連載高齢者の生活をリデザインー介護DXで社会的インパクトを狙う、Rehab for JAPANの挑戦

「生活をデザインする」のが、真のプロダクトだ!
事業家が集まる隠れスタートアップ・Rehab for JAPANが、介護SaaSで見据える勝ち筋を創業代表・大久保に聞く

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インタビュイー
大久保 亮

1987年11月18日長崎県壱岐市生まれ。リハビリ養成校を卒業後、通所介護事業所や訪問看護ステーションにて在宅リハビリテーションに従事。働きながら法政大学大学院政策学修士を取得。要介護者、介護現場で働く人、地域住民まで、介護に関わるすべての人が安心していきいきと活躍し続けられる世界の実現を目指して2016年6月株式会社Rehab for JAPANを創業。「リハプラン」を開発。日本介護協会関東支部局副支部長。

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既存業界に切り込み、DXを推し進めるスタートアップが増えている。そんな中で、介護業界のDXに挑んでいるRehab for JAPAN(以下、Rehab)。経営課題の解消や業務効率化がゴールではない。「エビデンスに基づいた科学的介護」の実現による「健康寿命の延伸」を目指し、高齢者の生活をReデザインする存在であると自分たちを定義している。

代表を努める大久保亮氏は、作業療法士として介護の現場経験を積んだのち、Rehabを創業。高齢者の生活を取り巻く様々なペインを現場で見て、感じてきたからこそ、それらを解決するために「エビデンス」に基づいた科学的介護サービスを展開しようと見据える。事業が持つポテンシャルからか、経営陣はすでにツワモノぞろい。リクルートで『HOT PEPPER Beauty』の事業統括責任者を務めたり、『Airレジ』『SUUMO』などの成長を牽引したりしたメンバーが集う。

「資本的価値と社会的価値を同時に最大化することで日本を変えていきたい」と語る大久保氏に、その裏側の戦略を聞いた。「エビデンス」にこだわってサービスを磨き込んでいく意義や、介護システムの先発事業者にも負けない価値創出法、新規事業を生み出していくメンバーの強みなどについて。

  • TEXT BY SHO HIGUCHI
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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高齢者の生活は、ITで「デザインしなければならない」

Rehabの創業代表で、リハビリの国家資格である作業療法士でもある大久保氏が起業したのは、自身の生い立ちや実際にリハビリ現場で感じた原体験があったためであった。

作業療法士から介護のプロフェッショナルとなり、そのまま介護業界で経営者や研究者を目指す道を選ぶ者も中にはいるだろう。なぜあえて、難易度がより高そうな「起業」を選んだのだろうか。

大久保作業療法士として現場で働くと、いろいろな「想い」に触れることができます。病気や怪我を抱える高齢者の、「不自由さを解消したい」という強い欲求。「家族に迷惑をかけたくない」という葛藤。ご家族の「なんとか良くしてあげたい」という願い。

でも、私だけでは解決できないことばかりで、歯痒く感じていました。

自分の行いを、エンドユーザーへの本質的な課題解決にどのように繋げるか、「社会的な価値」として社会に広く還元していくか。これらが私の経営をする上での土台になっています。

もちろん、作業療法士や研究者としてプロフェッショナルの道を歩んでいく、というルートも検討しました。でも、実際のところ私が現場でできることは、少数の高齢者の、特定の状況を改善する。一人ひとりに向き合うことは尊く、その重要性を理解していますが、私としては、それでは足りないんです。だって「一人でもたくさんの高齢者を元気にしたい」んだから。

より広く世の中に価値を提供したい。そのためには「起業」が選択肢としては一番いいんじゃないかな、とぼんやりと思っていました。万人に使われるサービスを開発するビジネスでこそ、数人の高齢者だけでなく、多くの高齢者を元気にできる可能性があるからです。

