「上場前のラクスル」を経験したいなら、未完の大器「ダンボールワン」に行け!──ラクスル福島氏が解説する、成長続けるBtoBプラットフォームに必要な“3要素”とは

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インタビュイー
福島 広造

ITコンサルティング会社を経て、ボストンコンサルティンググループ(BCG)に入社。企業変革/テクノロジー・アドバンテッジ領域を担当。2015年ラクスル株式会社へ入社。全社の取締役COO及びRaksul事業CEOを経て、現在はストラテジックアドバイザー。

辻 俊宏

2002年、短大在学中に食品EC会社を起業し、2005年には事業売却。その後ハローワークに求人情報を求め、ダンボール製造業を展開する能登紙器(現ダンボールワン)に出会い入社。2017年、同社のMBO(マネジメントバイアウト)を実施、段ボール製造業から梱包材の受発注プラットフォームへと事業をピボットさせる。2020年、ラクスルにグループイン。

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2020年11月、あるニュースがスタートアップ界隈に舞い込んだ。印刷や広告、そして物流のtoBプラットフォーム事業を手掛けるラクスルが、石川県金沢市に本社を置く、ある企業への出資と業務提携を発表したのだ。

その企業はダンボールワン。同社の前身である能登紙器の創業は1978年。以来、地域密着型のダンボール製造業を営んできた企業だ。ラクスル と提携した時点では、事業内容も大きく変え、2017年以降、梱包材プラットフォームである『ダンボールワン』を展開している。

ダンボール製造会社、梱包材メーカーと提携し、業界最大規模の工場ネットワークを構築。機械の非稼働時間を活用することで、製造コストを大幅に削減することに成功した。そのため、低価格で梱包材を提供することが可能となり、多くのユーザーからの支持を集め、2018年からはダンボール・梱包材販売領域において国内ナンバーワンシェアを維持し続けている。そんなダンボールワンを牽引するのが、同社の代表取締役を務める辻俊宏氏だ。

辻氏が築き上げたダンボールワンに惚れ込み、提携のプロセスを主導したのがラクスルで取締役を務める福島広造氏である。本記事では福島氏と辻氏の対談をお届け。辻氏はいかにして「入社時はパソコンが1台もなかった」という一介の中小企業を気鋭のスタートアップに変貌させたのだろうか。そして、福島氏が「ラクスルを超えるポテンシャルを持っている」と語る、ダンボールワンの魅力に迫る。

  • TEXT BY RYOTARO WASHIO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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非連続な成長する事業の重要指標は
「定着性」「利用頻度」「拡張性」

「理想的なビジネスモデル」「成長ポテンシャルはラクスルを超える」「ラクスルに入社した2015年に戻ったとして、この会社が現在の状態で2015年に存在していたとしたら、僕はこの会社に入社することを選ぶ」──福島氏はダンボールワンを評してこう語る。

ダンボールワンのラクスルへのグループインが発表されたのは、2020年11月のこと。2020年3月からテレビCMが放映されていたため一定の認知があったとはいえ、「ラクスルが資本参加」というニュースが駆け巡るまで、ダンボールワンは「スタートアップ界隈ですらあまり知られていない存在」だったといえるだろう。

なぜラクスルは、そんなダンボールワンにグループインしてもらうことになったのだろうか。

ラクスル株式会社 取締役 福島広造氏

福島ラクスルが掲げる永続的な年率30%成長の実現には、既存事業を拡大させていくだけでなく、新しい成長領域の拡張に挑戦していく必要があります。そういった課題意識から2020年の6月ごろ、オフィス/産業資材向けの印刷といった「領域拡張」をテーマに事業成長を実現していく戦略を固めました。

「オフィス/産業資材への印刷領域において、出資先候補は数社あった」という。その中でも、圧倒的に大きな成長の可能性を感じたのがダンボールワンだったのだ。

福島ダンボールワンの成長性に確信を持った理由は3つあります。一つ目の理由は「定着性の高さ」です。新型コロナウイルス感染症の流行は、『ラクスル』の売上にも少なからず影響を与えました。

