“20代で逸材”の道は、「メタ視点」と「リスク感度」で切り拓く──一流を超え“超一流”になるキャリア論を、異色の経歴から成功した連続起業家、フリークアウト創業者・本田に聞く

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登壇者
伊藤 豊

東京大学文学部を卒業後、日本IBMを経て2005年に起業。数多くのスタートアップ、成長企業に関わる経験から、伸びる分野や会社、伸びる人の条件について独自の理論を確立。スローガン代表として、Goodfind以外にも、中途・長期インターン採用支援事業や、HRクラウド事業、ビジネスメディア事業など幅広い事業展開を牽引。数十社単位でシード期・プレIPO期の企業をIPO後まで継続支援してきた他、大手企業の採用変革プロジェクト等多岐に渡る支援実績を持つ。

本田 謙

20代で音楽作家、ロボット開発、米国でのバイオ研究など多分野での経験を経て、30歳を過ぎてIT起業家に転身。広告テクノロジー分野にて、二度の起業でM&Aと上場の双方を経験した連続起業家。一社目は、コンテンツマッチ広告事業を展開するブレイナーを、創立から2年半でYahoo!JAPANに売却。その後、ITベンチャーなどへのエンジェル投資を本格的に始め、2010年に二社目となるフリークアウトを設立。創業から3年9ヶ月で、マザーズ市場上場。2017年1月ホールディングス制へと移行し、グループのグローバル拡大を推進。

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20代で突き抜けた成長をし、事業家や経営者になりたいのであれば、中長期的なキャリアをどう描くべきか?

当然「事業家や経営者」と一口で言っても、多種多様なキャリアが存在するのは言うまでもない。しかし、誰しもが想像するいわゆる綺麗なキャリアを描いてきた方々がいる一方、メルカリの山田進太郎氏等、異色の経歴を持ちながら日本を代表し、グローバルマーケットでも存在感を示す経営者がいることも見過ごせない。

今回はその中でも、大学卒業後5年間、音楽作家・ロボット開発・バイオ研究等に従事し、その後二社起業しM&A、マザーズ市場上場に導いた一風変わったキャリアを持つフリークアウト・ホールディングス代表取締役社長 Global CEO本田謙氏のキャリア論にスローガンの代表取締役伊藤豊が迫った。

  • TEXT BY KENTA SAKUMA
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20代、悩みながら、好きなことを突き詰めた

本田氏のキャリアを見ると、その確かな経歴とともに目を引く異色の経歴。そこには、どのような意図があり、どのようなキャリアを当時描いていたのか。本田氏から語られたのは意外とも言える言葉だった。

伊藤大学を卒業されてから2005年の起業まで、音楽作家・ロボット開発・バイオ研究等の経験を見ると、「こんな流れで起業家が生まれるのか?」と不思議に思わずにはいられない。どういう意図でこのようなキャリアを歩んだのですか?

本田「何かの目的から逆算したわけではない」というのが正直なところ。結果論的に言えば、インターネット広告技術の市場で求められるアート、サイエンス、テクノロジーのすべてのスキルを、20代で、米国在住も含め経験することとなりました。なので各分野での経験が生きていることは間違いない、ただ初めからそれが「線」で繋がっていたわけではなく、あくまでも「点」だった。将来に悩みながらも、それぞれの時期には一つのことに夢中になっていたのが20代ですね。

株式会社フリークアウト・ホールディングス 代表取締役社長 Global CEO 本田謙氏(提供:株式会社フリークアウト・ホールディングス)

伊藤当時、明確な将来像は持っていなくとも、悩みながら走って花開いたというのは、多くの学生や若者が「あ、それでもいいんだ」と勇気づけられるはず。大学卒業時や20代前半の頃、将来何になろうと決めていたとか、起業してこれをやろうとかは思っていなかったのですか?