高齢者の方々の辛さ、ご家族のみなさんが抱える不安の大きさを知っていたので、「良いサービスがつくれても使われずに失敗するんじゃないか」と思うことはなかったです。

「私の行いで一人でもたくさんの高齢者を元気にしたい、それが私が人生を通して社会に提供したい社会的な価値です」と、創業までの歩みを力強く語る大久保氏。

一方で、テクノロジーをうまく活用できさえすれば、現場も変わっていくはずだと強く感じていたという。

大久保みなさんもご存じの通り、介護業界って未だに紙を使った非効率的な業務が残っており、本来時間を割くべき「高齢者へのケア」に十分な時間を使えていない場合も多いんです。

そんな中で、たった一つだけでも課題を的確に捉えたテクノロジーを取り入れられれば、必ず現場が大きく変わる。実体験からも、そう信じていたので「プロダクトをつくるぞ」と起業当初から考えていたんです。

「テクノロジーを突破力に、たくさんの高齢者を元気にしたい」。一見すると途方もない話だ。この繰り返し主張する「たくさんの高齢者を元気にする」というビジョンを、具体的にどのように実現していくのだろうか。

大久保「リハビリを民主化する」ことができれば、多くの高齢者を元気にできる、と考えています。自分の介護手段を自分で決めることができるようになる、そんな当たり前の世界をきちんと実現させたいんです。そうすることが、一人ひとりの幸福度やQOLの向上にもつながる。これを起点に、プロダクトをつくるんです。

「介護」にもいろいろありますが、私の場合、もともと作業療法士の資格を持っていたので、自然な流れでまずは「リハビリ」に軸を置きます。

大学院に行って政策学の修士を取ったので、医療保険や介護保険などの制度面にも詳しい、という背景やリハビリデータを正規化することの理解がありました。自分の強みから考えて、機能訓練ソフトである『リハプラン』の展開や、オンラインリハビリサービスから広げていくんです。

「高齢者の欲求やペインは深い」ということだが、それらに対して現状はどうなっているのか。高齢者が持つ「選択肢」についてもう少し聞いてみたい。

大久保誤解を恐れずに言えば、「今は誰も高齢者の生活の“あるべき”をデザインできていない」と考えています。要介護者になった高齢者の方々にとっての選択肢が、めちゃくちゃ少ないんですよ。例えば、「オンラインでリハビリしたい」という方もいるとは思いますが、そのニーズに応えるサービスがない。

こうしたニーズに応えることでビジネスを成り立たせた実例があります。UK/USのスタートアップでオンラインリハビリ関連サービスを手がけるHinge Health(ヒンジヘルス)のバリュエーションは約7,000億円にのぼります。保険制度の違いがあるとはいえ、アメリカよりも高齢化が進んでいる日本でニーズがないわけがない。

より多様なリハビリ関連サービスがあったほうが、高齢者の方々の生活は当然豊かになります。その空白地帯が、実はまだまだ多いんです。私たちは、そこに、ビジネスチャンスが眠っていると考えています。

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現場が楽になるは通過点でしか無い、Rehab が構想する
「エビデンスで介護する世界」とは?

これから本格化していくであろう介護業界のDXにビジネスチャンスは無数にある、というのは確かにうなずける話だ。しかし高齢者の選択肢を増やすだけなら、大久保氏がそこでことさら「エビデンス」を強調する意味が分からない読者も多いのではないだろうか。

大久保今、多くの領域でエビデンスが求められるようになってきています。コロナ禍でも、議論の際にエビデンスの存在があるかどうかだったりエビデンス自身の確からしさだったりが論点に上がることが幾度もありました。他にも、ブロックチェーンの台頭だって、エビデンスというものが世の中に求められていることの証左でしょう。

他の領域と同様に、介護においてもエビデンスが求められるようになってきています。私が想定しているエビデンスとは、「こうしたら、こうなる」という科学的データの集積です。