「どんな時も、使い続けてもらえるエッセンシャルなtoBサービスってなんだろう」と考えたとき、頭に浮かんだのが企業活動に必要な間接材でした。『モノタロウ』が伸び続けている理由の一つは、間接材を取り扱っており、景気サイクルに関わらず、サービスが使い続けられる。ダンボールも、ECを展開する企業に限らず、あらゆる企業が配送の際に必ずといってよいほど必要とするものですよね。そういった意味で、定着性が高いエッセンシャルなサービスだと感じました。

次なる理由は「利用頻度の高さ」だ。企業活動に「必ず必要」でも、「年に数回しか購入しない」サービスは、顧客接点が少なく、アップセルやクロスセルの機会が作り難い。一方、梱包材の『ダンボールワン』や物流サービスの『ハコベル』は「毎日のようにこのサービスを利用する」顧客が多く、プロダクト・サービスを磨くことで顧客とのエンゲージメントが深まり、顧客の定着だけでなく、顧客単価を継続的に高め続け、ネガティブチャーンを起こす可能性がある」ということだ。

たしかにこうした「利用頻度の高さ」は、サービスの成長を左右する一要素でしかない。しかし、ダンボールをはじめとした梱包材は、企業が「どんな状況でも必ず頻繁に」購入しなければならないものであり、「ここにもダンボールという商材を取り扱う大きなメリットがあると感じた」と福島氏。

福島そして、3つ目の理由は「マーケティング拡張性」。ECがまだ浸透していない梱包材領域で、先行して圧倒的なNo.1ポジションを確立して、WEBマーケティングによる拡張モデルを創りあげています。ラクスルと一緒になることで、テレビCMチャネルの拡張やマーケ投下量の拡大など、大きな成長投資ができることに魅力を感じました。

定着性、利用頻度、そしてマーケティング拡張性。この3つが全て高い水準であることが、急成長するBtoBスタートアップの理想です。

いろいろな事業をみてきましたが、定着性があっても、拡張性がなかったり、逆だったり、全て兼ね備えた事業にはなかなか出会えません。この夢のモデルを実現する可能性を感じたのが、『ダンボールワン』だったというわけです。

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「5分で決まった」
ラクスルとダンボールワン、出資決定秘話

最初のコンタクトは2020年の8月ごろだったという。テレビ CMを活用したマーケティングに可能性を見出し、ラクスル が提供するテレビCMサービス『ノバセル』を活用していたことから、「ラクスルとは既につながりをもっていた」と話す辻氏であるが、「福島さんから連絡を受けて最初に思ったことは『怒られるんじゃないか』ということ」と笑いながら振り返る。

株式会社ダンボールワン 代表取締役 辻俊宏氏

2010年ごろから(ラクスルを)ベンチマークしていたんですよ。テクノロジーとマーケティングに投資をすることで大きく成長したラクスルを見て、そのやり方を踏襲していましたし、『ダンボールワン』にはオンラインデザインという機能があるのですが、これは『ラクスル』の機能を模倣したといっても過言ではなくて(笑)。

だから、福島さんから連絡がきたときは、内心ビクビクしていたのですが、お話できること自体はとても嬉しかった。ビジネスモデルやプラットフォームの成長戦略については相当参考にしていましたし、ラクスルという会社がなければ、ダンボールワンの成長もなかったと言っていいほどの存在でしたから。

「第一印象はちょっと怖かった」と、福島氏に目をやった。「完全な僕の思い込みなのですが、外資系コンサルティングファームの出身だからドライで怖い人なのではないかと」。しかし、そのイメージは言葉を交わして5分で覆り、「この人となら絶対に事業を伸ばすことができる」という確信に変わっていった。

最初は『Zoom』を利用して面談をしたのですが、すごく明るく接してくれて、事業の課題などを相談しやすい雰囲気をつくってくれました。福島さんはその時点ではダンボールを取り扱うビジネスについて知見が深かったわけではないと思うのですが、僕の相談に対する回答や問いの投げかけ方がかなり的確でハッとさせられるもので、とても驚いたことを覚えています。

