マルチバーティカルSaaSは「Whoを見つける旅」だ──カミナシ、クアンドの事例から、最先端SaaSトレンドをALL STAR SAAS FUNDと共に学ぶ70分セッション総レポート化
「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」をビジョンに掲げ、品質向上を目的とした現場DXプラットフォームを提供するカミナシ。現場のリモート化を加速させるビジュアルコミュニケーションツール『SynQ Remote(シンクリモート)』を通して地域産業のアップデートに取り組むクアンド。
レガシー産業のDX化を進める気鋭のスタートアップ2社が共通して推進するのは、従来のSaaSの概念とは一線を画す“マルチバーティカル”戦略だ。
そもそも従来のSaaSとの違いは?なぜレガシー産業のDX化に“マルチバーティカル戦略”が必要なのか?
2024年2月のFastGrow Conferenceでは、2社で事業を推進する事業家2名と、国内外の事例をよく知る投資家の鼎談を実施。両社のマーケティングやプロダクト開発、組織作りに関して、具体的な事例を交えながら存分に語ってもらった。
難度の高い挑戦を通じて圧倒的成長を実現したいビジネスパーソンは必読だ。
- TEXT BY AYA AJIMI
- EDIT BY SHINICHIRO FUJITA
「優秀な若手から辞めていく」レガシー産業に求められる現場DX支援
──今回のテーマに入る前に、2社の具体的な事業内容をお聞きしていきましょう。両社の取り組む課題と、そこに対するアプローチを教えていただけますか?
宮城建設業や製造業といったレガシーな産業領域ではIT・デジタル化が進みづらく、現場管理・コミュニケーションは未だに紙やExcelなどのアナログなツールに依存しています。こうしたアナログかつ非効率な現場では、属人的なミスをゼロにすることは難しく、管理者の負担も大きなものになりがちです。
そして何よりも、そんな環境に辟易した若手は、優秀であればあるほど早く辞めていってしまうという問題がありました。
宮城そんな課題を解消するため、カミナシでは誰でもノーコードで簡単にアプリが作れる「現場DXプラットフォーム」を開発しました。品質管理を目的とした現場DXの推進を通じ、すべての「ノンデスクワーカー」が才能を存分に発揮して挑戦できる世の中を目指しています。
宮城現在、製造や飲食、物流業といった業界を中心に数百社程度に導入していただいており、大手企業にも多数採用いただいています。
下岡私たちクアンドが抱いている課題感も近いところにあります。
特に人手不足が深刻な建設業では、豊富な経験と知識を持ったベテランの技術者が非常に少ない。さらに宮城さんのお話にあったように、現場ではZoomやSlackといった便利なコミュニケーションツールが普及しておらず、電話やメールが使われています。そんな状況下で現場でトラブルに遭遇しても、リアルタイムで誰かに頼ることが難しく、まず自分で解決しなければなりません。
下岡こうした課題への打ち手として、クアンドは現場に特化した遠隔ビデオ通話コミュニケーションツール『SynQ Remote』を開発しました。現場と管理者でビデオ通話を繋ぎ、遠隔で現場作業の確認や指示、記録の一元管理が行えるツールです。
下岡当社のプロダクトを導入していただいている業界は建設業や製造業、鉄道、行政まで、活用シーンも検査立会や現場トラブル対応、新人教育、安全パトロールに至るまで、非常にバラエティに富んでいるのが特徴です。
「コンパウンド」「SaaSの民主化」が非連続的成長の鍵。
マルチバーティカルの必要性
──両社は「レガシー業界の現場DX支援」という特定の業務課題にアプローチしながら、建設業や製造業など「マルチバーティカル」に幅広い業界支援を行っているのが共通項ですよね。2社の取り組みをお聞きする前に、まずは「マルチバーティカル」の定義について、国内外の事例に詳しい神前さんからご説明いただけますでしょうか。
神前SaaSは誕生から25年ほどの歴史の中で、いくつかのフェーズを経て進化してきていると考えています。従来のオンプレミスからクラウド上で廉価に提供できるようになったSalesforce、Workdayを第1世代の「ビジネスモデル革命」と捉えると、toCサービスとして幅広く導入が広がり普及していったSlackやZoom、Notionは第2世代の「アダプション革命」と定義できます。
神前現在は第3世代に突入しており、「コンパウンド」と「SaaSの民主化」という2つのトレンドがあると考えています。
1つ目の「コンパウンド」は、「コンパウンドスタートアップ」は創業時から複数プロダクト開発・提供を志向し、、プロダクト間の連携をシームレスに行えるようにすることで非連続的な成長を遂げているケース。
神前もう一つが、今回登壇いただいた両社に代表される「SaaSの民主化」です。
日本の市場の99%を占める中小企業ではかねてから圧倒的な人手不足が深刻と言われる中で、複数の業界をホリゾンタルに横断する現場向けSaaSのニーズは間違いなく高まると考えています。
