事業家必見!プラットフォームビジネスのキモとは──FastGrowが厳選した日本のスタートアップ8社を大解剖

最も大きな成長が見通せる事業のかたちとは何か?その答えの一つが、「プラットフォーム」であることに、疑問はほとんどないだろう。

プラットフォーマーと言えば、一番に思いつくのはやはりGAFAM。特にGoogleは「ググる」というワードが日常から生まれるほど、私たちの生活に浸透している。また、GmailやGoogleカレンダーを使ったことがないビジネスパーソンはほとんどいないはずだ。そんな話をしていると、Googleが提供しているサービスのほとんどが“無料”だということに改めて驚かされる。

そんな人々の生活に浸透するような、プラットフォームビジネスを展開している企業が日本にあるか、否か。あなたはどっちだと思うだろうか。

FastGrowの答えは“もちろんある”だ。

今回「プラットフォーム」をうたう事業を展開するベンチャー企業・スタートアップのなかから8社を厳選。GAFAMだけでなく、国内の事例からも学べるものはものすごく多くあるはずだ。そのプラットフォームビジネスの真髄と今後の期待を大解剖し、届けよう。

  • TEXT BY TAKASHI OKUBO
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プラットフォームビジネスのキモは、「全人類がユーザーとなる可能性」だ

「世界的なプラットフォーマー」と呼ばれるGAFAM。

Web検索を軸としてBtoBクラウドサービス(Google Workspaceなど)や動画プラットフォーム(YouTube)にまで手を広げるGoogle。コンピューターや音楽プレイヤーといったデバイスに始まり、ファイル共有や音楽といった領域でクラウドサービスを洗練させているApple。インターネット上の出会いを創出するSNSから、世界中の人々の生活を広げるに至ったFacebook。オンライン書店というバーティカルなサービスから、あらゆる商品を超スピードで購入できる世界規模の流通ビジネスを実現させたAmazon。オンプレミスからクラウドサービスへの脱皮をあっさりとこなし、大企業だけでなくスタートアップにも導入は意外に多いMicrosoft

これらの企業の共通点は何か?それは「生活者の誰もが利用する可能性が大きなサービス」という点だろう。ビジネス的に言えば「全人類がTAMになる」あるいは「全企業がTAMになる」といったところだろうか。

日本企業でも、例えばメガベンチャーとも呼ばれるうち、LINEは国内MAUが9,200万にのぼる。もはや、生活者の日常を支えているといっても過言ではない。まさにプラットフォームだ。

では、こうした企業に続く大きなポテンシャルを持つ事業に、どのようなものがあるだろうか?国内のスタートアップに、こうした期待は持てるのだろうか?そんな疑問からFastGrow編集部が徹底リサーチ。

今回は、すでに「プラットフォーム」とうたっている企業をリストアップし、その中から特に興味深い事例を8社に絞り込んで解剖した。独断と偏見で「これは全人類が使うようになるかも?」と感じた事例から、あなたの事業の拡大に活かす知恵をぜひ得てほしい。

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AI inside
「AIロジスティクス」を叶える次世代ネットワーク。
“人類の進化”へ、AIを徹底活用するプラットフォームを

AI inside 株式会社

“世の中を変えるグローバルNo.1のAIプラットフォームへ”

そう語るのは、2022年3月にCPOに就任したAI insideの渡久地択(とぐちたく)氏だ。CEOとしての肩書きももちろん残し、CEO兼CPOという役割を背負うことを決めた。「世界中の人・物にAIを届け豊かな未来社会に貢献する」というミッションに対して、どこまでも向き合う志が垣間見える。

AI insideは、単にAIサービスを提供する企業ではない。「自在に使ってもらえるようにAIをあまねく届ける」ロジスティクスこそが本質なのだ。

つまり、AI insideの「プラットフォーム性」の柱は、「誰でも簡単にAIをつくって使える環境を、届けること」にある。

独自のAI管理OSとソフトウェアにより、あらゆるAIの運用を実現するために作られたエッジコンピュータ『AI inside Cube』、ノーコードで誰でもAIモデルが作成できる『Learning Center』に、専門知識が無くてもAIモデルによる分析が可能な『AMATERAS RAY』、そしてAI-OCR『DX-suite』。これらのAIプロダクトは全て、AIロジスティックスを実現させるための要素にすぎない。AI insideが実現したい未来は、人類一人ひとりがAIの使い方を考えAIと共存する世界だ。その構想は人類の生活を大きく変えるかもしれない。