本田正直、起業は頭になかったんです。好きなことを突き詰めたい、が先にあり音楽をやっていました。他の経験も同様で、「その時において興味があったこと一つだけ」を数年間自分なりに突き詰めただけです。

確かに一般的なキャリアではないと思いますが、なんとなく自分は生きていけるかなというのはあり、好きなことを突き詰めていました。ただ、20代前半で悟ったのが、各領域において「確かに好きなことで食べてはいけるけど、突き抜けるほどではない」ということ。

今では広告業界で知らない人はいないであろうフリークアウトという企業を、ここまで成長させた本田氏だが、創業前には「他の人より突き抜ける何かを見つけられなかった」のだという。しかも、広告はおろか、ビジネス畑にいたわけでもなかった。このことを知る読者は、意外と少ないかもしれない。

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「一流」と「超一流」の違い

さて、20代では好きなことを突き詰めながらも、突き抜けることはできなかったと率直に振り返ってくれた本田氏。では、いかにして連続起業家として歴然たる結果を残し、本田氏を起点にする起業家のエコシステムが形成されるまでのポジションを描いたのだろうか。

伊藤私の立場から見ると、学生が思っている「優秀」と本田さんが見る「優秀」には違う側面があるのかなと感じます。「優秀」って、本田さんから見るとどういうことですか?

スローガン株式会社 代表取締役社長 伊藤豊

本田私自身の経験から話をさせてもらうと、先程話をしたとおり音楽、ロボット、バイオ研究とそれぞれの領域において突き抜けた成果は残せなかった。

一方で、私が行き着いた今のビジネスドメインである広告とは、サイエンスとテクノロジーを用いて、人の共感や感動を最大化するアートな仕事であることから、知の総合格闘技のようなものだとも言えます。だから、20代でそれぞれの好きな領域を突き詰めていたからこそ、私がたどり着いた自分が最も得意な領域でもあるんです。

そして結果的に20代を終え、この3つの領域を掛け合わせたキャリアが形成されたタイミングと、最初の創業であった2005年頃が、まさにこれから広告技術の市場が生まれるタイミングであったことから、私という起業家の存在や手掛けるビジネスに希少価値が生まれたと思っています。

質問の回答に戻ると、ある期間一つのこと突き詰められること、そうやって培っていったものを掛け合わせて希少価値を作れること、というのが私の考える優秀ということですね。

そして指摘したのは、若いうちから、強靭な意思を持って突き抜けられるか、という点だ。

本田これは優秀な起業家に共通する要素でもあるのですが、自分のやると決めたことに悩んでいない。そういう信念、覚悟をもって物事を突き詰めていく強靭さがありますよね。私は若い頃、悩んで、回り道して、ようやく今のテーマにたどり着きましたが、最近の若い起業家は、若いうちからやるべきテーマを見つけられていて、本当に素晴らしいと思います。

自分自身は悩んで回り道をして起業にたどり着いたという本田氏であるが、先の話と合わせると自身の趣味領域を突き詰めていたのだろう。そして「好きこそものの上手なれ」という言葉に表れているよう、好きなことを追求した先に自分が起業する意味、自分が社会に価値を発揮できる意味を見出していた。

本田氏のいう「一つ一つを突き詰めること、それを掛け合わせること」に「優秀」という言葉の本質が隠されているのかもしれない。

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リスクテイクとリスクコントロール

「優秀」の定義という話題から、伊藤が指摘したのは、長く続く学生たちの「コンサル人気」についての課題だ。「コンサル万能説」と揶揄されることすらある昨今の情勢に、本田氏はどのような回答を残すのか。

伊藤学生優秀層に対して長く就活支援をしている私のところには、20代で突き抜けた成長をし、一流の起業家、経営者になるためにコンサルティングファーム等を経験したほうがいいのではないかという相談が多く寄せられます。

そこには私からみると、「コンサルティングファームが黎明期だった20-30年ほど前に入って業界の成長とともに成長し、コンサル業界が成熟するにつれて飛び出し起業家や経営者となって目立っている人材」を見ているから、という時間軸の誤解があるように思います。

「コンサルティングファーム=将来の起業家・経営者として成長できる」というイメージはここから来ているのではないかと。そのあたり、どう感じますか?

本田確かに今コンサルティングファームを選んで、本当に突き抜けられるかについては、そのとおりの懸念も存在すると思います。ただ、20代の若いうちに起業するというキャリアを選んでも、それは実は今の時代一緒のことだと思う。

何が言いたいかというと、コンサルティング業界にしても起業にしても、今は多くの人が経験しているという意味においては、それ自身にあまり希少価値はないのだから、それだけで突出するのは難しいはず。

「突出した成長」のための1つのキーワードに「どのフィールドを選ぶかによる希少価値」をあげる本田氏。言葉にするのは簡単だが、そのフィールドの選び方におけるポイントはどこなのだろうか。

本田どのポジションを取るかという点においてはリスクテイクという考え方が大事になります。リスクをあまり背負わないようなポジションのとり方を求めるのでなく、適切なリスクテイクができるポジションを求めるべきということ。

