FastGrow厳選!いま注目すべき急成長テックカンパニー12傑──日本から生まれるテックジャイアントはどこだ?
今、FastGrow編集部は「テックカンパニー」に本気で向き合っている。それもただ単に「テックカンパニーとは○○な企業」と安直に定義するのではなく、100人に話せばその100人が「確かにそれこそがテックカンパニーだ」と納得せざるを得ないくらいの粒度で、だ。
その過程において、一つの定義を見いだした。それは「テクノロジーを用いて顧客の事業や在り方そのものを再定義し、大きな社会課題を解決していける企業」ということだ。そしてこちらの記事にて、その具体例といえる急成長テックカンパニーを5つ紹介した。
テックカンパニーとはいわゆるGAFAMやChatGPTのOpenAI、中国のBATHなど、今の社会に多大な影響を与え、常識を塗り替えようとしている企業たちが分類されるカテゴリーであるGAFAMあるいはBATH(中国の4大企業の総称)といった略語で示されてきた、いわゆる“テックジャイアント”は、テックカンパニーの最たる例と言えそうだ。そんなカテゴリーだとまずは理解できる。さらに詳細に見ると、「○○Tech」といった呼称を用い、環境、医療、金融、健康などさまざまな業界に、大小さまざまなスタートアップが事業を展開している。もはや、テクノロジーが影響していない業界はないとすら言えるだろう。
しかし、敢えて言いたい。テックカンパニーを創業した経営者にも、そうした企業に惹かれて働く従業員にも。“それらしいITツールを開発し、上辺だけのテックカンパニーになっていないか”と──。今回13のテックカンパニーを厳選して紹介する。この機会に是非、再確認してみてくれ。
その前に一つだけ、本記事を読む前に一読することをお勧めしたい記事をシェアしよう。
「最先端技術を扱う会社」を「テックカンパニー」とは呼ばない──Gakken LEAP CTO山内&ソルブレイン櫻庭が提唱する「成長し続けるテックカンパニー」の定義
こちらの記事を読んでから読み進めるのと、読まないで読み進めるのとでは得られるものや気持ちの高ぶりは全く違う。読むか読まないかはあなた次第。では本編に進むとしよう。
- TEXT BY TAKASHI OKUBO
- EDIT BY TAKUYA OHAMA
SmartHR──ARR100億を突破しても最善の現場に足を運ぶCEOと会社のカルチャー
株式会社SmartHR
日本を代表するテックカンパニーの一つといえばSmartHRだろう。人事労務の効率化を起点に、多くの人が人生の大半の時間を使う「労働」そのものをアップデートする。細かいプロダクトの紹介はこちらに任せるとして、SmartHRがテックカンパニーである事実を述べることに専念しよう。
SmartHRのプロダクトが、単なる効率化だけのツールではないことは周知の事実である。その証拠にSmartHRは労務管理を土台に、タレントマネジメントの領域にもプロダクトを進化させ、自分達がもっているプロダクトを通じて常に顧客の課題解決のためにできることを追究し続けている。そしてその価値が多くの企業に、そして社会に認められているからこそ実績もついてくるのだ。2022年の4月にはT2D3を達成し、ARRは100億円を突破している。
そしてもう一つ注目したいのが同社のカルチャーだ。特にそう感じさせたのは、会社を代表するCEOの芹澤氏がわざわざ開発チームにメンバーとして参加したというもの。ARR100億を突破するような企業のCEOがである。その時の様子はこちらの記事で赤裸々に語られているので参照されたし。芹澤氏の姿勢、SmartHRに根付いているカルチャーこそ、全てのテックカンパニーが忘れてはいけない現場主義だと言えるだろう。
Repro──ツールと人の力で売上にコミットするカスタマーエンゲージメントプラットフォーム
Repro株式会社
“リプロはツールにプロがつくと覚えてください”――というキャッチコピーを掲げている通り、「テクノロジー✕人」の力で企業の売上向上にコミットするのが、CE(カスタマーエンゲージメント)プラットフォーム『Repro』を提供するReproだ。売上最大化ツールと謳う『Repro』はWeb・Appという2種類をベースにし、継続的に成果を出し続けることを目的としている。2020年2月にシリーズCにて総額約30億円の資金調達をして以降、グローバル展開も推進。世界66カ国7,300以上のサービスが導入し、グローバルテックカンパニーとして成長を続けている。
