オンライン薬局に定額制パーソナルフード。
BREWが厳選する医療・ウェルネススタートアップが登場──FastGrow Pitchレポート
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーションを興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。
登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。
今回は、シード・アーリー期のスタートアップに特化して広報支援や投資活動を行うVC・BREWとのコラボレーション企画として、BREWの支援先のみが集まる限定回を開催した。
本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社YOJO Technologies、株式会社Greenspoonの2社(登壇順)だ。
- TEXT BY OHATA TOMOKO
- EDIT BY HARUKA MUKAI
BREW株式会社
ファイナンスとクリエイティブの支援を通して、新しい未来を“醸成”する
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BREWは、シード・アーリー期かつライフスタイル領域のスタートアップに特化し、投資・支援を行うクリエイティブ・ブティックだ。「人々の新しい未来を“醸成”していく」をミッションに掲げ、クリエイティブ事業、ベンチャーキャピタル事業を展開。
プロダクトや事業を伸ばすため、マーケティングやデザイン、エンジニアリングに限らず、経営やファイナンス、広報なども伴奏して中からサポートする。創業から4年で会社を上場に導いた代表の小原氏を始めとし、上場まで事業を第一線で引っ張ってきた多様な経験を持つプロフェッショナルな事業家が集っている。
株式会社YOJO Technologies
医療相談から服薬フォローまで一気通貫でサポートするオンライン薬局
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最初に登壇したのは、かかりつけオンライン薬局『YOJO』を開発・運営しているYOJO Technologies代表取締役医師の辻裕介氏。
辻氏は、順天堂大学医学部を卒業、医療機関で臨床と研究に携わった後、2018年にYOJO Technologiesを創業した。
創業のきっかけは、患者と医療者の距離が遠いことに対する問題意識だった。
辻医療者と患者が接点を持つのは、ほとんどの場合、医療機関あるいは薬局に限られています。また、患者が医療機関を受診するのも、体調不良あるいは症状がひどくなってから。それさえも数分の診察や服薬指導で終わってしまいます。短時間かつフォローアップも少ない。患者と医療者の接点は多くなく、そのほとんどが「線」の関係ではなく、「点」の関係にとどまっている。ここに課題を感じていました。
YOJOは、患者が医療者にいつでも相談でき、丁寧な診療、アフターフォローも受けられるシームレスな医療体験を目指す。
現在は主要な事業として、LINEをプラットフォームとするオンライン薬局サービス『YOJO』を運営している。
LINEに登録した患者が悩んでいる症状を選択し、症状や体質についての質問に答えると、回答をもとにした医薬品が提案される。薬剤師とチャットで医薬品に関する相談を行うことも可能だ。
服薬が決まると、四ツ谷にある薬局から、30日分の医薬品が自宅に配送される。購入後も味や飲み方のアドバイスなどを受けられるだけでなく、月に一度効果の問診を行い、必要に応じて医薬品の変更や追加もできる。
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現在は生理痛、不妊、更年期障害など不定愁訴に悩んでいる20~50代の女性を中心に利用されている。
辻氏はYOJOのコアな価値として「薬剤師×エンジニアによるカスタマーサクセスの体制」を挙げる。人間ならではの寄り添いと、テクノロジーによる効率化の両方を強みとする。
辻薬剤師の方を指名する患者さんもいらっしゃるなど、LINEを介して、患者と医療者がエンゲージメントの高い関係性を築いています。
もちろん、毎月数万人のチャット対応を全て属人的に行うのは、工数が足りません。そこで独自のCRM開発により、自動化、効率化を図っています。専門性が活かせる部分、寄り添いが必要になる部分など、人間の薬剤師が担うべき仕事にフォーカスできるよう、サービスを設計しています。
実際にCRMを整える前に比べて、薬剤師の生産性は10倍以上になっています。
また、9万人を超えるLINE登録者から届く問診回答をベースに、医薬品を提案するアルゴリズムを開発。提案の精度を高めています。
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もう一つ、YOJOの特徴は「日本で初めて薬剤師のリモートワーク体制を実現していること」と辻氏は語る。
辻出産や育児、介護などを理由に勤務できない薬剤師は、全国に数万人いると言われています。リモートワークで働ける環境を設けることで、薬剤師が就業し、活躍できる場所を提供できればと考えています。
