「視座は高く、主語は“We”」で泥臭くアクションせよ──X Mile×リクルートの経営層の飛躍の軌跡を辿って探る「圧倒的に伸びる20代になる方法」

登壇者
渡邉 悠暉

国際基督教大学(ICU)在学中に、人材系大手エン・ジャパンの新規事業企画にてHRtech(SaaS)の企画開発・営業を担当。その後、HRtechスタートアップで、営業兼キャリアコンサルタントに従事。全社MVPを獲得。2018年7月に株式会社ネクストビートでメディア事業・人材支援事業の2つの新規事業を経て、2019年8月よりX Mile株式会社のCo-Founder COOとしてのキャリアをスタート。

藤原 暢夫
  • 株式会社リクルート HR 領域プロダクトマネジメント室 ディビジョンオフィサー 

2011 年リクルートに新卒入社後、HR メディア新規開拓営業、HR メディア商品企画、人材紹介領域の事業企画・プロダクト企画を経て、2020 年より『リクルートエージェント』『リクナビ就職エージェント』『リクナビ HR Tech』『リクルートダイレクトスカウト』等の複数のプロダクトをプロデューサーとして統括。仕事で実現したいことは、テクノロジーの利便性と人肌感を高次元に融合させた、これまでにないサービスを創ること。

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圧倒的に成長し、華々しく活躍できる若手人材になりたい。志の高い読者には、こうした熱い想いを持って日々努力している人も少なくはないだろう。では、実際に社会に出て圧倒的に伸びる20代になるために必要な経験、マインドとは何だろうか。そんな、学生から第二新卒が気になるテーマについて、2023年8月のFastGrow Conference 2023 Summerの1セッションで議論した。

この記事ではその様子をレポートする。登壇したのは、X MileのCo-Founder COO渡邉 悠暉氏と、リクルートでHR領域プロダクトマネジメント室ディビジョンオフィサーを務める藤原 暢夫氏。元祖メガベンチャーといっても過言ではないリクルートと、現在まさに未上場で急成長を遂げているスタートアップのX Mileがそれぞれに描く「伸びる若手の共通項」とは。

合わせて、現在活躍している両名が実際に20代をどう過ごしてきたのかについても深堀りした。「伸びる人材になるための過ごし方」について、詳しく探っていこう。

  • TEXT BY WAKANA UOKA
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元祖メガベンチャーのプロデューサー×成長中で「メガベンチャー」を目指すスタートアップCOO

──X Mileの渡邉さん、リクルートの藤原さんの順に、自己紹介と会社のご紹介をお願いします。

渡邉私の経歴としてはICUを卒業したあと、人材系×新規事業という軸でキャリアを重ねてきました。ジョブホッパーとも取れるかもしれませんが、エン・ジャパンの新規事業企画室にお世話になったあと、ベンチャー2社で新規事業に携わり、その後X Mileを共同創業しました。

渡邉弊社は「令和を代表するメガベンチャーを創る」をミッションに掲げておりまして、2019年に創業し、2023年の頭に社員数が100名を超えました。今は社員数160名程度で、今年中に250名程度を目指して頑張っています。

在籍しているメンバーはメガベンチャーで事業部長を勤めた方、子会社の立ち上げに携わった方、上場企業に事業を売却した経験がある方のような経験豊富な人材から、20代半ばで1億円規模のP/L責任を持っているメンバーや、優秀な新卒人材までさまざまです。

渡邉事業領域はノンデスク産業で、いわゆるブルーカラーといわれる物流・建設・製造業界などの領域をDXしていくのが我々のビジョンです。なぜノンデスク産業かといいますと、製造業・建設業・運送業を合わせると100兆円以上の市場規模があるとも言われているのが大きな理由です。かつ、関係人口も実はホワイトカラーより多い。世界に目を向けると、全労働人口の8割がノンデスクワーカーです。

なので、次に日本からユニコーン企業が生まれるなら、ノンデスク産業などの巨大産業の変革か、AI関連のサービスのように不確実性はあっても急速な拡大の可能性がある領域の、どちらかではないかと考えています。Horizontal SaaS市場が成熟してきた今、弊社が課題解決に挑むノンデスク産業のDXは市場拡大が求められている領域だからです。

