企業再生のカギは「両利きの経営」だ──TOB・M&Aした2社を3ヶ月で黒字化と再成長に導いたエキサイトに学ぶ、コストカットで終わらない企業再生ノウハウ

Sponsored
インタビュイー
西條 晋一

1996年に新卒で伊藤忠商事株式会社に入社。2000年に株式会社サイバーエージェントに入社。2004年取締役就任。2008年専務取締役COOに就任。国内外で複数の新規事業を手掛ける。2013年に数百億円規模のベンチャーキャピタルである株式会社WiLを共同創業。2018年、XTech、XTech Ventures株式会社の2社を創業、エキサイト株式会社をTOBで全株式取得し、完全子会社化。

石井 雅也
  • エキサイトホールディングス株式会社 取締役CFO 兼 執行役員 

大手重工メーカー、コンサルティング会社を経て、2004年に株式会社サイバーエージェントに入社。
財務経理部門の責任者として決算・開示・税務等の業務に加え、東証1部への市場変更、大型の資金調達、多数の特命案件業務に従事。
2019年2月、エキサイト株式会社に入社し、執行役員に就任。コーポレート部門を管掌。
2019年6月、同社取締役CFO 兼 執行役員に就任(現任)。
2020年8月、iXIT株式会社の取締役に就任(現任)。
2020年10月、エキサイトホールディングス株式会社取締役CFO 兼 執行役員に就任(現任)。

宮崎 貴士
  • エキサイト株式会社 執行役員 

2015年4月、株式会社リクルートマーケティングパートナーズに入社し、営業・経営企画・新規事業を経験。
2019年7月、XTech株式会社に入社。事業再生を担当し、買収先のエキサイトT&E株式会社の代表取締役に就任。
2020年11月、エキサイト株式会社に入社し執行役員に就任(現任)。
2020年12月、iXIT株式会社の取締役に就任(現任)。

関連タグ

創業したばかりのスタートアップが、初年度に老舗インターネット企業であるエキサイトを買収する──そんなニュースが業界を駆け巡ったのは、2018年9月。TOB(株式公開買い付け)を実施した企業の名は、XTech。FastGrowは買収発表直後、XTech代表取締役CEOである西條晋一氏と、この買収劇に関わったユナイテッド代表取締役社長兼執行役員であり、買収後にはエキサイトの社外取締役に就任した早川与規氏へのインタビューを実施した。

TOB成立から、約2年半。買収前は「4期連続赤字」を計上し、売上も下降の一途を辿る状態だったエキサイトは、新経営陣によって復活を遂げた。復活劇の舞台裏を知るため、西條氏に加え、取締役CFO兼執行役員である石井雅也氏、そして執行役員の宮崎貴士氏をお招きし、お話を伺った。

「全メンバーとの1on1」から始まり、買収後たった3ヶ月で黒字化という成果を挙げた新経営陣は、いかにしてエキサイトを復活させ、今どんな展望を描いているのだろうか。企業再生と新規事業立ち上げのヒントに満ちたインタビューをお届けする。

  • TEXT BY RYOTARO WASHIO
  • PHOTO BY SHINICHIRO FUJITA
SECTION
/

赤字体質をわずか3ヶ月で改善し、黒字に転換

4期連続赤字、売上は4年で25%低下──それが、経営陣を刷新する前のエキサイトの状況だった。

西條氏率いるXTechがSPC(特別目的会社)のXTech HP(現在のエキサイトホールディングス)を通じてエキサイトにTOB(株式公開買い付け)を実施したのは、2018年10月。同年12月には完全子会社化して経営陣を刷新し、西條氏をトップとする体制で経営の抜本的な改革を進めてきた。

CFOとして改革を牽引するのが、石井氏だ。サイバーエージェントの財務経理部門の責任者として長年実績を積んだ石井氏が2019年2月にジョインし、同社の改革をリードしてきた。TOB成立から2年半が経過。これまでの成果をこう述べる。

エキサイトホールディングス株式会社取締役CFO 兼 執行役員 石井雅也氏

石井2019年度の前期には、改革が功を奏し4億円台半ばの営業利益を出すことに成功しました。利益を出せただけではなく、これまで4年連続下降線を辿っていた売上も成長軌道に戻すことができた。

