「日本のイノベーション・エコシステムを補完する」来たる共創社会に向け、FastGrowは何を目指すのか

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インタビュイー
西川 ジョニー 雄介

モバイルファクトリーに新卒入社。2012年12月、社員数3名のアッションに入社。A/BテストツールVWOを活用したWebコンサル事業を立ち上げ、同ツール開発インド企業との国内独占提携を実現。15年7月よりスローガンに参画後は、学生向けセミナー講師、外資コンサル特化の就活メディアFactLogicの立ち上げを行う。17年2月よりFastGrowを構想し、現在は事業責任者兼編集長を務める。その事業の一環として、テクノロジー領域で活躍中の起業家・経営層と、若手経営人材をつなぐコミュニティマネジャーとしても活動中。

平野 雄大

早稲田大学政治経済学部、未卒。学生起業を経て、2018年4月よりFastGrowにジョイン。事業のミッション策定から、10名弱のメンバーを率いながらスポンサードコンテンツの企画・制作を統括するクライアントサクセスチームのマネージャーを歴任。現在は、ユーザーサイド(toC)のグロースを管掌し、マーケティングとプロダクト開発を担う。若手社会人350名が所属するイノベーターコミュニティと、xGarageのオーナーとしてコミュニティマネージャーも兼任。

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起業家、エンジェル投資家、VC、インキュベーター、新規事業担当…イノベーション創出に関わるキープレイヤーは多岐に渡る。

FastGrowは、こうしたプレイヤーたちとは異なるスタイルで、イノベーション創出に取り組むんでいる“スタートアップ”だ。

目指している先は「メディア」ではない。そして、近年話題にのぼることが多い「コミュニティ」でもない。今回は新ミッション「イノベーターの成長を支援し、未来社会を共創する」を策定したのにあわせ、スローガン株式会社でFastGrow事業部長兼編集長を務める西川ジョニー雄介、同コミュニティマネージャーの平野雄大に話を聞いた。

「我々自身もスタートアップだ」と語る事業の全容から、もともと2度目の起業を予定していた平野がジョインを決めた理由まで、FastGrowの裏側に秘められたビジョンと想いを明かしてくれた。

  • TEXT BY MASAKI KOIKE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
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“福島良典にとっての木村新司”のように、イノベーターを支援するプラットフォームへ

「FastGrowが目指しているのは、“クオリティの高いメディア”ではないんです」

2017年の立ち上げから2年あまり。文字通り昼夜問わず、FastGrowのことだけを考え、行動してきた西川ジョニー雄介は、力強く言い放った。

FastGrow 事業部長兼編集長 西川ジョニー雄介

ジョニー知識を集積し、ノウハウを広めるだけではなく、起業家に必要な繋がりや場を提供する「プラットフォーム」を創り上げていきたいんです。FastGrowを起点としたコミュニティのメンバーや関係企業が繋がりを持ち、イノベーションを生み出していく──いわば“FastGrowマフィア”を世に生み出すために、必要なヒト、モノ、カネ、そして情報を、全て集約していきたいと思っています。

FastGrow コミュニティマネージャー 平野雄大

平野“FastGrowマフィア”って、良い響きですね。FastGrow発の起業家が、あらゆる「起業家ランキング」的な格付けの上位を総なめにして、「FastGrowのおかげです」と言ってくれたらハッピーですよね。

FastGrowにとって、日々配信している記事は「イノベーターの成長支援」の入り口に過ぎない。記事でFastGrowというブランドを認知してもらったうえで、様々な形で学びや出会いを設計し、コミュニティのメンバーと「未来社会を共創」していく。

その「共創」の一つの形がイベントだ。XTech Ventures株式会社及びXTech株式会社の主要メンバー4名、メガベンチャー創出を目指す同志12名と共に、事業構想を創った1泊2日の起業合宿「XTech Ventures Next Entrepreneur’s Bootcamp」。ロールモデルとなるCxOたちとディスカッションできる機会を提供した「FastGrow Future CxO Summit」。8年間コンペ勝率100%、FastGrowの連載記事でも話題を呼んだTORiX株式会社代表・高橋浩一氏による「コンペ勝率100%を目指す。勝ち続ける営業組織の作り方 実践編」。これらはその一例だ。

ジョニー有望な起業家や投資家ですら、困りごとはあるはずです。FastGrowでは、イノベーションのエコシステムを加速させるために、あらゆる人や情報を結びつけていきたい。例えば、株式会社Gunosy創業者の福島良典さんが連続起業家の木村新司さんを組織に巻き込み力を借りたように、価値ある人材や情報を有機的に繋げ、大きなインパクトを与えるイノベーションを後押ししたいんです。

