INTERVIEW
伊藤 秀嗣
17-11-29-Wed

「物流の未来を、動かす」
社会問題にもなる巨大市場を変革するネットエイジ・マフィア オープンロジ伊藤

TEXT BY REIKO MATSUMOTO
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出荷作業や在庫管理などの物流業務のアウトソーシングは、
倉庫管理業者への問い合わせから見積もり算出を経て、導入までに何日も要するのが当たり前だった。

しかし2014年、革新的なサービスが現れた。

オンラインで会員登録後すぐ、1点からでもアウトソーシングできるだけでなく
、コスト削減にもつながるプラットフォーム。

それが「オープンロジ」だ。

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プロローグ

「オープンロジ」を立ち上げたのは、株式会社オープンロジ代表取締役CEOの伊藤だ。学生時代から起業に興味を持ちつつも、自らの会社を設立することになるのは、10年強の社会人経験を経た後となる。

伊藤大学1、2年時はサークルやアルバイトに熱中して勉強しませんでした。

3年生になっても将来像が浮かばないまま。これではいかんとまずはビジネスサークルやビジネスコンテストに参加して、周りの学生らと交流を深めることで自分に発破をかけた。

さらに、大学の授業に面白みを感じられなかったことから、「実業の世界で結果残してる人の著書を読むほうが実学に近いし勉強になる」と本を読み漁る日々。「授業中もこっそり読んでました」と当時を振り返る。

提供:株式会社オープンロジ

初めて手に取ったのは堀紘一氏の 『成功する頭の使い方―スーパー洞察力のすすめ』(PHP研究所)

その本に感銘を受けた伊藤は、著者がボストンコンサルティンググループの日本代表であったことから、コンサル業界に興味を持つようになる。

そこで、自分もトップマネジメントに近い立場で経営課題を解決していきたいと意気込み、就職活動を開始。運びよくITコンサル系の会社に内定をもらうも、「よくよく考えるとシステム系のコンサルは、将来の起業に役立たないのでは?」と気付いて辞退。

その後、縁があったITベンチャーの雄、ネットエイジからキャリアをスタートさせたのだった。

伊藤いわく、山田進太郎氏や松山大河氏も在籍していた当時のネットエイジ(現ユナイテッド)は、「ネット業界の梁山泊」。0から1を社内で作りだし、それをスピンアウトさせて投資リターンを得る中で学ぶことが非常に多いと思った。

入社から3か月後には、当時まだネットエイジ社内のプロジェクトだった富士山マガジンサービスの創業メンバーに加わることになる。

雑誌のオンライン販売サービスFujisan.co.jpを運営する同社は、2002年7月にネットエイジのインキュベーション事業として設立され、伊藤はそのプロジェクト発足当時から関わっていた。

伊藤最初は電話番担当でしたが、次第にFAQや利用規約の作成、出版社に対しての営業活動も行うようになりました。

その中で出版社の声を聴き、マーケティングをおこない、自社にも出版社にもWin-Winとなるための方法を模索し続ける。

しかし、雑誌が売れるようになってくると新たな問題が浮上する。各出版社は注文の入った定期購読やバックナンバーの注文を自分たちで出荷するため、注文が増えれば増えるほど、取材や編集といった本業があるにも関わらず出荷作業に追われることになるということだ。

もちろん出版社として優先すべきは本業である。出荷作業は後手になり、配送遅延や注文と異なる号が届いたなどのミスが頻発するようになった。

当然、ユーザー満足度もあがらない。そこで伊藤が考えたのが、倉庫会社と提携して、出版社に予め在庫を納品してもらうことだった。

提携先の倉庫で契約先の出版社の雑誌を一元化。バックナンバーを管理してすべての在庫を入庫処理すると、その情報がEコマース側のサイトと連携され、それを元に注文を受けるため、在庫ロスがなくなる。倉庫会社も滞りなく業務を遂行できる。

