“後払い”を支えるオペレーション・ディベロップメント──社会インフラ規模のサービスにおける事業基盤を構築する思想とは
Sponsored「オペレーション」は、ビジネスを成功に導くための重要なピースだ。サービスの品質向上と業務効率化を競争優位性の源泉とみなす「オペレーショナル・エクセレンス」という概念もある。
オペレーションを武器に事業成長を遂げている企業の一つに、後払い決済市場を牽引するネットプロテクションズがある。年間1,350万人のユニークユーザーを抱える同社では、月間4万社・400万件以上の請求が発生。その全てに対して、請求書の発行・送付、問い合わせ対応、入金ミスの確認といった作業が付随する。
その膨大なプロセスに対処すべく磨き上げたオペレーション、すなわち“オペレーション・ディベロップメント”こそが、ネットプロテクションズの競合優位性だ。
本記事では、BtoC通販向け決済『NP後払い』のカスタマーサービスグループでサービス全般の企画・運用を担当する長谷川祐太氏、BtoC向け会員制決済『atone』のシステム開発チームのマネジメントを担う佐藤健太氏に話を伺う。両氏ともに、ネットプロテクションズのオペレーション・ディベロップメント構築において、中心的な役割を果たしている。「業務効率化」にとどまらず、サービスが理想とする世界観を実現すべく、事業戦略からシステム開発まで管掌するオペレーション・ディベロップメントとは?
- TEXT BY MASAKI KOIKE
オペレーション・ディベロップメントは「業務効率化」ではない
長谷川氏は、ネットプロテクションズのオペレーション・ディベロップメントを「サービスを改善し続け、より多くの人に継続して使ってもらえるようにするための、あらゆるプロセス」と定義する。
単なる業務効率化にはとどまらない。同社のカスタマーサービスグループは、与信審査や問い合わせ対応といった運用面だけでなく、サービス企画まで担う。一般的な「カスタマーサービス」の範囲を超え、事業推進の上流工程から下流工程まで手がけているのだ。
システム開発も、ただ「言われたものをつくる」のではなく、オペレーションや事業方針にまで踏み込む。部署によって力点を置くポイントが異なるだけで、「サービスをグロースさせる」という目的は全社で共通しているのだ。
佐藤氏は、「サービスの思想や社会情勢に鑑みて、オペレーションやシステムを磨き込んでいくことがオペレーション・ディベロップメントだ」と語る。
たとえば、「本人以外のお問い合わせ対応は受け付けない」という基本方針を採っていても、高齢者ユーザーを代理する介護者が困っていると分かれば、柔軟にフローを改善していく。
佐藤ネットプロテクションズのオペレーション・ディベロップメントは、事業者側の都合だけでなく、ビジネスの全体像を捉えながら進めていく必要があります。
弊社は20代のメンバーも多いですが、かなり難易度の高いことを求められていると感じますね。でも、その分やりがいや楽しさにもつながっています。
長谷川求められている業務のレベルが高く、正直言って、毎日しんどいです(笑)。
でも、『NP後払い』は「日本人の10人に1人が使っている」といえる規模のサービス。そのグロースに裁量権を持って関われるとあって、大きな社会的インパクトも体感できています。
“スタンダードづくり”のために最重要なのは中長期的目線
サービスの思想や社会情勢といった、短期的な利益には結びつきにくい要素も強く考慮しているのは、なぜなのか。その理由は、後払い決済市場のパイオニアとして、「つぎのアタリマエをつくる」姿勢を貫き通しているからだという。
長谷川ネットプロテクションズは、「後払い決済」という概念が日本になかった頃から、20年近くかけて市場を切り拓いてきました。新しくとも本質的な価値を、中長期で提供していく気概を持ち続けてきたんです。
「後払い決済」を世の中のスタンダードにするためには、中長期的な視野で顧客体験を考える必要がある。わずかであっても、歪みを残すわけにはいかないんです。「とりあえず機能を追加して、だめならやめればいい」という発想にはなりません。
たとえば、2019年11月、同社は大規模アップデートの一環で「即時与信」を実装した。登録された取引の与信判断の結果を、即時で返す機能だ。数年前から即時与信を実装している競合企業も見られたが、ネットプロテクションズはあえて時間をかけた。
ユーザーが一度でも「自分に非がないのに、審査に落とされた」と思わされると、後払いそのものに対する不信感が増してしまう。スピードを重視するあまり、与信が不当におりないケースを発生させないようにするため、慎重に開発を進めてきたのだ。
