連載Next Entrepreneur's Meetup

100名の長期インターン志望者が15のスタートアップと本音で議論。
三菱地所が手がける、国内最大級の「学生×スタートアップ」イベントに迫る

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登壇者
木村 忠昭
  • 株式会社アドライト 代表取締役CEO 

大学院卒業後、大手監査法人に入社し、株式公開支援業務に従事。2008年、イノベーション共創を手掛ける株式会社アドライトを創業。合わせて国内スタートアップ企業へ社外役員就任によるハンズオン支援を行い、うち5社(ユーグレナ、じげん、クラウドワークス、エスエルディー、マネーフォワード)が上場を果たす。
アジアやアメリカの海外スタートアップ企業の支援にも積極的で、これまでに20社以上の投資育成を行いうち3社が買収される。これら国内外スタートアップの知見やネットワークを活かし、大手企業のオープンイノベーションにおける一気通貫での事業化支援を得意とする。
主要な国立/私立大学との産学連携プロジェクトの支援実績も豊富。東京大学経済学部経済学科、東京大学大学院経済学研究科修士課程卒業。

上野 聡志
  • Mode, Inc. 日本代表 

早稲田大学を卒業し、ニフティ株式会社入社。コンシューマサービス、クラウド事業の立ち上げなど、新規事業開発を推進し。その後経営戦略室を経て、2015年7月、シリコンバレーの富士通アメリカに出向。スタートアップへの投資や事業提携など事業開発を経て、2017年9月MODE, Incの日本代表に就任。

金本 成生
  • 株式会社スペースシフト 代表取締役 

神戸大学工学部在学時代にITベンチャーを起業。卒業後は音楽業界、IT業界を経て、2009年に株式会社スペースシフトを起業し、代表取締役に就任。 衛星キット開発や衛星データ解析ソフトウェア開発、非宇宙企業への宇宙ビジネスコンサルティングなどを手掛けている。また2013年、宇宙葬事業を展開するアメリカのエリジウムスペース取締役に就任。

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スタートアップへの就職や起業といった選択肢が普及した今、学生時代からインターン生として企業で社会経験を積むことも、もはや一般的と言える。しかし、社会人との出会いが少ない彼らにとって、限られた情報から「どういった企業でインターンすれば良いのか」を判断するのは、難しさを伴う。

2019年7月、学生が急成長スタートアップと出会い、事業拡大の一旦を担う機会を提供するため、「Next Entrepreneur's Meetup」が開催された。インターンの採用に積極的なスタートアップ15社と、イノベーション創出に意欲的な100名を超える学生たちが集まった。

イベントを主催したのは、 2007年にスタートアップ向けオフィス/ビジネスコミュニティ「EGG JAPAN」を創設して以降、 大手町・丸の内・有楽町エリアにおいてスタートアップ支援に尽力してきた三菱地所だ。

本記事では、株式会社アドライト代表・木村忠昭氏、MODE, Inc. 日本支社カントリーマネージャー・上野聡志氏、株式会社スペースシフト代表・金本成生氏の3名が、異なる領域で数多くの事業開発に従事してきた経験を元に、「10年後に向け、学生が今押さえておくべき産業」をテーマに行ったパネルディスカッションをはじめ、イベント全体の様子をダイジェストでお届けする。

  • TEXT BY HUSTLE KURIMURA
  • EDIT BY TAKUMI OKAJIMA
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「やりたいこと」を突き詰めた先に、巨大マーケットに行き着く

2019年2月に行われた前回のイベントでは、9社のスタートアップと50名を超える学生が会場に集まった。前回の好評を受け、今回のイベントはより大きな規模で開催される運びとなった。スタートアップ企業と学生の交流イベントとしては、国内最大級の規模となる。

今回集まった15社のスタートアップは、イベント会場である『Global Business Hub Tokyo』をはじめ、三菱地所が運営を手がける4つのコラボレーションプラットフォームに入居する約170社のうち、インターン採用に積極的な企業だ。会場にはスタートアップで働くことに関心を持つのみならず、起業を見据えていたり、既に起業していたりする学生も見られた。