2020年度に関しては、2019年度の売上の約120%で着地する見込みとなっています。利益については営業利益の30~40%を新規事業への投資に充てていることもあり、前年並みということになります。

既存事業の再成長に加え、売上を伸ばした要因の1つが2020年8月に実施した、受託開発事業を展開するiXITの買収である。「2019年度から伸長した20%の売上の内訳は、既存事業の成長で10%、iXITの買収で10%」と石井氏は説明する。iXITもTOB前のエキサイト同様、赤字体質の会社だったという。

石井iXITは5期連続で赤字を計上していました。しかし、買収後、さまざまな改革を実施することで、エキサイトと同じくわずか数ヶ月で黒字化に成功しています。

SPC(特別目的会社)のスキームを活用したエキサイトの買収、そして、エキサイトによるiXITの買収。西條氏はその狙いと意図をこう説明する。

エキサイトホールディングス株式会社 代表取締役社長CEO/XTech株式会社 代表取締役CEO 西條晋一氏

西條エキサイトを買収するために設立したSPCがXTech HP(現在のエキサイトホールディングス)です。設立段階で、SPCは事業を持たないいわゆる「空箱」でした。この空箱に数十億円のバリュエーションをつけて、外部から優先株で資金調達をするとともに、メザニンとLBOローンを駆使して、エキサイトを買収しました。空箱にバリュエーションをつけて資金調達をするという意味で、本スキームは、いまアメリカで流行しているSPAC(特別買収目的会社)のスキームに少しだけ似ていますよね。

SPACを利用したスキームとは、買収を目的として設立された空箱であるSPACを上場させたのち、未上場の企業を買収。そして、SPACと買収した企業を合併させ、事業を運営する被買収企業を存続させることで上場企業となる仕組みです。当時のXTech HPはSPCであって、SPACではないですが、空箱にバリュエーションをつけて買収スキームに応用したという点では「日本初の取り組み」と言えるかもしれません。担当した大手弁護士事務所や証券会社でも、見たことがないスキームということで、論点整理が大変でした。

2020年10月にはXTech HPをエキサイトホールディングスに改称し、純粋持株会社へと移行しました。すでにエキサイトとiXITを短期間で黒字化させた実績を持っていますし、新規事業と企業再生を強みとしてエキサイトホールディングスを運営していきたいと考えていて、一連の買収はその第一歩なんです。

SECTION
/

まずは経営陣が現場を徹底ヒアリング。トップダウンの組織変革によって黒字化を達成

いかにしてエキサイトとiXITの赤字体質を改善し、短期間で黒字化を成し遂げたのだろうか。「経営改革に乗り出すにあたり、まずは2つの大方針を決めた」と石井氏。

石井1つは、短期勝負で黒字化すること。継続的に赤字を計上している会社だったので、ある程度は覚悟して手を入れなければならないだろうと。しかし、改革には痛みがつきものですし、長い時間をかけると社員たちにも負担をかけてしまう。だからこそ、短期間でやり切ろうと決めました。

もう1つは、人員削減や給与のカットはしないこと。インターネットビジネスを展開する企業の価値の源泉は人。人を大切にしなければ改革は成功しないと考えていましたし、メンバーに不利益を被らせたくないと思った。ですので、人員や給与を減らすことはせずに黒字化させようと決めたんです。

改革に乗り出した新経営陣がまず取り組んだのは、全メンバーとの1on1だ。課題を洗い出すため、西條氏と石井氏、そして取締役を務める秋吉正樹氏によってメンバーとの対話が実施された。3週間にわたる1on1の末、浮かび上がった課題は大きく2つ。

石井1つ目は、コストの肥大化です。特に、外部パートナーへの販売や業務委託契約などにおいて、こちらの分が悪く、必要以上のコストを割いているケースが多く見られました。徹底的に契約内容を精査し、売上高に影響を及ぼさないと考えられる契約は停止したり、契約条件を見直していきました。その結果、10億円ほどのコストを削減できた。2019年度の赤字額は5億円ほどだったので、この施策だけで黒字化できたことになります。

もう1つの課題は、いびつな組織構造。具体的には、管理職比率が異常に高かった。管理職の人数は減らしましたが、給与は一切下げていません。役割を変えただけですね。また、社員の2/3が管理部門に配置されており、必要以上に多かったので、事業部を整理した上で、人材配置を見直しました。