このオペレーションを構築したことで、取引先であった約1,000社の出版社の負担は大幅に軽減した。それだけでなく、コストカットにもつながった。量をとりまとめているため1冊あたりの配送料が安くなるのだ。

伊藤通常だと倉庫と直接契約しようとしても中小規模だと断られるケースが多い。我々に任せたら安くなる上、面倒な業務もなくなるということで、中小の出版社を中心に物流業務のアウトソーシングの売り上げが伸びたんです。最終的には大手出版社もそのスキームに乗ってくれるようにオペレーションも改善しました。

その結果、2015年に同社は見事上場を果たすこととなるが、伊藤はその2年前に同社を退社した。オープンロジを創立するためだった。

Eコマース市場が伸びていく中、出版以外の業界でも物流業界における課題を解決できるのではと考えたのだ。

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物流業界を最適化する

伊藤はビジョン実現のために、自分たちで物流倉庫を作ることはもちろん選ばなかった。倉庫会社の空きスペースを活用してネットワーク化することで、既存の倉庫会社の空きスペースを物流拠点に変えてしまおうと考えたからだ。

倉庫会社と契約を結ぶのはオープンロジ。オープンロジが倉庫会社とは契約を結んでいるため、物流をアウトソーシングしたい業者は倉庫会社に個別に見積もりを取る必要もない。

オープンロジの自社サイトに明示された金額に納得すれば、すぐに会員登録しサービスを利用できる。

この画期的なシステムをスムーズに形にできた理由の一つは、共同創業者が前職である富士山マガジンサービスの提携先倉庫の経営企画担当で、一緒にオペレーションを立ち上げた人間だったこと。倉庫業界の課題および業務の効率化について熟知していたのだ。

サービス立ち上げにあたり伊藤らはまず、エンジニアがいない倉庫業界に対して、「システム部分はこちらに任せてください」と申し出た。

話に乗ってくれた提携先は最初は多くなかったが、1坪あたりの売上が既存の業者に比べて2倍もしくは3倍になった会社がある、という定量的な結果が出ると、口コミで提携先は増加した。

最近ではアメリカの倉庫会社とも提携をはじめたが、今後は中国・東南アジアにも進出していきたいと考えている。

伊藤誰もがインターネットを経由してモノを売ることができる時代だからこそ、海外で物を作って日本に売りたいとき、どこの物流サービス、物流会社を使えばいいかわからない、という問題に直面する。そんなときオープンロジだったら、ウェブで在庫確認できるし、出荷作業の依頼や返品、決済も全てネットで完結するから便利ですよね。物流といえばオープンロジといったポジションを確立していきたい。

提供:株式会社オープンロジ

再配達問題をはじめとする様々な問題が取り沙汰される物流業界。

「物流はこれから、テクノロジーがより浸透し、ダイナミックに変化する。これまでアナログだった物の流れがデジタルになり、高効率化された未来が到来する。物をつくる人とそれを欲しい人、その間の物流や配送がすべてネットワーク化され、需要と供給が最適化される。物流の進化から、経済が新たに活性化していく。我々は、そんな物流の未来を動かす次世代のインフラをつくり、この時代の変革を、物流に関わる多くの情熱たちと共に成し遂げたい。」と伊藤の弁にも熱が入る。

「物流の未来を、動かす」というミッションを掲げ、物流のさらなる進化に挑み続けている。

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起業した際の7つ市場評価ポイント・6つのバリュー

最近は、躍進の一翼を担う人材も続々入社中だ。オープンロジの目指す未来に共感し、目指す未来を作りたいと多くの有望な人材が集まっている。

好循環を生んでいる理由は、伊藤が起業するときにアイデアのスクリーニングとして考えていた7つの事業評価ポイントをすべてを満たし、その事業の可能性を感じるものが多いからだという。

