組織のグローバル化は、逆コンウェイで“コツコツ”と!アジアNo.1プロダクトへ、Micoworksを牽引する新VPoP小越の戦略眼

Sponsored
インタビュイー
小越 崇広

2005年に株式会社サイバーエージェントに入社。子会社2社の取締役やメディア事業の広告配信システムの責任者を歴任。2019年からスマートニュース株式会社にて広告プロダクトの責任者として日米広告プロダクトの成長を牽引。2023年11月、Micoworks株式会社に入社し、VP of Productに就任。

関連タグ

プロダクト開発人材の獲得競争が過熱し続けている。FastGrowの読者であるITスタートアップの経営者や採用担当者が皆、一様に頷くテーマの一つだろう。

そんな厳しい状況下で「開発組織のグローバル化」に舵を切り始めたのがMicoworksだ。すでにフィリピンと台湾に開発組織の一部を置く。そしてその手綱を握るのが、VP of Productを務める小越崇広氏だ。サイバーエージェントとスマートニュースという二大ベンチャーで、プロダクト組織の拡大を牽引してきた経験を活かし、Micoworksを次なるフェーズへと導こうとしている。

今回はその「開発組織のグローバル化」にフォーカスし、その考えをじっくりと語ってもらった。すると見えてきたのは、単なる組織戦略ではなく、経営マインドからプロダクトビジョンまで連関するその戦略論である。

「アジアNo.1」という壮大な目標と、足元の緻密な施策実行。そのバランスを極めようとしている戦略を披露してもらった。学ぶことは、間違いなく多いはずだ。

  • TEXT BY RINA AMAGAYA
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
SECTION
/

大原則は「逆コンウェイの法則」

「アジアNo.1のプロダクトをつくり上げる」。グローバルな開発組織づくりを指揮するのが、MicoworksでVPoPを務める小越氏は、力強くそう語り始める。

すでに紹介したように、あのスマートニュースでグローバルな開発組織の拡大を経験してきた、百戦錬磨のプロダクトマネージャー(PdM)だ。日本ではまだ、そうした存在は数少ない。この稀有な経験をひっさげ、Micoworksでも同様の拡大を目指して走り出したところ。その構想について、先ずは聞いてみたい。

小越組織とは、それ単体では語れないものです。

逆コンウェイの法則という言葉があります。これは、将来のアーキテクチャから組織を考える方法で、私たちもその考えに則って組織をデザインしています。「目指すProductのかたち」からアーキテクチャが明確になりますから、それに対応した組織構造を考えるんです。

「目指すべきProductのかたち」も、基本的には上位方針に基づいた計画を持つことになります。つまりCompany Mission→Company Business Plan→Product Vision→Product Strategy→アーキテクチャ→組織構造といった具合につながっていくわけです。だから、この順番で決定していくべきなんです。

組織に関する議論は、企業としての最上流から考える必要がある、そんな指摘だ。

小越Product Visionを基に開発戦略が決まれば当然、そのために必要な技術が明確になるので、組織として持つべき能力(人材やスキル)も明確になります。

ここで初めて、「どの機能をどの部署に持たせるのか」あるいは「その部署は国内外のどこに置くべきなのか」という議論を具体的に進めることができるということです。

では、Micoworksはどのようなプロダクト戦略からグローバル展開という考えに辿り着いたのか?上述のフローに当てはめて、それぞれ順番に見ていこう。

小越言うまでもなく、我々のCompany Missionは「Empower every brand for the better future」であり、そのために、2030年までにBtoCコミュニケーション領域において「アジアNo.1」を目指しています。

これらを実現するためのBusiness Planとして今、『MicoCloud』というプロダクトを進化させ、エンタープライズ向けの提供価値を強めていこうとしています。

その中で、開発戦略の重要なカギとなるのが「機械学習(マシンラーニング、AIも含む)」。ユーザーが非常に簡単にこのプロダクトを利用でき、売上や利益を新たに生み出す活用事例が加速度的に増えていく、そんな状態を実現したいんです。

そう、ここで遂に出てくるのが、組織のグローバル化だ。

小越機械学習の開発と導入を推し進める組織が必要になるのですが、日本語話者だけではそのような組織をつくるのが非常に難しいんです。

なぜなら、AIを絡めたデータ活用のスキルやノウハウを持つエンジニアが国内には少なく、組織拡大に向けた人材の確保が困難を極めるからです。多くの企業が同じ課題に悩み、少ないパイの取り合いをしている状態です。

