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伸びる事業は“流行の周辺”から生まれる。
デジタルリスク市場を開拓したエルテス、逆張りの経営戦略

インタビュイー
菅原 貴弘
  • 株式会社エルテス 代表取締役 

東京大学在学中の2004年にエルテスを創業。インターネット掲示板、ブログ、SNSなど新しいテクノロジーが生まれるたびに、その反動で発生するトラブルに着目し、デジタルリスク事業に取り組む。2016年11月に東証マザーズ上場。また、リスク情報分析と危機対応支援を行うAIセキュリティ事業を手がける戦略子会社を2017年に設立するなど、リスク検知に特化したビッグデータ解析ソリューションを提供する事業領域を拡大させている。

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上場はゴールではない──。IPOを経て、さらなる挑戦に踏み出しているベンチャー・スタートアップを取り上げる連載企画『After IPOの景色』。第2回は、デジタルリスク対策事業を展開するエルテスが登場。

“一億総発信者時代”である現代、インターネットでの炎上は、企業にとって致命傷にもなりかねない。エルテスは、そんな新時代の経営リスクから、企業を守る事業を展開。2016年にはマザーズへの上場を果たし、パイオニアとしてデジタルリスク市場を牽引し続けている。

本記事では、代表取締役である菅原貴弘氏にインタビュー。創業の経緯から、上場前後の変化、そして「日本のインテリジェンス能力を向上させる」壮大な展望を伺った。エルテスを上場へ導き、日本の未来も変えうる事業へと成長させた、「逆張り」の経営哲学とは?

  • TEXT BY RYOTARO WASHIO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY MASAKI KOIKE
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流行の周辺領域にこそ、“金脈”がある

「人と同じことをするのが嫌いだ」と、菅原氏は言う。

エルテスの飛躍も、その「逆張り」によって成し遂げてられてきた。「デジタルリスク」というマーケットの選定理由にも一端が窺える。

2007年前後は、現在のデジタルマーケティング市場を牽引する企業が、次々と設立されていた。モバイルSEO事業で成長を遂げたSpeeeや、同じくSEO事業とメディア事業を展開するナイル(旧ヴォラーレ)、アドテクノロジー事業を手がけるマイクロアドが代表的だ。

しかし、多くの会社が商機を見出したSEOや広告運用に、菅原氏はあえて手を出さなかった。

株式会社エルテス 代表取締役・菅原貴弘氏

菅原誰かと同じビジネスはしたくなかったんですよ。当時、デジタルマーケティングを手がける企業は増えていたものの、リスク対策に特化した企業はなかった。だからこそ、そこに一点集中することで、唯一無二の会社になれると思ったんです。

エルテスは、クライアントのSNSや検索エンジン上での「炎上リスク」を検知・分析し、対策案までワンストップで提供する。

たとえば、SNS上で「ある食品メーカーが製造した製品に異物が混入している」といった投稿が見つかったとする。エルテスは発信元のアカウントを特定し、フォロー / フォロワーの数や過去の投稿内容を分析。炎上につながるリスクが大きいと判断された場合には、炎上後の対策を提案し、沈静化まで伴走する。

実は2004年の創業以降、デジタルリスク事業に行き着くまで、7つの事業立ち上げと撤退を経験した。なかでもオフショアの受託開発事業は、売上も安定しており、最も利益が出ていた事業であったという。しかし、その事業を畳み、多額の負債を抱えることになってまでデジタルリスク領域に賭ける選択をした。

菅原デジタルリスクの対策に、大きなニーズが生じることは確信していました。2007年はインターネットにおける情報発信がよりインタラクティブなものになっていくことを予測する概念「Web2.0」が、流行しはじめていました。

誰でも情報発信できる世の中になれば、個人の発信によって企業がリスクに晒されることも多くなると睨んでいたんです。

しかし、デジタルリスク対策の重要性を認知している企業は少なく、事業の開始当初に問い合わせが来ることは稀だったという。そのため、ネットで炎上している企業にアウトバウンドで営業し、顧客数を増やしていった。

