連載スタートアップを知りたいならここを見よ!FastGrow注目スタートアップ特集──FastGrow Pitchレポート

BtoB受発注システム、声のバーチャルオフィス。DX・テレワークに特化したスタートアップが登場──FastGrow Pitchレポート

登壇者
田口 雄介

立教大学卒業後、楽天株式会社に入社。エンジニア・プロデューサーとして楽天市場などを経て、株式会社リクルートに入社し、ホットペッパービューティーやAirレジシリーズに携わる。2015年6月に独立し、株式会社ハイドアウトクラブを設立。2018年夏、BtoB受発注システム「CO-NECT」をリリース。2020年2月に社名をCO-NECT株式会社に変更。

合田 翔吾

大手外資石油掘削企業にて4カ国のグローバル開発を経験。子供の誕生など人生のフェーズ変化で、仕事場によって生き方の幅を大きく狭める現状を目の当たりにし「すべての人がリモートワークを選択できる社会」への変革を求めて2018年にラウンズ株式会社を創業。どこでも隣にいるように話せる声の仮想オフィスroundz(ラウンズ)の提供とテレワークの導入コンサルティングにてこれまで400社以上のテレワーク定着サポートを行なってきた。

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーションを興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。

登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。

本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、CO-NECT株式会社、ラウンズ株式会社の2社(登壇順)だ。

  • TEXT BY OHATA TOMOKO
  • EDIT BY RYOTARO WASHIO
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CO-NECT
受発注業務をDXする、BtoB受発注システム

CO-NECT株式会社

最初に登壇したのは、BtoB受発注システム『CO-NECT』を開発・運営している、CO-NECT代表取締役の田口雄介氏。

田口氏は2015年に同社を設立し、BARとウイスキー愛好家を対象としたコミュニティアプリ『HIDEOUT CLUB』を開発。バーのマスターや小売業者と話をする中で「発注作業に手間がかかり、面倒だ」という声を聞き、BtoB受発注システムの開発に至ったという。

田口DXが進んでいない理由は、大きく2つあります。1つは、受発注システムを導入する場合、各取引先からの承諾を得る必要があり、自社の判断だけでは導入が難しかったこと。もう1つは、自社で受発注システムを作ろうとするとかなり高額になり、導入のハードルが高かったことです。

BtoB領域における受発注は、いまだに約7割がFAXや電話といったアナログな手段が利用されている。特に、FAXで受注している企業には毎日紙で大量の発注書が届き、コストも肥大化しています。中小企業だけでなく、大企業も同じ課題を抱えている。そういった領域においてDXを推進していくことは、日本全体の生産性向上につながると感じています。

『CO-NECT』は、スマートフォンやPCからの受発注を可能にするサービスだ。発注先が『CO-NECT』を導入していなくても、システム内でFAXやメールに変換して発注書を送信できる。田口氏は「取引先との合意を取り付けることなく、自社の判断でDXを推進できます」と導入のしやすさを語る。

また、ユーザーから選ばれている理由の1つとして「直感的な操作を可能にするUI/UX」を挙げる。

田口『CO-NECT』を開発するにあたり、飲食店の方々にヒアリングしたところ「発注システムを使ってはいるものの、一部の取引先としか使っていない」といったお話を耳にすることが多かったんです。その理由は、使いづらいこと。取引先に受発注システムの導入を求められて利用しているものの、使いづらくFAXで代替してしまうことがほとんどだったそうなんです。

とはいえ、非効率も感じていて、必ずしもFAXを使い続けたいと思っているわけではないと。そこで、『CO-NECT』は直感的な操作を可能にするデザインにこだわりました。実際に「わかりやすいことが導入のきっかけにつながった」といったお声も頂いています。

導入の効果は小さくない。ある食品会社が『CO-NECT』を導入したところ、従業員の年間労働時間を、合計1万時間ほど短縮できたという。さらに、誤納品や誤発注がなくなったことから、食材の廃棄を30%削減できたそうだ。

今後は『CO-NECT』の利用企業を拡大し、そこで得られたデータを元に需要予測を提供するなど、様々な展開も検討中だ。

「マーケターやカスタマーサクセスの責任者などを始めとした全職種で人材を募集中です。ご興味を持っていただいた方がいれば、ぜひお声ください」と参加者に呼びかけた。

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ラウンズ
テレワークに特化した「声のバーチャルオフィス」

ラウンズ株式会社

続いて登壇したのは、音声コミュニケーションツール『roundz』を開発・運営している、ラウンズ代表取締役の合田翔吾氏。

関連記事:ZoomとSlackでは、感情どころか業務内容も伝わらない?テレワークの秘訣は「テレカンでもテキストでもないちょうど良い会話」の有無にあり

合田氏が2018年に起業した背景には、テレワークにまつわる自身の原体験がある。

合田子供が生まれ、転職を検討していたころの話しです。郊外からでも働ける「テレワークOK」の仕事を探していたのですが、なかなか「これだ」と思う仕事に巡り合うことができなかった。

もっといろんな企業がテレワークを導入すれば、働き方やライフスタイルの選択肢も広がるはずだと思ったんです。そこで、「すべての人にテレワークという選択肢を」というテーマを掲げ、テレワーク推進事業に挑むことを決めました。

一般的に、テレワークの課題として挙げられるのは「マネジメントが難しい」「チームという一体感が感じられない」といったものだ。実際に、マネジメントに対する不安から、テレワークになった途端に監視や極端なマイクロマネジメントに走るマネジャーもおり、このことによってメンバーが「これなら出社した方がいい」と、テレワークに対する抵抗感を持ってしまうこともあるそうだ。

テレワークにまつわる課題の根底には「オフィスにいた時のちょっとした会話による人と人とのつながりが薄れている」ことがあるのではないかと考えたという。

合田電話やチャット、Web会議など様々なコミュニケーションツールが存在しますが、気軽に音声で会話する環境は作りづらい。なぜなら、テキストによるチャットでは伝えたいニュアンスとギャップが生じてしまったり、電話やWeb会議ではそもそも誰が仕事をしていて、話せる状態なのかが見えづらいから。つまり、テレワーク環境下ではオフィスにいるときのような気軽なコミュニケーションが生まれにくいんです。

そういった既存のコミュニケーションツールでは生み出せなかった、「ちょっとした会話」を実現するのが『roundz』です。

『roundz』は、テレワークに特化した音声通話ツールだ。PCを開くと自動で起動し、働くメンバーのアイコンが表示される。メンバーの状況に応じて「話せる」「会議中」「ミュート中」などのステータスを自動または手動で更新。メンバーが「話せる」になったタイミングなど会話のきっかけをAIがサポートし、コミュニケーションを促進する様々な機能を実装している。

『roundz』を導入することで、1人あたり1日40分ほどの会話時間の増加が期待できるそうだ。マネジメント層・メンバー層の双方にとって働きやすい環境が生まれている。

合田『roundz』によって、マネジメントの不安を解消するだけでなく、従業員も気軽に雑談したり、相談したりできる環境が実現できています。新入社員がチームに馴染みやすくなったり、物理的に連携が難しかったメンバー同士が声を通じて繋がれるようになったりすることによって、エンゲージメントが向上。それだけではなく、導入したことによって業務効率が3倍も上がった事例もあります。

日本で「声のバーチャルオフィス」を普及させ、将来的にはアジア圏に展開していきたいと語る、合田氏。「弊社にご興味ある方はぜひお気軽にお話できれば嬉しいです」と、ピッチを締めくくった。

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今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。

こちらの記事は2022年04月11日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大畑 朋子

1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。

編集

鷲尾 諒太郎

1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。

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