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INTERVIEW
松本 直樹 齋藤 陽介
17-12-22-Fri

Tinderみたいにカジュアルに転職活動
リクルーティングアプリ「GLIT」を生んだCaratのハイペースな事業構想の理由は?

TEXT BY MISA HARADA@HEW
PHOTO BY YUKI IKEDA
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#21
#1
元SMS海外支社長が挑む! 海外不動産取引の超巨大市場を開拓するグローバルスタートアップBEYOND BORDERS
株式会社BEYOND BORDERS マレーシア支社長 玉邑 憲一 株式会社BEYOND BORDERS 代表取締役 遠藤 忠義
#2
200兆円とも言われる 「B to B受発注市場」を変革するスタートアップユニラボ
株式会社ユニラボ CEO and FOUNDER 栗山 規夫
#3
教育業界に変革を。 グリー、アドウェイズ、リブセンスなど、インターネット業界で数々のビッグサービスを生み出してきたメンバーが集まる EdTechベンチャースタディプラス
スタディプラス株式会社 営業部部長 長内 尊司 スタディプラス株式会社 For School事業部部長 宮坂 直
#4
「unisizeをECのインフラへ」 ファッションECの購入不安を解消するメイキップの野望
株式会社メイキップ 代表取締役CEO 柄本 真吾 株式会社メイキップ 取締役CFO 山本 晃央
#5
「テクノロジーで投資銀行業界に創造的破壊を」 15歳で起業した起業家が知る、投資銀行の闇
TIGALA株式会社 CEO 正田 圭 TIGALA株式会社 副社長/CFO 湯瀬 幾磨
#6
「データで医療界にイノベーションを」 医師・マッキンゼー出身者が集う情報医療(MICIN)・原が描く医療の未来図
株式会社情報医療 CEO,医師 原 聖吾 株式会社情報医療 COO 草間 亮一
#7
「物流の未来を、動かす」 社会問題にもなる巨大市場を変革するネットエイジ・マフィア オープンロジ伊藤
株式会社オープンロジ 代表取締役CEO 伊藤 秀嗣
#8
個人間送金は日本で浸透するのか? 無料送金アプリKyashが描く“価値交換”の未来
株式会社Kyash Founder & CEO 鷹取 真一 株式会社Kyash VP of Strategy 清水 一浩
#9
野性感あふれるビジネスマンへ。 Pro-D-useが考える“Made By Someoneの時代”の生き残り方
株式会社Pro-D-use 代表取締役 小笠原 亮太 株式会社Pro-D-use 取締役副社長 岡島 光太郎
#10
子ども写真を リーズナブル、ユーザーファーストに CELEBABYが変える親子の思い出アルバム
株式会社RETAIL INNOVATION 代表取締役 永田 和樹 株式会社RETAIL INNOVATION 取締役 谷野 祐規
#11
国内スマートロックの第一人者フォトシンス河瀬、さらなる“発明”を予告 「未来を思い浮かべて未来を作る」
株式会社フォトシンス 代表取締役社長 河瀬 航大 株式会社フォトシンス 共同創業者 小林 奨
#12
世界のイノベーションを加速させる、 多彩なキャリアのプロフェッショナル集団アスタミューゼ
アスタミューゼ株式会社 事業開発部部長 嶋﨑 真太郎 アスタミューゼ株式会社 開発・インフラ部部長 並河 祐貴 アスタミューゼ株式会社 テクノロジーインテリジェンス部リーダー 酒井 康博
#13
MAKERS UNIVERSITY卒業起業家! 日本の観光産業拡張を目指す“結.JAPAN”
株式会社結.JAPAN CEO / Co-Founder 中山 雅久理 株式会社結.JAPAN 共同創業者 府川 勇介
#14
「皆が挑戦する世界は正しい」 Tryfunds丹野が掲げる挑戦し続ける経営
株式会社Tryfunds 代表取締役社長CEO 丹野 裕介 株式会社Tryfunds 取締役CFO 白髪 亮太
#15
徒歩5分以内の見つからないをなくす? tritrueの超ズボラ社長が目指す検索の新しいカタチ
株式会社tritrue 代表取締役 寺田 真介 株式会社tritrue マーケティングゼネラルマネージャー 原嶋 宏明
