新規事業をやり抜く人は「高エネルギー生命体」である。
XTech西條×ラクスル松本が語る事業開発の成功条件

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登壇者
西條 晋一

1996年に新卒で伊藤忠商事株式会社に入社。2000年に株式会社サイバーエージェントに入社。2004年取締役就任。2008年専務取締役COOに就任。国内外で複数の新規事業を手掛ける。2013年に数百億円規模のベンチャーキャピタルである株式会社WiLを共同創業。2018年、XTech株式会社、XTech Ventures株式会社の2社を創業、エキサイト株式会社をTOBで全株式取得し、完全子会社化。

松本 恭攝

慶應義塾大学卒業後、A.T.カーニーに入社。コスト削減プロジェクトに従事する中で、印刷業界の非効率に着目し、インターネットの力で産業の仕組みを変えるべく2009年9月にラクスル株式会社を設立。印刷会社の非稼働時間を活用した印刷・集客支援のシェアリングプラットフォーム事業を展開する。その後、2015年12月からは物流のシェアリングプラットフォーム「ハコベル」、2020年4月から広告のプラットフォーム「ノバセル」事業も開始。

高城 雄大

横浜国立大学卒業後、NTTコミュニケーションズ、プライスウォーターハウスクーパース(PwC)にてアジア各国における買収先企業や現地企業とのITインフラ構築、システム開発、サプライチェーン、S&OP改善プロジェクト等に携わる。2015年ラクスル入社。経営企画やSCM、プロダクト開発、複数の新規事業開発を経て、現職。

廣川 航
  • M&A BASE 株式会社 代表取締役 

2019年慶應義塾大学商学部卒業。 大学在学中からスタートアップやベンチャーキャピタル、ヘッジファンドなどでリサーチ業務に従事。 2018年7月にXTechに入社、2019年2月にM&ABASEを設立し、取締役を経て2021年代表取締役に就任。2020年11月にTech Growth Capitalを設立。 ツイッターでは約3.5万のフォロワーを抱える。

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近年、日本のスタートアップ界隈でも耳にすることが多くなった「BizDev」。なかでも、2019年8月に東証一部上場を果たし、さらなる事業拡大に乗り出そうとしているラクスルは、若手BizDevを重用するスタートアップのひとつとして知られている。

ラクスルでは、若手人材へのノウハウの還流を目的に、他業種のBizDev人材を招き、実践知を共有するイベント「Startup BizDev Meetup」を開催している。4回目となる今回は、XTech代表・西條晋一氏をゲストに招き、ラクスル代表・松本恭攝氏との特別対談が開催された。

西條氏が語る新規事業の成功要件と、松本氏がラクスルをグロースさせた方法論が邂逅し、イベントは熱量を帯びた。本記事では、その様子をダイジェストでお送りする。将来、BizDevとして世の中に影響を与えたいと思っている読者にとっては、学びの多い内容となるはずだ。

  • TEXT BY HUSTLE KURIMURA
  • EDIT BY MONTARO HANZO
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思わず抜擢したくなる条件は?西條氏が語る「伸びる若手」

この日の対談は、西條氏が率いるXTechグループの紹介で幕を開けた。

XTechグループは、持株会社の「XTech」を中心に10社以上の子会社を抱えており、連結の従業員数は300人以上となっている。

子会社には、ポータルサイトの「エキサイト」やベンチャーキャピタルの「XTech Ventures」、音声コンテンツ配信サービスの「Radiotalk」、食材のマーケットプレイスの「クロスマート」、M&Aのアドバイザリーの「M&ABASE」などを抱えている。新規事業として立ち上げた子会社もあれば、買収によって子会社にした会社もあることが特徴だ。

ラクスル株式会社代表取締役社長CEO 松本恭攝氏

松本XTechが幅広い領域に参入していることは知っていましたが、留学事業で有名な地球の歩き方T&Eを買収していたのには驚きました。なぜ、これほどまでに事業領域の拡大へ注力しているのでしょうか?