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武器は「編集力」。良質な「情報」と「ヒト」を繋ぎ、編み直す

イノベーション・プラットフォーム構想は、決して夢物語ではない。なぜならFastGrowは「実践者の経験に基づいた、生きたノウハウ」という武器を手にしているからだ。

ジョニー僕たちが起業家や経営者、投資家の皆さんから聞かせていただいているのは、ニュースやトレンドばかりではありません。最先端をひた走るトップランナーたちから、「なぜあなたはうまくいったのか?」、「あなたに続く起業家、経営者を輩出するためにはどうしたらいいのか?」といった事実と経験に基づく話を聞かせていただきながら、どんな時代でも普遍的な、本質的ノウハウを提供し続けてもらっているんです。

僕自身が社会人の8年間、身を粉にして起業や事業・サービス創りに取り組んできて分かったのが、「世の中に出ている表面的なノウハウだけを取り入れても、大きな事業は創れないな」ということ。例えば、「イーロン・マスクが唱える『週100時間働け』を字面だけ実践してみても、選ぶマーケットとタイミングが悪ければ、数億円以上の規模の事業は創れないんだな」というように。

しかし、同世代で100億円規模の事業を創り上げてきたGunosyの福島さんに話を訊くと、そもそも頭の使い方や見ている景色、日々の行動が全然違ったんです。そうした「100億円の事業を作る」ための考え方や頭の使い方を熟知しない限り、どれだけがむしゃらに頑張っても、この人みたいにはなれない──取材の帰り道に、そう感じました。だからこそ、僕と同じように大きな事業を創るべく頑張っている人たちの助けとなるような、「本質的で普遍的なノウハウ」が詰まったコンテンツをつくり続けてきたんです。

平野「#起業しろ」ブームが端的に表しているように、世の中の潮流として、起業家の母数は増えつつあります。それ自体はエコシステム発展のためにも非常に良いことですが、起業した後に成功へ繋げるためのノウハウがまだまだ出回っていない。メディアとして多くの方に情報発信する以上、上手くいった人のサクセスストーリーで起業を促進するだけでなく、増えた起業家の成功確度を上げる仕組みを提供するのも当然だと思うんです。

僕も起業経験があるのですが、メンバーが2桁を超えたあたりで組織づくりという課題に直面しました。見切り発車でスタートしたという原因もありますが、FastGrowの連載記事を読んで個人的にブレイクスルーがあったんです。ですから、イノベーションを起こすために必要な知識を、FastGrowを通じてもっと流通させていきたい。

もちろんFastGrowは、起業・経営ノウハウのような「情報」だけでなく、「人」の繋がりも豊富に保持している。1万名近い登録会員や定期読者をはじめ、記事やイベントに登場してくれた起業家や投資家はもちろん、XTech Venturesや500 Startups Japan、アプリコット・ベンチャーズをはじめとする国内VCとの提携も進行中。また近年増えつつある、新規事業創出を志向する大手企業とも、続々とリレーションシップを構築中だ。

そしてFastGrowが「情報」や「人」を繋ぐ際にポイントとなるのが、メディア運営で培った「編集力」だという。

平野起業家や投資家と交流できるイベントを開催するだけなら、各社のMeetupで実現できますよね。「じゃあ、そこでFastGrowが提供できる価値って何なんだろう?」と考えたときに、「編集」がカギとなると思うんですよ。コンセプトを策定し、最適な人や企業を巻き込み、ユーザーと繋げていく──まさにイノベーションを生むための場を「編集」しているわけです。

そしてこの「編集力」は、今まさに時代に求められているものですよね。インターネットやSNSの普及で過剰に情報が流通し、さらにはAI化によって人間の仕事は「解のない問いを立て、解くこと」に変わってきました。これを解くプロセスでは、情報や技術をはじめとするあらゆるリソースを「編集」する力が必要です。それをライティングだけでなく、事業づくりの中で学び、実践できるのは面白いですね。

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転機は「深夜3時の飲み屋」。起業予定の平野が、FastGrowへのジョインを決めた理由

現在こそイノベーター創出のプラットフォーム化を目指すFastGrowだが、そもそも2017年のローンチ時にはミッションすら曖昧な状態だった。

ジョニースローガン代表の伊藤と事業アイデアをディスカッションしているうちに、「ベンチャーのブランディングへのニーズが高まりそうだよね。露出を増やしたいベンチャー企業が、日経やForbesで取り上げてもらえるようになるまでの橋渡しになるメディアが求められるようになるんじゃないかな」と方向性がまとまった。