そこでMicoworksでは少し前から、海外で人材を集めて組織を構築する戦略をとることにしました。

すなわち、フィリピンに拠点を置き、台湾でもチームを置いて採用し始めているのは、Company Missionを実現するための重要な手段の一つというわけなんです。

アジアNo.1のビジョンとプロダクト戦略を達成するため、直近、マニラと台湾で開発拠点を拡大しているMicoworks。では一体、開発組織をどのように構築していこうとしているのか。

グローバル化は「アジアNo.1のブランドエンパワーメントカンパニー」の実現に向けての手段でしかないと冷静に語る小越氏の緻密な組織戦略を、ここから見ていこう。

SECTION
/

グローバル化の成功条件と、リスクの捉え方

話題はやや逸れてしまうが、取材中で特に陽気に語られたのが、このくだりだ。

小越前職のスマートニュースで4年間一緒に働いたボスが、シリコンバレーで成功したすごく優秀なプロダクトリーダーだったんです。

彼女は Smule という全世界で5000万人以上が使っているグローバルプロダクトの一人目のPdMとして入社して成功に導いた人です。元々モバイルエンジニアなので確かな技術知識がありましたし、彼女を慕って多くの優秀な仲間が集まっていました。とにかく陽気なザ・西海岸のグローバルリーダーという感じでしたね。

この時に学んだことはとても多かった。同様に、Micoworksのみんながより良い環境で働けるようにしていけると嬉しいですね。

シリコンバレー出身の優秀なリーダーから学んだ経験を振り返るとともに、開発組織がグローバルであることの必要性を力説する。

小越以前、サイバーエージェント時代に広告プロダクトを開発していた時、機械学習エンジニアは私のチームに1人しかおらず、国内で採用を広げようとしてもなかなか難しかったんです。一方で当時すでに、とある中国のテック企業には数百人の機械学習エンジニアがいると聞いていました。

日本では機械学習エンジニアの数が非常に限られているという事実を痛感しました。

そんな背景もあり、前職で自分がチームをつくるときは、グローバルな人材を集めて組織を構築しました。その結果として、シンガポールやインドネシアから日本に移住してきた人材もいて……責任感もやりがいも、非常に強く感じた経験です。

小越氏がMicoworksでもグローバルな観点でテクノロジーを強化しようとしている背景には、必要なテック人材が国内に不足している現場を目の当たりにしてきた経験があったのだ。

小越セールスやCSなどの直接お客様と関わるポジションは、その地域に密着し、地元の言語を使って活動することが重要ですよね。そのため、販売する国に組織を設ける方が良いと思います。

一方、エンジニアリングは、展開するマーケット以外の地に拠点を置くことも可能ですよね。つまりその業務におけるローカライズ観点の重要性が低いということ。

つまり、「優秀なメンバーを集めたチームを構築できる場所」について、国内外という枠に関係なく検討すべきということだ。

小越例えば、FacebookのUIってアジア、アフリカ、ヨーロッパのどの国のバージョンを使ってもほぼ同じですよね。これはグローバルプロダクトとして開発されている証左です。

UXとして多少は違うところもありますけど、言語以外のところはどの国のエディションでも同じプロダクトであるということです。

これと同じことが『MicoCloud』の開発においても言えます。インフラや基盤は共通のものが使えるので、各国で新たにつくる必要はないと考えています。

現在、Micoworksでは機械学習機能の開発メンバーとして、台湾に2名を配置している。 経験に基づいた堅実な感覚と明確な基準を立て、グローバルな組織構築に取り組み始めたMicoworks。

とはいえ、スタートアップが海外進出し拠点を設けても、うまくいかずに数年で撤退するケースを見聞きしたことのある読者もいるだろう。リスクに対してはどのように向き合っているのか?

小越海外進出は、プロダクトの海外進出と開発組織の国際化の2つのことを指し得ますが、前者は確かに、進出後に期待した成果が得られず、挫折してしまうこともあります。うまくいかなくなるリスクが、日本国内での展開とは比べ物にならないくらい大きいのも事実です。そのため、Micoworksではとにかく「小さく始める」という点を組織づくりでも意識しています。

具体的には、開発組織のほんの一部から海外展開を進める、ということです。 中には「よし、海外展開を一気に進めるため、現地で100名を採用しよう!」という目標を掲げる企業もいるかもしれません。たしかに、そうした勢いが重要な場面もあるとは思います。ですが現時点で我々としては、そのような意思決定はあまり考えられません。台湾もまずはたった2人のリモートワークからスタートしたところです。地道に、着実に成果をつくり、拡大への基盤をつくろうとしています。