そのなかで、我々はSaaSを起点に様々なソリューションを開発し、ノンデスク産業の課題を一貫して提供できるプラットフォームを構築している最中です。創業期よりマルチプロダクトの提供を前提としてきたので今後はさらに事業を多角化していく予定です。

目指すイメージは本日共演させていただくリクルートさんの“令和版”。つまり、社会課題を解決する事業家集団、No1プラットフォーマーを目指して、一つの会社の中で、様々なビジネスモデル、職種やキャリアパス、組織カルチャーが経験できる環境をまさに現在進行形で創っている最中です。

よりX Mileについて詳細を知りたいと思ってくださった視聴者の方は、FastGrowさんから取材を受けた記事がいくつかあるので、ぜひご覧ください。

藤原私は2011年に新卒入社して以降、ずっとリクルートにお世話になってきました。まずは新規開拓営業をやったあと、企画サイドに異動、HRメディアサービスの商品企画、経営企画、事業企画も経験し、「自分が好きなITでサービスをつくりたい」という想いからプロダクト開発に異動させていただきました。2020年ぐらいから中途採用、転職サービスのプロダクトの商品責任者、リクルートではプロデューサーと呼ばれる役割を担っています。

藤原リクルートはメガベンチャーの元祖みたいなところがあると個人的には思っています。これまで時代の変化に応じて様々な事業を展開してきたリクルートですが、創業時から一貫して「新しい価値の創造を通じ、社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。」という理念を持ち続けてきた会社です。

それを端的に表す世界観が「Follow your heart」。一人ひとりが自分に素直に、自分で決める、自分らしい人生を謳歌できる社会であってほしいという世界観において、そのために何ができるんだろうかということが新事業、成長した事業共に奥底に貫かれている価値観となっています。

藤原祖業は学生新聞の広告代理店、その後『企業への招待』という学生就職媒体に発展し、そこからインターネット広告や予約サイト、今ではSaaSによるソリューションも展開しています。時代の流れに合わせて姿形を変えてきた、私から見ても不可思議な会社です。

大事にしていることはユーザー中心の社会的意義で、UI/UXという言葉が出てくる以前から、「これは何が嬉しいんだっけ」「何の価値があるんだっけ」と考えることが企業のDNAとして根付いていると言っていいと思います。

この社会的意義を問うことがすごく大事だと思っていまして、「これは世の中を良くするのか、役立つのか」を真面目に問う会社です。楽しければいいよね、儲かればいいよねという会社ではないということですね。

藤原現在はほとんどデジタルシフトしていて、雑誌・フリーペーパーの割合はスライドでご覧の通り非常に少なくなっています。

藤原ご覧のようにたくさんのサービスを展開していまして、この中の『リクルートエージェント』『リクナビ就職エージェント』『リクナビHR Tech』『リクルートダイレクトスカウト』が私の担当です。このように多角的に展開してきた会社なので、いろいろな節目で日本の消費者、世界の消費者の皆様や、企業と接点を持っているという意味で、社会にも一定の影響力がある会社だと思っています。

また、すでにご存知のサービスもある一方、並行して0→1、1→10フェーズのものもたくさんあり、新しいビジネスづくりにトライしつつ、つくるだけではなくて時に壊すことも厭わず、事業ポートフォリオの新陳代謝が絶えず行われている、「中にベンチャーがいっぱいある会社」のようなイメージを持っていただいてもよいかもしれません。

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大量のインプットとアウトプットの繰り返しが成長に繋がった

──ここからは、伸びる20代の過ごし方についてお二人と考えていきたいと思います。まずはお二人が20代をどう過ごしたのかについてお聞きしていきたいと思います。学生時代にビジネスに少しでも触れられていたのかですとか、今に至るまでどう過ごしてきたのかを伺ってもよろしいですか。