代表の平田氏は、『Repro』を「BtoC版のSalesforce」だとたとえる。2020年の資金調達をした年に、エンゲージメントマーケティング(顧客との関係性を強化するためのマーケティング)が重要視されることを見越して、CEプラットフォームへの進化を目指した。テクノロジーの発展によって恩恵を受けたことが多数あった一方で、テクノロジーによって煩わしさも増えたと話す平田氏。その残念な状況を打開すること、テクノロジーが普及したことによって引き起こされたイシューをテクノロジー✕人の力で解決するのがReproが目指す世界だ。
ツールにプロがつくということを大々的に謳っているテック企業はどれほどいるだろうか。顧客に結果が出なかった時には非難されるリスクが高いにも関わらず、Reproがそこを強調するのはテックカンパニーとしての責任の表れであろう。何より、顧客が抱える課題を解決することを一番の目的としていることは間違いない。
クラスター──メタバースがもたらす未来の夢。これまでになかった新しい経済圏をつくる
クラスター株式会社
2021年には約4兆円だった市場規模が、2030年には約78兆円まで拡大すると予測されていて、教育面での活用も期待されている領域、といえば何かわかるだろうか。正解はメタバースである。メタバースというとMeta社を想起するかもしれないが、日本にもメタバース領域において優秀なテックカンパニーがあることを知ってほしい。紹介するのはメタバース・プラットフォーム『cluster』を展開するクラスターだ。今年2023年5月にシリーズDファーストクローズ・セカンドクローズの合計で、52億円の資金調達を実施したのが記憶に新しい。
きっとFastGrow読者なら、メタバースが単なるエンタメだけで終わらないことをご存じのことだろう。企業がメタバースを活用すれば、新たなる販路やユーザーとの接点が生まれ売上向上も見込める。身体に何らかの障害を抱える人でも、メタバースの世界では健常者と変わらずに関わることができる。不登校の子どもも、バーチャルの世界なら他人と交流できる。あげ始めるときりがないが、メタバースが社会にもたらす可能性は計り知れない。これこそ、テクノロジーの力を最大限に活用して、社会に変革をもたらす最たる例だと言えるだろう。あと10年、世界にメタバースの浸透が浸透していたのならコロナ禍の様相も変わっていたかもしれない。
クラスターは2023年6月に子会社のクラスタークリエイタージョブズを設立し、メタバース経済圏の確立を加速させようとしている。新しい経済圏が確立されれば、その恩恵を受けられる人は膨大な数にのぼるだろう。これくらいのことに挑戦してこそ、真のテックカンパニーである。
スナックミー──「サービス・フルサイクルエンジニアリング」全ての領域でテクノロジー力を余すことなく
株式会社スナックミー
おやつのサブスクリプションサービス『snaq. me』を展開するスナックミーは、2016年にサービスを開始していこう順調に成長し、2022年には累計会員数15万人を突破した。そして2023年3月には約5.5億円の資金調達を実施。サブスクEC領域が中心だったが今後はオフライン事業や法人向けの福利厚生事業など、おやつ体験を更に広げるべく邁進している。
代表の服部氏は過去のインタビューで「『snaq.me』は永遠のベータ版であり、変えるのではなく洗練させたい」と語ってくれていた。およそ3年前にはなるが、その気持ちは今もきっと変わっていないのだろう。スナックミーの開発組織は「サービス・フルサイクルエンジニアリング」をコンセプトとしており、Webシステムに留まらず在庫管理、ピッキングや配送、ユーザーへのヒアリングなどすべてのサイクルに関わるという。社内オペレーションの効率化からUIの改修にデータの集計まで、まさにテックカンパニーと呼ぶにふさわしく全ての領域にテクノロジーの力を余すことなく使っている。