「こういう人を事業家というんだな」と思いましたね。起業家と事業家は全く違うものだと思っていて、僕は生来の起業家タイプで0→1が得意なのですが、福島さんは根っからの事業家。瞬時に事業のボトルネックを見抜く様を見て、「1を10に、10を100にできる人は事業をこんな風に見ているのか」と、自分との根本的な違いを感じましたね。

話して5分ほどで「この人が関わってくれればダンボールワンは大きく成長する」と確信しました。

一方の福島氏に初対面時の印象を聞くと、「人生において、この言葉を使ったことはほとんど無いが『運命』を感じた」という答えが返ってきた。福島氏にとっても、辻氏との出会いは衝撃的なものだったようだ。

福島ラクスルの腹違いの弟を見つけたような感覚でしたね。『ラクスル』と同じシェアリングプラットフォーム事業というだけではなく、辻さんの事業に関する思想やカルチャーまで似ている。私がラクスルに入社したのは2015年だったのですが、その頃のラクスルといまのダンボールワンが重なり、既視感とワクワク感を感じたんです。

辻さんとのオンラインミーティングが終わったあと、すぐにラクスル経営チームに「ダンボールワンに出資したい」と伝えました。その2日後には、金沢(ダンボールワンの本拠地である石川県金沢市)に足を運びダンボールワンの本社に伺ったんです。

両者に迷いは一切なかった。出資や事業提携が行われる前提でミーティングは進み、“初対面”から2日後には「出資後」の組織まで議論が交わされた。その後は「デューデリジェンスとPMIを同時に進めた」という。出資への正式なプロセスを進めながら、ラクスルからメンバーを出向させていったのだ。

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学生起業、売却、そしてMBOまで。
生粋のアントレプレナー、辻俊宏の成功と挫折

辻氏はラクスルからの出資について「タイミングとしても最高だった」と振り返る。その言葉の真意を理解するには、ダンボールワンの歩みを知らなければならない。辻氏とダンボールワンは、いかにして事業を成長させ、ラクスルとの提携に至ったのだろうか。まずは辻氏のキャリアを辿ってみよう。

辻氏が始めてwebサービスを立ち上げたのは、短大在学時の18歳のこと。最初の事業は食品ECの比較サイトだった。その後、19歳のときには「100万PVあれば成功させられる気がした」と一念発起し、比較サイトからECサイトへと事業をピボットさせ、法人を立ち上げた。地元である石川県能登地方の特産品を販売するECサイトだったが、この事業は2〜3年で行き詰まってしまうことになる。

比較サイト時代に獲得したユーザーをそのままECサイトにも呼び込めるかと思っていたのですが、うまく転換されられなかったんです。ラクスルもかつて同じ失敗をしていますよね。

恭攝さん(ラクスル代表取締役社長 CEO・松本恭攝氏)がインタビューなどで語っていますが「印刷の比較サイトからECへピボットしたものの、ユーザーの購入が進まなかった」という意味では、僕の方が先にその失敗を犯している“先輩”なんです(笑)。

巨大プラットフォーマーたちの隆盛を目の当たりにし、BtoC領域での限界を感じた辻氏はBtoB領域へのチャレンジを考えるようになり、事業売却を決め、修行するべく動き出した。しかし、当時の辻氏は「名刺の渡し方や請求書の作り方すら知らない」。そこで22歳の辻氏は一般企業、その中でもBtoB領域の事業を展開している企業への就職を考えるようになる。

就職先を探し始めたものの、大企業では事業づくりに携わるまでに膨大な時間を要することになると考え、「町工場のようなところで事業をつくる経験を積もう」とハローワークに求人情報を求めた。そうして、出会ったのがダンボール製造業を展開する能登紙器(現ダンボールワン)だった。

入社当時の能登紙器の従業員数は5名で、平均年齢は55歳、下請け会社、売上1億円。パソコンは1台もなく、在庫管理や製品仕様書の作成はすべて手書きで行っているような、とにかくアナログな会社で。

しかし、能登紙器だけが特別というわけではなくて、ダンボール業界全体がかなりアナログな体質だと聞いていました。ダンボール業界を選んだのはそこに理由があります。ITがわかる私のような人間に、むしろ大きなチャンスがあると感じたんです。