XTech株式会社代表取締役CEO 西條晋一氏

西條ひとつの産業領域にこだわりをもたず、多領域にアンテナを張ることで、より多くのビジネスチャンスに巡り会えるからです。僕自身、前職のサイバーエージェント(以下、CA)でこのことを学びました。CAは広告事業を窓口にすることで、スマホゲームや動画コンテンツなどのビジネスチャンスに気づき、ライバルよりも一足先に参入する戦略を取っていたんです。

松本多くの領域に事業を展開していると、各領域でイニシアチブを取る人材が足りなくなるリスクもあると思います。グループ内各社における「リーダーシップ人材」は、どのように確保しているのでしょうか。

西條基本的に最初の資金調達を行うまでは私が社長を務め、それを終えたあとは、その会社で私の右腕として働いているメンバーに社長を交代します。自分が社長を務めている間に優秀な「右腕」を探して育て上げるのは、経営者にとって重要なミッションのひとつですね。

松本今日お越しいただいた皆様のなかには、まさに「右腕」になることを目指す方も多いのではないでしょうか。西條さんは、どのような基準で右腕人材を選んでいるのですか?

西條一言で表すと、直感ですね。私は「こいつならやれるな」と直感で感じる若手のことを、「高エネルギー生命体」と表現しています。

熱量のある人材には2通りいます。初動だけ激しく燃えてすぐ燃え尽きる人と、太陽のようにずっと燃え続ける人です。「高エネルギー生命体」は後者。自ら取り組む事業に対しての熱量を保ち続け、フルコミットをやめない経営者の周りには、気がつくと優秀な仲間が集まってくる。採用も成功し、自ずと「高エネルギー生命体」をリーダーとする最強のチームが生まれるんです。

松本なるほど。西條さんのなかで最近もっとも印象に残っている「高エネルギー生命体」人材がいれば、ぜひ教えてください。

西條エキサイトの社内ベンチャーとして「Radiotalk」を立ち上げ、現在XTechの子会社・Radiotalkで代表を務める井上佳央里は、まさに「高エネルギー生命体」です。

井上と初めて会ったときのことは、今でも忘れられません。XTechがエキサイトのTOBを発表した直後に行なったセミナーでのことです。井上が私のところにサッときたと思ったら、開口一番、「エキサイトで潰れそうなサービスを続けています。西條さん、どうかよろしくお願いします」とまっすぐ僕の目を見て言いました。プライドを捨て、自分がつくったサービスを守ろうとする行動力と熱量に胸を打たれて、「RadiotalkをXTechの子会社にして、井上を社長に抜擢しよう」と決意したんです。

Radiotalkはその後、2019年5月に毎日放送グループのMBSイノベーションドライブと資本・業務提携を結ぶとともに、同社から約1億円の資金を調達。井上の成長を見て、「高エネルギー生命体」のように熱量が満ちあふれている人には、必ず共感が集まることを改めて感じています。

松本たしかに、事業に対するリーダーの熱量が多ければ多いほど、会社として目標を成し遂げる確度も上がりますよね。

とはいえ、事業を成功へ導くためには、プロダクト開発からリード顧客の獲得、グロースハックまで、会社として取り組むべきことが山積みです。いくら「高エネルギー体」といえど、厳しい状況に音を上げてしまうひともいるのではないかと思うのですが、XTechは人材の成長をどう支援しているのでしょうか。

西條XTechに存在するあらゆる人脈、リソースを迷うことなく使うように伝えていますね。例えば、資金調達に関しては、私自身が蓄積してきた信用を活用してもらうことで、調達の負担を軽減。その分、資金調達の難易度が下がることによって生まれる時間は、契約書の作成・締結に関する勉強や、交渉術を体得するためのトレーニングに当ててもらっています。

経験を積ませる意味では、子会社の社長は全員、会社の登記を自ら行うようにしているんです。メガベンチャーの子会社社長の経験がある人でも、会社の法務部が手続きすることがほとんどでしょう。実際に自分の手で登記をして、そのためのルールや仕組みを理解している人は少ない。

XTechグループで子会社の社長を担う若手のなかには、将来の起業を志す人も多くいるので、経営を一気通貫で味わってほしいという思いから、会社の登記も経験させています。

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ミッションを“遂行する”人材から、“自らつくって成し遂げる”人材へ

XTechグループは、要職に次々と若手を抜擢している。M&A支援事業を行うM&A BASEの取締役に、XTech新卒として初めて採用した廣川航氏を起用したのは最たる例だ。

新規事業や買収をてこに事業・子会社の数を増やし、それぞれ事業が軌道に乗るまでの間に「高エネルギー生命体」を発掘、一人前の経営者になるまでサポートする。事業家・西條晋一の十八番と呼べるそのスタイルは、どのような経緯で確立されたのだろうか。