#16
目指す世界はデベロッパーの理想郷。 クラッシュ解析でエンジニアを沸かすソニー出身起業家
FROSK株式会社 代表取締役社長 中尾 憲一 FROSK株式会社 CMO兼事業推進部部長 吉井 文学
#17
「M&A業界に価格破壊を起こす」 ──「M&Aクラウド」がITの荒野を切り開く
株式会社M&Aクラウド 代表取締役COO 及川 厚博 株式会社M&Aクラウド チーフエンジニア 荒井 和平
#18
「“お金くらいのこと”でつまらない人生を送ってほしくない」 住宅ローン比較のWhatzMoneyがお金の問題をフラットにする
WhatzMoney株式会社 代表取締役 前田 一人 WhatzMoney株式会社 営業部営業推進責任者 才田 敦士
#19
「日本が好きだから、まずは世界を盛り上げる」 ──ベトナム発グローバルベンチャーICONIC安倉流“世界の捉え方”
株式会社アイコニックジャパン 代表取締役社長 安倉 宏明
#20
Tinderみたいにカジュアルに転職活動 リクルーティングアプリ「GLIT」を生んだCaratのハイペースな事業構想の理由は?
株式会社Carat 代表取締役社長 松本 直樹 株式会社Carat 取締役兼最高技術責任者 齋藤 陽介
#21
大手企業も注目するママ目線のクリエイティブ 「ママである前に、一流のクリエイターチームでありたい」
マムズラボ株式会社 代表取締役社長 佐藤 にの
#22
「歯科業界を変革する」 エス・エム・エスマフィア海田率いる グローマスの野望
株式会社グローマス 代表取締役社長 海田 大介 株式会社グローマス キャリア事業部エリアマネジャー 坂本 城也
#23
「価値の交換をシンプルに」 BASE鶴岡と藤川の異世代タッグが引き寄せる“便利な未来”
BASE株式会社 CEO 鶴岡 裕太 BASE株式会社 CTO 藤川 真一
#24
「夢追う人をサポートしたい」 完全食COMPを世界に広める最強の5人衆
株式会社コンプ 代表取締役CEO 鈴木 優太 株式会社コンプ マネージャー 荒井 宏之 株式会社コンプ 福田 千里 株式会社コンプ 田中 宏樹 株式会社コンプ CTO 萩野 貴拓
#25
ダズルが国内VR業界で「ちょっと未来」を創る ──新興市場でも“地に足付いた”ビジネスモデルの創り方
株式会社ダズル 取締役COO 出口 雅也 株式会社ダズル 採用・広報チーフ 川上 紗耶
#26
「ゲノムはいま90年代のインターネットと同じ」 AWAKENS高野、ゲノム事業を “今”始めるべき理由を語る
AWAKENS, Inc. CEO 高野 誠大 AWAKENS, Inc. CTO 沼倉 健介
#27
スキルのフリーマーケットは なぜ500円均一でローンチされ、 どうやって「ニワトリ卵問題」を越えたのか?
株式会社ココナラ 代表取締役 南 章行
#28
CtoBtoC!?が流通を最大化させる ──ジラフが“ものの売り買い”を変える
株式会社ジラフ 代表取締役社長 麻生 輝明 株式会社ジラフ CFO・管理統括部長 中井 基樹
#29
「不動産業界は“情報の非対称性”が著しい」 マンションマーケットが描く、 消費者の力を強くする業界変革手法
株式会社マンションマーケット 吉田 紘祐
#30
きっかけは“物乞い親子の死”。 アッション木下が “貧困撲滅”を目指す理由
株式会社アッション 代表取締役 木下 洋平
#31
自由な働き方を目指すからこそ、 まず自分たちが体現する。 18人の複業集団企業が見据える仕事と人生の未来
Spacelook株式会社 谷口  怜央 Spacelook株式会社 岩本  卓也
#32
コモディティ化した“車”を 最高のエンターテインメントに! MiddleFieldが目指す自動車業界の刷新
MiddleField株式会社 CEO 中山  翔太 MiddleField株式会社 COO 片岡  伶介
#33
“課題のユニークさ”こそ起業家の魂。 Cansell山下の常識を超える事業構想法
Cansell株式会社 代表取締役 山下 恭平
#34
建築×VRで急成長のDVERSE。 将来はコミュニケーションを変革する?
DVERSE Inc. CEO/Founder 沼倉 正吾 DVERSE Inc. CTO 高田 知典

