていて、これが社会や患者様にとって正しい道だと思う。だからこういう風にやりたい」と周囲を説得できる人は活躍できると思います。

今回の現場エピソードでお分かりいただけたかと思いますが、我々に求められていることは医療の知識、経験ではありませんからね。先ほどの提言書の話じゃないですが、課題の解決において必要と思ったら声を挙げる、人を巻き込む、実行する、といったことを主導できる人こそ求めています。ぜひその力を活かして、一緒に医療業界を変え、病に苦しむ患者様の力になっていきましょう。

小田氏私も金川さんと同意見です。あえて補足するなら、愛嬌があって、目上や年上の方々から好かれるキャラクターを持った人がCUCには合うと思います。医療業界で連携する医師を始め医療従事者の方々は、基本的に若手からすると大先輩にあたります。そうした方々に力を貸していただくには、人として協力したくなる、応援してもらえるような人柄であることも大切な要素だと思っています。

小田氏その他の要素、つまりこの医療業界で働く上で必要なものは、現場を経験すれば後から身についてきます。なので、決して「医療業界って専門性高そう…」「まったく関与してこなかった領域だから、自分には縁はないかな…」などと思わないでください。医療分野における経験は不要。これは断言できます。

「社会貢献できる仕事をしたい、かつ大きなことを成し遂げたいと思うなら、CUCに来るべきだ」と語る小田氏。金川氏もそれに同意しつつ、「どれだけ大きなミッションを掲げていても、地に足の付いた会社でなければ実現が難しいことはたくさんある。CUCのような、業界のステークホルダーや、グループ企業のアセットも最大限に活用できる会社だからこそ、素早く、大きく社会に価値を提供できる」と続けた。

医療現場という課題多き環境で揉まれ、人知れず事業家人材に育っている両氏。まさに、“無自覚なハイスキル”と称することができるだろう。そんな金川氏はCUCを”地に足ついた会社”だと表現したが、FastGrowからすれば、金川氏と小田氏こそ、“地に足ついたキャリア”を積んでいるベンチャーパーソンだと感じた。

こちらの記事は2022年03月30日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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大浜 拓也

株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。

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