渡邉私は5年間大学生活を過ごしたのですが、前半の3年間と後半の2年間で思考がガラッと変わったと思います。

前半は割と引きこもりでしたね(笑)。というのも、1年生の終わりぐらいに社会人と一緒にNPOみたいな活動をしたことがあり、そこで自身のビジネス能力のなさを痛感しまして......。そこから社会に出ていくのかと思ったら、そうではなく本を読もうと思いまして。図書館で3年間、本ばかり読んでいたんですよ。3年間で3000冊くらい読みました。別にビジネスに関わりのある本ばかりではなく、社会学や法学、脳科学、物理など様々な分野の本を読破しました。リベラルアーツの大学なので、リベラルアーツを存分に満喫しようと思ったんです。

そこから就活に入ってビジネスに振り切った感じで、それまでは社会との接点はほぼ持っていませんでした。就活が始まって社会との接点を持ち始め、人材系の会社の面接を受けるなかで自分の内面や人生を深堀りしてもらい、気付きを得ながら「僕ってこういうことをやりたいんだな、こういう方向に行きたいんだな」と整理できたんですね。

学生5年目のときに今後の10年分の予定を四半期で線表にし、プライベートと仕事とで目標を細かくつくり、「何歳の何ヵ月目で年収はこれぐらいで、プライベートではこれをやって」みたいなのを決めました。

──今もその計画通りなんでしょうか?また、起業することも計画のうちだったのでしょうか?

渡邉結論、2年ほど巻いているペースにはなっていますが、内容としては概ねその通りに進行していますね。起業しようと決めたのは大学4年生のときで、それまではぼんやりと「起業したいな」と思っていたくらいでした。

実際に起業しようと思ったきっかけは、大学4年生の頃からしていたエン・ジャパンの新規事業企画室でのフルコミット経験を経てからです。そこで起業家や新規事業企画室の事業課の人たちと距離が近くなり、ベンチャーや経営にかっこよさを感じるようになり、その後の自分のキャリアを考えていった形となります。

──20代で「ここが転機だった」と思えることはありますか?

渡邉ありますね。22歳のとき、イギリス発のARスタートアップKudanで当時COOをしていた方とオンラインで1時間話せる機会に恵まれ、今後の戦略を聞かせてもらえたんですよ。Kudanはその2年後に上場し、時価総額も跳ね上がったんですね。その戦略を聞いて、シンプルに「めちゃくちゃかっこいいな」と憧れを抱くようになったんです。

もう1つあるのは、スローガンの元代表の伊藤豊さんの講演で「大学を4年で卒業する奴なんてつまらん」という話を真に受けて留年したことですかね(笑)。

その後はスローガンに紹介してもらった長期インターン先で働かせてもらい、その後は並行して就活をしていたんですが、ネクストビートという会社に正社員として途中から入って働いていました。

──ありがとうございます。藤原さんは学生時代をどう過ごし、どんなことを考えながら就活をしていたのでしょうか?

藤原私は高校生まで毎日サッカーに熱中していた人間でした。その後大学に入学し、サッカーとは縁を切ることになるのですが、いざサッカーを失うと、何をしていいかわからなくなってしまったんです。大学に行く目的も不明瞭で、渡邉さんと同じくしばらく図書館に住む期間がありましたね(笑)。

一方、英語は一生懸命勉強して、このままぼーっと過ごしてはいけないという思いから、アメリカに短期留学をしました。その当時は、TwitterやFacebookといったSNSが出始め、日本でもiPhoneが発売され始めた時期。「シリコンバレーが盛り上がっているらしい」と噂を聞きつけ、相部屋だったブラジル人に連れて行ってもらいました。

そこで、スターバックスでAppleのPCでプレゼンしている人を見たり、ヒューレットパッカード創業のガレージを訪ねたり、陳腐な表現ですが、完全にインターネットに一目ぼれしてしまったんです。人生観というと大げさかもしれませんが、本気で世界を変えようとしている人たちってかっこいいな思うようになり、帰国してすぐにプログラミングを学び始めました。

就活の時期は、世の中を知らな過ぎたこともあり、とりあえず金融からコンサルまでいろいろと受けまして、そのうちの1つがリクルートでした。

私の家系は官僚や政治家が結構いまして、国のために尽くす人生に漠然とした憧れがありました。一方で、自分の興味関心やキャラクターには合わないとも感じていまして(笑)。リクルートの話を聞くうちに「この会社は世の中を良くしていこうと本気で考えているんだな」と感じたこともあり、入社を決めたんです。

──今のお役割やお立場になる上で、20代に心掛けていた思考やアクションはありますか?