菅原流行それ自体に乗るのではなく、誰も手を出していない周辺事業に目をつけることで、自分たちの金脈を掘り起こせます。私は常に経済の原理・原則に則ることを重視していますので、歴史をヒントに発想することを意識しています。

当社の事業着想の起点は、まさにカリフォルニアのゴールドラッシュで儲けたのが金に群がる採掘者ではなく、彼らに衣服を売ったリーバイスだった、という事実からなんです。

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“失敗”をおかした経営者の共通点

2008年のリーマンショック以降も、事業は順調に成長。景気後退局面を乗り越えたことは、「この事業はイケる」との確信を強めてくれたという。そして、その要因は「市場を作る立場にあったことだ」と振り返る。

競合サービスがない市場のパイオニアは、“言い値”で価格を決める権利を持つ。プライスリーダーとしての自由な価格設定が、高い利益率を実現したのだ。

また、企業としての信用獲得を重視する「エスタブリッシュメント戦略」も功を奏した。

菅原リスク情報を預けてもらうためには、社会からの信用が重要です。信用を得るために、社会的な信用性が高い企業との業務提携を進めたり、省庁出身者に社外取締役として協力してもらったりしたんです。

さらに2012年には、メディア政策やデジタル知財領域の権威である中村伊知哉氏を理事長に招聘し、ニューメディアリスク協会(現・デジタルリスク協会)を設立。業界団体を組織し、デジタルリスク対策事業を規制するルールを設けた。

ともすれば事業の自由度を落としかねない規制を自ら設けたのは「先達の失敗から、自主規制の重要性を学んだからだ」という。

菅原歴史をひもとくと、急成長を遂げ、社会的に注目を浴びていたベンチャー企業の経営者が突然メディアからバッシングを受けてしまったり、逮捕されてしまったりしたことは珍しくありません。それらの一因としては、自主規制を設けなかったこともあると考えています。

社会や業界全体に、自社が描く未来像や考え方を理解してもらう努力をせず、自由に事業を拡大していった結果、既存のプレイヤーから目をつけられてしまった側面もあると思うんです。

もちろん、彼らの行為をすべて正当化するわけではありません。しかし、自主規制を設け、社会やステークホルダーにもっと向き合っていれば、別の物語が生まれていたかもしれません。

また、事業の健全性を高める仕組みづくりも進めている。エルテスに寄せられるすべての案件が「炎上を阻止すべき案件」とは限らない。なかには消費者に実被害を与え、企業が責めを負うべき案件もある。そこで社内の危機管理委員会に警察OBを招き、その判断を精査。

社会的に見て「炎上すべき案件」を間違っても受注しないように、万全な体制を構築しているのだ。

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「同じことを繰り返し言う」ことの重要性

エルテスは2016年、東証マザーズ市場への上場を果たした。上場後、組織運営の課題に直面することになる。

菅原上場後の2年間は、人材の入れ替わりが激しい時期が続いてしまいました。入社者と退職者が同数、といったレベルでしたね。

原因は、理念が浸透していなかったこと。会社としてどこへ向かっているのか、何のための事業なのかがメンバーに伝わっていなかったため、社員がモチベーションを維持できなかったんです。

私は同じことを繰り返し言うのが嫌いなため、企業理念などに言及する場合は、毎回切り口を変えて説明していました。しかし、これが良くなかったんでしょうね。

理念やミッションは、口酸っぱく同じことを繰り返し伝えなければ、100人を超える社員には浸透しない、と学びました。

一方で、上場による好影響もあった。エルテスの株式は「電子政府」関連銘柄、すなわち行政手続きのデジタル化を促進する企業としての認知を獲得。「デジタル・ガバメント実行計画」など電子政府に関する法令や計画が発表されると、株価が上昇するようになったのだ。

