特別連載信用経済社会におけるプラットフォーマー ネットプロテクションズ

なぜ世界から「後払い決済」に注目が集まるのか──日本のトップランナー、ネットプロテクションズ・柴田氏の経営哲学

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インタビュイー
柴田 紳

1998年に一橋大学卒業後、日商岩井株式会社(現・双日株式会社)に入社。 2001年にIT系投資会社であるITX株式会社に転職し、株式会社ネットプロテクションズの買収に従事。 すぐに出向し、何もないところから、日本初のリスク保証型後払い決済「NP後払い」を創り上げる。 2017年、アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー特別賞を受賞。2021年12月、東証第一部(現プライム)上場。

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組織・事業の両面で独自の存在感を発揮し続け、創業から20年近くが経つスタートアップ・ネットプロテクションズ。同社の名前を聞くと、目立った競合プレイヤーが見当たらない「後払い決済」という事業領域や、ユニークな「ティール型組織」が思い浮かぶかもしれない。

「テクノロジーを用いて、信用情報を新たに創造することで、信用をより精緻化するビジネス領域」であるクレジットテックに取り組むネットプロテクションズ。実は、同社の後払い決済サービスは、日本人の「10人に1人」が利用している。20年かけて堅牢に構築されたオペレーションとリスク管理システムも、資本力だけでは容易に真似できない。

そして、同社代表取締役社長の柴田紳氏は、その柔和な第一印象からは決して想像もつかないほど、幾多のHard Thingsを乗り越えてきた鬼才だ。本記事では、柴田氏へのインタビューを実施。急拡大しつつあるクレジットテック市場における事業戦略や、現在の事業・組織体制を創り上げていった柴田氏の半生を伺い、経営哲学を明らかにする。

  • TEXT BY MASAKI KOIKE
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
  • EDIT BY KAZUYUKI KOYAMA
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知られざる「後払い決済」市場のポテンシャル──「クレカ離れ」の余波を受け、グローバルで急拡大

「後払い決済」について、どういったイメージを持っているだろうか。

2002年から20年近くの間、後払い決済を中心に「クレジット(信用)テック」市場でビジネスに取り組んできた柴田氏は、「後払い決済は、非常に大きなポテンシャルを秘めているビジネス領域だ」と楽しそうに語る。

株式会社ネットプロテクションズ 代表取締役社長 柴田紳氏

柴田日本にいると気づきにくいですが、世界では審査の厳しさゆえに「若者のクレジットカード離れ」が進んでいます。それゆえに、利用ハードルの低い後払い決済のニーズが急増しているんです。

後払い決済ビジネスを手がけるプレイヤーは、グローバルで存在感を高めつつある。スウェーデン発のKlarnaはヨーロッパ最大の未上場フィンテック企業に成長し、オーストラリアのAfterpayも約6,300億円の時価総額を誇る。そして日本で唯一、そうしたグローバル企業に比肩しているのが、ネットプロテクションズである。

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UU数は日本人の「10人に1人」。クレジットカード会社をも凌ぐ、盤石の顧客基盤と事業ノウハウ

同社のサービスは、国内で圧倒的なシェアを誇っている。

主力サービスのBtoC通販向け決済『NP後払い』は、年間1,350万人のユニークユーザーを抱え、トランザクションは年間4,300万件。「日本人の10人に1人」は使っている計算だ。この数値は「大抵のクレジットカード会社よりも、層の広い信用データ(※購買履歴、支払った日時や場所にまつわるデータなどをまとめた総称)を持っている」ことにもなるという。ユーザーの75%は女性で、特に主婦層がボリュームゾーン。

とはいえ、「膨大な資金力を持つ国内企業が参入したら、いちスタートアップであるネットプロテクションズはひとたまりもないのでは?」と思う読者もいるだろう。そんな疑問をぶつけてみると、柴田氏は「単純にお金だけを投下すれば勝てるビジネスではない」と一蹴した。

柴田実は、とある大手企業さんに「後払い決済に参入したいのだが、どうすればいいか?」と聞かれたことがあります。けれども、圧倒的なデータとノウハウ、そしてネットワークは一朝一夕には集められません。「うちを買うのが一番いいんじゃない?」と思ったくらい。さすがにそこまでは言わなかったですけどね(笑)。