今の介護業界には、これが圧倒的に足りないんです。おそらくみなさんの思っている以上に「個人の経験則」に基づくサービスが現場に根付いてしまっている。高齢者の身体機能に大きな影響を与えるリハビリですら「こうしたら、こうなる」というものはとにかく足りないのが現状です。

でも、介護事業者にご家族を預ける方からすれば、それは不安ですよね。本人たちもそうでしょう。「こうしたら、こうなる」というエビデンスに基づいて、介護をすること。それで実際に高齢者の状況が改善することこそあるべき姿だと考えています。つまり、エビデンス重視の介護とは、成果重視の介護、さらに言えば「多くの人がちゃんと元気になる介護」とイコールです。

そのエビデンスと、RehabのSaaSプロダクトはどのように紐づくのだろうか。中長期的な目線も交えて語ってもらった。

大久保現在の事業の中核は『リハプラン』です。リハビリ専門職の人間がいなくても、デイサービスの現場でプロが実施するリハビリを実現できる「クラウド型のリハビリ支援ソフト」です。

また、研究機関と共同で、このサービスを利用してもらうなかで見えてくる課題に基づき、取得できるデータの活用も進めています。「エビデンスをつくっていく」ということです。単にユーザーのデータを貯めるだけでなく、積極的な研究開発によって「エビデンスで介護できる世界」を目指しているといった格好です。

もちろんこれだけではありません。目指すのは「高齢者の選択肢を増やす」ですから、オンライン介護の領域などもこれからすぐに手掛けていく予定です。

大久保本来であれば、データに基づいたエビデンス重視の介護を最初から提供していきたいんです。ただ現状、データもエビデンスも足りていない。そもそもの前提として、介護事業所の現場では既存業務の負担が尚重く、リハビリが十分に実施されていないということもあるんです。

だから最初に採るべき戦略は、現場の業務負担低減とリハビリを浸透させることです。それを通じて、データやエビデンスを同時に集めていく必要があります。

もう一つ、気になることがある。どうしてSaaSなのか、という点だ。ITリテラシーの高い従業員が少なそうな業界である。PCやスマートフォンをほとんど使わずに仕事をしている人もいるだろう。SaaS型のプロダクトで展開していくという戦略は、本当に最適解なのだろうか。

大久保意外に思われるかもしれませんが、『リハプラン』のビジネスモデルであるSaaSと、リハビリ領域は非常に相性が良いんです。

SaaSってLTVが大事ですよね。介護現場で働いてきた私は、リハビリというサービスは10~20年単位で高齢者が付き合っていくものであることを知っていました。だからこそ、LTV単位で逆算してサービスの品質を長期スパンで高めていくことができるSaaSというビジネスモデルが、リハビリ領域とは非常によくマッチすると考えました。

つまり、リハプランの品質を長期的に磨き込んでいくことで、ユーザーである高齢者の満足度が向上する。そうすると、介護事業者の売り上げのトップラインも上がる。弊社の売り上げも上がる。良いことづくめなんです。

結果としてそれが、私の人生のミッションである「高齢者を元気にしたい」ということにも繋がります。だからこそ、SaaS×エビデンスという姿勢は崩せません。

介護業界でエビデンスにこだわる理由と、Rehabが提供しているプロダクトの繋がりが見えてきた。一方で、介護に関わる仕事では行政との関わりかたも重要になってくる。

大久保現状の仕組みには、誰も意図はしていないながら、歪みがあります。高齢者が速く元気になると、退所してしまうので、介護事業者の収入が減ってしまうんです。本来であれば、高齢者を元気にできた事業所ほど儲からなくてはならないはず。

テクノロジーの力で現場の課題を解決しても、こうした制度の狭間にある課題はそう簡単に解決できません。

なので、また別のアプローチをとっています。歪みを是正するために、国や政界とコミュニケーションを取り始めているんです。例えば厚労省と意見交換をしたり、自民党に提言したり、といった具合です。本当に「高齢者を元気にしたい」から、国のガバナンスから変えていく、ということも考えているわけです。