今年6月に正式版がリリースされたアプリ「GLIT(グリット)」は、
求人情報を左右にスワイプして“興味あり/なし”をつけていくカジュアルなリクルーティングサービス。

スマホに特化した操作性で、隙間時間で就職・転職活動を行うことができる。

保守的な仕事観を持った人は眉をひそめそうなほどの気軽さが特徴の
同アプリを生んだ株式会社Caratの代表取締役社長・松本直樹は、“逆張り精神”を重視している。

松本 直樹 (まつもと・なおき)
株式会社Carat 代表取締役社長
松本 直樹 (まつもと・なおき)
同志社大学商学部卒業(2014年)。SHIFTに入社し、外資系大手SIer案件にてオフショアへのテストアウトソーシングのコンサルティングを行う。新卒1年目から部署の立ち上げを行い、営業/顧客折衝/提案/プロジェクト管理/予算管理/採用と幅広い業務を経験後、海外に設立した子会社の立ち上げ支援を行う。
代表取締役社長
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齋藤 陽介 (さいとう・ようすけ)
株式会社Carat 取締役兼最高技術責任者
齋藤 陽介 (さいとう・ようすけ)
京都大学大学院情報学研究科修了(2014年)。大学院時代はインターネット広告におけるリアルタイム入札の研究を行い、経済学で用いられる市場モデルを応用した入札戦略を提案。SHIFTに入社し、業務用Webアプリケーションの開発に携わる。 設計・開発、運用から営業支援に至るまで、あらゆる工程を経験。
取締役兼最高技術責任者
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同級生たちが絶対知らない“イケている会社”に入りたかった

今年26歳を迎えるという若さの松本は、同志社大学を卒業し株式会社SHIFTに新卒で入社。京都大学大学院を修了した齋藤とは、SHIFT同期入社の仲だ。

しかし、ソフトウェアの品質保証やテスト事業というSHIFTの業務内容は、学生の目には少々地味に映るものではなかったのだろうか?

松本基本逆張りで行きたいんですよ。同級生たちが絶対知らないところ、でもめっちゃイケているところに行ったろ!と思って。皆が知らないっていうことは、競争倍率が低いので勝てるチャンスも大きいと判断したんです。

齋藤自分はIT系ベンチャーの社長に憧れていたので、サイバーエージェントさんやDeNAさんと一通りチェックはしました。でも、人と違う道を選びたい気持ちが大きくて。大学院時代は周りが優秀な人ばかりだったので、僕はキャリアのどこかで他人と違う選択をしないと彼らに勝てないと考えたんです。

ニッチでもマーケットがあるし、勝てるロジックがある。

SHIFTの代表取締役社長である丹下大と触れ合い、そんな“勝てそうな感じ”を嗅ぎ取った2人には、もともと起業への憧れがあった。

とくに松本は、「25歳で会社を作りたい」という確固たる目標を持っていた。そのためSHIFT では、3年間で学べるだけ学ばねばとがむしゃらに働いた。

そういう意味では入社のタイミングもよかった。入社半年ほど経過した2014年11月、会社が東証マザーズに上場。SHIFT全体で“社員は手を挙げて好きなことにチャレンジしてもいい”という方向に進んでいったのだ。

気づけば松本は、若手社員であるにも関わらず、部署を立ち上げて30人以上いるメンバーのマネジメントを担当したり、ベトナムに子会社を立ち上げるプロジェクトに携わったりなど、経営会議に参加する立場となっていた。

SHIFTでの仕事はやりがいがあるものだったが、起業への憧れは冷めず、予定通り25歳で退社。齋藤と、もう1人の共同創業者(現在は退社)も一緒だった。

松本私は非エンジニアなんで、優秀なエンジニアと一緒にやりたいというのは起業の絶対条件でした。その相手を25歳までに見つけられなかったら、起業を先延ばしにするか、私には運がなかったと諦めるかの2択だと思っていたので。でも社内で2人も出会えたので、じゃあやるしかない!と。

がっつり仕事で組んだ経験があるわけではなかったが、それでもお互い相手の実績は知っていた。齋藤は、「彼となら大丈夫だ」と感じたことを明かしてくれた。

テクノロジー化されていない部分をテクノロジー化していく

「GLIT」の操作性は、Tinderなどのマッチングアプリに非常によく似ている。通勤途中の電車の中で、求人情報を右に左にスワイプしていくだけで、自分に合った企業が見つかる。

保守的な人は「仕事探しはそんなに気軽にするものじゃない」と眉をひそめるかもしれないが、松本は、“転職活動はあまりにも面倒だ”という問題意識を感じていた。

松本は、経験として転職サイトに登録してみたことがあるのだが、毎日大量に届くメールには辟易したという。また、無数の求人情報を自らチェックしていかなければならない仕組みにもげっそりさせられた。

SHIFTという会社に身を置いていたことにより、転職エージェントから品質保証に関わる職種やシステムエンジニア職ばかりが提案されることにも違和感を覚えた。

確かに業務内容は近いかもしれないが、異業種にだってマッチする企業はあるのではないか――。その考えにより、「GLIT」では表示される求人情報に“ランダム感”をあえて残している。