菅原事業が国や社会と結びついていることを実感するようになりました。これまで以上に、日本を代表する大企業からご相談をいただくことも増えましたね。

電子政府銘柄のなかでも、デジタルリスク対策に特化しているのは私たちだけ。上場によって、この領域の最先端企業としての認知が進んだと感じています。

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日本のインテリジェンス能力を向上させる──エルテスが描く壮大な野望

上場後も「逆張り」の経営戦略は変わらない。新型コロナウィルスの影響によって経済が停滞し、企業が守りに入ろうとする今だからこそ、攻勢を強めると菅原氏は意気込む。これまでの無借金経営によって得た与信力を活かして資金を調達し、多くのM&Aを仕掛けていく構想だという。

菅原2012年以降に起業した経営者たちは、ライブドアショックもリーマンショックも東北大震災も経験していない。現在のような景気後退局面に対しても、耐性がないように見えます。とにかく守りに入ろうとしていますが、それでは会社は伸びていかない。

世間の流れとは逆だとしても、勇気を持って“理論上は正しい”ことを実行すれば、必ず道は拓ける。多くの企業の株価が下がっているいまだからこそ、攻めの投資としてのM&Aを進めていくべきだと考えているんです。

事業を拡大した先に見据えるのは、国をも変える壮大な挑戦だ。菅原氏は日本のインテリジェンス力、すなわち諜報能力の向上を視野に入れている。

「インテリジェンスとセキュリティは表裏一体だ」と菅原氏。敵がどこから、どのように攻めてくるかを諜報活動によって察知し、防御する箇所を決める。そのうえで、セキュリティ対策を講じなければならないからだ。

それにもかかわらず、セキュリティばかりに目を向けている日本企業の現状を、菅原氏は「敵が2階の窓から侵入しようとしているのに、玄関だけに警戒し、何個も鍵を取り付けている状態」と喩える。

菅原以前、日本有数の大手企業の機密情報がロシアのスパイに渡ってしまった事件があったように、日本企業の諜報活動に対する意識は、現状ではかなり低いと言わざるを得ません。

国全体のインテリジェンス能力を伸ばすには時間がかかります。だからこそ、まずは国の経済を支えるような大企業から、その意識を変えていかなければなりません。

そのための一歩目として、菅原氏が推し進めるのがリスクマネジメントのデジタルトランスフォーメーションだ。

菅原反社会的勢力を見分けるにしても、現在は人力で判断しています。そして、その正誤の信憑性もまた、見分ける人の嗅覚や情報検索能力に依存している。

この現状をテクノロジーの力で変えていきます。人びとの経歴や情報をシステム上で管理し、エルテスが持つ情報と、他社が持つ情報を連携させることで、人物の来歴を照合するプラットフォームを構築したいんです。

この構想を実現させるためには、デジタルテクノロジーとリスクマネジメントの関連法、双方に精通したメンバーが必要だ。「ただし、入社当初から双方の知見を持ち合わせておく必要はない」。

エルテスには、銀行でリスマネジメント業務に従事したのちにジョインしてビッグデータ解析を学んだメンバーや、他領域のデータアナリストだったが入社後にリスクマネジメントに関する法律知識を得たメンバーも在籍している。「ビッグデータ解析やリスクマネジメントを、イチから学べる環境が整っている」と、人材育成にも自信を覗かせる。

また、積極的にM&Aを進めていくなかで「経営を学びたい人にとって、最適な環境が用意されている」とも語る。M&A先の企業に、エルテスから人材を供給し、経営を任せる計画もあるという。

菅原ビッグデータを扱うビジネスを展開する会社で、グループ経営を志向しており、若くして経営に近いポジションに就ける機会がたくさんある企業は、そう多くないでしょう。経営者や起業家を志す人にとって、刺激的な環境を用意してお待ちしています。

こちらの記事は2020年04月21日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

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執筆

鷲尾 諒太郎

1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。

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藤田 慎一郎

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小池 真幸

編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。

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長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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