ベンチャー仕事はじめ:まずは3つの原理原則から
ようこそ狂気とカオスの世界へ!
さあ、4月もいよいよ終盤だ。研修も終わり、そろそろ実際の業務に入っているみなさんも多いのではないだろうか。いよいよベンチャーという荒波に放り込まれた訳だ。そこで今回はベンチャーという環境で働き始めるにあたっての、原理原則について書いてみたい。
紹介するのはこの3つの心構え。筆者の失敗談つきでお届けしよう。
1.仕事のアウトプットはあなたの作品である。たとえ小さな仕事でも。
2.ガキの使いやあらへんで!
3.Quick&Dirtyでいこう
仕事のアウトプットはあなたの作品である。
たとえ小さな仕事でも。
どうしたらスタートダッシュを切れるのか?どうしたら「おっ!あいつはイケてる新人だな」って思ってもらえるのか。ラベリングってのは大事だ。一度つけられてしまうと、後戻りしづらい。
だからこそ、最初が肝心なのだ。学校での新学期のようなものだ。だからこそ、覚えておいてほしい、どんな小さな仕事だって、それはあなたの作品だ。最初の仕事の印象が、これからのあなたの印象になる。
会社というのは、はじめは皆が平等に見える。同じ研修を受けて、同じような仕事を任されていたりする。ただそれが少しずつ乖離していく。そして1年ほど経つと、見ている景色が知らぬ間に違っている。何故だろうか。最初は同じような仕事をしているはずなのに、だ。
入社して1年目の頃、私も同じように考えていた。この皆が同じような状況下で、どうしたら頭一つ出ることができるのだろうか。そこで、目につけたのが日報だ。
日報とは不思議だ。これは誰の何のためになるのか。「シリコンバレーの父」と呼ばれたアンディ・グローブ※1だって「自己規律訓練」と言っていたくらいだ。ただ、この日報、意外に皆が読んでいる。それこそ社長だって読んでいる。そこそこ大きな会社になっても、新卒社員の日報は経営者にとって気になるものなのだ。
※1 インテル元CEO
つまり、一日一回、経営者も含めて、全社員に向けて情報発信する打席が与えられているわけだ。
そこで考えた。日報を読んでくれた社員の方々が、「へぇー」と思う気づきや発見なんかを感じてくれたらいい。そして、また読んでみよう!と思える何かを日報に組み込もうじゃないかと。
現場の声というのは鉄板だ。お客様のサービスの感想、ユーザーの声。そんなものはいくらあっても良い。なんなら、「何に」「なぜ」「そのように」感じてもらえたのかという、ちょっとしたレポートになれば尚のこと良い。
それが難しいなら、ちょっとした小ネタでも十分だ。とにかく読み手に価値を感じてもらうことだ。意外だと思うかもしれないが、仕事を進める中では、新卒のあなたにしか見えないものや気づかないことというのが、往々にしてあるものだ。
いまになって感じることだが、読み手のことを考えて、丁寧に書かれた日報や自己紹介っていうのは、本当にすぐに分かる。そして、その仕事にこだわれる人は、大抵うまくいっている。
さあ、自分の出したメールや自己紹介を改めて見てみよう。誤字脱字ばかりだったり、読み手のことがまったく配慮されていないものだとしたら猛省したほうがいい。今ならまだ間に合う。こだわって仕事するというのは、やってみると案外楽しいものだ。
ここで言いたいのは、日報やメールの書き方講座じゃない。小さな仕事の積み重ねが大きな信頼に繋がるという話だ。ちなみに、本当に日報が評価されて新規事業にアサインされた知り合いもいる。
日報がないなら、書いてみて全社のメーリスにでも流したらいい。きっと誰も怒る人はいない。1通でも返信がくればラッキー、そう考えればいいだけの話だ。
ガキの使いやあらへんで!
入社して、すぐに新卒研修という場に呼ばれた。そこで上司が一枚のスライドを出した。「ガキの使いやあらへんで」と書いてあった。あぁ知ってるよ、年末にやってるやつね。内容は違った、ガキの使いじゃないんだから、考えて仕事しろというメッセージだった。
弊社スローガンには、ピザテストなるものが存在する。テストはかんたん。「ピザ頼んどいて」これに、どう答えるのか。というただそれだけだ。さあ、みなさんも考えてみてほしい。舞台は月末の打ち上げ、お疲れ様会。上司から「ピザ頼んどいて」と言われたとしよう。どうするだろうか。
さて、赤点回答から見てみよう。
自分わかりました!で、何のピザ頼んどけばいいでしょうか?
