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「unisizeをECのインフラへ」ファッションECの購入不安を解消するメイキップの野望

洋服をインターネットで買う時、サイズで躊躇したことはないだろうか?気に入ったデザインでも買って身体に合わなかったら不格好。株式会社メイ...
洋服をインターネットで買う時、サイズで躊躇したことはないだろうか?気に入ったデザインでも買って身体に合わなかったら不格好。株式会社メイキップはその悩みを解決する。2020年には2013年比85.7%増となる2.6兆円まで拡大すると予想されている国内ファッションEC市場(2013年、経済産業省調べ)。メイキップの尽力が掛かっているかもしれない。同社代表取締役・柄本真吾とCFO・山本晃央から話を聞いた。
あの注目のスタートアップは、どのようにして生まれ、いま何を目指しているのか──
17-10-31-Tue
柄本 真吾 (つかもと・しんご)
株式会社メイキップ 代表取締役CEO
山本 晃央 (やまもと・てるお)
株式会社メイキップ 取締役CFO

洋服をインターネットで買う時、サイズで躊躇したことはないだろうか?気に入ったデザインでも買って身体に合わなかったら不格好。株式会社メイキップはその悩みを解決する。2020年には2013年比85.7%増となる2.6兆円まで拡大すると予想されている国内ファッションEC市場(2013年、経済産業省調べ)。メイキップの尽力が掛かっているかもしれない。同社代表取締役・柄本真吾とCFO・山本晃央から話を聞いた。

ファッションECの最重要課題を解決する

2015年創業のメイキップは、ネットで洋服を購入する際、身体にあったサイズを推奨するレコメンドエンジン「unisize(ユニサイズ)」を提供している。ユーザーはお気に入りブランドサイズや身体情報を問う最短1分のアンケートに答えるだけで、メジャーで測ることなく自身の身体に合ったサイズを確認できる。

unisize

現在は約30サイトが「unisize」をECサイトに導入している。サイズレコメンドのサービスは他にもいくつか存在するが、同サービスはユーザーに手間がかからない事が特徴。

顧客は店舗に足を運んで3Dスキャンなどをする必要はなく、オンラインで簡単なアンケートに答えるだけでサイズがレコメンドされる。推奨方法は独自のアルゴリズムによるもので、ユーザーが入力する身体情報と国内外のブランドの多量な洋服寸法データを利用している。

元々BtoB向けのビジネスとしてスタートしたunisizeだが、現在は自社ウェブサイトでもその機能を活用している。具体的には、国内外のブランドの商品をまとめて検索でき、身体に合った買いたいアイテムがピンポイントで発見できるサイトだ。

経済産業省によると、2015年の衣類・服飾雑貨などのEC市場は1兆3839億円で、15兆円を超える衣類・服飾雑貨市場の9%を占める。 雑貨、家具、インテリア市場が2倍近い17%がEC化している現状を考えると、ファッション業界のEC化は遅れている。

そしてその大きな理由として考えられているのが、ネット通販では試着ができないため、購入の際にサイズに対しての不安が生まれてしまうという、ファッション業界特有のものだ。

この問題を払拭し、EC化を促進すると期待されているのがunisizeのようなインターネット上で顧客の体型と商品のサイズマッチングすることができるサービス。2015年に楽天が買収したFits.meや、スウェーデンを拠点とするVirtusizeなどの類似サービスを行っているベンチャー企業も日本市場に存在するが、メイキップは大手アパレルブランドに採用されるなど、一足先に日系ファッションブランドの信頼を勝ち取りつつある。

何でも屋のCFO

メイキップは株式会社ドリコムを経た柄本が創業。立ち上げ期に公認会計士である山本がCFOとして参画した。2人が出会ったのは共通の恩師からの紹介。山本が入社したのは、ある時柄本が予算計画や事業計画を彼にプレゼンしたことがきっかけだ。

「あの時、結局5時間以上も意見交換してました(笑)。『そもそもお前何でこの会社やりたいんだ』など、本当に根掘り葉掘り聞かれましたね。山本が真剣に考えてくれていることが強く伝わりました」

一方、山本は「ここまで考えているのかと衝撃を受けた」と漏らす。

「私は監査法人でIPOを専門に8年間働きました。その経験もあって、どういった人物が、どういった想いで経営しているか、ベンチャーが成功する上で本当に大切だと実感していたんです。だからこそ、柄本がどういった考えで経営しているか徹底的に聞きました。そしたら彼の経営者としてのバランス感覚に驚いたんです。創業から1年で新しい事業にチャレンジしながら、ちゃんと全体を見ながら繊細に物事を進めている。それは現在一緒に働いていても実感している事です」