こちらの記事でも語られるように、渡久地氏はAIを業務効率化するためだけに使うのではなく「人類の進化のために」使われるものだと強調する。次のインターネットとも表現できる、知識・情報・知能の流通網「Leapnet(リープネット)」を独自に創るために、この会社は存在しているというわけだ。既存の市場を攻略していくだけでなく、自らの手ですべてに先駆け、誰も想像できないような市場を創ろうとしているわけなのだ。

これまでの私たちは、AI技術によって誰かが作ったサービスを利用し生活を豊かに過ごしてきた。しかしこれからは、自分の望むAIそのものを作ることが当たり前になるかもしれない。「誰でもAIが作れる環境を届ける」。これがAI insideの唯一無二のプラットフォーム性なのだ。

関連記事:【AI inside渡久地択】プロダクトもAIも“人類の進化”の手段、未来創造者の代表取締役CEOが語る | FastGrow

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Rehab for JAPAN
高齢者人口比率世界1位の日本において、介護DXプラットフォームとしての地位を確立する

株式会社Rehab for JAPAN

介護業界には、未だに紙を使った非効率な業務が残る。そのため、本来時間を割くべき「高齢者のケアに時間を割けていない」と語るのはRehab for JAPAN(以下、Rehab)代表取締役CEOの大久保氏だ。作業療法士として働いてきた経験を活かし、業界の根本的な課題を解決すべくRehabを立ち上げた。

介護SaaSと聞くと、Rehabは介護業界で働く人たちの効率化を目指しているBtoB向けサービスを提供する企業だと思うかもしれない。もちろんその姿もあるのだが、それ以上に重要な点が、常にエンドユーザーである高齢者を意識してプロダクトを開発していることにある。例えば代表的なプロダクトである「リハプラン」は、業務の効率化に加えて利用者の身体機能向上に必要なプログラムを自動で提案する。

だからBtoBにこだわっていることもないし、むしろBtoBだろうとBtoCだろうとそんなことは気にしていないのだろう。目指すのは「介護にかかわるすべての人が利用するプロダクト」になること。Rehabは介護そのものの可能性を大きく広げるDXを次々と実現するためのプラットフォームを、志向しているのだ。

介護関連IT企業がまだやり切れていない「介護そのもののデータやエビデンスの収集と蓄積」を、Rehabはすでに実現させつつある。確かに、大久保氏は介護業界のプロであっても、テクノロジー領域のプロではない。だからこそ、その穴を埋めるべく、リクルートでホットペッパービューティを大きくグロースさせた池上晋介氏と、SUUMOなどのUXデザインを担当した若林一寿氏がジョインした意味は大きい。そして、両氏に追随して介護業界の未来を変えたいと志すものも続々と集まっている。

日本は今後2040年までの約20年間、高齢人口比率が世界1位となると言われている。これは日本の人口構造から見れば大きな課題だが、介護業界から見ればこの20年間はポテンシャルしかない

世界1位の市場で大きな社会課題を解決するべく、急成長する介護DXプラットフォーム。生きているものは皆、高齢者となり、高齢者となれば利用者になりうる。つまり、この記事を読むあなたにも大いに関係があるのだ。大げさに言えば、人生の終盤には皆がRehabというプラットフォームの中で生きている未来が待っているかもしれない。

関連記事:【連載企画】高齢者の生活をリデザインー介護DXで社会的インパクトを狙う、Rehab for JAPANの挑戦 | FastGrow

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Ubie
長年解決できなかった医療業界の課題を解決し、圧倒的なスケール感で躍進するヘルステックスタートアップ

Ubie株式会社

コロナという100年に一度のパンデミックを経験した私たちは、ここ数年で医療機関の重要さを感じずにはいられなかったのではないだろうか。そんな医療業界にはパンデミックが訪れる前から大きな課題を抱えていた。それは一般市民には病気の兆候が分からず、医療機関に訪れた時には深刻な症状に発展してしまっていることが多々起こっていることだ。

