オンラインマインドフルネス、新規事業開発のトータル支援。
イノベーションをエンパワーするスタートアップ──FastGrow Pitchレポート
「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」をミッションに掲げるFastGrowが、「この会社、将来大きなイノベーション興しそうだ!」と注目するスタートアップをお呼びして、毎週木曜朝7時にオンライン開催する「FastGrow Pitch」。
登壇するスタートアップが目指すビジョンや事業内容、創業ストーリー、どんな仲間を探しているのかなどをピッチ形式で語るイベントだ。
本記事では、ピッチの模様をダイジェスト形式でお届けする。登壇したのは、株式会社Melon、株式会社Relicの2社(登壇順)だ。
- TEXT BY OHATA TOMOKO
- EDIT BY HARUKA MUKAI
株式会社Melon
日本のマインドフルネス市場を拓くオンラインプログラム
最初に登壇したのは、Melon代表取締役CEOの橋本大佑氏。マインドフルネスサロン「MELON」を運営している。
マインドフルネスとは「今、ここ」に意識が向き、脳や心が休息している状態、あるいはそのための手法を指す。なかでもマインドフル瞑想は、脳科学研究や精神医学の研究により、ストレスからの回復、集中力向上などの効果が認められ、国内外で注目を浴びている。
橋本氏は、外資系金融機関に勤めている際に軽度の鬱を発症した経験、また友人の自殺などがきっかけでマインドフルネスに出会い、その効果を実感した。そして、マインドフルネスを日本に広め、多くの方が本当に充実した人生を送ることを手助けしたいと考えるようになったという。
橋本ジムに通うなどして身体のコンディションを整えている人に比べ、瞑想などで脳や心のケアを行っている人は、あまり多くはないように思います。
しかし、日々膨大な量の情報に触れるなかで、私たちの脳や心には確実に負荷がかかっています。瞑想によって適切に脳や心もケアをし、人々が過去や未来に囚われず、今を豊かに生きられる社会を実現したいと考えています。
マインドフルネスサロン『MELON』では、月額3,500円(税込3,850円)で、朝6時から夜10時までマインドフルネス瞑想やヨガなどのオンラインクラスに参加できる。予約不要で入退室も自由。オンラインのプログラムのみならず、オフラインイベントも定期開催している。
個人向けプログラムだけでなく、法人向けプログラムも展開。従業員のメンタルヘルス不調の予防や回復支援、従業員満足度やエンゲージメント向上に取り組む企業を中心に導入されている。実際に法人プログラムの導入した企業では、従業員のストレスレベルが低下したデータなども確認できているという。
さらに2019年に行われたラグビーワールドカップでは、イングランド代表チームにマインドフルネス・プログラムを提供。今後は小学校へのマインドフルネス導入も検討している。
MELONでは個人向け、法人向けプログラムともに、アプリやYouTube動画ではなく、リアルタイムで参加するプログラムを提供している。その背景には「マインドフルネスを続けられる仕組みをつくりたい」という思いがある。
橋本アプリや動画では、ある程度決まった動画を見続けることになり、飽きてしまう人もいるのではないかと思います。また、一人で続けるのは向き不向きがあります。
一方、リアルタイムで参加するオンラインクラスなら毎回内容も変化がありますし、他の参加者とも交流できます。より能動的に参加し、継続しやすい仕組みをつくっていきたいです。
また、リアルタイム参加型のプログラムを展開することで、国内外のメジャーな瞑想アプリとの差別化も図っている。
橋本欧米では、HeadspaceやCalmのように、質の高いコンテンツとUIを備えたアプリが人気です、彼らが本格的に日本進出したら、勝負できるかは定かではありません。
一方、MELONのようなオンラインプログラムを提供するには、講師の育成や、集客・運営のノウハウが必要になります。アプリに比べて言語的な障壁も大きい。MELONは、新型コロナウィルス感染症の流行前から、オフラインプログラムやイベントを介し、講師の育成やノウハウを蓄積してきました。
成長の見込まれる日本のメディテーション・マインドフルネス市場で、独自のポジションを狙うMELON。現在は30代以上の女性ユーザーが中心だが、今後は若いビジネスパーソンの利用も広げていきたいと語る。「2週間無料で体験が可能ですので、ぜひ試してみてください」と参加者に呼びかけた。
株式会社Relic
新規事業開発やイノベーション創造を一気通貫で支援
続いて登壇したのはRelic取締役の大丸徹也氏と執行役員CGOの倉田丈寛氏。
