年率500%成長を“仕組み化”で実現──X Mileの経営から読み解く、令和におけるCEOとCOOの在り方とは

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インタビュイー
野呂 寛之

北海道出身、ICU卒。テラモーターズ ベトナム支社に駐在、製造拠点・物流網の構築、販路拡大に従事。カンボジア拠点長としてEV3輪の事業立上を行うも撤退。帰国後、当時ユニコーン企業のMTG新規事業室を経て、Paymeの創業に2番目社員として参画。取締役COOに就任し、SaaS導入企業200社突破、4.5億円の資金調達、銀行・上場企業との事業提携など拡大に貢献。令和元年、X Mileを創業。

渡邉 悠暉

国際基督教大学(ICU)在学中に、人材系大手エン・ジャパンの新規事業企画にてHRtech(SaaS)の企画開発・営業を担当。その後、HRtechスタートアップで、営業兼キャリアコンサルタントに従事。全社MVPを獲得。2018年7月に株式会社ネクストビートでメディア事業・人材支援事業の2つの新規事業を経て、2019年8月よりX Mile株式会社のCo-Founder COOとしてのキャリアをスタート。

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会社のミッション実現のために社内のヒト、モノ、カネの配置を最適化し、実務体制を整える「COO」最高執行責任者。創業期のスタートアップにおいてその役割は幅広く、経営企画、組織づくり、営業と専門的な知識のみならず全体を俯瞰するバランス感覚も求められる。

創業4年目を迎え前年比500%成長を叩き出すX MileのCOOは渡邉悠暉氏。急成長を牽引している同社をCEO野呂寛之氏と牽引している。「寿命は3年」とも言われる厳しいスタートアップの世界では、CEOと肩を並べるCOOの力により会社の運命が決まると言っても過言ではない。その中でX Mileは3年という一つの関門を超えるだけでなく、圧倒的な実績を残している。

物流、建築、製造といったノンデスク産業の課題を解決するX Mileを全3回に渡って解き明かす当企画。X Mile連載企画2本目となる今回は、CEO野呂氏とCOO渡邉氏が考える組織戦略、そして創業期のスタートアップにおけるCEOとCOOのあり方とともに紐解いていこう。

  • TEXT BY MAAYA OCHIAI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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決め手は圧倒的なHRの知見。
野呂氏がCOOに渡邉氏を選んだワケ

現在4期目にして、売上成長率は前年比500%を誇るX Mile。そんな同社のCOOとして企業成長を牽引してきた渡邉氏。今では、HRプラットフォーム事業、SaaS事業と二つある主力事業のうち、前者の事業責任者を担い、組織戦略・オペレーション構築まで1人で受け持つ渡邉氏が氏が「1人目社員」としてX Mileに参画するきっかけは、野呂氏からの熱烈なアプローチによるものだった。現在も互いを「さん」付けで呼び合い尊重し合う、そんな2人は大学時代に出会った。

渡邉野呂さんはICU(国際基督教大学)の先輩にあたります。在学中に「今こういうことやってるんだけど一緒にやらない?」とビジネスプランについて何度か声をかけてくれていました。

その時の私には将来やりたいことがあり、誘いを断っていたんですが、2019年の夏頃の新宿の居酒屋での会話が私の人生を大きく変えました。

「将来何をしたいですか?」と野呂さんに聞かれた私は、当時考えていた計画を話しました。「まずは27歳までに起業したいと思っています。その後、33歳までにエンジェル投資家としてスタートアップの支援をしていきたいです」と。そして「野呂さんは何をしたいのですか?」と聞くと「せっかくなら、もっとでかいことをしましょう。」と言われました。

野呂さんは「日本経済の停滞を打破するためユニコーン企業をつくりたいと思っているんです。非効率が残る物流業界にHR事業から切り込み、その後SaaS事業を展開し、将来的には自動運転やその他のテクノロジーへの展開も視野に入れているんです」と話してくれたのです。

その段階で投資家向けに作成したピッチ資料や事業計画も見せてくれました。綿密に作り込まれていてそこにはノンデスク産業の成功事例や市場規模、事業展開が書かれていました。私は学生時代に、物流系のベンチャーでインターン経験があったので、「これは伸びる」と確信しました。気付けば、次の日には当時いた会社に「辞めます」と言っていました。今思えばとても失礼な話ですので、前職にはとても申し訳ないと思っていますが、それと同時に私の意向を尊重してくださり感謝しています。