──なぜ現場向けSaaSのニーズが高まるのでしょうか。
神前従来の「お金起点」もしくは「本部起点」での情報管理(ERP)は、最終的に財務・管理会計のコンポーネントに集約されていきます。一方、クラウドや大規模言語モデル(LLM)が発達したことで、現場のリアルタイムデータの可視化や予測、分析が可能になりました。こうした技術革新に伴い、モノ・現場起点のSaaSはニーズが高まっていくと考えられます。
神前海外の事例を一つ挙げます。IoTデータによって物理的資産のリアルタイム分析を行うプラットフォームを提供するSaaS企業 Samsaraは、運送業向けサービスから始まり、現在はプラントや製造業界など、非常に多岐にわたる業界で活用が広がっています。
3年前に上場し、最近では約15倍のマルチプルがついているSamsaraの存在が示唆するように、今後グローバル市場で現場向けSaaSのニーズはより高まっていくと捉えています。
ホリゾンタルでもバーティカルでもない、第3の概念「マルチバーティカル戦略」
──では、ここから本題に入っていきましょう。従来のSaaSの分類にない「マルチバーティカル戦略」という概念を最初に提唱されたのはカミナシだと認識していますが、貴社の「マルチバーティカル」の定義について改めてご説明いただけますでしょうか。
宮城まず、一般的にSaaSは「ホリゾンタル」と「バーティカル」の2つに分類されています。「ホリゾンタルSaaS」は経理や顧客管理といった特定の業務に特化しつつ、業界を問わないプロダクトを、「バーティカルSaaS」は業界固有の課題を解消するプロダクトを提供するSaaSを指します。
このどちらにも当てはまらない“第3の概念”として、当社の事業領域を「マルチバーティカルSaaS」と定義することにしました。
宮城従来の区分に照らせば、自社は「ホリゾンタルSaaS」に該当すると認識してきました。しかし、事業を進めるにつれて生まれた「ある課題」を解消するためには、既存区分に囚われない新たなアプローチ手法を取る必要が出てきたんです。
──事業領域を再定義するきっかけとなった「課題」とはどのようなものだったのでしょうか。
宮城事業を進めていくにつれて、業界によってアプローチすべきターゲットも抱えている課題も全く異なると気づいたんです。
例えば食品製造業なら工場の品質管理担当者、ホテルなら支配人がプロダクトのターゲットに。ターゲットが異なれば、当然、課題や提案しうるソリューションも変わってきます。だから、業界ごとに事業戦略を考え始めました。
ただし、一点明言しておきたいのは、「マルチバーティカル戦略」は業界や業務によってプロダクトを分けるわけではないということです。
──あくまでシングルプロダクトで勝負をかけると。
宮城おっしゃる通りです。業界によってアプローチの優先度や戦略は異なってきます。だからこそ、プロダクト基盤はホリゾンタルに開発しつつ、事業戦略とユースケースは業界ごとに棲み分けていく。
マルチバーティカルSaaSにおけるプロダクト開発については後ほど詳しくお話ししますが、特定の業界に特化した機能は作らず、既存顧客を向いた上で、ある程度汎用性が担保できる機能を設計するようにしています。
──クアンドも同じくマルチバーティカルな取り組みを行っていると伺いました。「マルチバーティカル戦略」といっても企業によって定義が異なると思いますが、貴社はいかがでしょうか。
下岡クアンドが事業価値を提供したい相手は、本社で勤務するデスクワーカーではなく、現場で働く人々です。そのため、私たちのプロダクトを独自で「デスクレスSaaS(ノンデスクSaaS)」と定義しています。
下岡先ほどの宮城さんのお話のように、「デスクレスワーカー」と一言でいっても、業界や業務内容は多岐にわたります。検査や施工管理、トラブル対応から新人教育、と現場管理が求められる業務はさまざまです。
つまり、特定の業務に特化したSaaSとはプロダクト開発、マーケティング、セールスの取りうるアプローチが全く異なってくる。そう考えた時に、現場プロダクトと「マルチバーティカル戦略」は相性が良いと思っています。
マルチバーティカルなマーケティングは「探索」と「検証」を高頻度で回せ
──ここからは、プロダクト開発やマーケティング、セールスなど各フェーズに分けて両社の具体的な取り組みを伺っていきましょう。まずはクアンドから、マルチバーティカルなマーケティング施策についてご紹介いただけますでしょうか。
下岡マルチバーティカルSaaSの場合、そもそも「Who(誰に提供するのか)」が明確に定まっていません。提供先が変われば、当然プロダクトが発揮できる価値もさまざまです。
下岡ここが従来のホリゾンタルやバーティカルSaaSとの決定的な違いであり、この事業領域に取り組む難しさでもあると考えています。マルチバーティカルSaaSは変数が多いからこそ、最初に「Who(誰に)」を発見するための「探索」のマーケティングが非常に重要です。
──「Who」を見つけるため、具体的にどのような施策をとっているのでしょうか。