最近は、後払い決済の競合もちらほら現れていますが、当社が20年かけて培ってきたものを、そう簡単に真似できるはずがありません。

柴田氏がここまでの自信を見せるのは、膨大な取引をさばけるオペレーションと、貸し倒れリスクを管理するノウハウなしには、後払い決済ビジネスは成立しないからだ。

ネットプロテクションズでは後払い決済において、月間4万社・400万件以上の請求が発生する。この請求書の発行・送付に加え、問い合わせ対応、入金ミスの確認も欠かせない。必要となるオペレーションは、気が遠くなるほど膨大だ。

リスク管理についても、豊富なデータを活かすべく、AIを含めた研究開発に毎年億単位の資金を投下しているという。

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BtoCからBtoB、会員決済やグローバル進出まで。「データ」を武器に、多角的な事業を展開

後払い決済市場で盤石な基盤を築いている同社だが、20年間、ただ単一サービスに取り組んでいただけではない。多角的な事業展開も、同社の強みのひとつだ。

まず、NP後払いだけでなく、家事代行や水道修理といったあらゆるBtoCサービスに対応した決済『NP後払いair』によって、カバーできる市場を大きく広げている。またBtoB向け決済『NP掛け払い』は、伝統的な卸企業からスタートアップにまでシェアを拡大。たとえば、印刷通販の大手企業では取引の5割近くも同決済がカバーしているという。BtoB領域においては、100万社以上の決済データを保持している。

BtoC向け会員決済『atone(アトネ)』も、ネットプロテクションズの圧倒的なデータ量と運用力、リスク管理力があってこそ実現する事業である。スマホで決済ができ、かつクレジットカードが不要なので、あらゆる人にキャッシュレス決済体験を提供するサービスとして期待されている。導入店舗にとっても、手数料はあらゆる決済サービスの中で最安の1.9%。atoneでの支払いを促進するインセンティブが働くので、ほぼコストをかけずに、毎月2万人以上会員が増えているというから驚きだ。海外進出にも着手しており、台湾向け後払い決済『AFTEE』もスタートしている。

提供:株式会社ネットプロテクションズ

柴田BtoCとBtoBのあらゆる領域で、さまざまな個人や企業とつながってきました。膨大なデータを基盤にネットワークをひたすら拡大し、プラットフォームに近いものとなりつつあります。もちろん、個々の事業単体でも収益が出るようにビジネスを構築しているんです。

そんな盤石なビジネス基盤を持つ同社は、後払い決済「以外」の取り組みにも積極的だ。後払い決済における絶対的なポジショニングを活かし、たとえば融資や不動産、さらには広告や行政まで、保有データ/ネットワークとの「掛け算」でのパートナー開拓や研究開発が進んでいる。こういった領域は、決済に次ぐ「第二層」。まさにこの第二層においても、連続的に次の大きな事業を産んでいこうとしているのだ。

また、それに加えてビジネスの枠を超えた取り組みが豊富なことも、同社の特徴のひとつである。買い手によるプライシングを可能にし、TV等のメディアでも複数回取り上げられている『あと値決め』、中高生向けのサマーインターン『THINK FLAT CAMP』の実施、世の中のより良い在り方に向き合うオウンドメディア『THINK ABOUT』の運営、いち社員が業務時間を使って起業し経営を手がけているMawiなど、短期的な収益にはつながりにくい取り組みにも、積極的にチャレンジしているという。

柴田これらは全てボトムアップでの取り組みです。正社員数は160人超。一人ひとりが何役もこなし、希望すれば誰でも事業推進や事業構築に携わっていける。若い人にとって、こうした環境は、極めて贅沢だと思います。

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突然の辞令で、瀕死企業の取締役に。「あるはずのサービスが、影も形もなかった」

「今もHard Things真っ只中ですよ」と笑顔でさらりと語りつつも、事業戦略に絶対的な自信を見せる柴田氏。だが、この笑顔の裏には20年もの歳月をかけ経験した、どのベンチャーをも上回る膨大なHard Thingsがあることはあまり知られていない。そのキャリアを伺うと、想像もできないような困難の連続だった。