アメリカでもAirbnbやUberなどはそうした動きをしていますよね。本当に革新的なイノベーションを起こすためには、ときには規制やガバナンスの面から変えていくための動きも必要です。

我々は「ただテクノロジーに強い会社」ということではなく、「社会実装集団」として、ミッションの実現のためなら、できることはなんでもやるといったスタンスで事業に取り組んでいきます。

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介護業界も「成果」で評価される時代になる

行政との関連で言えば、今後のマクロな動向も気になるところだ。介護業界は、少子高齢化の進展による影響がビジネスに大きく立ち現れていくはず。そうした背景を念頭に置き、事業戦略をどのように考えていけばいいのか。

これは介護に限らず、社会の不(負)に立ち向かおうとする事業家なら全員が参考にすべきことである。これまではミクロに寄った視点の話が多かったが、ここからは国単位のマクロな視点でもう少し話を聞いてみる。話題は、国の社会保障政策と事業の関係性というテーマにまで及んだ。

大久保前提として、Rehab がやろうとしていることは国の戦略と密接に紐づいています。

さきほど、介護事業所にいる高齢者を元気にすればするほど介護事業所の収入が減る構造がある、と述べました。しかしながら、国はその構造を是正しようと動いています。

現状、国の社会保障費は増え続ける一方です。75歳以上の後期高齢者になると、65歳以上の前期高齢者と比べて要介護認定率が10倍程度まで急上昇するんですね。2025年には団塊の世代のみなさんが一気に後期高齢者になるので、そのタイミングで社会保障費が爆発的に増加すると見込まれています。国としては、今でも社会保障費の歳出が多いのに、さらに増えることは望ましくない。

だからこそ、「高齢者を元気にする」ことは、国の社会保障費を減らすことができるという意味で、国のこれからの方向性とマッチしているんです。つまり、これからは国も、我々のように本当に高齢者を健康にする成果を出そうとしている事業者、あるいは成果を出している事業者を評価するような制度設計を推し進めています。

また大久保氏は高齢者自身も、当然ながら成果を求めていると語る。エンドユーザーである高齢者のことを考えた際に、どのような潮流があるのか。

大久保高齢者のみなさんは、年齢を重ねていく中で、日常生活でしたくてもできないことが非常に多くなる。このことがそもそも、大きな不安なんです。若い人は「そういうものでしょ」と思うかもしれませんが、解消したいという欲求は本当に強いんです。人間としての根源的なニーズだから、時代が変わっても絶対になくならない。

また、高齢者自身だけではなく、高齢者を介護する現役世代のみなさんにとっても他人ごとではありません。一人っ子だったら、不安も感じやすいのではないでしょうか。介護というのは多くの世代にとって、誰もが避けて通れない大きな課題です。だからこそ、そこにはビジネスを成り立たせる機会が多くある。

さらに言えば、今、日本で一番富裕な年齢層は高齢世代ですよね。マーケットとしても日本全体の家計金融資産残高は年々増える一方で、2,000兆円に迫るとも言われてます。年代別にみると、7割が高齢者の資産です。特にお金を持った高齢者のみなさんは、健康への関心が非常に高い。確実に健康になれるんだったら、お金は払うんです。そのお金は惜しまない。

昔から、富裕層が求めるのは不老長寿であると相場が決まっている。というと乱暴に聞こえるかもしれないが、「健康になりたい」というニーズに、きちんと応える事業の存在こそ、確かにこれからの時代において求められることだというのは、間違いのない事実だろう。

行政と一般市民のどちらからも求められているのが、Rehabの目指す「成果重視の介護」なのだ。

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Rehab の勝ち筋は選択と集中にあり

とはいえ、あのメガベンチャー・エス・エム・エスも存在し、行政もさまざまな手を打ってきたのが介護業界でもある。ディスラプターとしてのイメージがついてしまうと、事業展開は難しいのでは、と指摘する読者もいるだろう。