Ubieの共同創業者であり医師でもある阿部氏は、研修医時代に「もっと早い段階で患者への治療介入ができないか」とジレンマを感じていた。その課題を解決すべく、高校時代の同級生でもあったエンジニアの久保氏とともにUbieを創業した。

自社プロダクトである「ユビーAI問診」と「生活者向けユビーアプリ」によって、院内の医療従事者の不足という課題と、院外の適切な情報が届かず適切な受診ができない課題を解決する。ユビーAI問診が実際に医療機関で使われたことで膨大なデータが集まり、問診時の医師の思考をアルゴリズム化した。その結果、一般市民に最適な受診のタイミングや医療機関をAIが提案するアプリが生まれたのだ。この構想は久保氏の京都大学工学部時代から思い描いていたアイデアの一端でもある。

このアプリをリリースしたのは2020年の4月。コロナに対する情報が様々な形で錯綜し世間は医療機関を受診すべきか悩んでいた。そんな世間の状況に緊急性を感じたUbieは急ピッチで開発を進めてリリースした結果、アプリは瞬く間に広がった。

そんなUbieの挑戦はまだ道半ばだ。地域医療体制づくりの支援に関する包括協定の締結や、日本ベーリンガーインゲルハイムと肺線維症領域での協業を始めるなど精力的に活動している。彼らは単なる医療業界の業務効率化で終わらない。疾患の早期発見など、長年、解決できなかった課題に立ち向かい、医療業界の「根本的な課題」を解決するために奔走している。

生活者と医師。両者をつなぐUbieには、世界的なコミュニティプラットフォームへと成長したFacebookを想起させる。なぜならFacebookも、大学生同士をつなぐコミュニティから始まり、全世界の人々をつなぐまでになった。Ubieも今は生活者と医師の2軸にフォーカスしているが、医療の根本的な課題を解決し続けていけば巨大な医療産業になくてはならない存在となるはずだ。

シンガポール法人の設立も果たし、今後はアメリカへの進出も考えているUbie。ビジネス的なスケーラビリティの大きさが違う。これがUbieのプラットフォーム性だと言えるだろう。

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Chatwork
目指すのは唯一無二のビジネス版スーパーアプリ。
国内99.7%の中小企業のビジネスインフラを構築する

Chatwork株式会社

テレワークやフルリモートが増えたこともあり、ビジネスチャットのニーズやその重要性は日に日に増している。そんなチャットという強力なタッチポイントを有し、DX支援を推進するスーパーアプリを目指しているのがChatworkだ。2022年12月期 第1四半期決算説明資料によると、2021年度の売上成長は前年比+47.9%と大きく成長を続けており、登録ID数も509.7万IDに達し、IDの増加ペースはさらに上がってきている。

強大な競合ひしめくビジネスチャット界でなぜChatworkはここまで成長できたのだろうか。そこは是非こちらの記事でCOO福田氏の脳内を覗いてほしいところだが、端的に伝えるとPLG戦略とポジショニングにある。Chatworkはあえて、ITスキルが低く企業規模の小さな中小企業向けのポジションを取った。

SaaSのセオリーでいけば、エンタープライズ領域を攻略して成長することを目指す。しかしそれをしなかったのは、Chatworkが日常に溶け込むサービスだからだ。日本の99.7%は中小企業だと言われている。“国内企業99.7%の日常に溶け込むサービス”と考えれば、TAMのとんでもない大きさを感じられるのではないだろうか。

そんなChatworkが今後、中小企業に提供しようとしているのがDXソリューションだ。「中小企業No.1ビジネスチャット」というポジションから「ビジネス版スーパーアプリ」への変貌を遂げようとしている。このスーパーアプリ構想こそ、「理想のプラットフォームビジネス」と言えるのではないか。FastGrowはそう考える。