お菓子というモノではなく、あくまで「おやつ体験」にこだわる同社。好きなおやつだけが欲しい、避けたい成分があるものは除外してほしいなど、ユーザーの好みや要望は千差万別だ。その一つひとつの声に耳を傾けるからこそ、薄利多売の競争にさらされる小売市場のなかでポジションを確立させられている。そしてそれを実現させているのが同社のエンジニアリングにあると言えるだろう。
ビザスク──スポットコンサルサービスのパイオニア。情報市場でグローバルな展開を目指す
株式会社ビザスク
「ビジネス知見のデータベース化」と聞けば、その難しさを容易に想像できるのではないだろうか?ひたすらオペレーティブに知見を共有するコンサルティング的な事業ならイメージできるかもしれない。だが、あくまで「テクノロジー」の力を徹底的に活用し、世界にそれを広げていくのだから、「テックカンパニー」と呼ばずして、何と呼ぼうか。
『ビザスク interview』や『ビザスクnow』など、スポットコンサルサービスを提供するビザスク。2020年3月10日に東京証券取引所マザーズ市場(現:グロース市場)への上場を果たし、同年4月にはシンガポールに初の海外拠点を設立、11月に米国を中心にエキスパートネットワークサービス事業をグローバルに展開しているColeman社を買収し、グローバルテックカンパニーへの道を歩み出した。ビジネス領域に特化したナレッジシェアプラットフォームというだけあって、登録されているアドバイザーの数や質が高く国内アドバイザーで16万人以上、海外アドバイザーで40万人以上が登録している。
ビザスクの強みは、なんといっても一次情報と、そこから得られる非常に有用な知見に、質量いずれの面からも申し分のないかたちでアクセスできることだ。専門的な知見から業界リサーチなど、新しい事業を始める際や市場理解を深める際に必須となる情報が得られる。こうした情報を自分で集めようとするのはかなり骨が折れる上に、集めたものの結果的に活用できなかったなんてことにもなりかねない。ビザスクの創業者たる端羽氏もまさにそんな一人だった。
端羽氏は最初からビザスクの構想を持っていてサービスをローンチしたのではなく、ECプラットフォームを立ち上げようとしていたのだ。そしてECの立ち上げ経験がある経営者に自分のアイデアを話したところ、痛烈なフィードバックをもらった。その時のフィードバックの有益さから「この経験が得られるサービスをつくってみては」と気づいたのがビザスクの始まりなのである。
自分自身が感じた経験から始まったサービスだからこそ、ユーザー目線の改善が図れる。現場目線の心が宿るサービスだからこそ、ユーザーは使い続けるのだろう。そして、サービスの成長にあわせて開発組織のアップデートも図っている。上場時にもビザスクは開発メンバーの編成を刷新し、開発組織のなかに異なるミッションを掲げるチームをつくって調整しながら進める形に変化させた。きっと今もグローバルな展開を目指すべく、テックベースでの改革を続けているに違いない。
セーフィー──クラウドカメラ・映像プラットフォームで社会のインフラを変える
セーフィー株式会社
クラウドカメラとクラウド録画サービスをつかい、業界や社会課題の解決に取り組むセーフィー。クラウド録画サービス市場において50%以上のシェアを誇り、映像データによって社会にイノベーションをもたらそうとしており、代表の佐渡島氏も「映像データが、人々の意思決定と未来を支えるインフラになり得る」と語っている。ただ、佐渡島氏は事業そのものにこだわっているのではない。テクノロジーの力によって変わっていく社会のなかで、誰かがやるかもしれないし、できるかもしれないことを敢えて自分達がやる。そこに面白さを感じているという。
セーフィーが提供するカメラにはAI技術が搭載されており、カメラ自体が進化していく。最初はそこにある風景を映像としてただ見るだけだったものが、他のシステムとつながりデータを収集し、AIが分析して問題点を洗い出す。こうした仕組みを日本中に広げることで、業界や社会課題の解決につなげようというのだ。ソフトとハード、両面のテクノロジーへの理解、AIのような新しい技術への理解。こうした気概がなければセーフィーの開発は務まらないだろう。
将来的には社会システムとの連携を行い、交通制御など街のインフラとの連携も目指す同社。テクノロジーを社会のために役立てる、まさにテックカンパニーとしてのお手本のような企業だ。
207──消費者向け領域の物流を変えるため、ラストワンマイルのDXに挑戦する
