連載スタートアップを知りたいならここを見よ!FastGrow注目スタートアップ特集──FastGrow Pitchレポート

記憶のプラットフォーム、決済代行・信用保証のBaaS。
EdTechとFinTechに新風をもたらすスタートアップ──FastGrow Pitchレポート

登壇者
竹内 孝太朗

名古屋大学経済学部卒。2010年に株式会社リクルートに入社。中古車領域での広告営業に従事し、2011年に中古車領域初及び最年少で営業部門の全社表彰を受賞。2013年からは「スタディサプリ」にて高校向け営業組織の立ち上げ、学習到達度測定テストの開発、オンラインコーチングサービスの開発を行う。高校の同級生である畔柳とMonoxerを共同創業。

東小薗 光輝
  • H.I.F.株式会社 代表取締役 

母子家庭による金銭的な理由で進学を諦め、自衛隊入隊後、株式会社エイチ・アイ・エスに入社。澤田経営道場2期生。
「自分と同じような家庭環境の子供が、金銭的な理由で夢や目標を諦める事がないような世の中を作る為に金融革命を起こしたい」という思いから、起業を決意。2017年に売掛金保証(Fimple保証)サービス1本で、エイチ・アイ・エスの後輩と2名でH.I.S. Impact Finance株式会社(現、H.I.F.株式会社)を立ち上げる。

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「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。

登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。

本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、モノグサ株式会社、H.I.F.株式会社の2社(登壇順)だ。

  • TEXT BY OHATA TOMOKO
  • EDIT BY HARUKA MUKAI
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モノグサ株式会社
「記憶の定着」に特化した学習アプリ

モノグサ株式会社

最初に登壇したのは、『Monoxer』を開発・運営するモノグサ代表取締役CEOの竹内孝太朗氏。『Monoxer』は、記憶の定着を目的とした、問題作成や生徒への配信、学習状況や記憶度の確認などを行える学習プラットフォームだ。

参考記事:https://www.fastgrow.jp/articles/monoxer-kuroyanagi

ユーザーのうち、先生側は、生徒に合わせた問題集を作成し、オンラインで一括配信できる。点数だけでなく、学習後の定着度合い(=記憶度)をAIが自動計測してグラフを作成する。それらのデータと学習履歴を合わせて確認し、生徒への指導に活かすことができる。

生徒側も、アプリで問題集に取り組めるため、好きな時間に好きなだけ学習できる。『Monoxer』側のシステムが記憶度に合わせた頻度・難易度で問題を出題するため「自然に記憶定着が実現される」と言う。

竹内氏は、リクルートに入社後、学習サービス「スタディサプリ」にて高校向けの営業組織の立ち上げや学習到達度測定テストの開発、オンラインコーチングサービスの開発に携わった。

もともとは教育領域での起業を検討していたと言う竹内氏。なかでも「記憶の定着」に注目してサービスを立ち上げた背景には、高校の同級生であり、後に共同創業者となる畔柳圭佑氏の言葉があった。

竹内当初は英単語帳サービスを検討していました。それを畔柳に共有したところ、「すでに近しいサービスが多数存在していて、それはつまり記憶することに対して本質的な課題解決ができているサービスが存在しないのでは」と言われました。

彼の言う通り、インターネットの発達により「調べる」という作業は誰もが簡単に取り組めるようになりました。一方で「記憶」の領域はまだまだ手つかず、決して気軽なものではないですよね。

でも「記憶する」こと自体はそこまで苦痛ではないはずです。例えば、大抵の人は今日の朝ごはんに何を食べたかを自然に記憶していますよね。

でも英単語1,000個を覚えるとなると苦しくなってしまう。これは記憶すべき情報の量が増え、期間が設定される。つまり記憶を管理しなければいけなくなるからだと捉えています。『Monoxer』によってその管理の部分を担い、記憶の定着をもっと手軽にできるようにしたいと考えています。

現在『Monoxer』は塾や学校を始めとした全国およそ47都道府県2500箇所の教室で利用されている。2020年10月にはWiL Partner、UB VENTURESより4.4億円の資金調達を実施した。今後は「教育現場における学習にとどまらず、記憶の定着全般を担いたい」と展望を語る。