西條20代の頃を振り返ってみると、与えられたミッションをとにかく遂行することに徹していました。特に、26歳でCAに入社してからは、どんなに細かいタスクでも藤田(晋)さんの指示より先回りしてこなし続けた結果、入社から半年後には、子会社の社長を務める機会にも恵まれたんです。

西條ただ、30代を目前にして「このままではいけない」という思いは募るばかりでした。会社内でいかにプレゼンスを発揮することばかりを考え、自分の意志で「やらせてください!」といった事業に取り組んだ経験が、当時の自分にはまだなかったからです。そこで、30歳のとき、意を決してサイバーエージェントFX(現在の名称はYJFXとサイバーエージェントキャピタル)とジークレストの2社を、ほぼ同時期に立ち上げることにしました。

8時から17時までサイバーエージェントFXで働いて、18時から深夜2時までジークレストで働く毎日でした。単純に「人より倍働けば、倍の経験を積める」と思ってたんです。実際、倍とまでは言わないですが、人生で最も多く経験値を得られた実感があります。

松本私も会社の創業期は数年間にわたって1日の休みもなく働いていました。もちろん、いま同じような働き方をすることはないですし、起業家全員にとって向いているとも思いません。ただ、私自身にとっては、その経験があったからこそ乗り越えられた壁があるのも事実。ハードワークした経験は、経営者や事業責任者として次のステップに行くうえで、ある程度必要だと感じます。

事業や会社をつくるだけではなく、成長させていく人間になるために、西條さんが必要だと思うことは何ですか?

西條視座の高さです。数多くの起業家と接してきましたが、上場しても時価総額が思うように上がらない場合、社長の視座の高さが足りていないことがほとんどです。たとえば、藤田晋さんは、若いときから「藤田テレビ」をつくると本気で思い続けて、結果として「AbemaTV」を生み出しました。

時価総額が1,000億円を超える会社をつくる起業家は、一度掲げた目標を簡単に撤回しないですし、視座を高く保つことを意識し続けている。そういう起業家のところには、必ずチャンスが巡ってくるし、優秀な人材もその視座の高さに惹かれて集まってくるんです。

関連記事:起業家ができるまで──XTech代表・西條晋一

視座を高く持ち、動き続ける──。イベントの後半に設けられた質疑応答では、BizDevにとっての「成長」に必要なアクションとはなにか、若手BizDev人材からの質問が数多く寄せられた。登壇者にXTechの廣川航氏、ラクスルの高城雄大氏を交え、各々の意見が語られた。

廣川私が西條からよく言われるのは、とにかく外に出て人に会うということ。会いたいと感じたひとにはアポを取ります。すると、インターネットにはのっていないような、「現場の生の情報」を知ることができるんです。

松本BizDevとしてのPDCAを的確に回すためには、事業の特質を知り、適切なスピード感と規模感のアクションを起こすことが求められます。

例えば、メディア事業なら、記事を多く出してPVやSNSでの反応などを見ながら、数多くのPDCAを回すことで加速度的に成長できるはずです。反面、アプリのインターフェースの改善をしたいのであれば、いきなり世の中に出すよりも、慎重にABテストを重ねた方が改善の確度は高くなる。

「とりあえずアクションする」ことが求められるのか、「石橋を叩いてでも仮説検証を徹底する」ことが求められるのか、事業体の性質を見極めることが肝要です。

高城BizDevの仕事として重要なのは、事業の抱える課題や成長ドライバーがバリューチェーンのどこにあるのかを探し出すことです。

ただ、ラクスルのような長いバリューチェーンを持つ事業体では、その課題を見つけ出すのは容易ではありません。そこで僕が行ったのが、おなじ事業領域やビジネスモデルで成功した企業に複数社訪問し、実際にどのように課題を乗り越えたのかをヒアリングしていました。西條さんがおっしゃる通り、自分の足で情報を稼ぐ「泥臭さ」が大切になってくると感じています。

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「モノタロウ」徹底リサーチでグロースを成し遂げたラクスル

西條氏は、12年間勤めたCAを退職したのち、2013年にベンチャーキャピタルのWiLを創業。同社は、ラクスルが2014年に総額14.5億円の資金を調達した際のリードインベスターでもある。

西條出資させて頂いたときは、ラクスルは創業5年目を迎えていましたよね。創業からプロダクトマーケットフィット(PMF)に至るまで、どういった流れで進んでいったのですか?