そして最後に、部署ごとの予算設定の方法も変更しました。以前は経営企画が年度始めに予算を決めて各部署に下ろしていたのですが、部署からすれば自分たちが定めた予算ではないため、達成にコミットしきれていなかった。ですので、部署ごとに予算を決定してもらうようにしました。

実施した施策は他にもある。「50段階もあった」職務等級制度の改定もその一つ。以前の親会社である伊藤忠商事の制度がベースで導入されており、「インターネットビジネスを展開する会社にそぐうものではなかった」と石井氏。若手の等級がなかなか上がらず、昇給もしづらい環境になっていたのだ。若手の活躍を促すため、石井氏ら新経営陣はこの制度をシンプル化し、昇給幅にも制限を設けないことを決定。かつては年1回だった等級の見直しも年2回に改めた。こうした改革によって「昇給率は以前の2倍になった」という。

また、iXITを買収した際も改革は全メンバーとの1on1から始めたそうだ。ヒアリングを通して判明したのは、「案件の数とクオリティの適正化をしなければならない」ということ。

石井iXITの場合は、案件数の多さと案件ごとの利益率が問題でした。「とりあえず案件を獲得する」スタンスになっており、案件ごとの収益管理ができていなかった。整理してみると赤字の案件も多くありましたね。

また、案件数の多さがメンバーを疲弊させていた。ですので、まずは案件数を3分の1ほどまでに絞りました。案件を減らせば売上は落ちますが、同時に外注費を削ることで利益を確保しました。

オフィスをエキサイトと統合したことも大きかったですね。案件ごとの収益率を可視化し整理すること、そして不要なコストを削ることで黒字化を達成できました。

SECTION
/

「事業の定義」を変えることで、組織は生まれ変わる

そもそも、なぜエキサイトは赤字体質になってしまったのだろうか。問題の根底にはどんな企業にも発生しうるリスクが潜んでいた。

西條既存事業が時流やトレンドから外れてしまったとき、既にさまざまな問題が生じ始めているのだと考えています。インターネットビジネスのトレンドの移り変わりはとても早い。PCブラウザベースのサービスから始まり、ガラケーやスマホが登場し、そしてアプリという市場が誕生しました。一度トレンドの移り変わりに対応できないと、その後もズルズルと変化に対応できない組織として固定化するという問題が生じます。

最も大きな問題は「チャレンジをしなくなる」ということです。始めはどんな会社も時流に乗っていくために新たな事業を興そうとチャレンジしますよね。ですが、そのチャレンジが立て続けに失敗してしまう、あるいはサボってしまうと、組織全体が「とりあえず生き延びているし、既存事業をこれまで通り回そう」とコンフォートゾーンから抜け出せなくなってしまうのです。

人の脳がそうであるように、組織の“脳”もコンフォートゾーンを優先するようになっている。そうして新たなチャレンジをせず、既存事業ばかりに囚われるようになると、時代の流れとともに事業成長に綻びが生じ、気づいたときには成長軌道に戻すことが難しくなっていくわけです。

組織は意識して新たなチャレンジに取り組み続けないと、ついには変革へのアクションすらも起こせなくなってしまう。では、すでにそういった悪循環に陥ってしまった企業を再生するためにはどうすれば良いのか。「“脳”を変えるしかない」。それが西條氏の答えだ。

西條企業にとっての“脳”、つまりは経営陣を変えるしかないと思っています。脳を変えれば、体質は変わっていくんです。

僕の見立てでは、いくら利益が出ていなくても10億円程度の売上がある会社であれば、体質を改善し再生、つまり「会社を再び成長軌道に乗せる」ことが可能だと思っています。10億円の売上があるということは、展開しているビジネスが世の中の何かしらの仕組みに組み込まれているということだと考えています。ある程度世間から求められている事業を持っているのであれば、いくらでも再生の糸口が見つかるはずです。そこそこ必要とされるビジネスがあって、運用できるメンバーが一定数いる、というラインが「(年間)売上10億円」。

エキサイトの場合は、買収時点で売上が60億円弱ありましたし、iXITも10億円程度の売上がある会社でした。ですから、僕たちが経営を担い、事業のやり方を変えていくことによって、再び成長軌道に乗せることは十分可能だと判断しました。