藤原成長しようと思ったことはぶっちゃけないですね。「学生起業しました」「○○の代表をやってました」みたいな同期がたくさんいたなかで、私はあまり誇れるようなものがなく影が薄いタイプだったと思います(笑)。

ですから、最初から自分が何かできるとはまったく思っていませんでした。自分が他の誰かから必要とされる存在になりたいと常に考えていたんです。求められる以上の結果を出すために多くの時間と労力を注ぎましたね。

飲み会の宴会芸も一生懸命練習しましたし、新規開拓営業では同僚より多く訪問することを心がけました。企画組織に異動した際も、上司が1時間で終わるような分析が、私の場合は1週間かかるわけですが、「早く始めれば結果は同じ」と考え、計画的に行動していましたね。

──20代だから基準を下げる、甘えるのではなく、基本的に高いアウトプットを出せる人の基準で、いかに自分が努力するかを意識されていたと。

藤原量は質に転化するじゃないですけど、やはり私は体育会出身の人間なので、「本を読んでいてもシュートは上手くならないだろ。何本打ったかが大事だ」「入るまで打てば、一緒じゃないか」みたいな思考のクセがあるので、仮に自分の実力不足に絶望しても行動量や時間でカバーし、一生懸命やる。するといつの間にか早く良いものができるようになる。このサイクルでした。

渡邉非常に共感して聴いていました。私はインプットと同じくらいアウトプットの習慣を持つことを決めており、前田裕二さんの『人生の勝算』を読んで影響を受けました。日常では細かいメモや振り返りを行い、自身の人生をノートに綴ることもこの本がきっかけです。

大学生の頃から将来的にベンチャーのCEOになりたく、そのために意識していたことは、なんでも自分で1回経験することです。経営者の役目は、人を動かすことであり、その背景や業務内容を知らずに指示をすることは避けたいですからね。そのため、デザインからマーケティング、営業まで、自ら実際に関わって経験を積んできました。

──人材領域で起業したいから人材系の企業に入社したんですか?

渡邉いえ、その時は気付いていませんでしたが、人事の方が私の性格を理解していて、率直に「良い人だ」と感じたんです。就職活動中、具体的な目標が見えず悩んでいたのですが、その中で「自分が一番苦しんだ経験は何か」と考えた結果、それが人間関係だったんです。それが仕事に繋がると良いのではと思い、人との関わりが深い人材業界を選びました。

──以前、渡邉さんが10年間の四半期計画を作成したとの話がありましたが、それは定期的に見直されていますか?

渡邉はい、月末には必ず見直しています。COO日記と称した私用の日記に、X Mileをやっていて今月良かったこと、やったけど上手くいかなかった施策を、そのタイミングで書けるだけ書き出すんです。そのときに月だけじゃなく、通年、向こう5~10年の予定も見直しています。

──このセッションの最後の質問として、藤原さんは転職や起業の選択肢がよぎったことはないのかをお聞きしたいです。いろいろなお誘いもあったのではないかと思うのですが。

藤原確かに、「起業しないの?」って言われることはよくありました。同期にも起業家がいましたし、仕事でお世話になった方々の中でスタートアップを立ち上げてる人も結構いるので「もしかして、自分も?」って思う機会はありました。

でも、リクルートで今も働いている理由はシンプルで、まだ恩返しできてないと感じてるんですよ。特にエッジが立った取り柄があったわけでもない僕を採用してくれて、いろんな経験をさせてもらい、たくさんの人と出会って、いっぱい学び取らせてもらった。こんなに成長できるとは、22歳の時点では全然想像してなかった。だから、リクルートへの恩返しはまだまだ続けていきたいなと。