一橋大学の社会学部を卒業後、総合商社の日商岩井(現・双日)に新卒入社。しかし、極端に業務量が少ない部署に配属され、強い焦燥感を感じていた。入社から3年後、さらなる成長環境を求め、IT系商社のITXに転職した。

すると、すぐにITXがネットプロテクションズを買収することに。転職したてであり、アシスタントとして資料作成などをメインで手がけていた柴田氏に、思いもよらない辞令が下った。26歳の時の出来事だ。

柴田突然「お前も取締役として行ってこい」と言われて。とにかく成長できる環境を求めていたので嬉しくて、二つ返事で承諾しましたが、さすがに驚きましたね。

この辞令は、その後立ちはだかる幾多の試練の、氷山の一角に過ぎなかった。いざネットプロテクションズに出向してみると、当時20名ほどいたメンバーは「前社長と旧知の仲だから入社した」といったモチベーションの人ばかりで、能力もロイヤルティも全く把握できない状況。さらに、後払い決済事業に期待をかけて買収したはずが、肝心のサービスはプラン構想段階で影も形もないという、絶望的な状況だった。

柴田前社長から「できている」と言われていたサービスが、入社しても見つからなかったんです。その後何ヶ月もかけて何度も確認したのですが、ないものはない(笑)。

後払い決済サービスの成長性を見込んで買収していたので、ピボットするにもステークホルダーの承認を得る必要があり、時間がかかります。しかし他のプランもなく、会社の経営は予断を許さない状況。誰かがサービスを立ち上げないと、即死する状況だったんです。僕も転職直後で「ここで逃げたら、キャリアは終わりだ」と思っていたので、もうやるしかありませんでしたね。

「後払い決済サービス」は2001年当時、日本はおろか、世界中のどこにも存在しなかったという。現在のネットプロテクションズが保有するネットワークやデータ、オペレーションとリスク管理のノウハウは、スキームすらも全くない状態から、一つひとつ創り上げていく必要があった。

柴田じっくりと時間をかけて情報収集をしている時間もないですし、数か月でキャッシュが尽きるような切迫した状況でした。当時のメインターゲットであったEC運営者としての経験もなく、ユーザーの気持ちから手数料まで、「えいや!」と感覚と想像で決めるしかなかったですね。本当、奇跡のスタートアップだと思います(笑)。

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事業は伸びず、周囲からも叱責の嵐。想像を絶するHard Thingsの日々

着任して1年後には、現・CTOの鈴木史朗氏もジョイン。柴田氏の頭には、「後払い決済サービスさえ軌道に乗れば、絶対に事業を拡大できる」という構想はあった。事実、当時のメモを見返すと、BtoB向けサービスから会員向けサービス、さらには海外進出まで、現在展開している事業はすべてアイデアとして記載されているという。

とはいえ、「“もし”後払い決済が軌道に乗れば」の話だ。「正直、最初の3年間は、これは無理だろうなと思いながらもがいていました」と柴田氏は語る。買収前にいたメンバーと新メンバーとの対立なども生じていたが、「事業の先行きが不透明すぎて、とてもじゃないが手が回らず、気にしている時間もなかった」という。

柴田走ってはいるけれど、どこにも光明が見えず、周囲からは馬鹿にされ続けていました。とにかくキツい状態でしたね。寝ても覚めても、事業のことしか考えていませんでしたし、気持ちの浮き沈みも激しかったです。

もがき続けるなかで、収穫もあった。事業の見通しは立たなくとも、自身の成長は明確に実感できていたのだ。「倒産しても、どこに行っても、自分の手で食べていけるだろう」と思うようになり、大きな心の支えになったという。

そうして自身を叱咤激励しつつひたすらに事業に専心し続けると、次第に黒字化も視野に入ってきた。また2004年には社長に就任し、正式にネットプロテクションズに転籍。しかし、2000年代も後半に差し掛かり、柴田氏自身も30代になると、また別の壁が立ちはだかる。株主の意向で資金調達も行えず、事業成長のスピードも加速できなかったのだ。