創業期、野呂氏の自宅をオフィスとして利用していた頃の写真

「背中を預け合う共同創業者は、信頼できる人がよかった」と、学生時代から再三アプローチを続けていたと言う野呂氏。渡邉氏に声をかけたのは同門かつ、人格的にも信頼のおけるからだけではなかった。

野呂渡邉さんには計5回ほど学生時代からオファーをしていたんですが、その度に断られていて6回目でやっと承諾してもらいました。

渡邉さんが持つHRの知見が必要不可欠だったので諦めるわけにはいきませんでした。ノンデスク産業のDXを実現するためには、人材紹介事業から入ることでインパクトが出せるのではないかと考えていたからです。しかし、私にはその知見がほとんどなかったのです。起業するためにこの事業に強い方に入ってもらうのは至上命題でした。

当時いろんな人に相談をしていたのですが、その中でも渡邉さんの知識量は抜きん出ていました。営業トークスクリプトや求職者さんとのコミュニケーションのコツはもちろんですが、集客手法に関する知識や運送業界に関する知識、加えて契約書類等に関する法律面の知識までありました。大学で共同生活をしていて人として信頼できることを抜きにしても、渡邉さんしかいないと考えていたのです。

提供:X Mile株式会社

渡邉氏は学生時代からエン・ジャパンのHR Techの新規事業立ち上げにフルタイムで従事していた。その後も創業1年目のHR Techスタートアップにて、営業兼キャリアコンサルタントとしてキャリアを積む。新卒入社したネクストビートでは、高所得ママ層向けメディア事業や、宿泊施設向け人材紹介事業と求人広告事業の立ち上げの経験を持つ。

これまでのキャリアをHR関連の事業領域で歩んできた渡邉氏の豊富な知見は、野呂氏の事業構想に必要不可欠だったのだ。

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互いを補完し合う関係へ。
X Mileが考えるCEOとCOOの在り方とは

CEOとCOOは共に組織を強くリードすることが求められるため、2人のバランスが会社の実績に直結する。仮に互いが自身の役割を正しく認識できないと、対立により会社の成長が阻害されてしまう可能性が高い。創業期のスタートアップではCEOとCOOのパワーバランスが保てなかったため生存競争に負けてしまうということもある。CEOとCOOの間に必ずしも「これが最適」といった形が存在しないことが、よりこの問題を複雑にしている。

創業4期目にして2つの事業の柱を持つX MileではCEOとCOOの役割が明確に分かれている。CEOの野呂氏が新規事業のSaaS・プラットフォーム事業。COOの渡邉氏が担うのは祖業であるHRプラットフォーム事業だ。2つの事業をそれぞれ会社に見立てると「互いが互いの社外取締役のような形」でフィードバックを送り合っているのだという。

またコーポレートにおいても役割分担は明確だ。CEOの野呂氏がプロダクト、新規事業、財務を。COOである渡邉氏がセールス、マーケティング、人事を取りまとめる。

互いが管掌する領域を明確に分けて定義し、バランス良く経営を推し進める2人だが、創業当初はお互いの役割の棲み分けに苦労したようだ。

野呂創業期はまだHRプラットフォーム事業の一つしかなかったため、互いに事業責任者の心づもりでした。「この事業を伸ばさないと」という危機感から、ぶつかることも多かったです。しかし、この時期があったからこそ、お互いを理解し、現在の棲み分けを見つけられたのだと思います。

互いの得意・不得意を理解し、呼吸を合わせるには、実際に仕事をしてみなければ分からないことも多い。時にぶつかり会いながらも現在のスタイルが築き上げられていったのは、一緒に働き始めて半年ほどが経った頃だという。

渡邉半年ほど一緒に働く中で、それまで互いに見えていなかったそれぞれの強みを理解することができました。実を言うと、私も野呂さんのように新規事業を立ち上げたいという気持ちを持っていたんですが、野呂さんをそばで見ていると「今あるものをさらに磨き込む方が得意なのではないか」と感じるようになりました。

新規事業の立ち上げは、暗がりのトンネルを突き進むようなものだともいわれます。そこで大事なのは「どんな状況であれ、事業の可能性を信じ抜くこと」だと思います。私は、大胆さよりも慎重さが前に出てしまう、攻めるべきタイミングでもついストッパーをかけてしまう時があるんですよね。そういう意味だと0-1じゃないのかもなと思う部分もあります。