なぜなら、起業家や経営者となれば、リスクテイクして事業を成長させることが求められるから。そういう人材になりたいのであれば、まずはリスクテイクを自分自身のキャリアレベルで一度経験して見る必要があるのではないでしょうか。起業家ともなれば、社員の人生等のリスクまで背負う必要があるので、そういうリスクをとる経験をまずは個人のキャリアレベルでしてみてほしいですね。

本田氏は、そのリスクテイクに加えて、リスクコントロールをすることが経営者には求められると言う。経営者のリスクコントロールは、自分だけでは収まらないからだ。自分の生活だけでなく一緒に働いている社員の生活も背負わなければならない。

一方で、個人のキャリアベースで言えば、仮にリスクを取り、選んだ会社が潰れてしまうことが最大のリスクだとしても、それでも次のキャリアを選べばいいし、リスクコントロールはしやすい。

つまり、キャリア形成において単利ではなく複利、短期ではなく中長期的に物事を捉え、リスクをコントロールできるかが重要になると指摘しているのだ。

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ゴールドラッシュで、本当に得をしたのは
「金」狙いでなく「支援」側だ

伊藤私がみて経営者や起業家としてポテンシャルが高い人材の中でも、まずはコンサルティング業界にいくという人は後を絶ちません。本来は経営者を目指すなら起業や、ベンチャー企業への就職も真剣に考えたら良いのにと思います。起業や経営に興味があるがコンサルティング業界にいきたい志向を持つ学生に対してアドバイスはありますか。

本田メタ的な視点で見られる人を優秀だなと思うことがあります。その観点でいうと、コンサルティング業界も今、広告の領域に近づいてきていて、広告代理店を買収したり、グローバルの広告代理店ランキングには、コンサルティング企業が入っていたりする。

ポジショントークにはなってしまうが、俯瞰してみると、それだけ広告への需要が高まっているということであり、それだけデジタル広告というのはコンサルティング業務とも密接なものとなっている。であるならばコンサルティング業界に入るよりも、コンサルティング企業や広告代理店の方が使うようなサービスやプロダクトを開発している会社に入ったほうが、より未来を先取りした深い経験をできるのではないかと。

これは過去のアメリカのゴールドラッシュに似ていて。砂金が取れる場所にこぞって皆出向いたが、本当に得をしたのは砂金を掘り当て一攫千金を狙う人たちにツルハシやジーンズを提供する人たち。コンサルティング業界が砂金であると考えて、少しメタ的な視点で分析をした上で、リスクテイクを伴う意思決定をしてみるといいのではないか。

伊藤そうですね、経営という立場に立ったらその俯瞰してみる力は絶対に必要。ならば自分のキャリアというスモールスタートできる投資の意思決定で、俯瞰して分析し、リスクテイクをしてみること。それが本当にリターンを得る方法ということを自分のキャリアで経験してみてほしいですね。

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GAFAと異なる、フリークアウトが創るフロンティア

ゴールドラッシュの事例からもわかるように、抽象度を一段上げてメタ的な視点から俯瞰してみると、右へ倣えで人気業界を選ぶよりも、一定のリスクはとりつつ、他者とは違うポジションのキャリア選択を行うことが重要だということが共通して語られてきた。その点、フリークアウトの現在地や、フリークアウトで得られるものにはどんなものがあるのだろうか。

伊藤これまでの話で1つ、「メタ的な視点」がキーワードになっていると感じました。その上でいかにして、リスクを取ったり、コントロールしたりできるか、が重要になるのでしょう。

とすると、いまフリークアウトが事業を展開する領域には、そのようなフロンティアは存在しているのでしょうか?インターネット広告という観点だと既にTVを中心とするマスメディアをしのぐくらいの産業に成長しており、GAFAがマーケットシェアの大半を占める。さらなるフロンティアはどこにあるのでしょうか。

本田それは3つの観点で説明できます。まず、プロダクトの点。ご察しのとおりGAFAが、広告プラットフォームというプロダクトとして強い。ということは裏を返せば、彼らより良いプロダクトを作らないと広告主からは選ばれない。なので、現時点で私たちも選ばれているという事実が、彼らにも勝てるということを証明していると思っています。