本イベントは、先述したパネルディスカッションに加え、各社が学生に自社アピールを行うショートピッチ、学生が興味を抱いた企業の経営陣や採用担当者と直接話すブース別交流会の3部構成。

パネルディスカッションが始まると、まずは「伸びるマーケットの見つけ方」について議論された。10年後を見据え、進路を選択する学生に向けて、3名はそれぞれの視点から意見を述べる。木村氏は「必ずしも最初から伸びるマーケットを探そうとする必要はない」と指摘する。

左より、株式会社アドライト代表取締役 木村忠昭氏、MODE, Inc. 日本支社カントリーマネージャー 上野聡志氏、株式会社スペースシフト代表取締役 金本成生氏

木村自分がやりたいことや好きなことを突き詰めていき、見つけたマーケットへ挑戦することも一手でしょう。 たとえば、ミドリムシで有名な東大発バイオベンチャーのユーグレナなど、いま関わっている企業を見渡しても、やりたいことを突き詰めた結果、大きなマーケットを見つけたパターンが多いですね。

続けて上野氏は「2,000億円を超えるような巨大なマーケットに挑みたいなら、グローバル展開を前提に事業を手がけている企業にジョインすべき」と指摘する。

上野人口と市場規模はほぼ比例関係にありますし、人口減少していく日本にこもっていても、巨大なマーケットに挑むことは難しい。もし世界を目指すのなら、ガートナー社が発表しているハイプ・サイクルや、GAFAやマイクロソフトといったグローバルIT企業が投資している企業に目を付けるのはアリです。基本的にこれらの巨大企業は、大きく伸びる可能性がある領域には張っているので、今後の世界のトレンドを予測するうえでも参考になるはずですよ。

金本グローバルの視点を持つだけでなく、「今後、何が求められるのか」を考えていくことが、伸びるマーケットを見つけるヒントになります。たとえば、私が今手がけている宇宙関連の事業は、日本ではまだマーケットの規模が小さいですが、世界全体では35兆円もの巨大なマーケットです。

そのなかで、自分が手がけている衛星データ解析の市場は、世界全体で4,000億円ほど。この市場はこれから5〜10年で2〜3兆円の産業になるとも言われているんです。このようにマーケットが成長する規模を予測できるのは、たしかなニーズがあると分かっているからです。 多くの人にとって本当に有用なサービスでなければ、巨大なマーケットにはなり得ません。

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誰もがめんどくさがる小さな領域にこそ、イノベーションの種が埋まっている

「やりたいことを突き詰める」ことの大切さを強調する木村氏。「やりたいこと」と「巨大なマーケット」を接続させるためには、「最初は小さいマーケットだったとしても、とにかく目立つ企業になることが大切だ」と指摘する。

木村私の知る限り、小さな領域で目立つ事業を続けた結果、マーケット自体も拡大していき、成功するスタートアップは多い。たとえば先ほど例に挙げたユーグレナについて話すと、最初はミドリムシのマーケットはほとんどなく、ユーグレナが事業を通じて目立つほどに、マーケットも拡大していったんです。

スタートアップは、すでに出来上がった大きなマーケットへいきなり飛び込んだとしても、大企業に参入されれば、あっという間に潰されてしまう。小さい領域で、「これだけは絶対に負けない」と言える強みを軸に、事業を展開していくべきなんです。

上野シリコンバレーでもよく言われている話ですが、「人がやろうとしないこと」に集中するのが大切です。ほとんどの人が「面白そうだ!」と思って始めるような事業は、多くの人がやろうとすることだから、突き抜けるのが難しい。

木村他の人がめんどくさがって手をつけようとしないポイントにこそ、多くの人にとってのペインが見つかるはずで、そこに挑むのはとても大切だと思います。

一方で、社会経験の少ない学生にとっては、そもそも興味を持てる領域が実体験ありきになってしまう問題もある。仮に「宇宙」に興味を抱いていたとして、宇宙に関連する仕事の実体験を持たない学生は、いかなるアプローチを選ぶべきか。3名は「とにかく行動を起こすべき」と口を揃えた。