同社は、主に3つの事業を通して、日本企業の新規事業開発やイノベーション創出を支援している。新規事業を生み出すためのSaaSを提供する「インキュベーションテック」、新規事業開発をハンズオンで支援する「事業プロデュース」、ジョイントベンチャーや協業を促進する「オープンイノベーション」だ。
「インキュベーションテック」では事業のフェーズに合わせて、複数のSaaSプロダクトを展開する。
イノベーションマネジメントプラットフォーム『Throttle』では、社内外で新規事業を公募、評価し、絞り込むプロセスを効率化できる。また個人でも新規事業のアイデアの立案/ブラッシュアップを実行できる。
また、ネットワーク型クラウドファンディング・EC構築プラットフォーム『ENjiNE』では、クラウドファンディングサイトを構築し、自社ブランドでテストマーケティングを行える。
さらに次世代型のCRM・MA『Booster』では、行動データや購買データをもとに効率的に集客や顧客との関係構築に取り組むことができる。
これらのSaaSプロダクトにはRelicが創業以来蓄積してきた新規事業開発への知見が反映されている。大丸氏は「新規事業開発支援を行うなかで『これはクラウドサービスがあった方が絶対に良い』と社内で確信を持ち、SaaSプロダクトの開発を進めてきました」と語る。
二つ目の主要事業「事業プロデュース」では、新規事業の戦略立案からプロトタイピング、サービス・プロダクト開発、事業成長まで、ハンズオンかつオーダーメイドで支援する。
大丸新規事業開発では、サービスを企画してプロトタイプ検証をしたものの、顧客から反響が得られず戦略立案に戻るなど、PDCAサイクルをたえず回していきます。
従来は戦略立案やプロトタイピング、システム開発など、領域によって異なる企業に依頼をするのが一般的で、一度のサイクルを回すには手間やコスト、時間がかかっていました。Relicでは、全てのプロセスを一気通貫で支援するため、スムーズかつ高速に改善を回せます。
さらに倉田氏は「Relicでは事業創出・事業化フェーズの支援も拡充している」と語り、新規事業特化型のグロースマネジメントプラットフォーム『Blitz Square』を紹介する。
倉田Blitz Squareでは、事業創出・事業化にまつわるナレッジや業務効率化ツール、顧客候補を検索できる企業データベースなどの機能を提供しています。また、事業化フェーズの支援では、営業やマーケティング戦略立案や営業代行、体制構築など、いわゆる現場の「泥臭い地道な仕事」にも伴走してきました。
複数のSaaSプロダクト開発・運用、ハンズオンかつオーダメイドの新規事業支援、オープンイノベーション——。多数の事業を180人前後のメンバーで効率的に進めるため、どのように工夫しているのか?という聴講者からの質問に対し、Relicは日々のオペレーションにも、新規事業開発で蓄積したナレッジを活かしているという。
大丸新規事業と業務効率化は水と油のように捉えられがちです。しかし、新規事業の初期設計では、将来的にオペレーションコストが膨らまない管理画面の設計やオペレーション体制/フローの構築が不可欠です。私たちはそれらのノウハウを蓄積し、自社のプロダクト開発においても徹底的に実践してきました。
社内外でナレッジを循環させ、新規事業開発やイノベーション支援領域で、独自のポジションを築いているRelicは、「事業成長に対して人手が足りない状況」だという。「採用でも、新規事業課題のご相談でも、ぜひお声がけください」と語り、ピッチを締めくくった。
採用情報
記念すべき第40回目となったこの日は、マインドフルネスの普及や新規事業の創出に取り組む企業が登壇した。
今後も毎週木曜朝7時の「FastGrow Pitch」では、注目スタートアップが登壇し、自ら事業や組織について語る機会をお届けしていく。ぜひチェックしてほしい。
こちらの記事は2021年04月28日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
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執筆
大畑 朋子
1999年、神奈川県出身。2020年11月よりinquireに所属し、編集アシスタント業務を担当。株式会社INFINITY AGENTSにて、SNSマーケティングを行う。関心はビジネス、キャリアなど。
inquire所属の編集者・ライター。関心領域はメディアビジネスとジャーナリズム。ソフトウェアの翻訳アルバイトを経て、テクノロジーやソーシャルビジネスに関するメディアに携わる。教育系ベンチャーでオウンドメディア施策を担当した後、独立。趣味はTBSラジオとハロプロ
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