207株式会社
「いつでもどこでもモノがトドク世界」というビジョンを掲げ、軽貨物の再配達防止に取り組み、配送業者の効率化をサポートをしながら物流業界のイノベーションを起こすテックカンパニーが207である。受取効率化サービス『トドク』や配送業務管理システム『トドク クラウド』など、物流のラストワンマイルにおける課題を解決するソリューションを展開する。
コロナ禍の影響も含めECの需要は伸びており、物流市場・ニーズは増している。しかし一方で、消費者向け領域の配送員の数は減少傾向にあり足りていないのが現実だ。市場の伸びと反比例して減っていく配送員。労働環境の改善は業界だけの問題にあらず、社会全体に影響を及ぼしかねない社会イシューである。そこで207が目をつけたのが個人事業主の配送員だ。消費者向け領域の配送員のおよそ7割は個人事業主だと言われている。
配送員向け配送効率化アプリ『トドク サポーター』は、最適なルートの提案や伝票の自動読み取りなど、孤独に走りまわる配送員の支えてくれる優秀なサポーターとなる。2019年にリリースしてから約3年で利用者は4万人を超えた。配送初心者からベテランまで、多くの人がアプリを愛用する。そう、「誰でも簡単に使える」から、現場に浸透しているのだ。まさに教科書通りのテクノロジー活用と言えよう。
こうしたソリューションを提供できる背景には、メンバーそれぞれになんらかの配送現場の経験があることと、アプリを開発するエンジニアが実際の現場を見て機能をアップデートしているからだ。現場✕テクノロジーの掛け合わせで、一つひとつの課題解決に取り組む。こうして集まったデータを使い、課題が多い物流ネットワークそのものの再構築を目指す。私たちが今後も安心してネットショッピングを楽しめるかどうかは207にかかっているかもしれない。
STORES──Googleとの連携も実現。中小事業者のデジタル化とOMO支援で急成長市場の秩序を守る
STORES 株式会社
Just for Funを合い言葉に、個人商店や中小事業者のデジタル化やOMOの実現などサポートするのがSTORESだ。207の紹介でも触れた通り、EC業界は右肩上がりで成長を続けている。特に2019年から2021年はコロナ禍の影響もあり、物販EC化率は130%となった。時代の流れとともに“オンラインかオフラインか”ではなく、“オンラインとオフライン行き来する”OMOの動きが当たり前になっている。
そこで必要なのがネットショップとリアル店舗の両立と、両方の導線を考えた販売戦略だ。そこで必要とされているのが、STORESが提供する「ネットショップ」「レジ」「決済」「請求決済」「予約」「ブランドアプリ」の6つのプロダクトなのである。
STORESは2023年2月にGoogleから出資を受けている。Googleマップなどと連携しやすくして、日本の新興ECの育成を行い物販のEC化率を上げることが期待されている。出資のお知らせと同時に「Googleで集客」機能をリリースし、利用者のネットショップへの集客力向上を促せるようにした。Googleアカウントと連携できたり、STORESに登録されている商品情報とGoogleにある情報を連携させたりなど、中小事業者とユーザーの接点強化に力をそそぐ。
海外の大手テックカンパニーとの提携も含め、STORESの今後の成長には益々期待がかかる。拡大する市場の秩序を守るには、盤石なテクノロジーの土台が欠かせない。
FLUX──MVP開発に徹底的にこだわるCEOとCTO。顧客の課題解決を達成することにフルコミットする
株式会社FLUX
ノーコードAIプラットフォームの『FLUX AI』を提供するのは、「テクノロジーをカンタンに。経済価値を最大化する。」をミッションに掲げるFLUX。国内最速レベルでARR10億円到達が見込まれる成長スピード、シリコンバレーで成功する起業家の素養を持ち合わせると評価される代表の永井氏、好奇心をかき立てられる要素がつまったテックカンパニーだといえよう。『FLUX AI』とはFLUX AutoStreamによる広告収益最大化・運用工数削減の実現やFLUX CMSによるWebサイト作成と管理の効率化など、AIの力を活用し自社に自動で最適化してくれるマーケティングプラットフォームである。