この一環として2022年4月にはChatwork Mobileを立ち上げた。他にもメール配信サービス「blastmail(ブラストメール)」やBYODサービス「Chatwork アプリフォン」など、1ヶ月以内に合計3つも新サービスをリリースしている。この勢いから、チャットに限らず従業員が日常的に必要する「ビジネスのインフラ」の全てを改変するための意気込みが伝わるのは筆者だけだろうか。

ここまでの話からもわかるように、国内の全会社がChatworkの見込み顧客になると言っても過言ではない。同社の決算説明書によると、ビジネスチャットの潜在市場規模を労働人口6724万人✕Chatwork利用単価(800円✕12ヶ月分)で6,455億円と試算。そしてスーパーアプリ構想が実現すれば、労働人口を超えて国内の中小企業のIT支出全体へと拡大するため、その規模は4.1兆円にも上るという。

中小企業に勤める全従業員がつかうとすれば、取引のある大企業やITスタートアップの社員が使う場面も増えるだろう。そうなれば、大きな競合と同じくらい、だれもが日常的に使うツールとなるのかもしれない。そうなればいよいよ、Googleにも匹敵するプラットフォーマーとしての立ち位置に近くなってくるというのを、過ぎた想像とは言えないはずだ。

2025年以降のChatworkが楽しみだ。日本初のビジネス版スーパーアプリとなり、不動のポジションを築いているに違いない。

関連記事:理想のSaaSを創る、7つの条件──Zoom以上のPLGを実践する、Chatwork福田氏の脳内を徹底解剖 FastGrow

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Showcase Gig
スマートフォンから始まる次世代の感動体験。
新しい店舗を創出するプラットフォーム

株式会社Showcase Gig

人々の生活に欠かせなくなったスマートフォン。電話、メール、SNS、ナビ、Web検索に加えて、日常の決済や健康保険証の提示まで可能なデバイスだ。「Pokemon GO」のようなAR(拡張現実)とリンクする入口にもなり、今後広がっていくメタバースの世界につながるためにも欠かせないものとなるだろう。スマートフォンは私たちに様々な「感動体験」をもたらしてくれる魔法のデバイスだと言える。

そんなデバイスから得られる感動体験を、「飲食店などのオーダー」に持ち込んだのがShowcase Gigだ。同社は、今のようにオンライン化が当たり前だと思われていない2012年からモバイルオーダープラットフォームを展開。自分のスマホから注文できる仕組みを構築することで、店舗とユーザーの注文という接点から生まれる課題を解決する。

50年かかっても変わらなかった飲食業界が、コロナに直面したことをきっかけに変わり始めた。そんな世の中の変化と、今後、間違いなくスマートフォンが行動の起点となっていくことが予想される中、Showcase Gigは2021年1月にモバイルオーダープラットフォームの立ち位置を「店舗創出プラットフォーム」として再定義した。

新時代の消費行動を支えるために必要な店舗とは一体どのようなものだろうか。おそらくその答えの一つが「The Label Fruit」なのだろう。モバイルオーダーで自分だけのオリジナルフルーツ・オレが作れ、受け取りは無人のロッカーから受け取る。言葉だけ見ると無機質で人間味がないと感じるかもしれないが、それは間違いだ。消費者はオーダーから受け取るまでの新しい消費体験を楽しみ、出来上がったフルーツ・オレを見て満足しSNSに投稿する。

この体験を、あらゆる「店舗創出」において実現させるのだ。つまり、全人類に関係がある新しい体験と言える。なぜなら、どれだけECが発達したとしても、リアル店舗に行くことのない人はおそらくいないからだ。世界中の人々に関係のあるプラットフォームとなれば、Google並みのポテンシャルがあると言えるのではないだろうか。

消費者が話題を作り、メディアが取り上げ、販売側はさらに繁盛し潤う。モバイルオーダーを起点に始まる感動体験。ユニークなエンタメも提供し消費行動そのものを楽しませてくれる。これこそShowcase Gigが目指す次世代の店舗創出ではないだろうか。

オンラインからオフラインへ送客するOMOは今後益々広がっていく。新しい店舗産業の土台を作るプラットフォーマーから、今後も目が離せない。

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エアークローゼット
サーキュラーファッションの仕組みを確立し衣服の大量廃棄問題を解決する