能登紙器に入社したのち、まず取り組んだのは「パソコンを買ってもらうこと」。パソコンの活用法を資料にまとめ、その必要性をプレゼンして導入に漕ぎ着けたという。その後、半年をかけて手書きで行っていた顧客や在庫の管理、請求書の作成といった業務をデジタル化。「当時そんな言葉はなかったが、業務のDX」を推進しながら、同時に進めていたのがECサイトの立ち上げだった。

入社から約半年後、ECサイトをリリース。しかし、待ち受けていたのは厳しい現実だった。

先程申し上げたように19歳で起業し、地元のメディアなどにも「風雲児現る」みたいな取り上げられ方をしていたので、能登紙器に入社したときも「元社長のすごい若者が来た」と先輩たちもざわついていて。

そもそも僕は営業職で入社したのですが、「足で稼ぐ営業の時代は終わった。営業に行かない代わりに、僕はこっちで成果を出す」とECサイトを立ち上げたんです。しかし、全く注文が入らなかった。立ち上げ後、ある程度の時間が経って獲得した注文は1件、売上は7,000円でした。

そうすると、今度は周りが別の意味でざわつき始めたんですよね。「あいつ、本当にすごいやつなのか?」「パソコンの前にずっと座ってるだけじゃないか」って。完全にプライドが打ち砕かれた経験でしたね。胃潰瘍にもなりました。ECの売上は上がらないし、周りからの視線は痛いし、なんとかしなければならないと飛び込み営業を始めたんです。まあ正直、単純に会社にいづらかったという理由もあるのですけどね(笑)。

それからの辻氏は、怒涛の日々をおくった。就業時間である8時半から17時は飛び込み営業に駆けずり回る。17時から20時ごろまでは事務作業に費やし、事務作業終了後、2時ごろまでECサイトに関連する業務を行う、というサイクルで勤務するようになる。

学生起業家として一定の成功を収めたのち、「経験を積むために」入社した会社で経験した挫折。胃潰瘍になるほど、もがき苦しんだ。しかし、「このときの経験があるからこそ、今がある」と振り返る。否定的だった「足で稼ぐ営業」が、辻氏にもたらしたものは小さくなかった。

飛び込み営業をすると、お客様とコミュニケーションを取ることになるじゃないですか。実際にお話をして、業界自体やお客様が抱えている課題の解像度が一気に上がったんですよね。「なんでインターネットで売れないんですかね」と聞くと、適切なアドバイスが返ってくることもありました。

実際に営業に出るまでは、パソコンに向かいながら正しいマーケティング施策を考え、実行すれば売上は上がると思っていたんです。しかし、その考えは間違っていた。現場に足を運ばなければ分からないことがある。当たり前のことかもしれませんが、それを肌で感じられたことは大きかったですよ。最近でも都内を歩いていて、軒先にダンボールを積んでいる会社があれば、名刺を持って飛び込み営業しています。あのときの挫折があったからこそ、今のダンボールワンがあると思っています。

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組織崩壊から、再生へ。
ラクスルの支援を受け、ダンボールワンは変容した

顧客の声を聞き、改善を重ねることによって、EC事業は次第に成長。辻氏が入社した2005年当時、「パソコンが1台もない」状態だった能登紙器(現ダンボールワン)のネット売上比率は大きく上昇。2012年には総売上の40%をECサイトの売上が占めるようになった。そうした功績が認められ、2016年、辻氏は能登紙器の代表取締役に抜擢された。その後、2017年に同社のMBOを実施。経緯はこうだ。

実は、またイチから事業を立ち上げたいと思って、事業継承をできる会社を探していたんですよね。そうしてM&Aを仲介する企業と話していたところ、自分の会社が売りに出ていたので買ってしまおうと(笑)。

MBOによって辻氏が経営権を取得した後、2017年には能登紙器からダンボール・ワンに社名変更。主軸事業を、ダンボールの製造業から、ダンボールを中心とした梱包材の受発注プラットフォームへと事業をピボットさせた。そうして事業は順調に大きく成長。MBO時から約4年で、売上は22倍となった。