リクルートは卒業を応援してくれる会社ですし、自分がリクルートに貢献できなくなったと感じたら離れようと思いますが、その時が来るまでは頑張りたいと思っています。

──別の観点で言うと、挑戦の機会と領域をまだまだ提示してもらえる会社だということにもなるんでしょうか。

藤原そうですね。私がいうと「リクルートしか知らないでしょ?」って思われそうですが、12年間、一度も退屈を感じてないんです。ちょっとつま先が届くくらいの自転車に乗せ続けられているような感覚、つまり常に新しい挑戦をさせてもらってて、権限と責任があるポジションに任用いただく中で、新たにすごい人の仕事ぶりに触れる機会を得る。そこで「自分、全然まだまだだ。頑張らないと。」と気づかされ、なんとか価値を出すために食らいつく。これを毎日必死にやっていたら、気づいたらこんなに長くリクルートにいることになっていました。

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成長は手段。
主語“We”で泥臭く働いた結果、成長がある

──2つ目のテーマは「伸びる20代の過ごし方」です。お二人とも、同世代も含めて色々な伸びた人材の事例を見てきたと思います。その中で、20代で伸びる、成長することを考えたとき、何を考えてどう過ごすのがいいのか、類型化されたお考えなどはありますか?

藤原類型化するのはおこがましいところもありますが、「社内のすごい人研究」みたいなことをしたことがありまして。その最たるものが現CEOの出木場なんですが、すごい人たちの特徴は、主語がWeなんです。「自分が」とは言わないんです。

そのWeの中に事業やプロダクト、会社が入っている。なので、「このサービスはこうなった方がもっと世の中のためになる」ということからすべての発言や行動が生まれていまして。その理想に対して不足している知識や経験を必死に積み上げていると感じます。

何が言いたいかというと、「成長が手段である」ということですね。皆、口を揃えて言うのは、「振り返ったら成長していました」といった具合に、成長が目的ではないんです。

まとめると、「一生懸命やりたいと思えるものに全力投球し、一人称の主語を忘れるぐらい必死にやっていたら、振り返ったときに伸びているんじゃないですか」が私なりの答えですね。

──出木場さんほど視座の高い人ではなくても、伸びているなと思う20代にはそういう共通点がありますか?

藤原ありますね。視座はどこまででも高くしていいけれど、アクションは自分がやり切れるものをやるということ、つまり評論家になってはいけないと思うんです。

「もっとうちの事業こうすべきだと思うんだよね」と話すだけでは、居酒屋の与太話と変わらない。

そうではなく、それをきちんと然るべき人に提案する。リクルートはちゃんと話を聞いてくれる人が多い会社なので、きちんとぶつけて議論すれば、きっと「じゃあここは任せるからやってみなよ」と言ってくれます。言ったからには実行できないとかっこ悪いですし(笑)、結果にこだわってなりふり構わず泥臭くやっている人が、あくまで結果的に成長していると感じます。

──よくわかりました。では、渡邉さんにも同じ質問を投げかけたいと思います。X Mileは1年目から新卒採用をして伸びる若手も輩出されているかと思いますし、周りにも経営者の方が多くいらっしゃると思いますが、伸びる20代はどう過ごせばいいでしょうか。

渡邉完全に藤原さんの話に頷いていました。やはり主語が一人称になってしまうと成長スピードが遅いなとは感じていますね。

両者では、仕事の仕方にも違いが出るなと思っていまして、主語が一人称の人は業務を選り好みして「これしかやりたくない」みたいなところがつい出てしまうんですよ。そうすると任せられる範囲が狭い、部分的な仕事しか渡せなくなる。

やはり自分で機会をつくっていったりチャンスをつかみ取ったりするためには、いろいろなことをやって幅を広げていかないと1つ上のチャンスはつかめないと思います。

また、そういう人は経営の立場からしても渡すのに勇気がいるんですよね。「こいつできるな」と思えないと渡せないし、受け取れないとその人の成長もない。

いかに上司の視点に立つかとか、上司のさらに一つ上の視点になってみて、どういった意図で上司はその発言をしているのか、上司の上司はその状況をどう捉えているのか、といったところまで想像できるようになると、頼られる存在になれると思います。まとめると、何でもやる社員はかなり成長しますね。

──お二人が新卒採用や抜擢をされる中で、期待したくなる、抜擢したくなる20代に共通するポイントは、今のお話以外に何かありますか?