下岡私たちが行っているのは、地道なロイヤルカスタマーインタビューを行い、現場が抱えるペインやインサイトを掬い上げることです。
下岡見つけた顧客インサイトに対して講じたマーケティング施策(バナーやリスティング広告など)を地道に分析していくと、異なる業界にも通用しそうな共通項が見えてくる。これがマーケティングの「泉」になります。
マーケティングの「泉」を発見したら、プロダクトロードマップに反映し、機能実装を行う。そしてまた仮説が正しかったのか都度検証し、軌道修正を行う……このプロセスを高速で繰り返しながら、プロダクトを改善して事業成長へと向かっていきます。
下岡マルチバーティカルに限らず、あらゆるサービス・プロダクトは「探索」から始まり、「PMF(プロダクトマーケットフィット)」を経て「GTM(Go-to-Market)/スケール」していきますよね。
この「PMF」のフェーズを細分化して捉えることが重要です。要するに、マーケティングとプロダクト両方がフィットしている必要があるんです。
マーケティング的なフィットを書籍に例えるなら、どんなに素晴らしい本でも、「良いタイトル」がついていなければそもそも手に取ってもらえませんよね。同じように、事業においても本を売る前に「良いタイトル」とは何か、探求する必要があると思っています。
──「良いタイトル」ですか。
下岡はい。表面的なアウトプットではなく、「結果として得られる価値」を言語化して訴求していくんです。例えば『SynQ Remote』の提供を通して実現したいのは「現場の遠隔化」ではなく、「現場の人手不足解消」という根が深い課題の解消です。「現場の遠隔化サービス」という「タイトル付け」では、我々が訴求したいターゲットには届きません。真のニーズは別のところにあるのです。
そうした現場の最前線にあるリアルな課題感は、実際にユーザーインタビューを重ね、顧客の生の声を掬い上げることからしか見つけられません。
──続いて、カミナシのマーケティング施策についてもお聞きできればと思います。
宮城カミナシが新規市場を発見する上で大切にしているのが、以下の4つの問いです。
- 業界への外部圧力があるか(外的要因の存在)
- 適切な規模に対して適切な社数が存在するか(市場規模)
- お客様が求めている価値はカミナシで提供可能か(カミナシの価値訴求)
- 既存顧客がいて、事例化できるか(既存顧客の存在)
宮城「市場構造」と「カミナシのアセット」に照らし合わせ、その業界を開拓すべきなのか、「YES or NO」で判断する指標としています。
ちなみに、新規開拓の判断軸に「既存顧客の存在」があるのは、たとえ前例が存在しなかったとしても、既存顧客の中に少しでもニーズがありそうであれば、事業創造の可能性はあると思っているからです。
──この4つの問いで市場を発見した事例があれば教えていただけますでしょうか。
宮城少しマニアックな話になるのですが、2021年から全ての食品事業者を対象にHACCP(食品の衛生管理手法)が法令で義務付けられた(※厚生労働省)ことにより、食品製造業からのお問い合わせが急増したんです。これを受け、同じく食品を扱う飲食店向けにサービス活用事例や動画を載せたLPを作成しました。この施策が功を奏して飲食大手企業から契約を受注し、そこから一気にお客様が広がったという事例になりました。こうした法令や規制など、既存業界に対する外的要因が発端となり、いわば“地続き”で次のリード獲得に繋がる可能性もあるんですよね。
一方で、思うようにいかなかった事例もあります。例えば、同じく食品を扱う物流業にアプローチしようとした際は、業界横断でリード獲得するほどプロダクトが強化できておらず、当時は導入まで至りませんでした。この反省を踏まえて、市場構造とは別軸で、「カミナシのアセットでお客様の求める価値を十分に提供できるか」という観点は非常に大切にしています。
──「市場構造の理解」は具体的にどのように進めていくのでしょうか。
宮城ここはクアンドさんと同じく、マーケティングとプロダクトが小さなチームとなってロイヤルカスタマーインタビューを行い、顧客のインサイトや業務状況のヒアリングを重ねています。
当社の特徴としてはマーケティング側の最重要KPIを「商談数」に置き、実際にどんな提案がよく響くのかを検証します。同じくプロダクト側でもモックアップを作成し、プロダクトの価値を検証する。両輪を回しながら互いにフィードバックをかけ、両者で価値を生み出せるとわかったら開発に進むイメージです。
先ほど下岡さんもおっしゃっていましたが、マルチバーティカルな取り組みの難度が上がるのは「Who(誰に)」が変わる点です。そのため、マーケティングとプロダクトは互いに独立した存在ではなく、両輪となってフィードバックを掛け合いながら開発を進めていくことが非常に重要だと思いますね。
プロダクト開発とスケールの鍵は「個別化」と「汎用性」のバランス
──ここまで両社のマーケティング戦略を伺いましたが、その先の開発フェーズについて話を進めていきましょう。マルチバーティカルSaaSのプロダクト開発において、意識されていることはありますか?