こうした数字だけを見れば順風満帆と言えるかもしれない。しかし、その内実は「限界だった」と辻氏。急激な事業成長に組織の拡大が追いつかず、崩壊状態に陥っていたのだ。

代表に就任してから、トップダウンでさまざまな施策を進めてきました。というより、「自分でやった方が早い」と何でも自分で手を動かしてしまっていたんです。2020年の春頃まではマーケティング担当は僕だけだったので、毎日AdWordsの管理画面をいじりながらWeb広告もすべて僕が管理・運用していましたし、経理も全部僕が見ていましたしね。

メンバーに指示だけ出して、その人ができなければ僕が直接やってしまうといった状態が続いていたのですが、そんな体制では安定した事業運営は難しいですよね。2020年3月からテレビCMを放映したことをきっかけに、急激に受注が増え、業務も急増して、遂にオペレーションが回らなくなってしまったんです。

業務が増えすぎてメンバーたちが疲弊してしまい、退職が相次ぎました。2020年の離職率は55%。人が入っては辞め、入っては辞める状態に……。それに、確かに事業は成長しましたが、その成長はテレビCMと新型コロナウイルスの流行による巣篭もり需要の増加による影響といったものが偶然重なっただけで、持続性があるとはいえなかった。4〜5年以内には頭打ちになってしまうだろうなという予感もあり、なんとかしなければと思っていたところに、舞い込んだのがラクスルからの出資と事業提携のオファー。先程「最高のタイミングだった」と言った背景には、こういった事情があったんです。

成功と挫折を繰り返しながら辿り着いたラクスルとの資本業務提携は、組織づくりとオペレーションの立て直しから始まった。このミッションを担うべく出向したのが、「ラクスルの成長を支えた立役者の一人」であり、カスタマーリレーション部で部長を務めていた谷香菜美氏だ。成果はすぐに現れた。

谷さんがやってきたその日に「これはいけるぞ」と思いました。というのも、それまで僕すら正確に状況把握できていなかった現場メンバーを、谷さんは着任してものの2~3時間で「マネジメント」できるようになっていたんです。

谷さんが最初に行ったことは社員全員との面談なのですが、その面談だけで全員からの信頼を獲得していて、「組織化がはじまった」瞬間を見た気がしました。マネジメント力の差を感じると同時に、事業面も組織面も大きく改善される確信を得ました。

2020年11月の谷氏の出向を皮切りに、2021年1月までには計3名がダンボールワンへと出向。現在は出向者の力も借りながら、スピードを重視するあまりおざなりにしてきたシステムのセキュリティ面や経理業務などのバックオフィス業務のアップデートに注力。上場が見えてきたスタートアップに必要な組織力を、急速に高めている。

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今こそ入社のチャンス──経営チームを3倍の規模にしていく!

そんなダンボールワンを「アンバランスな会社」と表現する福島氏。超一級品の事業に対し、「会社の仕組みはシード期のスタートアップのよう」であり、その不均衡さを不思議がった。しかし、その未完の大器は、同時に大きな成長の余地を示すものでもある。

福島イメージでいうと、軽自動車にF1のエンジンを積んでいるような状態ですね(笑)。会社にとってのエンジンとは、事業成長です。ダンボールワンの事業には圧倒的な成長ポテンシャルがありますし、そういった意味で最高のエンジンを備えている。

しかし、車体がエンジンに追いついていない。つまり、会社の組織力やマネジメント体制がエンジンである事業のスペックに比べて、不足している状態なんです。このままエンジン全開で走り続ければ、必ず車体が壊れますし、大きな事故を起こしてしまう可能性がある。

だから、いますべきは車体、つまり組織やマネジメント体制のアップグレードなんです。事業は成長させながら、事業成長を支えるための体制を構築していかなければなりません。

実は提携前までは管理職を置いていなかったんです。全ての業務とメンバーを僕がマネジメントしていた。そんな体制だったので、事業の成長に組織としての成長が追いつかなかった。

今回ラクスルから現状において、早急に必要とされる役割を担っていただけるメンバーに参画いただいたのですが、これからは自力で組織を成長させていかなければなりません。だから、今は採用にかなり力を入れていて、事業を任せられる幹部人材を求めています。