柴田自分自身の実力はついてきた自信があるのに、こんなところで時間を浪費していていいのか、という葛藤がありました。経営経験も事業経験もない株主から、スピード感のなさを責められ続けるものの、資金がないのでどうしようもできない。社内のメンバーからも、何かにつけて文句を言われる。「自分が口説いてジョインしてもらったメンバーや、お客さんは裏切れない」という責任感でなんとか続けられましたが、正直に言えば、「社長を辞めて0から会社を立ち上げ、資金調達した方がいいのではないか」と思ったことも何度もありました。

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念願の黒字化、しかし「組織」は音を立てて崩れていった

後払い決済事業がようやく黒字化したのが、2008年。ようやく自信を持ってビジョンを語れるようになり、前年度から新卒採用もスタートした。

しかし、事業が軌道に乗りはじめたタイミングで、次なるHard Thingsが降りかかってくる──事業にかかりきりでほぼ放置していた、「組織」である。

2010年代初頭までは、徐々に採用力がついてきてはいたものの、メンバーは玉石混交。人によってフィットの度合いに大きな差があり、採用直後からトラブルが発生し、退職に至るケースもあった。「本当に良いカルチャーを作りたいなら、その過程で衝突してでも、フィットするメンバーだけに狭めなければ」と覚悟を決め、組織風土の改革に着手した。

柴田たとえば、賢くて、自由意志を発揮できる点に魅力を感じて入社してくれた新卒メンバーに対して、旧来のマネジメントの価値観通り上から押さえつける上長がいたら、容赦無く「それはおかしい」と指摘しました。自分で物事を考えられる優秀な新卒を採用しているのに、「お前はこうしろ」と指示するのっておかしくないですか?(笑)

そんな調子だったものですからもう、色々な人から「刺されまくり」でしたね。飲み会を開けば、みんな僕の悪口を言っている。「社長、すごい器が小さくて」といった声が、そこら中から聞こえる状況。

状況が好転したのは、2012〜2013年頃。当時50人ほどだった社員全員で、ビジョン・ミッション・バリューを徹底的に議論したのがきっかけだった。以後は、改定した経営理念への共感を何よりも重視し、採用活動や日々のマネジメントを行うようになった。

結果、改定から2年ほどで、約半数のメンバーがカルチャーマッチせずに会社を去ることになる。しかし、それ以降に入ってきた新卒メンバーはほとんど退職することはなかった。直近の3年間を見ても76名の新卒メンバーのうち、3名しか退職していないそうだ。人材の流動性が激しいスタートアップとしては異例の定着率といえる。

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どんなに批判を受けても、スキル重視の採用を拒み続けた理由

採用からマネジメントまで、一貫した理念のもとで組織を運営することは、柴田氏にとってごく自然なことだった。なぜなら柴田氏は、ネットプロテクションズに参画する以前から、「組織」に大きな関心を抱き続けてきたからだ。

大学時代は、人の心の動きに興味があり、社会心理学を専攻。またテニスサークルを運営する中で、「どうすればメンバーが楽しい状態でいられるか?」というコミュニティマネージャー的視点を磨き続けたという。新卒で入社した日商岩井でも「もっとこういう組織に変えたほうがいいのに」と考え続けたからこそ、非生産的な会議や上下関係など、既存の組織構造へのアンチテーゼを抱き続けていた。

柴田2010年代は、2000年代に経験した苦難の、「第2弾」を戦っている感覚です。大きな「成果創出」を目指し続けるのはもちろん、「個々人の成長」と「全員が幸福でいられること」も並立すべく、試行錯誤しています。3つのバランスを取るのは、めちゃくちゃ難しい。

短期的には、スキルを重視し、ピラミッド構造でどんどん指示をして進めた方が早い。一方、それだとこの3つは満たせなくなっていく。たとえ回り道に見えようとも、フラットで自走できる組織を作り、3つのバランスを必死に守ってきました。風土を絶対に潰さないという「覚悟」ですかね。

柴田もちろん、スキル重視でプロフェッショナルな人材を採用したこともあります。だけどスキルだけに自信を持った人材は、得てして組織風土やマネジメントに全く興味がなく、むしろ馬鹿にしたりする。そうしたメンバーが増えると、組織の状態は目に見えて悪くなりますし、これから伸びていく若手が潰れてしまう。そんな失敗を、何度も経験してきました。