FLUXのプロダクトづくりにはMVP(Minimum Viable Product)開発に対するこだわりがあるという。とにかく顧客の課題解決を徹底的に突き詰め、その中から最上と思われる価値・機能を抽出するという考え方がある。MVPのスピードと精度の高さ、これこそがFLUXが持つ開発部門の大きな強みなのだろう。
こうした基盤ができたのは、ひとえに代表の永井氏とCTOのLi氏がいるからではないだろうかと感じる。とにかく、この二人のMVP開発に対するこだわりがすごい。様々なスタートアップの人事組織支援を行うReBoost代表の河合氏も「まず、お客様がそのサービスを使いたいと思ってくれる理由は何か、というペインを探りに行くスピードとリアリティを突き詰めるまでが、ものすごく速い。
加えて、そのペインポイントに刺さる最小限のMVPをつくろう、という方針が2人の間ですぐにアラインできることが凄い。CEOとCTOが顧客課題を、同じ感度・目線でディスカッションしてリーンにプロダクトを構想できるスタートアップは、本当に強いですよね」と賞賛するほどだ。
LayerX──最高のテクノロジーと技術を、最高に使いやすいプロダクトに変換する
株式会社LayerX
先の記事でも触れた通り、テックカンパニーを語るうえではLayerXは欠かせないのではないだろうか。SaaS+Fintechを展開するスタートアップであり、2023年4月には大規模言語モデルの事業展開に本気で取り組むためにLayerX LLM Labsまで立ち上げた。まだ不完全とはいえ、言葉で機械に意図を伝えられるインタフェースが生まれたことのインパクトはかなり強烈だ。SaaSの世界をかえてしまうかもしれない──そしてその影響は、自社が展開する『バクラク』シリーズにも与えうる。“こうした技術を理解し先端を走る組織を持つべきという結論に至った”ことがきっかけとなり、LayerX LLM Labsは生まれた。
スタートアップ・ベンチャーを中心にLLM関連技術を取り入れている、もしくは取り入れようとしている企業やサービスは少なくないし、こうした専門組織をつくること自体は特別なことではない。しかし、同じLLMの研究組織だとしてもその期待感は全く異なる。『バクラク』シリーズを急速なスピードで開発してきたLayerXのような組織だからこそ、期待感が高まるというものだろう。
バクラク事業部では「圧倒的に使いやすいプロダクトを届け、わくわくする働き方を。」をビジョンとして掲げている。あなたも思ったことがあるのではないだろうか。業務効率化するプロダクトが使いにくくて、このプロダクトを使う意味はあるのだろうかと。プロダクトの弱点をカスタマーサクセスが埋めて補うようでは、真のテックプロダクトとはいえない。LayerXのバクラク事業部が掲げるビジョンこそ、シンプルかつ真理ではないだろうか。
Gakken LEAP──もはや「子ども向けの教育出版企業」ではない。教育の未来をプロダクトの力で創造するテックカンパニーへ
株式会社Gakken LEAP
今、教育業界の風景が大きく変わりつつある。その一翼を担うのがGakken LEAP。読者もご存知のあの学研グループが、本気でデジタル変革を推進するために設立したDX組織である。
このGakken LEAPの目指すところは何か。それは、同社代表の細谷氏が掲げる通り、教育領域のゲームチェンジャーになることだ。具体的には、リカレント教育の新プロダクト『Shikaku Pass』を中心に、今後は金融、テクノロジー、英語の3つのテーマを展開し、一人ひとりのニーズに合わせた教育サービスを提供していく。
『Shikaku Pass』の第一弾はFP3級の資格取得講座からスタートし、その後は基本情報処理試験をリリース。次なる一手はFP2級、ITパスポートなどを開設する予定。一人でも多くの人に平等に教育を提供すべく、プロダクトの設計初期から大きな拡張戦略を描いている。しかし、もちろんGakken LEAPのユニークネスはそれだけではない。教育業界の変革におけるゲームチェンジャーになるためには、デジタル・テクノロジーの力を最大限に活用する必要がある。
「デジタル技術を駆使して教育の未来を創り出す」──。