小さなスタートから始めて着実に成果を上げていくことが彼らのグローバル戦略の核となっている。ミッション実現のための地に足がついたグローバル戦略の実行が、まさに今、動いているのだ。

SECTION
/

プロダクトの中に眠る、大きすぎる拡張余地

ここまで、小越氏の経験・知見をベースに、組織面の考えに迫ってきた。「グローバル展開度合いは、まだやっと10%くらい」と語る小越氏だが、これがまさにMicoworksで挑戦をしようと決めた所以の一つだ。グローバル展開における初期フェーズから組織をつくっていくという、チャレンジングな側面に魅了されていたと振り返る。

だがほかにも小越氏を惚れさせたことが2つある。それが、“プロダクト”と“経営陣”だ。まずは、プロダクトに触れよう。

小越Micoworksが掲げるバリューの一つに、「WOW THE CUSTOMER(お客様を驚かせる)」というものがあります。私はVPoPなので、これを「テクノロジーを駆使して顧客に驚きや感動を提供すること」と捉えています。

これまでの事業展開においては、どちらかというとビジネスサイドからのセールスやCSといった観点での「WOW」が多かった。これからは、機械学習やAIを活用したテクノロジー観点でのプロダクトを進化させ、これまでにない「WOW」を提供していけるようにしたい。

誤解を恐れずに言えば、プロダクトはまだまだ伸びしろばかりの状態です。私の知見を活かしてプロダクトによる事業成長を生み出せる余地がものすごく大きい、そんなポテンシャルを感じたんです。

同社の採用Deckで紹介されるバリュー

4つあるMicoworksのバリューのうち、「WOW THE CUSTOMER(お客様の真の課題に向き合い、成果で驚かせよう)」は最上段に位置づけられている。

小越前職のサイバーエージェントやスマートニュースなどの経験から、Micoworksのプロダクトには機械学習やAIの得意分野を活かす余地がものすごく大きいと感じています。

具体的には、アドテクで活用されている機械学習のノウハウを活用することで、配信技術や効果をさらにレベルアップさせることができる。その結果、『MicoCloud』と『ミコミー』いずれのプロダクトでも、お客様となるブランドの売上や利益といった成果をすぐに大きく向上させられる見込みを持っています。

そう、経営陣が小越氏に期待しているのは「開発組織のグローバル化」だけではない。その上流にあるプロダクト自体の継続進化というわけだ。VPoPとして、この挑戦に大きなやりがいを感じているのである。

また、社会変化の追い風も受けているという点も強調された。

小越私たちの事業にはユニークな強みがあります。それはブランドの持つファーストパーティデータを有効活用して成果をお返ししてきたということです。

2024年の冒頭からGoogle Chromeのサードパーティ cookie が徐々に廃止されることが既にアナウンスされており、代替手段をどうしようという話がいろんなところでされています。

そんな中でMicoworksは以前からサードパーティcookieに頼らない形でのデータ活用をしてきました。ファーストパーティデータで成果を出すという事例を多く蓄積しています。私はこの強みにさらに磨きをかけていってより大きな成果を残していけるよう挑戦していきたいと思っています。

この点だけでも十分過ぎるほどの優位性を感じるが、さらなる伸びしろがあるとも話す。

小越なお、データ活用だけが目的ではありません。本質はあくまで、ユーザーの課題解決です。

今はLINE上での活用がメインですが、これからは他のチャネルを交えたマルチチャネル化を進めます。ブランドとエンドユーザーとの間で、より的確な双方向コミュニケーションを生み出せるようになるためです。

言葉で言うのは簡単ですが、プロダクトとして実現していくのはなかなか難しいでしょう。ですがこうした挑戦はすべて、ブランドの事業成長につながります。そのための取り組みにフォーカスを当て、突き進んでいくんです。

SECTION
/

「お客様のために!」と話し合うエンジニアたちの存在

小越氏にとって、Micoworksに魅力を感じた第三の理由は、”経営陣”だった。Micoworksの経営陣と言えば代表取締役社長CEOの山田修氏。そしてCOOの八重樫健氏。この2名に対する期待と信頼の厚さが印象的だ。

同社の今後の成長について「経営者の優れたマインドセットが、事業の急成長を推進する大きなエンジンになる」と語るその真意とは。

小越経営陣が掲げている目標はものすごく壮大なのですが、その一方で足元の実際の取り組みは泥臭いものばかり。地味で面倒くさいように見える小さな取り組みを積み重ねてこそ、壮大な戦略につながっていくということを強く理解しているチームなのだと感じます。