上司えーと、適当にピザ頼んどいて
自分わかりました、シーフードミックスでいいですか?皮の種類はパン生地とクリスピーどっちがいいですか?
上司あー、適当でいいよ
自分わかりました、あと一人何枚食べますか?
上司えーと、いいや俺やるわ
ピザの種類と、生地と枚数を聞いて注文するなんて小学生でもできる。そんなことは自分で考えてくれ、ガキの使いじゃないんだから。という訳だ。
「参加者15人くらいなんで、適当にMサイズ4枚いろいろな種類で頼んどきますね。必要なら飲み物もコンビニで揃えときますよ。適当にクーポン見つけて、領収書もらっときますね」これくらいはデキるだろう。
いやいや、こんなピザの注文で何がわかるんだと思うかもしれないが、仕事ができる人ってのは、全体と最終的な成果から、いまの仕事をイメージできる。
例えば「アポイントとっといて」と言われて、本当に何も考えずに件数だけ追いかける人がいる。ほとんど受注見込みの無い10件のアポイントと、ほぼ受注できる3件のアポイント。どちらが良いだろうか。その後のプロセスと全体像を考えることだ。
仕事っていうものは、バケツリレーみたいなものだ。仕事の前後をイメージできるかできないかで、クオリティは相当にバラつく。バケツを渡した人の意図は何なのか。自分の次にバケツを受ける人はどのように動くのだろうか。目の前の仕事だけじゃなくて、前後のバケツに、果ては最後のバケツまで視野を広げて気を配ろう。
仕事のための仕事なんてない。そんなものは仕事してるフリだ、ガキの使いやあらへんで。
Quick&Dirtyでいこう
どんな仕事も一所懸命がんばろう、全体や最終成果を考えながら仕事をやろう。そんな話と矛盾するようだが、早さも大切だ。Quick&Dirtyでいこう。
日本語訳するとなんだろうか。素早く、泥臭くといったところだろうか。完璧じゃなくてもいいから、さっさとアウトプットしようということだ。だが、意外にもこれは難しい。"賢い"人にはなおのこと。
新卒の最初のころ、「議事録を書いておいて」と頼まれた。午前中の会議が終わり、夕方のビジネスタイムが終わりそうなときに議事録を出した。そして先輩に言われた、「もう、お前には何も頼まない」と。
人生はじめての会社での議事録だった。あれ?会社の議事録って、どうやって書くんだっけ。必死にググって、フォーマットを整理して。いろいろと試行錯誤したのだろう。きっと、馬鹿みたいな議事録を出して、怒られたり、「イケてないやつ」と思われるのが怖かったのかもしれない。
ただ、この考え方それ自体が、今にして思えばクソみたいなプライドだった。
100点の議事録に丸一日かけるくらいなら、60点の議事録を会議終了後3分で出したほうがいい。巧遅は拙速に敵わない。ものごとの最初はそうだ。知らないものはいくら考えても進まない。
起業家教育で有名なバブソン大学の名誉学長・シュレシンジャーは言った、「JUST START」だと。さっさとはじめよう、そして、さっさと失敗して、そこから学ぼう。その方が早くて効率的だ。
「プレゼン資料作っといて」と言われて1週間考え続けるより、3時間で1回つくって、1週間で5回フィードバックをもらった方が、圧倒的に完成度は高い。そして、間違ったハシゴを登り続ける方が、落ちたときのダメージはでかい。
うまくなる方程式は、打席数×打率×飛距離だ。1回でも多く打席に立つこと、そのなかで多くのフィードバック機会を得ること(打率)、そして一つの機会からたくさん学ぶこと(飛距離)だ。
こだわるべきは初期段階の完成度じゃない、最速で合格点をとることだ。そのためにも最初は行動量(打席数)にこだわった方がいい。悩んだり、考えていたりすることのほとんどは、実は意味のないことの方が多い。
ちなみに、頼まれてもないのに、サラッと議事録メモを提出できると、イケてる感が出せる。
- 箇条書きでもいいから簡潔に
- 決定事項と、アクションタスクだけでも(誰が、何を、いつまでに)メモる
- 重要な数値と固有名詞は絶対に間違えない
これだけ守って、同席した先輩にMTG直後にチャットでも飛ばせば、きっとあなたの株は上がるはず。
最初にどのクオリティとスピードで仕事ができるか。この1ヶ月の頑張りが、きっと未来のあなたを助けてくれるはずだ。さあ、ゴールデンウィークも目前、もうひと踏ん張りだ。
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こちらの記事は2020年04月24日に公開しており、
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10記事 | 最終更新 2020.08.14おすすめの関連記事
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