企業全体でなくとも、事業部単位でも「病んでしまう」ことがあると西條氏。たとえ会社全体の調子が良くても、トレンドから外れた事業を担当する部署では、メンバーのモチベーションが落ち、新たなチャレンジが生まれない環境になってしまう危険性があるというのだ。そんな「病」に罹ってしまった事業部に対する処方箋は「事業の定義を変えること」だ。

西條たとえば、エキサイトには以前から占い事業を担当する部署がありました。この事業はかなり利益を上げていたし、2019年度も前年比1.5倍の売上成長率でした。

しかし、占い事業はビジネスモデル的にも急成長トレンドであるとは言い難く、メンバーのモチベーションも決して高いとは言えなかったんです。そこで我々は「占い事業」を「ライフ&ウェルネス事業」の一領域に位置づけました。占いには何かに悩んでいる人の心のケアをして、心の健康に寄与するといった側面もありますよね。ですので、メンバーたちには「『占い』をやっているのではなく、ユーザーの生活や健康のための事業をやっているのだ」と意識してもらうようにしたんです。

小手先の施策のように感じるかもしれませんが、このように事業の定義を深化と探索によって変えることでメンバーの意識は変わりますし、視野も広がる。「占い事業」の中で新たなチャレンジをしろと言われても難しく感じるかもしれませんが、「ライフ&ウェルネス」という枠の中でなら新たなアイデアが出てきそうじゃないですか。実際にメンバーからも、「ヨガと占いを組み合わせることはできないか?」といったようなアイデアが挙げられるように意識が変わってきています。このように、事業ごとの定義についてしっかりと話し合い、メンバーたちに伝えることも組織を変えていくためには重要なステップだと考えています。

SECTION
/

“椅子取りゲーム”は突然終わる。まずは、限られた椅子をめぐる輪に入るべし

コストの削減や体制変更、評価方法の見直しなど、さまざまな施策を通して、赤字体質を改善し成長軌道に乗ったエキサイトが現在注力しているのは新規事業開発だ。新たな軸となる事業を生み出すチャレンジの先頭に立つのは、執行役員である宮崎氏。今後、どのような領域のビジネスに打って出るのだろうか。

エキサイト株式会社 執行役員/iXIT株式会社 取締役 宮崎貴士氏

宮崎toC、toB双方で新規事業を展開していきたいと考えています。toC領域では、主にD2C事業を手掛けていきます。D2Cに参入を決めた背景は、エキサイトが女性向けメディアの中でも最大規模を誇る『ウーマンエキサイト』を展開しているためです。サイトに訪れるユーザーの悩みを捉え、女性を中心としたブランド展開を考えています。

直近では2021年2月に子どもの成長期を支えるサプリ飲料である『セノバス+』をリリースしました。加えて、今期中には『女性向けのヘルスケアD2C』を準備しています。 またメンバーも、複数人の事業責任者クラスがジョインしてくれて強い組織になってきました。連続的に新規を立ち上げていきたいと考えています。

toB領域では、経営管理に特化したSaaSを開発しています。簡単に言えば、CFO石井が得意とする経営管理ノウハウをSaaS化したプロダクトです。エキサイト再建で多分に取り入れられたノウハウを、他社でも使って頂きたいという思いに端を発しています。それだけではなく、リリース前で詳しくは言えませんが、大手企業とのJVなども進めており、ToB領域でも連続的に仕掛けていきます。

一見すると既存事業や在籍するメンバーの強みを活かした事業展開を志向しているようにも見えるが、「事業領域にこだわりはない」と西條氏。エキサイトの新規事業開発における戦略は「幅広く構えておくこと」だとする。

西條先程も申し上げたように、インターネットビジネスのトレンドの移り変わりは早く、盛り上がっていた市場が急にシュリンクすることもあれば、下火だった市場が一気に拡大する可能性もある。

これを私は「椅子取りゲーム」のようなものだと思っています。さまざまなプレイヤーが新たな市場の良いポジションに“座る”ために、椅子の周りをぐるぐると回っている。そして、音楽はいつ止まるか分からないんです。そもそも音楽が鳴っている間に輪の中に入っていなけれれば、音楽が止まったとき椅子を狙うことすらできませんよね。