具体的に言えば、ある点において、もしくはある条件下において、彼らよりも優れているポイントを創れているということです。

それがなぜできるのか?と聞かれれば、筋の良い仮説を立てて検証を回し続けられる優秀なチームを組成することで、狙った領域で価値を提供できるプロダクトを創ることができたから。私に言わせれば、「GAFAにはできていないけれど広告事業者としてやるべきこと」はたくさんあるんですよ。重要なのは、それを創ることができるかどうか、だけです。

敢えて言いかえるなら、GoogleやFacebookが強い領域とは少しズレたところで戦っている、ということだろうか。それは確かに「なるほど」と思う部分ではある。

しかし、BtoBで広告主のプラットフォームを提供しているフリークアウトがどのようなプロダクトを開発しているのか、一般消費者にはよくわからないだろう。そんな疑問に対する本田氏の答えから、以前は存在しなかった広告がフリークアウトの手により生産されてきたことがよくわかる。

本田例えば、大手SNS内やテレビ番組の無料配信サービスTVerの広告など、日本の中でもトップのパブリッシャーにおける広告基盤を開発してきました。その他でも、今では当たり前とされるタクシー車内の広告もやっています。

事業の形としては、グループ会社であるM.T.Burn(2019年に解散)が他社と資本業務提携を結び、プラットフォームを共同運営するなどですね。そのような広告プロダクトをフリークアウトが開発・運営しているんです。

タクシー広告は当初、「効果があるのか?」と懐疑的な見方をされたり、「チラシでいいんじゃないか」と言われたりすることもありました。しかし、今では多くの企業が効果を実感して出稿している。

このように、フロンティアを見つけ出して開発していくというのがフリークアウトの文化。そして勿論そのためには優秀な人が必要、良いものを組織として作り続けることが重要です。

「広告」の世界はさまざまな捉え方ができるから、世界的なプラットフォーマーだけでなくさまざまな領域で大きなプレーヤーが生まれ得る、という指摘ともとれる。そしてそのために、ビジネスの枠のとどまらない多様な経験が活きるのだ。本田氏の話を聞くと、そう感じられる。

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グローバル市場を本気で取りに行く

伊藤2点目はどういったものですか?

本田インターネット広告のポテンシャルはまだまだ、皆さんが思っているよりかなり大きいということ。

インターネット広告がマス広告を越えたというのは確かに事実。ただしその伸びは、まだまだこれからが本番です。広告主のニーズもマスからデジタルに変わってきたが、今はさらにそこからデジタルを中心としつつ、そこからどう立体的にマーケティングを組み立てるかというところに変わってきているんです。コンサルティング企業と広告代理店の境界が曖昧になっていることは、その証左といえるのではないでしょうか。

“デジタル”をいかに扱うか、が企業の事業展開を大きく左右する時代なんです。我々はプロダクトベンダーとして、その部分にはまだまだフロンティアがあるという考えを持っています。

ここまでの議論を踏まえた形での、広告業界の現在地がよく見える内容だった。では、最後の3点目として語られるのは、どういったものだろうか。

本田最後の観点は「グローバル」。多くの経営者とお会いしますが、日本のインターネット広告企業の中で、我々以上に本気でグローバルマーケットを取りに行こうという企業を目にしたことがない。その点、自分はいま生活の半分を海外でしているくらい、日本企業として本気でグローバルマーケットを狙っています。

3年前にグループにジョインしたアメリカの子会社が、現在はグループの稼ぎ頭になるくらい本気で海外に投資をし、グローバルで戦うための武器を作っている。こういったアクションは日本の他の広告企業には簡単に真似できないものと自負しているし、そのくらいユニークな独自の取組みを徹底的にやりきることで、会社として稀有なアセットを持つ我々フリークアウトの有り様は、先程話した個人の突き抜けたキャリア形成にも通じるものがあるのではないでしょうか。

突き抜ける人材の輪郭が見えてくるとともに、フロンティア企業としてのフリークアウトの存在感が明らかになった。創業者自ら管掌する新規事業部門において、若手にも新規事業の事業企画のところから任せてフィードバックをしていきたい、と語る本田氏率いるフリークアウト。

創業間もないスタートアップへの就職、あるいは学生起業ももちろん、稀有な経験になるのだろうが、より長い視点で見れば、選択肢はその限りではない。たとえばフリークアウトという企業で、本田氏という唯一無二の起業家のそばで、事業の挑戦を続けてみることも、キャリアに大きなレバレッジをかけられる一つの面白い選択肢になるのかもしれない。

こちらの記事は2021年10月29日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

佐久間 健太

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