この5時間もの意見交換で彼らは一気に歩み寄る。

「山本は元々商社にいて、様々なプロジェクトに関わってきた経験を持っていたんです。だから彼ができることはファイナンス周りだけじゃない。営業もできるし、バックオフィス全般もできる。だからCFOという枠組みではなく、一緒に経営をしていくパートナーとして入ってほしいと思っていました」と柄本。

現在山本はCFOという肩書だが、財務関係だけではなく労務管理やunisizeの機能向上、納品など幅広い業務を管理している。さらに、会社の方向性といったことも2人で話し合う。

「俺はこういう会社を実現したいんだけど、どうしたらいいか、そういった感じの相談もしているんです。そしてどうやって実現できるのか、2人で話しながら、今の課題をどうクリアしていくかとか、そういう話をしています」

マネジメントしない会社

実は柄本、山本だけではなく、全社員に広く経営状態を開示し会社の未来について話すことも多いようだ。ただその中でも、創業当時から柄本には軸になる考えがある。

「いっさいマネジメントが必要ない組織にしたいんです」

彼のこの考えはある有名な経営者から生まれた。

「リカルド・セムラーというブラジルにあるセムコという会社の経営者だった人がいるんですが、任期中にその会社をいっさいマネジメントしない会社に変えたんです。組織階層がなければ長期計画や短期計画もない。何もない。そんな組織にしたんですが、総従業員数は3000人を越え、6年間で売上額が6倍になる(3500万ドルから2億1200万ドル)という凄まじい成長を見せたんです」

現在メイキップにはこの考えを象徴するものがある。それが平日5日のうち、2日は家でリモートワークが可能という制度だ。

「創業当時からある制度です。極端な話、僕は目標を達成したならサボっていいと思っています(笑)。ただうちで決めている目標は頑張らないと達成できません。平日仕事しても、結局みんな土日も気になってメールを開いたりしますよね。それっておかしいじゃないですか。土日働くなら別に平日休んでもいい自由があるべきだと思います」

柄本がこの考えに至ったのもこれまでの経験によるところがある。

彼は新卒で株式会社セプテーニに入社、アフィリエイト広告の販売や企画、新規事業立案を行った。

その後株式会社ドリコムに転職、広告事業の営業部長として経営危機の立て直しに貢献した。その後自身の好きな事業をしたいと退社。メイキップ設立に至る。

柄本は起業に至るまでの経験で後悔している部分があった。

「当時、部下には毎日今日何するとか、何件電話して、目標に対して何件スケジューリングしているのか全部報告させて、次の日の朝にもそれが何件できたのか報告させる。あからさまなマイクロマネジメントをしていました。結局報告させて、全部自分で決めなきゃいけなくて、疲れるんですよね。でもその割には個々人が成長しない。それに結局僕が1人で考えてやるので考え方の幅が狭いんです」

だからこそ、彼は個々人が独立して働くことができる組織を目指している。

ファッションECのインフラになるunisize

柄本はunisizeを使って目指したい世界観がある。

「例えば、渋谷や原宿を歩いていていいなと思って洋服を買うとします。でも結局インターネットで探すとそれを半額で買えたりする。それにネットで買うとサイズを間違えて後悔することも多々ありますよね。それって悲しい。だからunisizeを使ってその悲しみをなくしたい」

現在ではどのファッションブランドもECサイトを急速に整備し始めた。だが同時にユーザーの機会損失が増えている。いつも着ているサイズでも、ブランドごとにサイズ感が違う。実によくあることだ。

このミスマッチを防ぐunisize。これから増加の一途を辿るEC化に向け、需要が高まっていくはずだ。

法人向けunisizeの初期費用は無料、ユーザーがレコメンドエンジンを使用する回数によって月額利用料が発生する仕組み。だが、メイキップは利用料に30万円の上限を設けている。それ以上の利用料は定額になるというこの料金設定には彼らの思いがある。

「利用料に上限を設けているのはECサイト様側のご負担を極力減らすことによってご利用時のハードルを下げてより多くのECサイトでサイズフィッティング体験をしていただきたいからなんです。今は海外で売っている洋服も日本で買えますよね。ほんとにワールドワイドに自分の欲しいものを手に入れることができる時代が来ています。その変化を私たちがより消費者にとってポジティブなものにしたい。そういった想いもあってunisizeを普及させてインフラになっていきたいんです」

監査法人で様々な経営者と会ってきた山本が、最高のバランス感覚を持った経営者と称する柄本。彼が創造した個を尊重する組織、メイキップは私達の生活をより良いものにしてくれる。

0→1創世記

あの注目のスタートアップは、どのようにして生まれ、いま何を目指しているのか──