上野まずはやってみることが大事です。ギターを弾いてみたいなら、まずはギターを手にしなければ、何も始まりませんよね。やり直しが効き、リスクが少ない若い時期に挑戦するのが最善ですし、合わなかったらすぐに別の仕事に切り替えてもいいと思います。

木村同感です。付け加えるなら、やってみたうえで「これは嫌だな」と思った仕事は、外していけば良いんです。私は会計士の仕事が心から好きではありませんでしたが、苦痛は感じなかった。つまり、向いていたんだと思います。

業務内容や会社のカルチャーなどが肌に合わず、あまりにも大きな苦痛を伴う場合を除き、仕事を続けてさえいればキャリアを築いていけます。まずは与えられた機会に飛び込んでみるのが大切です。

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ネットで満足するな。生の情報を掴むため、奔走すべし

パネルディスカッションの終盤、3名はそれぞれ「もし今自分が大学生だったら、どのような進路を選ぶか」について話した。

上野私の場合は「どこで働きたいか」よりも「誰と働きたいか」を軸に進路を選ぶと思います。名の知れた大企業に入っても、会社の規模が大きいゆえに、自分がやりたいことができるとは限りません。それなら、「この人と一緒に働いて知見を盗みたい」と思える人と身近に働けるスタートアップを見つけ、飛び込むのが良い。僕だったらそうします。

金本気になる分野の第一線で働いている人に実際に会い、ネットでは得られない生の情報に直接触れることが何より大切だと思います。会社説明会に行って事業内容の話を聞いても、表面的な情報しか得られないし、実際に業界で働いたことがある人しか実態は分からない。私が学生の頃は、知り合ったビジネスパーソンとよく飲みに行って、ざっくばらんに業界の知識を授けてもらっていました。もし今自分が学生だったとしても同じことをするはずです。

そして、そんな積極的でリスクテイクできる学生がスペースシフトにもたくさん集まってほしい。大真面目に、“取締役とインターン生だけのチーム”で上場できたらカッコいいな!とも考えているんです。グローバルで見ても年齢を問わず、優秀な若者は本当に優秀ですからね。

木村もしまだ進路が決まっていない場合は、自分の視野が広がる場所でインターンするのが良いでしょうね。学生の立場で得られる情報は限られているなか、 普段の学校生活では得られない深い情報に触れられるのが、インターンをする利点です。

パネルディスカッション後には、参加企業15社がそれぞれ2分間のショートピッチを実施。その後、学生はパネルディスカッションとピッチプレゼンテーションを経て関心を抱いた企業のブースへと移動し、交流会に参加した。

なかには、「資金調達に上手くいったとしても、1年後に会社が残っているとは限らない」といったスタートアップゆえの壮絶な環境について、本音で語り合う場面も見られた。

これまではオフィスの貸し出しなど、ハード面におけるスタートアップ支援に力を入れてきた三菱地所。今後は今回のイベント開催のような、入居先スタートアップへの採用支援などソフト面での施策もますます積極的に行っていくという。直近では、2019年冬に同様の学生向けイベントが開催される予定だ。

漠然と長期インターンに興味を持ちつつも、「どこから手を出せば良いか」が分からない学生の読者や、イノベーション創出を志向する優秀な学生とつながりたいスタートアップは、三菱地所の動向に注目しておいて損はないであろう。

こちらの記事は2019年08月08日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

ハッスル栗村

1997年生まれ、愛知県出身。大学では学生アスリートを取材し、新聞や雑誌の制作・販売に携わる。早稲田大学文学部在学中。

編集

岡島 たくみ

株式会社モメンタム・ホース所属のライター・編集者。1995年生まれ、福井県出身。神戸大学経済学部経済学科→新卒で現職。スタートアップを中心としたビジネス・テクノロジー全般に関心があります。

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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