一方、この感覚はリスクセンサーにもなると気づいたんです。攻めも大切にしつつ、時に慎重かつ守りの感覚もある私の強みが生きるのは、あらゆる選択肢の中から合理的な選択が求められるオペレーショナルな部分。つまり、既存事業*の拡大フェーズにおいてこそ実力が発揮できるんじゃないかと思ったんです。

*HRプラットフォーム事業(クロスワーク

そこに気がついてからお互いの良さを生かすため、役割分担を明確にしました。これがX Mileの成長を促した仕組みの一つでもあります。新規事業を野呂さんが進め、私が既存事業をオペレーションに落とし込んでいくという体制を築き上げて行きました。

提供:X Mile株式会社

渡邉HRプラットフォーム事業を私が管轄し、オペレーションを磨き込んだ結果、事業を大きく成長させることができました。人材領域の中でも人材紹介事業は集客、オペレーション、人材マネジメント、この3つが満たされれば、うまくいくモデルと言われています。そういった意味で若手でも十分戦えるモデルではありますが、成長させるには苦労しました。

野呂さんの手を空けることができた結果、野呂さんはたった1年の間に、3つの新規事業を立ち上げてしまいました。そのうち1つは既に数十名の組織規模になり、現在は数億円規模の事業サイズに育っています。このスピード感と推進力は野呂さんにしかできないと思っています。

お互いの最適解に辿り着いたことで、大きく飛躍しているX Mile。そこから学んだCEO、COOの理想の在り方を聞いてみた。

渡邉まず、得意領域が被っていないことは非常に重要だと思います。私と野呂さんは得意領域、そして所属するコミュニティが全然違います。キャラクターも真逆です。

野呂さんはやはりスタートアップ歴が長く起業家との繋がりが多いので経営者のコミュニティから助言が得られます。またそれだけでなく、ファイナンスやアライアンスにつなげられるコミュニティのつながりも強いです。

一方で私は、ずっとHR業界にいたので、人事や、広報のコネクションが強いです。ここが被ってしまうと、そのコミュニティで得られる妙味が半減してしまうと考えています。

一方、野呂氏はというと少し違う目線で互いの役割分担を捉えていた。

野呂基本的にCEOは経営陣やメンバーの強みを尊重して、CEOが合わせていくべきだと思うのです。現在私は新規事業を立ち上げていますが、私よりも新規事業に強く、熱量を持ってやりたいという方が現れたら、すぐにでも私のポジションを譲るつもりです。

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創業1年目から積極的に新卒を採用。
性質の違う2人がX Mileの成長を加速できたワケ

X Mileの経営陣を一言で表すならば野呂氏は「挑戦」、渡邉氏は「慎重」と言えるかもしれない。2人の違いが理想的な補完関係を生み出しており、この作用は日々の業務にも及んでいる。

例えば、野呂氏がある種「感覚的」に行ってきたという採用も、人材業界出身の渡邉氏が管掌するようになって採用基準が明確化、細分化された。どちらかといえば楽観的にスピード感をもって行動する野呂氏に対して、渡邉氏は社内でのコミュニケーションにも気を配る。

野呂コロナ禍における対応に関して、私が社内に向けて「こうしていきましょう」と発信したことがありました。すると即座に渡邉さんから、指摘をもらいまして。

「この言い方だと現場が混乱するので、このように伝えるのがいいですよ」と修正してくれました。私が気づかないような細かい点まで、すぐに気づいて軌道修正してくれるのです。

また、採用に関しても渡邉さんに全て任せてから上手くいくようになりました。人材業界出身である渡邉さんが管掌することで採用基準が明確化、細分化されたんです。これにより、再現性が生まれ、採用効率が上がりました。

渡邉さんは客観的に私の軌道修正をしてくれるだけでなく、どうすれば、低リスク、かつ効率的に行えるかという視点でフィードバックをしてくれます。本人は「どちらかといえば守りの性格だ」と言っていますが、ロジックに基づいて大胆な意思決定もできる人だと思いますね。

提供:X Mile株式会社

渡邉X Mileは着実に成長を遂げているとはいえ、創業期のスタートアップが新卒の方々のキャリアの第一歩を預かるということで、私も相当な覚悟を決めました。

私から見た野呂さんの強みは「権限委譲ができる力」だと思っています。これは人を信じ抜くということだと思います。私にとって信じることは一定の怖さはありますが野呂さんは純粋に「人を信じ抜ける人」なんです。