そう問いかけると大久保氏は、介護領域の先駆者たちへのリスペクトが前提にあると前置きしつつ「介護を、新たなフェーズに進化させるべき時が来た」と語る。

大久保日本の介護保険制度は、グローバルで見れば、これ以上ないくらいの良い制度にできているんです。これは行政と事業者の先輩がたが知恵を出し合い、必死に努力してきたからこそ成し得たこと。この基盤がなければ、私たちの挑戦はそもそも不可能なわけですから、感謝しかありません。介護保険制度があるからこそ、現在の高齢者のみなさんが介護を受けられるんです。

介護保険制度がはじまってからそれなりの期間が経ってきたので、国が持つデータも豊富になってきています。これらのデータも、これからエビデンスの研究開発をしていく我々にとって非常に有益です。

民間事業者についても、エス・エム・エスさんやカナミックネットワークさんを筆頭に、さまざまな企業さんがサービスを展開してくれていたおかげで、クラウドサービスの浸透率が既に約6割にまで達しています。介護業界のDXは、これらの先行事業者がいたからこそ、既に始まっているんです。我々はその土台に乗っかったところからスタートさせていただく形なんです。

大久保ただやはり、ここからが本番だと思うんです。これまでのサービスは、「介護事業者の効率を高めるもの」という性格が強い。しかし先ほど述べたように、これから求められるのは、あくまでその先にある「高齢者の健康を高めるもの」です。

効率的なだけでなく、効果的な介護をすることで、高齢者が健康的になり、自立する。そうすれば国の社会保障費を減らすことができる。「高齢者一人ひとり」に価値を届けたいと考えています。そういう変化を明確に作り出すべきフェーズが来たのが、今なんです。

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資本価値だけでなく、社会価値を創る事業に身を置くべし

「高齢者を元気にしたい」という目標のために、日々邁進するRehab。とはいっても介護という業界。働くことに、どのような面白さがあるのか。他業界からの転職もかなり増えているということで、メンバーが感じている事業の魅力を紹介してもらった。

大久保やっぱり一番は、社会課題を解決できる能力が身に付くことですかね。私たちが動いてつくった事業が、明らかに世の中の役に立っていると実感できる。日常生活に不安を抱えているみなさんがエンドユーザーなわけですから、特に強く感じやすい事業だと思います。この点に、最高のやりがいがあるんじゃないでしょうか。

これは私自身の考えになるのですが、今の日本、特に介護業界のような根深い社会課題が残る領域で事業を取り組むには「社会的な価値の実現」と「資本的な価値の実現」の「両輪」で経営する会社や、どちらも創れる能力を持った人材が今よりもっと増える必要がある考えています。

社会的な価値だけだと慈善事業になって持続可能とはいえないし、資本的な価値だけでは本来の課題解決に繋がらない。言葉を選ばず伝えると、バリュエーションのための施策だけが先行してしまう。日本は既に超高齢社会という大きな外部環境の変化を踏まえ、社会システム全体の持続性を考え直す局面にきていて、社会的に「ノー」を突きつけられると、事業を続けることができなくなるリスクに直面すると思っています。

もし社会を変えたいと考えているなら、そういった「社会的な価値」を創出できる能力を意識的に磨かないといけません。多くの事業経験ではやはり「資本的な価値」ばかりが身に付くだけになってしまう恐れがあります。

「社会的な価値」を創る能力が身に付くかどうかは、所属する会社などの環境にも依存する上、かなり強く意識して日々の意思決定や情報収集をしていかないと、なかなか伸びない能力だと考えています。

Rehab はその点、資本主義の仕組みの中で本気で社会の課題を解決するための意思決定を徹底しながら、事業を行っています。だからこそ、「社会的な価値を創る能力」と「資本的な価値を創る能力」、「両輪」で能力を伸ばしたい人に取っては良い成長環境だと確信を持って言えます。