株式会社エアークローゼット

環境省によると、1着の服を作るのにCO2の排出は25.5kg(500mlのペットボトル255本分)にもなるという。2000年頃を境に衣服一着の金額はより安くなり、その結果多く流通するようになった。そうして大量生産された服の末路は約68%がゴミとして廃棄されているという。

このような課題を解決するため、エアークローゼットはファッション分野におけるサーキュラーエコノミーを作る。溢れたストックを有効活用し、エアークローゼットというプラットフォームを介することで付加価値を生み出す経済活動。同社はこの活動を「サーキュラーファッション」と表現し、その仕組みの確立を目指す。循環型経済モデルを構築することで衣服廃棄を削減するのだ。

またファッション業界の大量生産大量消費モデルが主流になった結果、多くのブランドがコスト削減を求められた。そして低価格のOEMメーカーを利用することになり、似通った服ばかりになる「類似化」が発生。最新のファッションが安く手軽に楽しめるようになったはずが、消費者のファッションに対するワクワク感は薄まってしまった。

その反動からなのか、現代のファッション嗜好は「自分らしさ」を求める傾向が強い。そのようなニーズに応えるため、エアークローゼットはデータベースの蓄積された顧客の嗜好データとスタイリストのコーディネートによって提案する「パーソナルスタイリング」にこだわる。また、“循環”に欠かせない検品・クリーニング・リペアなど独自のメンテナンスノウハウを持っていることも強みだ。

エアークローゼットが何よりも大事にしているのはユーザーの「時間価値」にある。例えば服を選ぶことに何時間も悩む時間を無くし、その分、自分らしい服を着て出かける時間や大切な誰かと過ごす時間を増やす。悩む時間よりも楽しむ時間を増やすことで、時間の価値は大きく変わると考えている。

ユーザーは選ぶ手間をかけずに自分に似合う服を手に入れられる、ファッション事業者は生産した服が長い期間愛用されることになる、そして環境問題も解決する。フランスで2022年1月から在庫や売れ残り品の廃棄を禁止する法律が執行されたように、世界中で衣服廃棄削減の動きは加速するだろう。

服を着ない人などいない。だからあなたも遠からず、この事業について意識する日が来るかもしれない。いや、きっと来る。なぜなら、エアークローゼットが解決しようとしているこの社会問題に、関与していない人間はいないからだ。

SDGsへの関心が年々高まっている流れから無関心でいられるわけがない。あらゆる人を巻き込む可能性が高い問いと向き合う。エアークローゼットというプラットフォームとともに、私たち一人ひとりが考えなくてはならない。

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dely
レシピ動画数世界No.1。食べるだけでなく料理そのものを楽しむ食のプラットフォームへ

dely株式会社

delyといえば『クラシル』の会社だとすぐに言える人は多いかもしれないが、決してそれだけではない。その実態は「食のエンタメが集まるプラットフォーム」だ。

コロナによって巣ごもりを強制され外食も制限されたことから、家庭での料理負担は増えた。料理をする人なら共感できると思うが、1日3食のレシピを毎日考え、食べる人が満足するような味を提供し続けることはただでさえ負担がかかる。

そこで重宝されたのが「レシピ動画」。delyが提供する「クラシル」も、コロナ禍で利用者数が急伸した。ユーザーニーズで多かったのは「料理のレパートリーを増やしたい」「特定の食材のレシピが知りたい」「簡単かつ時短メニューのレシピが知りたい」といったものだ。

管理栄養士が監修した "かんたんにおいしく作れるレシピ" を提供する『クラシル』は、2022年3月時点で、累計ダウンロード数は3,400万を突破し、SNS総フォロワー数は約980万と日本一を誇る。さらにレシピ動画数は4万5,000以上と世界一の規模だ。そんな日々の献立の悩みを解消するスタイルを築き上げた。だがこれらの実績はdelyにとって通過点に過ぎない。これから目指していく「食のエンタメが集まるプラットフォーム」のための土台なのである。

レシピ動画サービスから食のエンタメを集めるプラットフォームへと進化する。それは“食に関心のある多くのクリエイターが、食に関心のあるユーザーに向けて発信する、これまでにないプラットフォーム。”だと、広告事業責任者の村瀬氏も語っている。2021年12月には「クラシルショート」をリリースするなど、食べるだけでなく料理そのものを楽しむプラットフォームとして日々進化している。