下岡従来のSaaSと異なり、業務内容が業界によって多岐にわたるのがマルチバーティカルSaaSです。そのため、プロダクト開発においては「個別化」と「汎用性」のバランスを見極めるのが難題になります。
そこで重要になるのが、一つの軸を決めること。業界ごとに個別の業務フローを描くのが難しいからこそ、意思決定軸を定め、それに沿って開発を進めるようにしています。
特定の業界や企業に個別化しすぎたプロダクトは技術負債にもなりかねません。そのため、ある程度の汎用性が担保できるか、というのは一種の判断軸となっていますね。
宮城カミナシでも、開発を行う上での軸は主に2つ決めています。一つは、特定の領域に特化させたプロダクトビジョン。このビジョンから外れた機能開発は行わないようにしていますね。
もう一つは、「既存顧客におけるニーズの有無」。これはマーケティング戦略にも準ずるのですが、新規開拓においても、既存顧客のほうを向こうと決めています。全く新しい機能開発をするより、既存顧客にニーズがあるものであれば、新規のマーケットにも汎用性高く適用できるケースが多いからです。
──ありがとうございます。では、プロダクト提供後のセールス、カスタマーサクセス(以下、CS)についても伺っていきましょう。シングルプロダクトで価値を発揮しなければいけないマルチバーティカルSaaSのセールス・CSにおいて、具体的な施策や工夫している点があれば教えていただけますでしょうか。
宮城マルチバーティカルSaaSのグロースにおいてもっとも大切なのが顧客理解度の深さです。つまり、我々が「レガシー業界のペインをどれだけ深く理解しているのか」が問われているのです。
そこでカミナシが行ったのが、業界ごとの課題整理と業界向けコンテンツの作成です。主にPMMやPdM、CSが連携して作っています。
宮城例えばセールスであれば、業界別に60ページほどのナレッジをまとめた「〇〇業界セールス虎の巻」を作成。実際、これをフックにして入社一ヶ月のメンバーも契約を受注した実績があるほど自信のあるコンテンツです。
ほかにも新規と既存業界、部署別のマトリクスにしたユースケースマップを作成したり、お客様向けには業界別の活用事例・サポートページを充実させたり。ホリゾンタルでもバーティカルでもない、マルチバーティカルSaaSだからこそ、ここまで現場業務フローを広く、深く理解すべきだと思っています。
下岡このご質問についてはまず、『SynQ Remote』はどなたでも直感的に使えるシンプルなUI設計にしていることもあり、導入後のオンボーディング(CS)に関してそこまで莫大なコストは掛かっていないと感じています。
その上で、プロダクトを広くデリバリーするためにも、CSより手前のプロダクト側でお客様の利用負荷を下げられる開発を行うようにしています。というのも、真にお客様が求めているのは、便利で充実した機能ばかりではなく、シンプルで直感的に使えるUIだと思うんです。
実際、忙しい現場でアプリのダウンロードや会員登録、ログインといったステップは非常に手間になり、継続利用に至らないことが多い。そこで、QRコードで読み取ってすぐに使えるようにしたところ、お客様から大変ご好評の声をいただいたんです。
こうしたニーズも、現場の業務フローや課題を深く理解し、都度プロダクトに反映させてきたからこそだと考えています。
──とはいえ、業務効率化やDXとなると、現場で働く方々からの抵抗感も少なくないのではないでしょうか。スムーズな導入に向けて意識していることはありますか?