また大久保氏は前提として介護業界をビジネスという面で捉えたときに、誤ったイメージが広がっていると語る。

大久保「介護」という領域について、多くの若者は「お堅い」「変化が遅い」といったイメージを抱いていると思います。

堅い、変化が遅いイメージに関しては、国自体も介護領域を変えようとしていますし、コロナの影響もあって社会全体のDXが進んでいることもあって、イノベーションを起こしやすい領域でもあります。事業開発がしやすい状況下にありますね。

採用候補者から医療領域のベンチャーと比較検討されることも多いので、介護領域の魅力についてお伝えしたいと思います。

私見ですが、医療領域よりも、介護領域のほうがこれからの事業創造における自由度が大きいです。介護は、半官半民という感じですが、医療領域は規制度合いが相対的に強い。イノベーションを実現する余白が大きいのはどちらでしょう、たぶん介護のほうがそれは大きいと思います。だから、新規事業開発をしたいなら、介護領域にジョインすると良いと思います。

加えて、みなさんが思うより、平均寿命に対しての健康寿命ってまだまだ短いんです。厚労省のデータで、男性は平均寿命80歳に対して72歳、女性は87歳に対して74歳。このそれぞれの差を縮める分だけ、マーケットはあるということになります。これからの人口動態として課題を抱える人は増えていきますし、重ねてですが「選択肢もまだまだ少ない」、こんなマーケットって他にはほとんどないと思うんですね。

そんな事業ポテンシャルを見て、シリーズAラウンドながら力強いビジネス経験を持つメンバーが集まっている。

大久保ちょうど最近、他業界でも一線のプロフェショナルだった優秀なメンバーが集まり始めています。

例えば、取締役副社長COOの池上晋介は、リクルートで『HOT PEPPER Beauty』の統括責任者を努めていました。美容業界が紙中心の予約だった経営環境を、ネット予約中心の環境に変えた、いわば「美容業界という産業構造を大きく変えた」人物です。

執行役員CPOの若林一寿も同じくリクルートで、『SUUMO』や『Airレジ』などのプロダクトデザイン・UXデザイン含め、数十種類のプロダクトに携わっていた経験があります。他業界のDXの最前線で事業に取り組んできた人材が経営人材にいるので、プロダクトに向き合う環境としては大手にも引けを取っていないと考えています。

他にも、介護とは全く関係ない業界から入社してきた人材は多くいますが、「専門外のところから入社してきた人材は発想が自由だし、他業界のアナロジーを利用してイノベーションを起こしやすい」と捉え、躍動してもらっています。

最後に、どのようなスタンスやマインドを持つ人材にジョインしてもらいたいかについて尋ねた。

大久保大前提として「介護に詳しい人ではなくていい」と考えています。一番は世の中を良くしたいという志がある人ですね。私たちは本気で「高齢者を元気にしたい」という志を持ってやっていますので、フィットすると思います。「今やっていることが本当に顧客のためになっているのだろうか」「目先の目標値は達成できるようになったけど社会的に何かインパクトが残せているのか」といったことでわだかまりを感じている方にはぜひ一度話を聞きに来てほしいですね。

加えて、将来やりたいことが明確にある人材は魅力的です。「介護」ということでなくても、やりたいことがあって、それを実現するためにRehabにジョインしようと思ってくれる人。こういった方ともぜひ一度お話をしてみたいです。

まだまだスタートアップなので、それこそ会社としては「資本的な価値」を伸ばすことに注力しているタイミングですが、「社会的な価値」をどう創っていくのかといった「両輪」の考えは学べる環境だと思いますし、将来のやりたいことにも必ず繋がっていくと考えています。

こちらの記事は2021年12月23日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

樋口 正

写真

藤田 慎一郎

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