僕自身、次は規模が大きく、成長性のある中途人材マーケットに関わる事業がやりたいと思っていたので、そのままの流れで「よし、とりあえずベンチャー経営者の記事を作りまくろう」と、いわば見切り発車で生まれたのがFastGrowだったんですよ。今思うと、「あとはお前が考えろ」という伊藤の戦略だった気もしますね(笑)。

がむしゃらに取材を重ねること1年あまり、コンテンツの質・量をパワーアップさせるために外部ライターや編集者などのパートナーも巻き込みはじめたタイミングで、「何がしたいメディアなのか?」、「FastGrowにとって『面白い』とは何なのか?」と問われる機会も増えた。そこで策定したビジョンが、「若手CxO人材の育成を成長支援するコミュニティ」だ。当時のブログ記事にも詳しく書かれてあるが、自身の経験をもとに、「将来起業したい人を助けよう」と方針を決めたのだった。

そして、FastGrowの方針が固まった2018年春、平野もインターン生としてFastGrowにジョイン。彼もまた、ミッションなく売上だけ伸ばそうとしていた自分の事業に違和感を覚え、次に進むべき道を模索しているタイミングだった。

平野先ほどお話ししたように、FastGrowの記事のおかげで抱えていた組織課題を前進させられた原体験が心に残っていて。「情報発信の大元に行けば、良質な情報をさらに多くインプットできるかもしれない」という下心もありましたね(笑)。

フルコミットのインターンとして、イベントの企画・運営、FastGrow初となるコミュニティのマネジメントをはじめ、幅広い業務に従事してきた平野。ジョニーの間近で、事業に深くコミットしていくなかで、「FastGrowにはコミュニティ形成以上にできることがあるのではないか」と思いはじめた。

平野良質な情報やノウハウのインプットは、もちろん大事です。しかし、インプットだけだと動けない人も多い。社会全体を変えていくためには、その先のアウトプット支援まで手を広げるべきだと思ったんです。そしてFastGrowは、「行動」まで変革していけるプラットフォームになれるポテンシャルがあると、途中から確信するようになりました。

時折そうしたディスカッションをジョニーとも行うようになっていたが、「そのうち起業するから」とFastGrowへの正式なジョインを躊躇していたこともあり、そのアイデアは平野個人の頭の中にとどめたままだった。

しかし2018年10月、転機が訪れる。FastGrow主催のイベント「20代起業家3名に学ぶ 本には書かれない事業成功の秘訣」において、株式会社Azitの代表取締役・吉兼周優氏が発した一言が、ジョニーの心に深く刺さった。

ジョニー吉兼さんが「僕は、一緒に戦ってくれている経営陣のことを、何があっても逃げない“運命共同体”だと信頼しています。だからこそ、時間でも人脈でも、自分が持っているリソースは全て経営陣に提供しているんです。逆に、そう思えていない経営チームは伸びないですよね」と仰っていて。

会社経営の経験もあり、FastGrowの未来像も明確に描いてくれる平野には、当時から既にボードメンバー並みに頼っていた面はあったのですが、「まだ本気で彼を信頼しきれていない自分がいるな」と気付かされました。「FastGrowの構想を実現させるためには、何があっても一緒にやりきるという覚悟をお互い持たねばならない」と思い、イベント後にそのまま飲みに誘いました。「なぜ起業したいのか?」という話から始まり、いまお互いが感じていることを深夜の3時まで話し合い、「FastGrowを大きくしていくには君の構想力が必要だから、退路を断って本気でタッグを組もう」と力説したんです。

ジョニーの熱意と、「アウトプットまで含め、イノベーター支援するプラットフォーム」という自身の理想を実現できる環境に惹かれ、平野は入社を決めることになる。そんな平野の想いに駆動され、今回のミッション刷新も実施された。FastGrowが提供していく主たる価値が、「支援」から「共創」に変わったのだ。

平野もちろん、「起業したい」という気持ちは残っていたので、迷いました。しかし、FastGrowでイノベーターの成長を支援し、FastGrowがプラットフォームとしてイノベーションの起点になれば、より大きな社会的インパクトが残せる。僕がひとりの起業家として努力するよりも、他の起業家も巻き込んでともにイノベーション創出に取り組むほうが、より多くの人が幸せになる。その景色のほうが興味があったんです。あとは、新しいことに取り組みたい人々と一緒にプラットフォームを創っていくことで、「色んなことをやりたい」志向性がある自分の欲求も満たせるかなと。