中長期的に価値提供を続けていくためには、特定の個人や部署だけの判断でサービスを改善するスタイルだと限界が生じる。あらゆる観点で検討し尽くすために、部門間で議論しながら、オペレーションやシステムを磨き上げているという。
佐藤システム開発をメインに見ている人でも、オペレーションをメインに見ている人でも、みんなで本質的な価値を追求しているんです。たとえば、僕が担当しているスマホ決済サービスの『atone』でも、システム開発担当の発案で、オペレーションを大きく変えることは珍しくありません。
あらゆるボトルネックを解消し続けねばならない。“インフラ”企業としての使命
オペレーション・ディベロップメントにおいては「ボトルネックを解消し続けること」を最重視する。自分たちのサービスを水道や電気と同じく“インフラ”として捉え、誰もが安心して使えることを目指すからだ。
長谷川インフラのサービスレベルは、欠点によって規定される面があると思っています。いくら美味しい水が出る水道でも、供給が不安定だと、インフラとしてのサービス価値は下がるのではないでしょうか。
安定して継続できるかどうか、そして局所最適ではなく、あらゆるステークホルダーに不利益が生じないように全体感を見通せているかどうかを、常に大切に考えています。
たとえば、どんなに請求書のデザインが分かりやすくても、安定的に届かなければ、「インフラのサービスレベルとして最適なのか?」と疑問を感じると思います。
ですから、サービスフロー全体を見通して、常にボトルネックを解消し続けることが重要だと感じています。その際、現状の課題だけでなく、中長期的な理想から考えることを意識しています。
「大量の個人情報を扱うがゆえに、セキュリティ意識も強く持っている」と佐藤氏。常に「情報が漏れないか?」という観点で点検しながら、システムや運用面におけるセキュリティ体制を万全に構築。万一漏れてしまった際に誠実な対応を取れるようにするためのオペレーションも、事前に固めている。
現在地点のネットプロテクションズは「チャレンジング」。サービスを作り変えるチャンスが得られる
今後の展望を尋ねると、両氏ともにオペレーションを磨き込んだ先で成し遂げられる「サービスによる価値創出」を見つめていた。
長谷川『NP後払い』が価値提供できる範囲を、とにかく広げていきたいです。もっとユーザーが増えても、今と変わらぬ品質を提供し続けられるように改善していくことはもちろん、価値を創出できるシーンを増やしていきたい。そのために、現在はサービスの各機能の提供価値を検討し直しているところです。
佐藤僕も『atone』のグロースに注力していきたいですね。リリースから3年以上経ち、ようやく基礎的な機能が揃ってきたので、今後はよりアクセルを踏みたい。顧客体験を磨き込みながら、利用者の数も伸ばしていきます。
オペレーション・ディベロップメントを推進していくため、メンバー集めも急務となっている。採用で重視するのは、特定スキルの有無ではなく、マインドセットや志向性だ。
長谷川ここまでお話ししてきたように、ネットプロテクションズのオペレーション・ディベロップメントは、中長期的なタイムスパンで、全体感を見ながら臨機応変に対処していく仕事です。実現したい世界観や提供したい価値に関して、想いを持った人が向いているのではないでしょうか。
そうしたマインドセットさえあれば、かなり面白い環境だと思います。BtoCからBtoBまで、国内外に幅広い事業を展開しており、0→1から10→100まであらゆるフェーズを経験できますから。
佐藤僕も同意見です。先ほど大規模アップデートの話にも触れましたが、現在のネットプロテクションズは、これまで培ってきた資産やデータも活かしつつ、サービス自体をガラッと作り変えようとしているフェーズ。チャレンジングな場をたくさん用意できると思います。
こちらの記事は2020年05月01日に公開しており、
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執筆
小池 真幸
編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。
1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。
特別連載信用経済社会におけるプラットフォーマー ネットプロテクションズ
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