竹内現在は、先生の業務フロー改善や生徒の記憶定着を支援していますが、周辺領域でのサポートも行ってほしいといった声をいただいています。

すでに企業において社員の資格取得の学習をサポートしている事例もあります。「記憶活動に取り組むすべての人」をサポートしていきたいですね。

さらなる事業成長に向けて採用も強化している。「必ずしも教育関連のバックグラウンドがある必要はありません。少しでも記憶というプロダクトに興味を持っていただけたら、ぜひお声がけください」と竹内氏はピッチを締めくくった。

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H.I.F.株式会社
決済代行・与信調査・銀行代行を担う金融プラットフォーム

H.I.F.株式会社

続いて登壇したのは、H.I.F.代表取締役の東小薗光輝氏。同社は、信用保証業・決済代行業・銀行代理業を行うBaaS(Banking as a Service)プラットフォームを展開する。

具体的なサービスとしては、売掛金前払い、保証率100%で圧倒的に安い手数料 (4.0~10.0%)の請求業務アウトソーシングサービス『Fimple決済 Finance+』や、売掛債権を保証する『Fimple保証』、企業同士の協業を実現するオープンイノベーション・コミュニティ『Fimple Community』を運営している。

また、GMOあおぞらネット銀行を所属銀行とする銀行代理業の許可を取得し、バンキングサービス『Fimple Bank』の開発にも取り組む。

なかでも、2019年より注力してきたのが『Fimple決済』だ。このサービスでは、企業の売り上げデータをもとに、H.I.F.が請求書の発行、送付から代金回収に至るまでを代行する。

東小薗最大の特徴はクライアントからH.I.F.に代金が振り込まれる前に、H.I.F.から企業へ、代金を先に支払う仕組みです。企業はキャッシュフローの改善を図りながら、売掛金未回収リスクがゼロになります。

創業から約2年半で行われた1万5,333件の取引のうち、回収すべき売掛金が回収できなかったのは19件のみ(デフォルト率0.12%)です。もちろん回収できなかった際に備えてH.I.F.が保険を契約しているため、実質的な損失は少なく、ファクタリング業界では最も良い成果を挙げているのではないかと感じています。

同社が展開するサービスの根幹を支えているのが、取引情報や独自の調査による企業情報をもとにした与信管理システムだ。

東小薗与信調査と聞くと、決算書や財務諸表を見られるイメージがありますが、粉飾の恐れがあります。そのため、私たちは会社の代表のSNSや女性従業員比率など定性的な項目も確認しています。

これまでは全て人の手で項目の確認を行っていましたが、昨年12月から自動化のためのAI開発を進めています。今年の3月頃にはβ版をリリースする予定です。

東小薗氏はエイチ・アイ・エス出身者で、同社の創業者である澤田秀雄氏が設立した起業家育成プログラムの2期生だ。

東小薗「育った家庭環境による金銭的なコンプレックスを世の中からなくしたい」という思いから金融サービスでの起業を決意しました。銀行代理業や決済代行業の事業で得た利益を使って、ビジョンである「世界平和への貢献と父子・母子家庭世帯の支援」の実現に取り組みたいと考えています。

実際に2020年3月にはひとり親家庭30世帯に対し、月額1万円を支給する「H.I.F.ベーシックインカム」の募集を行うなど、着実にビジョンを形にし始めている。将来的には展開しているサービスをプラットフォーム化し、FinTechサービスを立ち上げたい企業に提供する事業なども検討していると言う。

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第29回目となった今回は、競合ひしめくEdTechやFinTech領域にて新風を吹かせるスタートアップが集った。

今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。

こちらの記事は2021年01月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

大畑 朋子

1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。

編集

向 晴香

inquire所属の編集者・ライター。関心領域はメディアビジネスとジャーナリズム。ソフトウェアの翻訳アルバイトを経て、テクノロジーやソーシャルビジネスに関するメディアに携わる。教育系ベンチャーでオウンドメディア施策を担当した後、独立。趣味はTBSラジオとハロプロ

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