そんなGakken LEAPの取り組みを表す好例が、AIの活用である。同社にはAI専門家で組織したチームが組成されており、そこではデータ活用の推進や新規事業 / 既存事業におけるAI活用の企画推進が行われている。このチームを率いるのは、前職の日経で『日経電子版』の創刊や、「日経ID」の企画開発を主導した人物、Gakken LEAP・CTOの山内氏。これから同社のプロダクトにどのような形で新時代のテクノロジーが盛り込めれていくのか、楽しみで仕方がない。
他にも、デジタルプロダクトの開発ではUI/UXの役割が重要となるため、PdMを中心としたデジタル人材と、学研のコンテンツづくりの肝を押さえた編集者がタッグを組み、日夜「多くの人に愛されるコンテンツとは何か?」を追求している。Gakken LEAPではユーザーの視点に立ってサービスをデザインし、また、学研グループが持つ膨大なコンテンツ資産を最適に活用することで、社会にとって必要不可欠なサービスの提供を目指しているのだ。
そんなGakken LEAPは、教育業界におけるテックカンパニーとして、新たな教育の未来を創り出す挑戦を始めたばかり。その挑戦は、教育という領域だけでなく、社会全体の未来をも切り拓く可能性をも秘めている。そんなGakken LEAPの取り組みはまさに、「社会の課題をデジタルの力で解決する」といったテックカンパニーの使命そのものではなかろうか。これから本格化する同社の挑戦に、刮目せよ。
ソルブレイン──匠の技で顧客に価値を生みだす、生粋のテックカンパニー
顧客の事業成長を背負うグロースマーケティングは、ソルブレイン独自の、「顧客のサービス・商品自体を含むバリューチェーン全体」を最適化する経営的なマーケティング思考と、それを実現するための自社独自のテクノロジーに余程の自信がなければ決して打ち出せないテーマだと思います。
これは、FastGrowが今注目している、あの”学研”発のDXスタートアップ、Gakken LEAPのCTO・山内氏(前職の日経新聞では、かの『日経電子版』の創刊や、「日経ID」の企画開発を主導した人物)から見た、ソルブレインに対する見解だ。
同氏とソルブレイン・CEOの櫻庭氏は、「ビジネス × テクノロジー」を共通点に親交を持つ間柄でもある。上述の山内氏の発言にあるように、ソルブレインとは、データを起点に顧客のバリューチェーン全体を最適化し、持続的な事業成長に貢献していく「グロースマーケティング」事業を展開する急成長企業だ。
先の取材記事や特集記事でも紹介した通り、同社は顧客の事業成長に資するべく、ソフトウェアはもとよりハードウェアの活用までも含め、ビジネスにおけるあらゆる技術の可能性を探究している。その結果として生み出されたソリューションの一つが、先の特集記事でも紹介した『Chip to Cloud』だ。また、その他にも今春には三井物産との資本業務提携も発表し、データ活用における戦略的パートナーシップを結んだニュースも我々の耳に入ってきている。
このように、ソルブレインは「ビジネス × テクノロジー」の融合という意味で、極めて言行一致に優れた企業と言えよう。一見、ベンチャー / スタートアップと言えば、世間の目を引くセンセーショナルなPRや、華美なブランディングに注目が集まる傾向が一定あることは否定できない。その甲斐あってか、中には実態以上に評価を得て時流に乗る企業も──。
しかし、ソルブレインは真逆のスタンスをとる。驕らず、騒がず、水面下で愚直に技を磨き続ける。その様は、まさしく匠。同社のように硬派で質実剛健な企業にこそ、真のテックカンパニーを標榜してもらいたいものだ。
こちらの記事は2023年07月31日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。
執筆
大久保 崇
編集
大浜 拓也
株式会社スモールクリエイター代表。2010年立教大学在学中にWeb制作、メディア事業にて起業し、キャリア・エンタメ系クライアントを中心に業務支援を行う。2017年からは併行して人材紹介会社の創業メンバーとしてIT企業の採用支援に従事。現在はIT・人材・エンタメをキーワードにクライアントWebメディアのプロデュースや制作運営を担っている。ロック好きでギター歴20年。
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