宮城実は、4割くらいのお客様はDXや業務効率化に賛同しているんですよ。非効率な業務が原因で優秀な若手人材を失うのは、企業の競争力を低下させ、経営的にも望ましくありませんから。
一方で、おっしゃるように「これまでのやり方を変えたくない」「こんなプロダクトを使って何か変わるのか」と新しいツールに対して拒否反応を示すお客様もいます。そうした場合は、CSが主となってこまめにコミュニケーションをとって、地道に関係性を構築していくしかありません。
下岡先ほどもお伝えしたように、現場にスムーズに導入してもらうためには、できるだけ現場の業務フローに寄り添ったプロダクトを提供することが重要だと思っています。長期的な継続や定着という観点でも、日常業務の中にできるだけ自然な形で溶け込むようなUI設計も大切ですね。
──ありがとうございます。では、組織づくりについてはいかがでしょうか。マルチバーティカルではアプローチする業界が多岐にわたりますが、人員リソースの配分や組織編成において意識している点があれば伺いたいです。
宮城現在50名程度のカミナシのビジネス組織では、フェーズによって担当チームを分けています。市場構造の理解に重要な「探索」フェーズは、PMMが主な担当として動く。「検証」フェーズについては、インサイドセールスがオーナーシップを持ち、最重要KPIを「商談数」に置いているのが当社のユニークさなのかなと思っています。
下岡基本的には業界ごとにチームや役割を分けるようなことはしていません。全員がすべての業界のユースケースに触れ、その中から共通項や違いを見つけ出すことがプロダクトの深みに繋がると思っています。
宮城さまざまな業界にアプローチしていますが、業界別にチーム分けなどは行っていません。今は5つほどの業界ですし、必要性を感じていないのが理由です。今後大きくスケールした際にリソースを投下するのが良いと思っています。
その代わり、新規市場開拓での「検証」に関しては、業界横断で5人程度のタスクフォースを作ることにしています。全社の目標設計(OKR)にも紐付け、スモールチームで早く、深く検証を行えるようにしています。
マルチバーティカルSaaSで価値を生み出せる人材とは
──最後のパートになりますが、マルチバーティカル戦略を推進する両社が描く、今後のビジョン、ストーリーを教えてください。
下岡僕たちが成し遂げたいのは、単なる「遠隔ビデオ通話ツール」の提供ではなく、「デスクレスワーカーの働き方変革」です。
私たちが目指す理想の現場の在り方としては、蓄積された技術者のデータとナレッジを中心に据え、効率的に複数の現場を管理している状態です。『SynQ Remote』が現場でのコミュニケーションを記録・管理してナレッジとして蓄積していきながら、現場が自らトラブル対応できる状態を目指すことで技術者の労力をレバレッジしていきたいと考えています。
宮城繰り返しになりますが、私たちカミナシのミッションは「ノンデスクワーカーの才能を解き放つ」ことです。ノンデスクワーカーがこれまで何をやってきたのか、何ができるのかといった、現在属人化している「人」の情報を集めてデータベース化することで、業務量や能力を給与に反映させたり、新たにチャレンジしてもらえたりするようになると考えています。そうすることで「才能を解き放つ」ことができ、ひいては人手不足の解消にも繋がってくると思っています。
──両社は絶賛採用加速中だと伺いました。どのような人材が活躍できるとお考えですか?
下岡クアンドでは現在、特に「PMM/事業開発」と「プロダクトマネージャー」の2つのポジションの採用を加速しています。 下岡僕たちの事業は現場、つまり「デスクレスワーカー」のペインを解消しようとしています。だからこそ、デスクレスな領域の課題に興味を持てる人、現場の解像度を高く持ち、事業やプロダクトづくりを楽しめる人であれば、当社でご活躍いただけるんじゃないかなと思います。 今後事業を拡大させていく上で、先ほどお話ししたようなプロセスを回していくところなので、少しでもワクワクすると感じていただけた人はご連絡いただけたらと思います。
──カミナシはいかがでしょうか。
宮城当社では、「PMM」と「インサイドセールス」のポジションを絶賛募集中です。マルチバーティカルにおいては具体と抽象のバランスが非常に重要になってくるので、そのバランス感覚を持っている人は活躍できると思います。
インサイドセールスについては最重要KPIでもある商談機会を創出しながら、必要であれば自ら商談に入っていく馬力を持ってバリューを生み出せる人だと良いですね。新しい領域に挑戦したい「イノベーター精神」を持つ人であれば、カミナシにフィットするのではないかと思います。
宮城カミナシは社員数が100名を超え、事業・組織ともに急成長しているタイミングです。もちろん大変なことも多いですが、それ以上にカミナシ史上最速のスピード感を持って事業を進めていけるもっとも面白いフェーズだと思っています。ご一緒いただける人はぜひお話しできたら嬉しいです。
こちらの記事は2024年04月11日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
安心院 彩
編集
藤田 慎一郎
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