先ほどから話している「開発組織のグローバル化」はその典型例ですね。まずは1人、2人と採用するという地道な取り組みにまで落とし込むようにしています。ここに、経営の意志やマインドがよく表れています。

小越氏自身も以前、サイバーエージェントのグループ企業で役員として経営を経験した。当時の数々の失敗経験から、事業戦略を的確に実行していく難しさをわかっているからこそ、こういった「地道さ」に魅かれた部分も大いにあるのだろう。

また、経営陣の意志がチームに浸透している点にも触れる。

小越会社全体で顧客主義を徹底している点も魅力だと思いますね。これはバリューとして掲げているという話ではなく、会社のDNAの一部としてしみ込んでいると感じるレベルです。

象徴的なシーンとして、社内のエンジニアがご利用中の企業を表現するときに自然と「お客様」という単語を用いています。たったそれだけのことかと思うかもしれませんが、これが全社で当たり前になっているというのは、あまりない話だと思いませんか?

また、エンジニアが導入企業の担当者さんと直接やり取りを行ったり、商談に同席したりすることもよくあります。このように、考え方がメンバー全員に浸透し、行動に現れているのは、経営メンバーである山田と八重樫が顧客主義の人だからだと思います。非常に魅力的なカルチャーだと思います。

これからは、小越氏が経営陣の地道な精神と顧客主義思考を受け継ぎ、「地に足がついたグローバル化戦略」を進めていく、そんな意気込みが感じられる。テクノロジーとビジネスのバランスを保ちながら拡大させるための鍵は、小越氏と経営陣の協力にあると言える。

SECTION
/

「組織のグローバル化」という、まだ珍しい挑戦環境

組織のグローバル化とテクノロジー活用でのプロダクト進化に挑むMicoworksのこのフェーズ、新たな挑戦の機会が数多くあるのは間違いない。

新たな資金調達も終え、さらなる採用加速が進む。海外でのエンジニア採用だけでなく、国内でもプロダクト開発に関わるメンバーを絶賛募集中だ。

小越将来的に英語を使って仕事がしたいとか、グローバル企業に挑戦してみたいとか、そういう方がもしいらっしゃれば、今がものすごくいい環境になると思います。

日系企業だからこそ、普段は日本語を使いながら仕事できて、英語を話す機会もたくさんある。いいとこ取り感がありますよ(笑)。

私も正直、「いきなり外資系企業でのキャリアに挑戦する」というのが誰にとっても良い選択だとは思いません。今のMicoworksこそがちょうどいいという人が、意外と多くいるはずです。

それに近い将来、日本からも多くのスタートアップがグローバル化に挑戦することが予測されます。既にグローバル化がある程度進んでいる企業よりも、Micoworksでグローバル化していく過程に貢献するほうが、キャリアとしても稀少性の高いものになると思います。

まさに過渡期だからこそ、メンバーそれぞれの意志に基づき、それぞれのペースで仕事上メインで使用する言語を変化させていける部分もあるわけだ。これもユニークなことではないだろうか。小越氏は、「自分が最も真価を発揮できるであろう言語を増やして業務を行うことが、中長期的に最高のパフォーマンスを発揮していくことにつながる」と強調した。

小越言語の面でも、業務の面でも、「やりたい」と手を挙げ、挑戦したい意志を明示すれば、いくらでも挑戦できる。若い方を中心に切磋琢磨し合い、新たに生まれ続けるポジションやロールでチャレンジを広げていける、そんな環境です。

どちらかといえばセールスやCSといったビジネスサイドの強みこそが強調されてきたイメージのあるMicoworks。だが実は、「直近2年間で売上500%成長」という実績の裏には、大胆かつ緻密な戦略によって生まれたプロダクトがあった。そしてプロダクト開発に関する豊富な経験を持つ小越氏に言わせれば、まだまだ未完成で、ポテンシャルしかないという状況である。

「SaaSと言えば、急成長」。そんな言説に何の違和感も覚えないくらいに、多くのSaaS企業がその急成長度合いをアピールし、事業面・採用面での競争を続けている。Micoworksがその中でも特に「これからのプロダクト進化のポテンシャル」を大きく秘めた1社であるということが、強く伝わってきた取材だった。

こちらの記事は2024年01月05日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

執筆

雨谷 里奈

写真

藤田 慎一郎

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。