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2021年7月に2.5億円の資金調達を終えたばかりの同社。エンジニアやデザイナーなど全方面で募集中だ。「仲間が足りていないので、ご興味のある方はご連絡下さい」と辻氏はピッチを締めくくった。
採用情報
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株式会社Greenspoon
一人ひとりのウェルネスをサポートするパーソナルフード
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続いて登壇したのは、定額制パーソナルフード『GREEN SPOON』を開発しているGreenspoon執行役員の黒崎廉氏。
『GREEN SPOON』は、身体や生活にあったスムージーやスープを自由に組み合わせて購入できるサービスだ。
食生活にまつわる質問に答えると、回答に沿って必要な野菜やフルーツを提案してくれる。それらを含んだスムージーやスープから気になるものを選び、ボックスを受け取れる。定期で決まった個数を受け取れるボックス、単品で購入できるボックスなど、プランは複数用意されている。
スムージーは、甘味料や保存料、化学調味料などは一切使われておらず、健康に配慮されている。また届いたフードは、ミキサーや電子レンジなどで簡単に調理し、すぐに食べられる。
商品は全て冷凍でお届け。コロナ禍による宅食文化の広がりもあり、冷凍市場は伸びていると黒崎氏は語る。「保存期間も長いため、フードロスを減らせるとして、環境面でも注目されている」そうだ。
こうした、機能的価値に加え、「楽しく野菜を食べられる」という情緒的価値を届け、差別化を図りたいと語る。
黒崎野菜を摂らなければいけないと分かっていても、継続的にいろいろな野菜を食べることは意外と難しいと思っています。どの野菜を食べたらいいのかがわからなかったり、コンビニでサラダを買っても、いつも結局同じものを選んでいたり。気休めで野菜ジュースを飲んでる方も多いはずです。
そうした方がさまざまな野菜を楽しく食べられ、楽しいから無理なく続く。そうした価値を届けたいと考えています。
今までになかったパッケージデザインであったり、自分でつくる一手間が必要な商品にしているのは、楽しい体験を増やす目的もあります。
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それらの価値提供を積み重ね、Greenspoonは「アジアナンバーワンのウェルネスブランド」を目指している。
黒崎食の領域におけるウェルネスブランドで、第一想起をとれているブランドは現状ほとんどない。そのポジションを私たちが取っていきたいですね。身体の健康から始まり、社会全体にも影響を与えるような、強いブランドを構築したいです。
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ブランドを構築したいという思いは、創業当初から話し続けてきたのだという。ピッチの後半では、Greenspoonの考える「ブランド」について共有した。
黒崎他のブランドと意味のある差が存在し、自己表現のツールになるのがブランドだと、私たちは捉えています。
世界的なブランドを紐解くと、ポジショニングや利用シーン、ベネフィット、ミッションや声、コンセプトなど、独自の要素を備えていることがわかります。
Greenspoonのポジショニングとしてはヘルシーなファストフード。シーンとしては野菜やフルーツへ簡単にアクセスできることが挙げられるかと思います。
そしてエモーショナルなコンセプトとしては「自分を好きでい続けられる人生を。」を掲げています。GREEN SPOONのある生活によって、心も身体も満たされ、自己肯定感が向上する。そうしたブランドを目指していきます。
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BREW熊本氏は、Greenspoonを支援したきっかけに関して、「もともとプロダクトが好きでした。メンバーの多くがIT企業出身でカルチャーフィットしやすいだけでなく、代表の田邊さんも魅力的です。一緒にサービスを伸ばしていきたいと思いました」と語った。
現在、デジタルマーケティング責任者などを筆頭に、ビジョンに共感してくれる仲間を募集中だ。気になる方は気軽に連絡してほしい。
採用情報
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記念すべき第50回目となったこの日は、オンライン薬局、パーソナルフードが登壇した。 今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。
こちらの記事は2021年07月21日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
大畑 朋子
1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。
inquire所属の編集者・ライター。関心領域はメディアビジネスとジャーナリズム。ソフトウェアの翻訳アルバイトを経て、テクノロジーやソーシャルビジネスに関するメディアに携わる。教育系ベンチャーでオウンドメディア施策を担当した後、独立。趣味はTBSラジオとハロプロ
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