渡邉責任感とメタ認知能力ですかね。やり切ることに責任を持ち、状況を俯瞰したアクションができる人ですかね。

「自分がやっていることはこうです、これを今からやります」、できない場合は「こういう理由で難しいので、こういうリソースがほしいです」と自ら上長に取り付ける。このように、客観的視点を持っている人は状況把握が上手いだけでなく、自分自身をメタ認知して健全な自己批判ができるので、自分に足りないところをカバーするように動き出せると思いますね。

藤原私がメンバーから言われた言葉でとても印象に残っている言葉があるのですが、「あなたのことを賢いと思ったことは1度もないが、リーダーとしておかしいと思ったことも1度もない」という言葉なんですね(笑)。私なりの解釈ですが、一番頭がいい人や一番スキルがある人がすなわちリーダーということはなくて、スタンスやマインドセット、大げさに言えば人間性のようなものが大事なんだと思っています。

その意味で、私が若手に仕事を託すときに、まず見るのは誠実さです。自分がかっこよく見られることが先に立ってしまうのではなく、追い込まれたときに進んで泥を浴びることができる人、自分がどう見られるかとか評価とかを忘れて、チームや会社、事業のために主語Weで頑張れる人。これを言い換えると誠実さかなと。

なので、納期や時間といった約束を守れない人には責任あるポジションや重要なミッションは任せにくいです。また、「昨日飲みすぎちゃって今日調子悪いです」みたいなことを、軽々しく言ってしまう人も信頼しにくい。極端な例かもしれませんが、大谷翔平選手が「昨日夜更かししちゃって調子出ないんで打てませんでした」と言うシーンは想像できないと思います。我々サラリーマンも、お金をもらっているプロフェッショナルだという自覚があれば、コンディショニングも仕事のうちのはず。そういう意味で、人間的にもしっかりしていることは大切だなと思います。

渡邉完全に同意ですね。素直でいいやつが1番仕事できるっていうのは、もうまさしくだと思います。一緒に仕事していて応援したくなりますよね。

藤原本当にそうだと思います。私自身もたくさん失敗して会社に迷惑をかけてきました。数億円の投資を溶かしてしまったこともありますが、そういったときにも誠実に謝ってきちんと説明するということだけは、ちゃんとやってきた自負はあります。

渡邉私も前職の上司から「謝るのは、スピードと、本気度が大事だから」と教えてもらいましたね。

藤原約半年間開発してきたシステムがうまく動かず切り戻しになってしまい、その謝罪報告とセットで「もう1回開発し直させてください」と言ったこともあります。このときはさすがに「もうそれ言うの?」と苦笑いされましたが(笑)

──そういうお二人のスタンスは、どこでどうやって体得したのでしょうか。環境依存的なものもあれば、独学、周りにいらっしゃる方とのお付き合いなどいろいろな変数があると思うのですが、どういうことを意識すると身に付くと思いますか?

渡邉いろいろな記事を読む中で頭では理解していくんですが、たぶん体で理解しているのは私も体育会出身だからなのかなと思っています。嘘をついてはいけないとか、ちゃんと素直にやらなければダメとか、そこはスポーツの原体験が原点かなと。

藤原私も体育会出身なので、レギュラーメンバーは監督が決めることですよね。会社組織においても同じで、チャンスを与えてもらえるかは、経営陣や上司、要するに他人が決めるわけです。そうだとすると、「こいつに託したい」と思ってもらえるように頑張る以外の選択肢はないはずなんです。他人の判断に対しておかしいと文句ばかり言っていても現実は何も変わりませんから。

見ている人は見ているし、チャンスを逃さないように準備をし続けることでしかない。私も初めは補欠スタートでしたが、日々やるべきことを素直に、愚直にやっていたら、最後には試合に出られるようになったという成功体験から学んだのかもしれませんね。

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目的があるなら解決できる会社を選べ。
まだ目的がないのなら、いろいろな会社の人に会いに行け。