だから、まだまだ“音楽が鳴っている”、すなわち市場の中で勝者が決定されていないさまざま市場に参入して、“椅子に座る”ための準備をしておかなければならないと思っています。

宮崎僕としても、時流に乗ることを最も大事にしています。「“音楽が鳴っている”のはどこか」あるいは「“音楽が止まりそう”な市場はどこなのか」をしっかりと見極めなければならない。

そして、新規事業開発を管掌する役員としては「誰に任せるか」も、とても大切にしています。では、どんな人に新たな事業を任せたいと考えているかというと、とにかくその領域のことを熱く語れる人に任せること。たとえば、iPhoneのケースを製造し販売する事業を始めるならば、iPhoneのケースについて2時間でも3時間でも語り続けられる人に事業を任せたいじゃないですか。

また、メンバーたちには事業開発を進める際、可能な限り多くの競合のサービスや製品を実際に触って、「クオリティ」「コスト」「デリバリー」「UX」、この4つの要素のどこが優れているのか徹底的に考えてもらうようにしています。そうして競合のことを知り、僕たちが生み出すサービスはそれら4つの要素のどこで勝っていくべきかを考えてもらうんです。

事業はこの「クオリティ」「コスト」「デリバリー」「UX」に集約されると思っています。このいずれの要素で勝つのかを考え尽くし、事業をつくっていく必要がある。だから、現在は競合を知り尽くすことで、我々にとっての勝ち筋を見出した上で事業づくりに落とし込むことを徹底しています。

とはいえ、成功する新規事業を生み出すためには、相応の時間が必要だろう。「今は畑を耕す時期」とするのは石井氏だ。まずは時間をかけて、新たな事業にチャレンジする風土を根付かせていきたいと語る。

石井これまでエキサイトは新規事業にほとんどチャレンジしてこなかった。2018年度までは赤字だったので、チャレンジすること自体が難しく、大きな失敗は許容できませんでした。だからこそ、チャレンジングなアクションが継続せず、そういったアクション自体が減っていった。

まずはそのカルチャーを変えていかなければならない。そのためには、事業を成功させることそのものよりも、「たくさんのチャレンジをし続けること」が重要だと思っています。とにかくたくさんの新規事業に挑戦し、失敗してもいいからそれを続けていく。そうすることで、チャレンジするカルチャーが段々と根付いていく。

もちろん、カルチャーを変えるのは時間がかかります。1〜2年で成し遂げられるとは思っていませんし、まずは新規事業を成功させることよりも、メンバーたちが次々とチャレンジすることを大切にしていきたいと考えています。

SECTION
/

入社すべきタイミングはいつでも「今この瞬間」。
全メンバーが「あのとき入社しておいてよかった」と思うような採用を続ける

引き続き既存事業を成長させながら、そこで得た利益を新規事業への投資にあてていきたいと西條氏。「新規事業立ち上げと、そのグロースに関するノウハウは持っている」と自信をのぞかせる。

一方で、石井氏は「既存事業にも大きな成長の余地は残されている」と語る。赤字体質が改善されたことで、再成長への道筋は開かれた。

石井買収後、すぐに既存事業のサービス改善に取り組みました。たとえば、占いサービスはUI/UXのクオリティに改善の余地が残されていたので、すぐに取り組んだんです。そしてサービスの「土台」を整えた後、2019年度の下期から新規顧客獲得のための広告運用を強化した結果、2020年度の前期は前年同時期比で150%の売上となり、通期では135%の伸び率となりました。

既存事業の中には、高い収益率を維持している事業もありますし、引き続きサービスとマーケティングを改善しながら、マーケット内でのポジションをどんどん上げていきたいと考えています。

既存事業の改善と新規事業の開発を進め、目指すのは再上場だ。エキサイトは2004年より日本証券業協会(現 東京証券取引所JASDAQ市場)に上場していたが、XTechがTOBを実施したタイミングで上場廃止となっていた。「早期に再上場を果たし、改めてスタートラインに立ちたい」と石井氏は展望を語る。

約20ものグループ会社をもつXTechの代表取締役を務める西條氏も、「週のほとんどをエキサイトのオフィスで仕事をしている」というように、現在はエキサイトの経営に多くのリソースを割いている。特に注力しているのは、採用だ。

西條幹部人材候補の採用に多くの時間を割いています。どんどん採用基準が上がって「あのとき入社しておいてよかった」とメンバーたちが感じるような採用をしていきたいですね。