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イノベーターを支援しながら、自らもイノベーションを起こす

責任者兼編集長であるジョニーをはじめ、晴れてジョインすることになった平野、そしてデザイナー2名に、3名のインターン生を加えた7名体制で構成されるFastGrowチーム。スタートアップ支援を行うプラットフォームであると同時に、自身がスタートアップでもある。

というのも、FastGrowは運営母体であるスローガン社のオウンドメディアという位置づけではない。現在の収益源は純粋なスポンサードモデルで、人材紹介ビジネスは一切行なっておらず、P/Lも事業部単体で持っている。

がむしゃらに事業を立ち上げるフェーズから、メンバーが増え、ビジョンやミッションを明確化し、四半期に1回の合宿や毎週の会議で「いまミッションに向かっているのか?」を議論するフェーズに…まさに成長中のスタートアップが辿る道を、そのまま歩んでいる。

こうした壁を乗り越える際の原動力は、日々最先端の起業家やビジネスパーソンに取材を重ねるなかで身につけていった「本質的な組織成長ノウハウ」だ。

ジョニーたとえばFastGrowでも取材記事を出した、500 Startups Japanさん主催の大型転職イベント「500 Career Fair」で、メルペイ代表取締役の青柳直樹さんが「10ヶ月間で5回合宿した」と仰っていて。初めて聞いた時は「そんなに必要あるの?」と正直驚きましたが、人数が急増するなかでのカルチャーマッチの重要性と合宿の効用を説かれていました。

そんな折、メンバーが増え、事業の成長速度も上がってきたFastGrowチームでも、ミッションやビジョン、これからの戦略について腹落ちするまでメンバー同士で話し合う時間が取れなくなってきて、「少人数チームなのにこれはまずいな」と感じたんです。そんなとき、「これ、青柳さんが言ってたやつだな」と(笑)。それから実際にFastGrowでも、インターン生も含め全員で、週1回は「未来会議」と称したミッション・ビジョンの共有や、緊急ではないが重要である長期施策を話し合う場を設けたり、定期的に合宿を開いたりするようになったんです。

平野自分たち自身がスタートアップだからこそ、同じ立場のスタートアップの方々に対し、価値のある情報やネットワークを提供できている面はあると思います。スタートアップが成長ステップのどこでつまづくのか、実体験から知っているので。

現在は、ジョニーが主に起業家や投資家、外部企業との連携模索やセールスを担当しつつ、平野が会員向けのイベント施策やコミュニティマネジメントを担っている。直面している課題は「メディアビジネスからの脱却」だ。

ジョニー2018年は企業の皆様にスポンサードいただくコンテンツやイベントを中心に、メディアビジネスとしての収益を、ある程度まで積み上げることができました。だけど、僕らが目指しているのは“高収益メディア”ではありません。引き続き、メディアビジネスで安定した収益を上げつつも、プラットフォーム開発に向けた投資を加速させていきたいし、そこに関心がある人には仲間に加わって欲しいですね。

ユーザー、起業家、VC、大手企業、インキュベーター、大学から海外企業まで…あらゆる人たちと繋がり、ものごとを編集し、価値を見出していくのが僕らの仕事。プラットフォーム開発はもちろん、FastGrowとしての広報・ブランディングから組織づくりまで、すべきことは山ほどあります。僕らのミッションに共感してくれた人がいたら、ぜひお話してみたいですね。いろんな場所や組織で活躍するイノベーターに囲まれながら、自らも試行錯誤しつつミッション実現を目指す。これ以上ない楽しい仕事です。

平野四六時中ミッション達成を考えているメンバーが集まっているので、未来の話をしているだけで、凄く楽しいですよね。

できれば、自らも起業家やイノベーター志向の方に来てほしいと思っています。イノベーターの成長を支援する僕らがイノベーションを起こしていなかったら、説得力がありませんから。「起業家や投資家のノウハウを吸収しながら、何としてもイノベーションを起こすぞ」という気概のある方と一緒に「未来社会を共創」していきたいです。

「メディア」や「コミュニティ」という機能をうまく活用しながら、少数精鋭で「イノベーション創出のプラットフォーム」を目指すFastGrowチーム。今回、取材を通して気付かされたのが、彼らは“ただの支援者”ではないということ。自らが事業を創り上げ、起業家として、事業と組織を経営する。彼らは1プレイヤーとして、本気でイノベーションを起こそうとしているのかもしれない。

こちらの記事は2019年02月19日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

小池 真幸

編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。

写真

藤田 慎一郎

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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