ダンボールワンが身を置く梱包材市場は、3兆円を超える市場規模を誇るマーケットだと辻氏。大きな成長を遂げたとはいえ、ダンボールワンのシェアはまだ1%にも満たないという。伸びしろは十分。だからこそ、さらなるグロースを牽引できる事業家人材を求めているのだ。

同時に、「成長を志す事業家人材にとって、ダンボールワンはこれ以上ない環境だ」と福島氏は熱を込めて語る。冒頭で紹介した「2015年に戻ったとして、この会社が現在の状態で2015年に存在していたとしたら、僕はこの会社に入社することを選ぶ」という言葉の背景にあるのは、「事業が急成長しているのに、未完成な組織だからこそ存在する機会の多さ」だ。

福島ダンボールワンに入社した人には、DAY1から経営リーダーになってもらわないと困ります。組織がもちませんからね(笑)。仮説思考能力とオペレーション能力、そして組織マネジメント能力のすべてが、高度なレベルで求められています。ラクスルが売上100億円を目指していたタイミングでは、15人ほどのリーダーが組織を牽引していました。今ダンボールワンは同じようなフェーズに差し掛かっていますが、これまでは辻さんが1人で引っ張ってきて、そこにラクスルからの出向者が4名ほどが加わったとはいえ、同規模のビジネスなのに、ラクスルの「1/3」しかリーダーがいないんですよ。

少なくとも経営チームを現在の3倍の規模にしなければ、組織をマネジメントできない。5年前のラクスルと比較すると、事業は同じようなフェーズにありながら、経営に関わるリーダーの席が10席ほど空いているのが、今のダンボールワンなんです。

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「ライバルは、ラクスル」。
目指すのは、“ラクスルを凌ぐ”成長

「席が空いている」だけであれば、多くのシード〜アーリーフェーズのスタートアップと変わらないじゃないか、と思う読者もいるかもしれない。たしかに、豊富な経験を持つ福島氏が「入社したい」とまで言う根拠としては、やや物足りないようにも思える。そんな感想をぶつけると、「他のスタートアップとは明確な違いがある」とゆっくりと口を開いた。

福島レイターステージまで駆け上がれることが確定していることは、多くのスタートアップには無い魅力です。シード〜アーリーステージのスタートアップに転職することの最大のリスクは、「会社が伸びない可能性が十分にある」こと。会社が成長しなければ、新たなチャレンジに挑む機会は減ってしまい、たとえCxOを務めていようが事業家として大きく成長することは望めません。

ダンボールワンの最大の特徴は、10x(10倍)の成長が目の前にあることです。普通、そういった会社のリーダーの席は、もう埋まっているんですよ。でも、先程申し上げたように、ダンボールワンにはたくさんの空席がある(笑)。そんな事業と組織がアンバランスなスタートアップ、なかなかありませんよ。

ダンボールワンの場合、ラクスルが培ってきた1→10、10→100の経験を人財と共に、余すことなく全投入して、ラクスルを超える成長を目指します。すなわち、会社と、個人の急成長する機会が約束されている環境なんです。

そして、この梱包材のプラットフォームという領域では、ダンボールワンがリーディングカンパニーで、産業の再構築をリードしていく存在です。だからこそ、どう事業を伸ばしていくのか、課題設定などの自由度もかなり高い。裏を返せば倣うべき前例がないともいえます。「経営リーダー次第でどんな方向にも事業が進化しうる」とも言えます。

それだけ頭も使いますし、責任も大きいですが、急成長スタートアップの最前線で、自ら課題を発見し、仮説を立て、事業グロースに貢献するという「大きな責任と権限」を持って働きたいと考えている人にとっては、これ以上無い環境だと思いますね。

「ラクスルを凌ぐスピードで成長を遂げることも可能だ」と福島氏は太鼓判を押す。資本を受け入れているとはいえ、ダンボールワンはラクスルの子会社ではない。あくまでも独立した存在として、ラクスルを凌ぐ成長を目指す。

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事業家を目指す若者は、
今こそダンボールワンに入社すべき