“食”は私たちの生活にもっとも欠かせないものの一つだ。そんな食をもっと美味しく、もっと楽しくするためには、質の高いレシピが欠かせない。これはあくまでも想像だが、レシピ動画サービスを始めたときから、このプラットフォーム構想があったに違いない。delyの事業が成長し成功することで、また新しい食の感動体験が生まれていくと思えばワクワクしてこないだろうか。この可能性に期待しないのはもったいなさ過ぎる。

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SmartHR
顧客課題ファーストで気持ちよく働ける会社を増やす。
多様なニーズに本気で応えるためのプラットフォーム事業

株式会社SmartHR

SmartHRは人事労務管理ができるクラウドサービスを提供し、HR業界のDX文化をいち早く作り上げた。そのことはFastGrowの読者なら周知のことだが、「SmartHRはプラットフォームなのか?」と疑問を持った方は、いるかもしれない。実は、プラットフォーム事業を2023年に本格リリースするため着々と準備を進めている最中だ。

プラットフォームの役割は、SmartHRの利用ユーザーとバックオフィス業務の効率化が図ることができるアプリケーションをマッチングすることだ。その背景には「ニーズの多様化」と「ネットワーク効果を強くしたい」という2つの考えがある。

HR領域の業務は多岐にわたるため、SmartHRといえど全ての課題を自社プロダクトのみで解決することは難しい。しかしSmartHRを利用するユーザーにとって「最高の結果」は、自分達を取り巻く全ての業務課題が解決することだ。SmartHRの想いは“Employee First.”。気持ちよく働ける会社を増やすため、出した新たな答えの一つが、プラットフォーム事業ということだろう。

自社プロダクトの改善も継続しつつ、他社システムとシームレスに繋がることで付加価値を強化。専売特許である人事労務管理のプロダクトに加え、人材マネジメント領域でも自社開発をしているが、そこに加えてさまざまな課題解決を実現するために進めているのが、このプラットフォーム構想なのだ。

壮大な構想に先駆けて、既に従業員の安否確認サービスとの連携を行い、SmartHRにて管理している従業員情報をワンクリックで取り込めるようにするなど、既存ユーザーへの提案も着々と進んでいる。

顧客の課題解決ファーストな姿勢がいかにもSmartHRらしい。自社のプロダクトでできないとしても、開発できるまで待ってもらうのではなく、他社のプロダクトをも巻き込んで課題を解決する。至極単純な話ではあるのだが、実際に旗振り役となってプラットフォームを作り上げていくには強固な組織体制が必要だ。SmartHRこそ、その役割にふさわしい存在だと言えよう。

SmartHRという土台の上に人事や労務がまわっていく世界。AppleユーザーがなかなかAppleエコシステムから抜け出せないと皮肉のように言われることも多いが、同様に「SmartHRなしの企業経営は考えられない」世の中になっていくのかもしれない。

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GAFAMを超えると感じた企業は、ありますか?

プラットフォームとは環境を構築する土台である。リード文でも引き合いに出したGAFAMは様々な環境の土台を作り、世界のスタンダードとなった。しかし人類の生活環境は米国の企業だけで賄えるほど小さくはない。あなたは今回ピックアップした8社を見て、新しい日本の、いや世界のスタンダードになる可能性を感じたのはどの企業だろうか。

発想の起点や中身、解決したい課題はどれも異なる。しかしどのプラットフォームも私たちの生活を大きく変える可能性を秘めているものばかりだったはずだ。

インターネットの世界ではビッグテックによる中央集権的なビジネスモデルが問題視され、新たな思想「Web3」への注目度は急上昇中だ。その流れからプラットフォームのあり方も見直されていると言えるだろう。しかし大きな社会課題を解決していくには大きな力を持ち、私利私欲のためではなく本気で課題と向き合うプラットフォームの存在が、より一層必要不可欠なものとなっていくのではないか。

この8社には特に、期待せずにいられない。

こちらの記事は2022年05月27日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

大久保 崇

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