組織の拡大には権限委譲が重要だということは言うまでもないので、野呂さんのこの強みを組織のカルチャーとして下ろしていくことを常に心がけています。

創業からユニコーンを見据える視座の高さ、そして目標を着実に実現する確かな実力まで併せ持つ両氏。2人から放たれるエネルギーはベクトルを同じにしてX Mileの成長へと向かう。そんな2人の原動力とは。

渡邉私は典型的な「反骨心」をエネルギーに変えているタイプです。母子家庭で育って1つ下に妹もいたので、「私が家族を支えなきゃ」という思いがあったんです。その想いから猛烈に勉強し、ICUにも奨学生として通っていました。「いつか絶対に成功してやる」という気持ちが、私を動かす原動力です。野呂さんの原動力は「使命感」ですよね?

野呂そうですね。私は16歳の時にアメリカへ留学を経験してカルチャーショックを受けました。日本人留学生の多くは遊んでいるイメージが強かったのですが、中東、中国、韓国、ASEANなどのアジア圏からきていた留学生は「帰国したらこれがしたいから、今ここで学ぶ」という高い目的意識を持っていたのです。あまりに対照的でその時のことは今でも鮮明に覚えています。

日本は歴史的に大企業などの財閥の影響力が強く、豊かなので、他国に比べると努力をする必要がないのかもしません。例えば、韓国では財閥系企業が日本よりも多くないので、政府も起業やスタートアップへの支援を大きく行っており、スタートアップが生まれやすい環境にもなっています。

「このままでは日本は衰退する。私たちが奮起しなければ」という感じた一種の使命感が原動力です。

物事をそれぞれ違う側面から捉え、互いに補完し合いながら一つの答えに辿り着く。会話のテンポの良さからも2人の間にある絶妙なコンビネーションを感じとることができた。

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“1,000億円企業になる前提”であれば、強権的なマネジメントは毒薬だ

X Mileは創業を決めたその日から「1,000億円企業になる前提」で経営を行ってきた。なぜ、創業初期から徹底的に組織化にこだわったのだろうか。その管轄を一手に担う渡邉氏の胸の内には、秘めたる思いがあったのだ。

渡邉私は「みんなの給料を上げたい」と強く思っています。給与やキャッシュインセンティブが全ての見返りだなんて思ってはいませんが、創業間もないスタートアップの可能性にベットしてくれたメンバーにはそれ相応の恩返しがしたいんです。

また、社会課題という点でも重要な論点だと考えています。日本全体の賃金増加率は1.7%程度に止まってしまっています。言ってしまえば、年収500万円の人は1年経っても508.5万円にしかならない。月給で手取り5000円くらいしか上がらないんです。これも仕事に前向きに取り組む意欲を、かなり削いでいる原因だと思っています。

しかも近年のインフレ状況を見ると、昨年比でCPI(消費者物価指数)は3%程度も上昇していますから、給与の上がり幅より物価の上がり幅の方が大きくなってしまっている。そこに加えて消費税増税がぶつかるとなると、手取りとしてはもっと少なくなる。これは苦しいですよね。

X Mileの評価制度資料より抜粋

渡邉でも、それを実現するには当たり前ですが、給与を上げていくためには事業で堅実に利益を出していかないといけません。「成長あっての分配」だというのは、全員が理解しておく必要があります。

なので、まだ十分とはいえませんが、メンバーには「◯年◯月には、これくらいの利益が出て、その後このくらいみんなに還元できる予定。だから一緒に頑張ろう」というように、事業の計画と、その報酬を明らかにするというコミュニケーションを心がけています。

それが実現できなければ、もちろん士気は下がりますので、これまで全力で達成にコミットし、今のところはなんとか実現できています。実際に、年間の賃金増加率は20%を超えているのが現状です。年収500万円の方が1年経つと600万円になっている、という状態ですね。この成長率は、東南アジアの急成長スタートアップと非常に近い水準です。私の伝えたことを信じて努力してくれたメンバーには本当に感謝していますし、今後さらに還元できるよう私ができることなら、なんでもやりたいと思っています。

経営陣とメンバーの信頼は、確かな実績の積み重ねにより培われたものだ。しかし、初めから全てうまく行っていたわけではない。X Mileの成長の歯車が動き出すきっかけとなった転換点が存在していたという。

提供:X Mile株式会社

渡邉私も野呂さんも、互いに「磨き込む文化」というか、目標達成するまでやり切るのが当たり前、といった文化で育てられてきたこともあって、組織が10人規模までは私もプレイヤーとして現場で細かく指示を行っていました。相当無理な組織運営だったと思います。