松本転職って基本的に楽しくないじゃないですか。新卒のときはまだ『これから自分はどう生きていきたいだろう』というワクワク感があったかもしれませんが、転職だと『今の会社は嫌だ』とかネガティブな感情が動機になってしまいがち。転職というものを、もう少し楽しみながらやれる世の中になればいいなと思ったんです。

「GLIT」によって転職活動をカジュアル化するというのは、求人を出す企業側にとっても「現職に満足していても他に良いオファーが合ったら検討したい」という潜在層にアプローチできるメリットがあると指摘する。

また、成果報酬や紹介料などを削減することで、企業側にとっても安く無駄なく求人・採用ができるサービスとなることを目指している。

松本は、“起業したい”という気持ちは強かったが、特別このジャンルで仕事をしたいというこだわりがあったわけではない。

現在の「GLIT」に落ち着いたのは、問題意識ももちろんあるが、今まで浮かんだアイデアの中で一番勝算が見えたというのが大きい。完全にマーケットインで事業内容を決めた形だが、Caratのコアとなるビジョンを挙げるとすれば、どんなものになるのだろうか?

松本テクノロジー化されていないところをテクノロジー化して、無駄な工数がかかっているところを上手く仕組み化していきたい。絶対このマーケットという強いこだわりがあるわけではありませんが、Caratとしてそういう事業をやっていきたいというのは創業時から話していることです。

「自分をすごく優秀だと思っている人」のジョイン希望

“テクノロジー化”を会社の大きなキーワードにしている以上、Caratでエンジニアは非常に重要な存在だ。齋藤に“理想の人材”についてたずねると、「自分をすごく優秀だと思っている人」という意外な答えが返ってきた。

そういう自信家を嫌う企業は多そうなものであるが、どういった魂胆なのだろうか。

齋藤『勉強させてください』というテンションよりは、自分は優秀だから将来的に執行役員になってやるみたいな勢いのある人がいいです。ぜひ僕たちを踏み台にしてほしい。

転職アプリをリリースしていることもあって、Caratでは1つの会社でのキャリアをそこまで長いものとして捉えていない。スキルがあることが前提であるが、“踏み台”であることを明言してくれたって構わないそうだ。

メンバーの提案は可能な限り受け入れたい。それは、松本が20代前半では普通担当させてもらえないような仕事をSHIFTで任せられた経験から生まれた感情だ。大仕事によって人は一気に成長する、だからこそチャンスは提供したいと考えている。

松本は、職場としてのCaratの魅力を「0→1フェーズに立ち会えること」と語る。「GLIT」というプロダクトをリリースしたが、松本は、まだ0から1にはなっていない段階だと厳しい自社評価を下す。

なぜなら、まだ「GLIT」に関しては売り上げを伸ばすために試行錯誤が続く状況だからだ。

松本今は『これをやったら伸びる』という正解もはっきり見えていない状況だから、仕事として大変なのは事実なんです。でもそんな悩みが持てるのは、事業の初期段階だけじゃないでしょうか。1から10は普通の会社でも学べますが、0から1を生み出す段階に立ち会うのは貴重な経験になると思います。

お葬式にたくさん弔問客が来てくれるようになりたい

Caratは、今後さらなる事業を展開していき、将来、投資を受けているスカイランドベンチャーズにおける最初の大きなエグジット例となることを目標としている。同社から投資を受けることを決めたのも“逆張り精神”が根本にある。

すでに大きなエグジット例がいくつもあるベンチャーキャピタルから投資を受けたところで、自分たちが一番になることは難しいと考えたのだ。

松本は、「逆張り精神の持ち主なんで」と冗談めかして語るが、彼の言う“逆張り”とは結局のところ、よくある選択に流されるのではなく、1つひとつの選択肢を吟味することで一番になれる場所を見極めるという非常にロジカルな行動だ。

松本の“一番になること”へのこだわりは強い。25歳で起業して、30歳で事業の地盤を整えてスケールアップさせるフェーズに進む、というように、かなりハイペースな計画を描く理由には、父親の死が関わっている。

父親が40代前半で亡くなったため、松本は、「自分も最悪40歳で人生が終わる可能性がある」という考えを持って生きてきたという。

松本だから40歳で会社が上場するなり、世の中に認められる状態にいたい。お葬式にたくさん人が来て、『すごい人だった』と思ってもらえるとかね。別にすごいと思ってもらう対象は僕自身じゃなくて、会社とか事業でもいいんです。あとは僕が亡くなっても会社は続いて、残った人たちで新しい事業をやってくれるとか。

そういうふうに自分が亡くなった後も何らかの形で生きた証が残っていくというのが理想です。

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[文]原田 美紗@HEW
[撮影]池田 有輝
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