松本2009年に創業し、2010年に「印刷比較.com」という国内初の印刷比較サイトをつくりました。「印刷比較.com」にはサプライヤーとして3,000を超える印刷会社が登録してくれたんです。印刷会社と印刷したいユーザーが集まるプラットフォームができあがり、これが「ラクスル」の源流になっています。

「印刷比較.com」は、最初の半年間ぐらいは理想とは程遠い売上でした。それでも、安い価格で仕入れをさせてくれる印刷会社さんを全国中探し回ったり、ウェブを中心に広告を打ってマーケティングを機能させるようにしたり。結局、PMFを確信するまでは4年ほどかかりました。

西條松本さんですら、4年かかったんですね。PMFするまで、1年も待たずにやめてしまう起業家も少なくありません。シンプルですが、起業家にとって辛抱強さは大切な素養です。PMFしてからのグロースについては、どのように進めていったのですか?

松本サービスに最も適するグロースの手段を暗中模索していくなかで、テレビCMとデジタルマーケティングが最適な手段とわかり、積極的に活用しました。自社に適したグロースの手段を見つけることは、想像以上に難しいことだと、探しながら痛感しましたね。

松本グロース方法の最適解を見つける際に、私が特に注力するのは同業を徹底的に分析することです。国内外問わず、他社がどうやってニーズを捉えていて、どのようにグロースさせているのかを、IR資料を読みまくって分析します。

ラクスルが特に分析したのは、MonotaROです。「ラクスル」が印刷、「モノタロウ」が資材販売と業界としても近かったですし、MonotaROの時価総額も2012年当時は、まだ約200億円(2019年8月時点では約6,500億円)しかなかったので、私たちの直近の目標とかけ離れていなかった。それらの理由で、徹底的に分析していました。

西條IRの読み込みだけで詳細に分析できるのはすごいですね。

松本また、尊敬する経営者の思想や行動をインストールすることも意識的におこなっていましたね。僕の場合、MonotaROが創業から取ってきたアクションを時期ごとに細かくリサーチして、瀬戸欣哉さん(MonotaRO創業者・現LIXIL代表取締役会長)が経営者として何を考えていたかを徹底的にシミュレーションしていたんです。MonotaRO関連の記事を読み込んで、瀬戸さんにも実際に会いに行って、思いつくことを片っ端から全部やりました。

加えて、グロースの手段を見つけるもうひとつの方法として取り組んだのが、かなりの数の顧客ヒアリングです。当時は私自身が、毎日5件から10件ぐらいセールスに出て、全ての顧客でヒアリングを試みていました。

関連記事:ラクスルはなぜ、上場後も加速度的な成長を続けられるのか。 GAFA流「再投資モデル」の威力と、“経営者だらけ”の組織体

松本西條さんは、私たちが物流のプラットフォーム「ハコベル」を始めることに対して、どういった印象を持ちましたか?当時はすでに投資していただいた後でしたよね。

西條松本さんは、緻密に仮説検証を行い、コツコツと事業をつくるスタイルの経営者です。「ハコベル」もそういった松本さんのスタイルにマッチしていると思いましたし、「仕組みを変えれば、世界はもっと良くなる」というビジョンとも親和性がある。なので、私は「ハコベル」の開始には初めから賛成でした。

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ピクサーを目標とする「Startup Studio」。西條氏のノウハウを凝縮し、事業開発のフレームワークを提供する

「多くの新規事業を後押ししていきたい」と語る西條氏の思いが体現された事業のひとつが、XTechの「Startup Studio」だ。西條氏をはじめとする新規事業開発のスペシャリストたちが実践で培った知見を共有し、スタートアップの創出と成長をサポートしていくという。

松本西條さんは、CA時代に新規事業の創出と成長をサポートする取り組みをされていたと思います。「Startup Studio」は西條さんのどのような経験が活かされた事業なのでしょうか?