──最後のテーマは、「20代で圧倒的に成長できる会社の見つけ方」です。20代でもっと自分をストレッチさせていきたいとか、ビジョンがあって負荷をかけてもいいから成長したいと思ったとき、どういう観点から会社を探したり見定めていったりするといいでしょうか。

渡邉これは個人的な意見で、どちらかというと少数派かもしれないなと思うのですが、やはり目標や目的意識をその都度持って、それを1番解決できる会社に行くのがいいんじゃないかと思っています。私は22~23歳のときに人生の計画を決めたので、その都度テーマの問いの仮説を解くためにキャリアを選んでいたんですよ。

新卒のときは将来起業したいから新規事業部かベンチャーに行きたいと思い、エン・ジャパンの新規事業企画室に籍を置かせてもらいました。その後は大手企業の新規事業とベンチャーは違うのではないか、ゼロイチで資金調達しながらやるヒリヒリ感はベンチャーでないと味わえないのではないかと思い、該当するベンチャーに籍を置きました。また、その次は「グロースする企業の共通点は人事や組織に重きをおいていることだ」と気づき、最も人事や組織に負荷がかかるであろうグロースフェーズの会社に行こうと、創業5年目で当時かなり伸びていたベンチャーを選んで転職しました。

その時々で自分なりに問いを立て、その答えをくれるだろうと思える会社に行けば、絶対納得できるし成長もできると思います。

──要素として切り出せば、創業間もないスタートアップや、グロースフェーズのベンチャーは他にもあったと思いますが、その中でどのように転職先を見定められていたのでしょうか。

渡邉私は結構そのときのご縁で選ばせていただいているかなと思います。創業1年目のスタートアップを探したときは、知人にFacebookでDMを送って相談したところ、「いいところがあるからぜひ紹介する」と言っていただき、社長に直接会うことができその場で内定をもらいました。また、創業5年目のベンチャーに転職したときは、先にその企業に転職していた同期がいたので、そこからリファラルで入社しましたね。

ご縁ではありますが、やはり目的意識があるからこそ繋がりが生まれるものだと思います。「こういう観点で自分に合いそうな会社ってある?」みたいなLINEを知人に投げまくっていました(笑)。

──もう一度大学生に戻ったら、新卒で行きたい会社はありますか?

渡邉目的意識によると思いますが、起業するなら創業5年目ぐらいのベンチャーに行きますね。理由は、多くの場合で、1番グロースで負荷がかかっているフェーズであり、かつ新規事業と既存事業の両方をやれる可能性があるからです。

──それは図らずともX Mileですね。

渡邉そうなっちゃいますね(笑)。

──藤原さんにも同じ質問で、圧倒的に成長したいときの会社の見つけ方、見定め方、いかがですか?

藤原私自身が就職活動をしていたときにもそうしていたんですが、とにかく食わず嫌いせずにいろいろな会社の人にいっぱい会うことですかね。「自分、メーカー興味ないです」と言っていても、行ってみたら面白いと思えるかもしれませんし、「営業はなんだか嫌だな」と思っていても、営業は奥深いなと思えたりするかもしれません。

どれだけ情報を集めても、どれだけ想像しても、どれだけ行動しても、実際にそこで一生懸命働いている人と比べたら極めて無知である、何も知らない井の中の蛙であるこということを自覚していることが大事だと思います。

その上で、常に奢らずそのスタンスでいろいろな人に話を聞きに行く。私は渡邉さんと違い、あまり先々を見据えて計画的に動いているわけではないのですが、「ここだったら自分も仲間に入れてほしい、夢中で頑張っている自分の姿が目に浮かぶ」と思えるところを、自分の心に素直にピュアに探すのが1番いいんじゃないかと思うんですね。

とにかく、ちゃんと謙虚に、できるだけ時間をかけていろいろな人に会う。なお、気をつけたいのは、1人だけに惚れ込んで判断してしまうこと。なぜなら、会社は人の集まりなので。私自身も就職活動をしているときに最後に悩んだ数社については、平均1社15人ぐらいに会っていました。こういう人もいて、ああいう人もいて、と全員キャラが違っていて一番面白いなと感じたのがリクルートだったという感じですね。

──今、大学生に戻ったとしてもリクルートに入られると思いますか?