スキル重視の採用をやめ、「理念重視」で採用したメンバーたち。もちろん育成コストはかかるが、年数を経るにつれ、ネットプロテクションズらしいマネジメントを行える人材が次々に生まれているという。遠大な回り道から、まさに花が咲きつつあるようだ。

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「新卒が辞めない」のはなぜか?あらゆるステークホルダーの幸福を追求する経営哲学

事業や組織改革が軌道に乗っても、柴田氏の波乱万丈さは止まるところを知らない。2014年には、なんと当時の株主から事実上のクビ宣告を受け、隣の席に後任社長が半年間座っていた。

柴田死ぬ想いで積み上げてきたものが、外から来た人に勝手に全部乗っ取られ、リターンもゼロ。すさまじい怒りの感情を抱きましたし、何回家でクッションをぶん投げたか分かりません(笑)。もう、基本はHard Thingsしかないですよね。僕が歩んできた道のりは、絶対に人にはおすすめできません。

昨今は、「本格的に成長スピードが高まっていく」フェーズに差し掛かっているという。新卒の育成環境も、10年以上ブラッシュアップし続けており、「日本最高のコンテンツになっている」と自信をのぞかせる。実務面でも、「最初の数年は下積みでスキルを身につける」といった方針は一切取っておらず、すぐに事業の中核的な議論や、採用をはじめとした組織のメインイシューに携われるという。

そして、誰でも事業オーナー目線での議論を行える環境を整えるべく、社内でのナレッジシェアも徹底的に行なっている。Slackのあらゆるチャンネルがオープンなのはもちろん、ナレッジシェアツール『Scrapbox』に、社内Wikiとして、全ての動きや議論が書き込まれている。あらゆる情報は新卒も含めた全社員が参照可能なため、それを土台に全員が対等に議論し、集合知を磨き上げているのである。

成長意欲が満たせる環境である点に加え、コミュニティとしての居心地の良さも、新卒入社メンバーの退職率がほぼゼロに近い要因だろう。「マネージャー職が廃止されたこともあり、出世競争もないため、競争に敗れて退職するメンバーが出てこない」と話す。

柴田中途で入社したメンバーに、よく驚かれるんですよ。「ここまで成長意欲が高く、優秀な人ばかりなのに、上下関係も一切なく、誰もが自分の言葉でコミュニティ愛を語れる組織があるなんて信じられない」と。

役職や権限など、序列で成長環境やキャリアの成功を判断していた人でも、うちで2〜3年過ごすと「この組織では肩肘張る必要はないんだ」、「役職や年齢を意識せずにやるべきことをやればいいんだ」と気づき、丸くなることが多いです。

ただのぬるま湯ではなく、徹底的に成長意欲を満たせるうえに、自分らしくいられる組織。実現不可能なようにも思える。しかし、幾多のHard Thingsを乗り越えて来た柴田氏の軌跡と思想を訊くと、「あながち幻想ではない」と思えてこないだろうか。

柴田新卒の頃から、よく「会社って何だろう?」と考えていました。根本的な存在意義は、ステークホルダーすべてに幸福を提供することだと思うんですよ。働く人も株主も、そして社会も、あらゆる人びとのサステナブルな幸せを、高い次元と純度で突き詰めていく──それこそが「経営」だと思います。

こちらの記事は2019年10月17日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

小池 真幸

編集者・ライター(モメンタム・ホース所属)。『CAIXA』副編集長、『FastGrow』編集パートナー、グロービス・キャピタル・パートナーズ編集パートナーなど。 関心領域:イノベーション論、メディア論、情報社会論、アカデミズム論、政治思想、社会思想などを行き来。

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藤田 慎一郎

編集者。大学卒業後、建築設計事務所、デザインコンサル会社の編集ディレクター / PMを経て、weavingを創業。デザイン領域の情報発信支援・メディア運営・コンサルティング・コンテンツ制作を通し、デザインとビジネスの距離を近づける編集に従事する。デザインビジネスマガジン「designing」編集長。inquire所属。

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長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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