ちなみにスクリーニングの7つの基準はこうだ。

  1. マーケットが成長しているか
  2. マーケットの規模が大きいか
  3. 参入障壁が高い=簡単に競合が真似できないか
  4. 既存業者が競合視する可能性が低いか
  5. 誰もやっていない事業であるか
  6. 土地勘がある=これまでのキャリアなどで培った知識やスキルを活かせるか
  7. オペレーションを含め実現可能か

つまり、これから大きく変化し、成長する業界の未来を自分たちで作っていける。この魅力はエンジニアにとってもビジネスサイドを担う者にとっても魅力だ。

しかし、まだまだ伊藤の目指すビジョンの実現からは程遠い。物流の未来を動かす、物の流れを変えていく世界を目指しさらなる飛躍を遂げるため、会社の価値観と共鳴するプレイヤーはこれからもどんどん採用していきたいという。

どういった価値観を持つ者を採用していきたいのだろうか。以下6つの価値観にフィットするということが、オープンロジ採用の明確な要件になっていた。

1. セーフティゾーンから、はみ出そう。

心地いい場所に安住しない、評論家にならない。自ら課題を見つけて挑戦しよう。 その過程の失敗なら、歓迎する。失敗をチャンスに、改善を重ねよう。

2. 本質を、問え。

場当たり的な“対処”ではなく、本質的な“解決”を導き出そう。 本質はシンプルだ。手段に固執せず、目的ファーストで柔軟に行動しよう。

3. 逆境こそ、笑おう。

新しい挑戦には困難はつきもの。それにくよくよせず、向き合う姿勢を大事にしよう。 逆境を突破する姿勢がタフな粘り強さや責任感をつくる。逆境を、成長のチャンスに変えていこう。

4. リスペクトで、向き合おう。

誰しもそれぞれに短所があり長所がある。ひとりひとりの違いを、尊重しよう。 違いを認めることは自分の可能性を広げることと同じだ。謙虚に周りから学び成長を加速させよう。

5. 巻き込んで、解決へ。

ビジネスは団体戦。共につくるからこそ価値がある。一緒に解決し、未来に進もう。 そして意見の違いがあれば遠慮せず対話しよう、役職や入社歴に関係なく周りを巻き込もう。

6. オープンに、広めよう。

成功体験はもちろん、失敗からの学びこそメンバーに共有しよう。 また、私たちのミッションや提供している価値を世の中にもっと広めよう。


組織も1年前は15名だったのが今は45名と組織が大きくなっているタイミングで改めて会社として「どういう会社になりたいか」というミッションと、「どういう人と一緒に仕事をしたいか」というバリューを明確にした。

伊藤価値観が一致する人間に囲まれているとモチベーションも最大化できる。だからこそスピードをもって結果も出せる。私もサラリーマン時代はモチベーションが日々変動してたけど、今は上げることがあれ下がることはない。それは真剣に向き合ってるミッションや、形にしたい世界があり価値観を共有したメンバーと一緒に仕事をしているから。毎日が楽しいですよ。

提供:株式会社オープンロジ

その言葉を体現するかの如く、2017年の売り上げは前年比で730%増と急成長している。事業が成長している理由として「プロダクトマーケットフィットがうまくいっている。リリースして3年経ったが地道にプロダクトの改善を積み重ねて、ユーザーから信頼を獲得した結果、口コミで事業が伸びている。」

今年の7月には7.3億円をベンチャーキャピタルから資金調達をした。資金使途は「物流の未来を、動かす」というミッションを実現するため。既存事業の拡大はもちろん様々な新規事業を立ち上げる計画もある。

当然それに伴い優秀な人材も必要になる。課題が大きい物流業界だからこそ、オープンロジが担える役割も多いはずだ。物流の世界にオープンロジが開けだした風穴は、まだまだ広がっていきそうだ。

写真提供:株式会社オープンロジ

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株式会社オープンロジ 代表取締役CEO 伊藤 秀嗣
[文]松本 玲子

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