藤原今はいろいろな会社があるので、その問いに対してまっすぐ答えることができません。なぜなら、今は就活や転職活動をするスタンスでいろいろな会社の人に自分が納得いくまでちゃんと目線を広げて会えていないから。少なくとも、2011年に就活したときの環境においては、私はやはりリクルートだったなと思います。

──ここで、視聴者から質問が届いています。「夢中になるものってどうやって見つけたんですか」。いろいろな方と話す中で、「これだったらコミットできそうだ」と思えるものを都度見つけていく感じですか?

藤原私は「この業界が」とか「これが」みたいな思いはあまり持てなかったんですよ。一方で、自分の性格や特徴を理解しておくことは大事かなと思っています。

私は割といろいろなことに興味を持って面白がることができる性格でして、例えば超マイナーなスポーツのルールとかに詳しいんです。何でもすぐに調べて、何でも面白いなと思えるところはあったので、極論、配属リスクみたいなことは私にとってはリスクじゃなかったと言えます。どんな事業でも面白がる自信があったからです。

となると、差分は会社のポリシーや、船に一緒に乗るチームつまり人が変数なんですよね。就活中にいろいろな人に会って、「こういう人たちと一緒に働きたいな」と思えて、かつ世の中を良くしたいと本気で思っている人が多いという観点でリクルートを選んだんです。

だから、リクルートの配属希望のときも(自分にとってはポリシーや人が重要なので、その点リクルートであれば)「どこでも大丈夫です」と伝えていたんです。

渡邉私は「こういうことをやれるようになりたい」と目標を決めてやったはいいけど、向いていないのが我慢できないみたいなケースはかなりありました。

先ほど藤原さんから無知の知みたいな話もありましたけど、やはり自分に何が向いているかはやってみないとわからないんですよね。やってみて、上司から「君のここ、すごいよね」と言ってもらって、自分の良さ、強みを理解していくのかなと思っています。

そして、自分の良さや弱さ、課題がしっかり理解できると、比較して周りの人の良さや課題が見えてきます。それらを統合させ、チーム・組織としてどのように事業を伸ばしていくのか、徐々に目線が上がってくるのではないかと思います。

──では、最後に20代で突き抜けたいと考えている若手社会人や学生の方に一言メッセージをお願いします。

藤原ちょっとマクロな話になってしまうのですが、この国はやはり今、停滞していると思います。何となく正解らしきもの、既得権益の中に正解を見出そうとか、既成のフィールドの中でうまく勝とうみたいなことになると、どんどんつまらない会社、国になっていくのではと個人的に危機感を抱いています。

この場にいる方が、ちょっとだけでもいいので、既存の縛りから一歩飛び出して20代を過ごすことによって、未来の日本経済に良い影響を与えられるのではないかと思います。

私は30歳を超えてしまったので他人事みたいになっていますが、とはいえまだまだ上段に構える気もないので、共に切磋琢磨できればと思っています。リクルートに興味を持っていただけたら一緒にやれればと思いますし、一緒ではなくとも、知り合いになれて刺激し合いながらやっていけたらと思っています。

渡邉リクルートは日本を代表する企業として、やはり時代をつくっている会社だなとすごく感じています。また、日本だけじゃなく、世界にも出ていって日本経済の成長にも貢献している。学生時代もですし、今も追いかけさせていただいています。

だからこそ、我々X Mileも負けていられない。「令和を代表するメガベンチャーを創る」というMissionを掲げているのも、リクルートさんのように、一つの時代をつくる会社として日本経済の成長を支えていきたいという想いが詰まっています。

ベンチャーに行く醍醐味はなんと言ってもその時代をつくる目撃者になれることだと思っています。自分たちがこの時代をつくってるんだという手触り感を味わえるのは、責任も大きいかもしれませんがそれ以上に喜びもあるので、もし一緒に時代をつくりたいという方がいたらぜひご連絡をいただけると嬉しいです。

こちらの記事は2023年09月29日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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