創業時はキャッシュも少なく、コロナという予想外の出来事もあり、短期的に売上を上げるような組織運営を行う必要性もあったからです。でもそこで「1000人規模の組織をつくるならどうするか」と、ミッションに立ち返ってみたんです。

短期利益追求のスタンスをやめることを野呂さんに提案しました。「売り上げは一時期落ちるかもしれませんが、このままの成長角度ではどのみちビジョン達成には程遠いです。新しいスタイルを試すので半年だけ待ってもらえませんか」と。

試行錯誤の結果、「マネジメントとKPIを現場に任せてみる」という新しいスタイルが功を奏し、2カ月後には売上が伸びてきました。

そのときに強権的なマネジメントは毒薬のようなもので、短期的には事業が伸びますが、そこに永続性はないなと学びました。

確かに、個々のKPIをトップダウンで規定し、細かく管理するようなマネジメントスタイルでは組織は疲弊するばかりであろう。渡邉氏が将来的なスケールと永続性を見据えたスタイルに転換できたのは自分流も捨てられる渡邉氏のアンラーニング力があったからなのかもしれない。

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「組織の壁」も予め予測し、先手を打つ。そのために泥臭く学び続ける

渡邉氏が現在、新たに取り組んでいることがあるという。一体なんだろう。

渡邉組織OSの強化です。「自分たちならこの会社をより良くできる」「この目標を達成できる」「社会に貢献してメガベンチャーになれる」と全員が信じられるような組織にすべく、日々試行錯誤し施策に落とし込んでいます。

具体的には、メンバーの良い部分をきちんと認めることもその一つですその習慣を組織に浸透させることで、称賛するカルチャーが醸成されますし、チームや会社に対するエンゲージメントも高まり、個々の能力がさらに発揮される、という好循環が生み出せると思うのです。

提供:X Mile株式会社

野呂確かに、メンバー同士でお互いを認め合うことでパフォーマンスの底上げにつながったように感じます。

メンバーの才能や伸びしろを、こちらがその人以上に信じ抜いて認め合うことで能力を最大限に引き出すことができると思います。

X Mileの見据える先は「令和を代表するメガベンチャーを創る」ことだ。そのために当然、今後の備えも怠らない。

渡邉組織が拡大すると、チームや部署が細かく分かれ、他チームや他部署が見えにくくなります。その結果コミュニケーションギャップが発生しやすくなる「サイロ化」が発生する可能性があるのです。

もちろん、先手は打っています。一つは、仕組みのアプローチです。マトリクス制(1人の社員が複数のミッションに取り組む形態の組織)をとって機能管理を行うことや、人事制度をより大規模組織にも適用できる形に調整していくハード面の取り組みです。

もう一つが先ほど申し上げた「組織OSの実装」です。これは具体的にはコミュニケーションや組織カルチャーからのアプローチを意味しています。

やはり制度や、マネージャーの人となりにだけに頼っているようでは健全な組織成長は期待できません。当社のValueに沿った言い方で言うと「スケーラブルではない」と考えています。いかに組織に「生きたマネジメント」を実装していくかが重要なポイントになると思います。

野呂組織の強化という点では、役員陣がまだ私と渡邉さんの2人なので、CxOや事業部長・部門長などマネージャークラスの人材を募っています。業務の根幹に経営陣として携われるチャンスが残る今は、参画する上で活躍範囲が大きい環境だと言えるのではないでしょうか。優秀な方ほどアーリーフェーズで事業の根幹に携わりたいと思われる傾向がありますので。

ちなみに創業1年目から新卒を強化してきたのは、将来の経営幹部を社内でも生み出せるようにするためで、新卒入社のリーダーも増えてきました。

そして数千名クラスのメガベンチャーへに成長させるために、2人が続けていることとは。

野呂私はシリーズBまではPaymeで経験しましたが、その先は未知数なので情報収集は積極的に行っています。

時価総額が数千億企業の創業者や、他にも有名上場企業のファウンダーの方々といった組織運営の達人たちのお時間をいただいて話を伺うこともあります。

渡邉私もネクストビートや、エン・ジャパンでは300〜1,000人規模の組織に在籍していましたが、在籍年数が少なかったですし、マネジメントしてもらう立場だったので、まだまだわからないことばかりです。今も前職や、人事界隈の先輩方に頭を下げて教えていただいています。