求めているポジションについて聞くと、「BizDev、プロダクトマネジャー、カスタマーサクセスにエンジニア……つまり、全ての職種」と答えが返ってきた。

「ダンボールにあまり興味がないな…」といった懸念も聞こえてきそうであるが、「入社前からダンボールや梱包材領域への興味は必要ない」。求めるのは、「BtoBプラットフォーム事業への関心」と、「事業家として圧倒的な成長をする強い意志」だという。

福島ダンボールワンが展開しているのは、BtoBプラットフォーム事業。BtoBのEC領域における産業のインフラを確立できる存在だと思っていますし、そういった領域に関心のある人にとっては、事業家として再現性ある成長機会があると思います。反対に、BtoBプラットフォームというモデル自体に関心を持てなかったりする人は、あまり向いていないかもしれませんね。

これからジョインする人に背負ってもらいたいのは、非連続な“率”での成長です。事業開発を圧倒的なスピードで続けることで、売上や利益の“絶対額”を増やすことではなく、“成長率”を伸ばし続けることにコミットしてもらいたいと思っています。結果として、複利で成長し続ける事業を創ってほしい。

“率”での成長を追い求めると、事業規模が大きくなるほど目標達成に必要な成長の“絶対額”ももちろん大きくなります、「前年を踏襲する」ような思考をしていては、到底達成できません。

でもだからこそ、非連続な挑戦が求められて、それが達成できた暁には、戦略思考、オペレーション、組織づくりなどの全てをハンドリングできる「非連続を作り出せる事業家人材」が多く輩出される。実際にラクスルでも成長率を維持し続ける非連続な成長によって、若手人材も急速な成長を遂げ、今の経営人材が輩出されています。

5年後、10年後の継続的な事業成長を目指すにあたって、“率成長”を追い求めることは非常に重要だと思っています。

辻氏も笑いながら「すでに出来上がった会社に入社したいと思う人は、絶対にうちに来ないほうがいい」と応じた。現在のダンボールワンの組織は控えめに言っても「整然としている」とは言えない。その反面、魅力に溢れた“カオス”がそこにはある。

これから入社してくる人に何が提供できるかといえば、膨大な課題ですね(笑)。とにかく事業も組織もシステムも課題しかないので、それらの解決に取り組む機会はいくらでも用意します。

もちろん、課題解決の知見や事例は、福島さんをはじめとするラクスルのメンバーから学ぶことができますし、メンバーにとっても、「実践と座学を高速で繰り返せる環境」ではないかなと思っています。

21年6月中旬には、大手総合商社で新規事業開発に取り組んでいたメンバーが入社する予定になっているそうだ。総合商社でのキャリアを捨て、ダンボールワンに飛び込んだ理由を辻氏が問うと、「成長とカオスを求めて」と答えたという。

スタートアップへの転職につきまとう代表的なリスクは、福島氏が語ったように「会社が想定通りに成長しないこと」だろう。しかし、それだけではない。もう一つの“スタートアップ転職失敗あるある"は、「創業社長の力が強すぎて、結局何も決められないこと」。裁量を求めてスタートアップに飛び込んだにもかかわらず、意思決定を任せられず「決まったことのオペレーションしか担当できない」リスクは確かに存在する。

しかし、ダンボールワンに限っては「その心配は必要ない」と、福島氏は最後に笑った。

福島辻さんの物凄いところは、とにかくトラストファーストだということ。「大丈夫?」と思うほど、とにかく任せるんです。まずはメンバーを信頼して任せる。

ラクスルでも活躍していた木下(ダンボールワン執行役員COO・木下治紀氏)に出向してもらうときも、「社長からの信頼には1年かかる」と諭して送り出したのですが、辻さんは数日間の彼のアクションを見て、すぐに執行役員COOを任せてしまった(笑)。

繰り返しになりますが、事業家を目指している方々にとって、ダンボールワン以上の環境は、今のスタートアップ界隈を見渡しても、なかなか無いと断言できます。

カオスの中を突き進んでいく気概さえあれば、いくらでも機会と知見を提供できる。大きな成長を求める「将来のスタートアップを代表する事業家」たちの挑戦をお待ちしています。

こちらの記事は2021年06月18日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

鷲尾 諒太郎

1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。

写真

藤田 慎一郎

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