西條CAでは、役員のビジネスアイデアに「高エネルギー生命体」の若手人材を組み合わせるという仕組みを用いて、次々に子会社を設立していきました。

西條私自身がCAで新規事業の創出を支援していて気づかされたのは、ビジネスのアイデアを出す能力と、アイデアを実行に移す能力は、全くの別物だということでした。たとえば、社内のビジネスコンテストで入賞するようなアイデアを生み出せても、実際に経営を行うフェーズになると事業をなかなか推進できないという人は少なくない。

「Startup Studio」では、アイデアを出すところから会社にするまでの段取りを、私が完全に理解しており、そのノウハウは全て共有しています。加えて、SEO対策やUI/UXの改善、プロダクトグロースなど各領域における専門のチームがあり、新規事業づくりに必要なことを網羅的にサポートできるようなフレームワークを提供しています。

松本マーケットやビジネスモデル、開発のアプローチなどは「Startup Studio」機能としてすでにセットされており、そのフレームワークに「高エネルギー生命体」をマッチングするということですね。

西條さんの取り組みが、自ら事業をつくることから、事業づくりのフレームワークを提供することへ移行した理由を教えていただきたいです。

西條一番の理由は「長く続いていく会社をつくりたい」という気持ちが強くなったことです。私自身、大学生のときから、長く続いていく会社とそうでない会社の違いにすごく興味があって。学生時代には、財閥についてひたすら調べてみたり、新卒で入社した商社では、「なぜ、会社がここまで大きくなれたんだろう」と考えたりしていました。今は、XTechを長く続いていく会社にするための方法を模索しています。そのひとつが事業づくりのフレームワークを提供し、グループ内でいくつも成功事例を生み出していくことなんです。

西條「Startup Studio」の名称には、「ピクサーのような映画スタジオに似た場所をつくりたい」という思いが込められています。ピクサーがすごいのは、興行成績が全くふるわない映画が出てこないこと。作品に求めるクオリティの「最低限」が高く、どの作品も極めて高いクオリティの作品になっているんです。

会社や新規事業を創出することにおいても、充実した設備とそれを最大限に活かすプロ集団を確保できれば、ピクサーのようにヒットを連発する仕組みをつくれるはずだと考えています。今後も、新規事業における再現性の生み出し方を研究し、高確率で成果が出るフレームワークの提供を追求していきたいです。

イベントの終盤、BizDevとして活躍を期待される若手人材に向けて、二人からメッセージが送られた。

松本さまざまなノウハウを語ってきましたが、事業家の使命は売り上げを作ること。そのためには、とにかく顧客と向き合い、100円を払ってもらう難しさを噛み締め、寝ても覚めても事業のことを考え続けなければ、事業家としての成長はありえません。

西條「高エネルギー生命体」に備わっているものは、事業を自分で引っ張っていくことへの覚悟だけ。若手人材にとってのスキルや能力は、どんぐりの背比べにすぎません。これからのXTechでも、覚悟を持って飛び込める人材と新たな地平を目指していきたいと思っています。

イベントの後半に設けられた質疑応答では、高城氏、廣川氏の両名からも「厳しい環境でストレッチし続けるBizDev仲間がもっと出てきてほしい」と、想いが語られた。

“特別な経験はいりません。私が考える、BizDevとしての成長に必要なのはただひとつ。事業の創出から引き継ぎまでを「3回転」経験することです──。”

前回の「Startup BizDev Meetup」に登壇した、ユーザーベースの坂本大典氏の言葉だ。近年、スタートアップ界隈で目にするようになった「BizDev」だが、決して特別なスキルが必要な職種ではない。事業をグロースさせるために脳みそに汗をかき、「寝ても覚めても事業のことを考え続ける」泥臭さこそが、BizDevの要諦なのだと感じさせられた。

経営層になろうと、松本氏、西條氏は「泥臭いBizDev」のスタンスを忘れず、後進の高城氏、廣川氏に伝えようとしている。これから、ラクスル、XTechの若手BizDevたちが、どのような活躍を見せてくれるのか。「泥臭く」成長していく2社に、今後も注視していきたい。

こちらの記事は2019年09月27日に公開しており、
記載されている情報が現在と異なる場合がございます。

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執筆

ハッスル栗村

1997年生まれ、愛知県出身。大学では学生アスリートを取材し、新聞や雑誌の制作・販売に携わる。早稲田大学文学部在学中。

姓は半蔵、名は門太郎。1998年、長野県佐久市生まれ。千葉大学文学部在学中(専攻は哲学)。ビジネスからキャリア、テクノロジーまでバクバク食べる雑食系ライター。

デスクチェック

長谷川 賢人

1986年生まれ、東京都武蔵野市出身。日本大学芸術学部文芸学科卒。 「ライフハッカー[日本版]」副編集長、「北欧、暮らしの道具店」を経て、2016年よりフリーランスに転向。 ライター/エディターとして、執筆、編集、企画、メディア運営、モデレーター、音声配信など活動中。

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