つい先日もログラスやタイミーといった先のフェーズを走る企業の方々に「X Mileにこれから起きてくるであろう課題」についてお話しを伺っていました。

先を走る先輩の成功と失敗を貪欲に学ぶことがミッション実現の最短距離だと考えています。

2人の学びに対する貪欲さはこれだけではない。毎日気になったニュース記事や新たに学んだことなどを何本も、社内チャンネルで互いに共有し合っているという。

「経営者がアンラーニングするのが一番大事」と淡々とした表情で語る野呂氏ではあるが、決して簡単なことではないだろう。しかし、2人は創業期から絶えず地に足をつけて、進化を続けているように見えた。

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メガベンチャーのような多様なキャリアパスがある。
様々なビジネスモデル・組織・カルチャーを味わえる稀有なスタートアップ

撮影:藤田 慎一郎

野呂旧態依然とした日本企業を変えたい。「令和を代表するメガベンチャーを創る」というX Mileのミッションにはこのような想いが込められています。

「他の未上場ベンチャーがしていないような挑戦をやりきって初めて上場したい」と渡邉氏も意欲を燃やす。

渡邉野呂さんはやはり、創業期からずっと海外で事業展開をしたいといっていました。そして、何より「新規事業の立ち上げをしている時」が一番輝いているように感じます。

「野呂さんが海外でどんどん新規事業を立ち上げ、私が国内の経営を担う」というスタイルをそう遠くない未来に実現したいです。

ただし、その頃には順調にいけば東証に上場しているかもしれない。となると、私もそれまでに相応の実力をつけておく必要があります。成長し続けないと自分が会社の成長のボトルネックになってしまうという強い危機感のもと、日々泥臭く経営と向き合っています。

野呂次に日本からユニコーン企業が生まれるなら、ノンデスク産業などの巨大産業の変革か、Web3のように不確実性はあっても急速な拡大の可能性がある領域の、どちらかではないかと考えています。Horizontal SaaS市場が成熟してきた今、私たちが課題解決に挑むノンデスク産業のDXは市場拡大が求められている領域だからです。

私たちは現在SaaSを起点に様々なソリューションを開発し、ノンデスク産業の課題を一貫して提供できるプラットフォームを構築している最中です。創業期よりマルチプロダクトの提供を前提としてきたので今後は事業を多角化していく予定です。

つまり、イメージは“令和のリクルート”。社会課題を解決する事業家集団、No1プラットフォーマーを目指して、一つの会社の中で、様々なビジネスモデル、職種やキャリアパス、組織カルチャーが経験できる環境を創っていきます。

提供:X Mile株式会社

そして、X Mileの未来についてCOOの渡邉氏はこう話す。

渡邉 「挑戦意欲のある人が入社するなら、X Mileだよね」と言われるような会社をつくりたいですね。日本の旧態依然とした官僚組織的カルチャーにアンチテーゼを投げかけるような、新しい成功事例をつくれないかと考えています。私個人としては「メンバーのキャリアをサポートし、メンバーの給料を上げること」にコミットしていきたいです。

「大型で骨太な企業を、将来にわたって持続可能な形で創っていく。」これが2人が掲げているテーマだ。X Mileは物流、建設、製造といったノンデスク産業をデジタル化することで、これまで解決が遅れていた社会課題に向き合うことになる。一筋縄ではいかないだろう。しかし、日本の就業人口の47.7%に及ぶノンデスクワーカーの生活を底上げすることは必要不可欠だ。そして、このノンデスクワーカーは世界の就業人口の約80%以上、およそ27億人もの人口規模にも上ることから、世界的にもその市場は莫大である。

X Mileが目指すレガシー産業のDXは投資家からの注目度が高く、今後、資金や人が集まることが見込まれる。言い換えれば、X Mileに今ジョインすることは、その大本命の企業の創業期に立ち会えるチャンスでもあるだろう。

メガベンチャーの経営層として働き、日本経済の復活に貢献したい、またはスピーディーに成長をしたいというビジネスパーソンにとって、輝ける場所になるかもしれない。

X Mile連載企画第3弾となる次回は、実際に同社で働く3人のメンバーに話を聞く。年間50億円を動かしていた大手商社マン、リクルートにて全国TOPクラスの表彰実績を持つ女性セールス、大企業2社と戦略コンサルの経歴を持つMBAホルダーといった前職の実績も申し分ないメンバーが揃う。彼らがX Mileで感じるやりがいとは一体なんだろう。

こちらの記事は2022年12月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

落合 真彩

写真

藤田 慎一郎

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