というのも、僕は2000年にサイバーエージェントに入社したからこそ、役員まで務められたと思っているんです。入社が1年遅れて2001年だったら、そこまでの活躍チャンスはもらえなかったでしょう。それほどまでに、サイバーエージェントに入社する人材の質は、毎年どんどん上がっていた。

エキサイトの新卒採用では1年ごとに、中途採用でも半年ごとに採用基準を上げていきたいですね。そして、すべてのメンバーが「今の採用基準では自分はエキサイトに受かっていない」「あのタイミングで入社しておいてよかった」と思うような、常により良い人材が集ってくる環境にしていきます。

そんなエキサイトを、「事業を生み出し、大きくしていく経験をしたいと考えている若手にとってこれ以上ない環境」と語るのは、新規事業を管掌する宮崎氏だ。

宮崎エキサイトの魅力は2つあると感じています。1つは、起業家、経営者、そして投資家としての成功・失敗体験を豊富に持った西條、石井からフォードバックが直接、しかもすぐにもらえること。そして、もう1つは挑戦する機会がゴロゴロ転がっていることです。

この2つの要素が併存する環境は実はほとんど無いと思います。というのも、エキサイトにはすでに約200名のメンバーがいます。スタートアップであれば、そもそもこの規模にたどり着くまでに時間がかかりますよね。そして、一般的にこの規模の会社に入社すると、既存事業の運用などに配属される可能性も高いわけです。もちろん、エキサイトにこれから入社される方も、既存事業のグロースを担うことはあるでしょう。しかし、これまでお話してきたように、エキサイトはこれから新規事業に力を入れていきたいと思っていますし、外部から入社する人材に求めているのも、「新規事業を大きくした経験やスキル」です。そのため、事業立ち上げをお任せできる可能性は、他の数百名規模のベンチャーと比較しても相当に高い。

事業立ち上げを担う可能性が高いだけならば、他のスタートアップと同じかもしれませんが、エキサイトにはすでに大きなリソースがある。約200名のメンバーや20社近いグループ会社を巻き込みながら、そして既存事業があげる利益を活用しながら、事業開発ができるんです。さらに、一連のプロセスにフィードバックをくれるのは、西條や石井のような経験豊富な人たち。

こんなにも環境が整っているだけでなく、たくさんの機会に溢れている企業はなかなかないと思っています。特に、新規事業にかける社長の西條の熱量に触れたら、皆さんびっくりすると思いますよ(笑)。事業が生まれ続けるベンチャーは、トップのこういったコミットや熱量から生まれるんだな、とつくづく感心します。僕自身もまだ30代に入ったばかり、かつ中途入社1年目でiXITの取締役を任せてもらうなど、新たな機会をものすごいスピードでいただいていますし、大きく成長している実感があります。

事業を立ち上げ、大きくしていく経験がしたい。あるいは、改めて会社をイチからつくっていくような経験がしたいという人は、ぜひ仲間になって欲しいですね。先程西條が言ったように、採用基準はどんどん上がっています。常に「飛び込むなら今しかない」ですよ(笑)。

そんな宮崎氏のアツい言葉を横目に、最後に石井氏は、「ファイナンス面でも日本初の面白い試みをたくさん実現していきますから、期待してください」と微笑んだ。いわゆる“管理部門”までもが一丸となって「新規事業」や「イノベーション」に注力する、エキサイト。その社名通り、新しいもの好きな読者をexciteさせ続ける会社にいま、生まれ変わろうとしている。

こちらの記事は2021年05月18日に公開しており、
記載されている情報が異なる場合がございます。

記事を共有する
記事をいいねする

執筆

鷲尾 諒太郎

1990年生、富山県出身。早稲田大学文化構想学部卒。新卒で株式会社リクルートジョブズに入社し、新卒採用などを担当。株式会社Loco Partnersを経て、フリーランスとして独立。複数の企業の採用支援などを行いながら、ライター・編集者としても活動。興味範囲は音楽や映画などのカルチャーや思想・哲学など。趣味ははしご酒と銭湯巡り。

写真

藤田 慎一郎

おすすめの関連記事

会員登録/ログインすると
以下の機能を利用することが可能です。

When you log in

新規会員登録/ログイン